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森の小さな〈ハンター〉たち
狩猟採集民の子どもの民族誌
A5上製・306頁
ISBN: 9784876987825
発行年月: 2010/02
圧倒的なリアリティで迫る,森の子どものフィールドワーク
[推薦] 箕浦康子(お茶の水女子大学名誉教授)
本書は、カメルーン共和国東部の森の狩猟採集民バカ・ピグミーの子どものなかでの1年半の記録である。まず、近代的諸制度導入前の社会で子どもはどう生きていたかをトータルに捉えている点が、専門分化し特定の視角から子どもを見がちな研究への反省をせまる。また、日本の子どもたちとは正反対の社会状況で生きるバカの子どもたちの記録は、文化や時代が子どもの生活をいかに変えたかを逆照射する。子どもの発達や社会化に関心のある心理学、教育学、社会学、社会福祉学、学校教育関係者、保育関係者、必読の書である。
本書は、子どもを相手とするフィールドワーク研究としても出色である。一人前の男性が子どもたちに仲間として受け入れられていくプロセスやスケッチを描くことを通じて形成されるラポール、スケッチ自体がバカ社会の物質文明の巧みな記録になっている点などは、従来の研究書にない特色で、フィールドワークを研究手法としている人にも一読を勧めたい。
アフリカの狩猟採集民バカの子どもたちに人類学者が弟子入り.「子ども=文化的未完成」という枠組を超え,子ども集団への参与観察によって,彼らが「教育のない社会」で,主体的な行動選択と文化創造を通じ成長する姿を描く.子どもたちは学校まで一種の遊びにしてしまう.教育とは何かを問い直す愉快で可愛い民族誌.スケッチの効用も力説
『讀賣新聞』'10年3月14日朝刊、「本のよみうり堂」
『熊本日日新聞』'10年4月4日朝刊、「読書」面、評者:野田正彰氏
『図書新聞』'10年9月4日(2980号)、5面、評者:富沢寿勇氏
『国際開発研究』Vol.19, No.2(2010年11月)、133-134頁、評者:山田肖子氏
『アフリカ研究』No.77(2010)、72-75頁、評者:稲泉博己氏
『熊本日日新聞』'10年4月4日朝刊、「読書」面、評者:野田正彰氏
『図書新聞』'10年9月4日(2980号)、5面、評者:富沢寿勇氏
『国際開発研究』Vol.19, No.2(2010年11月)、133-134頁、評者:山田肖子氏
『アフリカ研究』No.77(2010)、72-75頁、評者:稲泉博己氏
亀井 伸孝(かめい のぶたか)
1971年、神奈川県生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了、理学博士。日本学術振興会特別研究員、関西学院大学社会学研究科COE特任准教授を経て、現在、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究員。専門は文化人類学・アフリカ地域研究。
単著に、『アフリカのろう者と手話の歴史:A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』(明石書店、2006年、2007年度国際開発学会奨励賞受賞)、『手話の世界を訪ねよう』(岩波ジュニア新書、2009年)、On va signer en Langue des Signes d'Afrique Francophone!(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2008年)。編著に、『遊びの人類学ことはじめ:フィールドで出会った〈子ども〉たち』(昭和堂、2009年)、『アクション別フィールドワーク入門』(武田丈と共編、世界思想社、2008年)。共著に、『森と人の共存世界』(市川光雄・佐藤弘明編、京都大学学術出版会、2001年)、Hunter-gatherer childhoods: Evolutionary, developmental & cultural perspectives(Barry S. Hewlett and Michael E. Lamb編、Transaction Publishers、2005年)、『手話でいこう:ろう者の言い分 聴者のホンネ』(秋山なみと共著、ミネルヴァ書房、2004年)、『文化人類学事典』(日本文化人類学会編、丸善、2009年)ほか。
1971年、神奈川県生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了、理学博士。日本学術振興会特別研究員、関西学院大学社会学研究科COE特任准教授を経て、現在、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究員。専門は文化人類学・アフリカ地域研究。
単著に、『アフリカのろう者と手話の歴史:A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』(明石書店、2006年、2007年度国際開発学会奨励賞受賞)、『手話の世界を訪ねよう』(岩波ジュニア新書、2009年)、On va signer en Langue des Signes d'Afrique Francophone!(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2008年)。編著に、『遊びの人類学ことはじめ:フィールドで出会った〈子ども〉たち』(昭和堂、2009年)、『アクション別フィールドワーク入門』(武田丈と共編、世界思想社、2008年)。共著に、『森と人の共存世界』(市川光雄・佐藤弘明編、京都大学学術出版会、2001年)、Hunter-gatherer childhoods: Evolutionary, developmental & cultural perspectives(Barry S. Hewlett and Michael E. Lamb編、Transaction Publishers、2005年)、『手話でいこう:ろう者の言い分 聴者のホンネ』(秋山なみと共著、ミネルヴァ書房、2004年)、『文化人類学事典』(日本文化人類学会編、丸善、2009年)ほか。
口絵
はじめに——人類学者、森の子どもたちに弟子入りする
用語と表記について
第一章 狩猟採集民の子どもたち
一 森の狩猟採集民バカ
二 教育のない社会で育つ子どもたち
三 バカの子どもたちと出会うまで
四 本書の対象と構成
第二章 子どもたちの仲間に入る
一 調査地の概要
二 子ども集団への参与観察
三 調査地での困難と信頼関係
四 森のキャンプでの調査
五 子どもたちの日常生活の概要
第三章 森の遊びとおもちゃの文化
一 遊びながら調査する
二 遊びの数かず
三 遊びの諸相
四 子どもたちの遊び創造能力
第四章 小さな狩猟採集民>
一 生業活動への「遊戯性アプローチ」
二 子どもたちの生業活動
三 狩猟
四 採集
五 漁撈(一)釣り
六 漁撈(二)かいだし漁
七 農耕
八 非生計貢献型生業活動
第五章 子どもたちのコスモロジー
一 子どもたちの見た森——迷子と精霊
二 子どもの食生活と食物分配
三 少年と少女の活動仲間
四 子どもたちの居住空間
第六章 子どもたちをとりまく時代
一 バカの子どもたちと学校
二 教育プロジェクトの概要
三 集落滞在期の子どもたち
四 狩猟採集期の子どもたち
五 学校の達成と未達成
第七章 狩猟採集社会における子どもの社会化
一 非生計貢献型生業活動と遊戯性の機能
二 子どもたちの社会化における四つのプロセス
三 結語
補 論 フィールドで絵を描こう——人文・社会科学におけるスケッチ・リテラシー
一 はじめに——ヒト、絵を描く
二 なぜ人文・社会科学におけるスケッチか
三 社会調査法としてのスケッチ
四 スケッチは提言する
五 おわりに——新しいリテラシー教育に向けて
注
おわりに——狩猟採集民の子どもたちの未来
付表
文献
索引
はじめに——人類学者、森の子どもたちに弟子入りする
用語と表記について
第一章 狩猟採集民の子どもたち
一 森の狩猟採集民バカ
二 教育のない社会で育つ子どもたち
三 バカの子どもたちと出会うまで
四 本書の対象と構成
第二章 子どもたちの仲間に入る
一 調査地の概要
二 子ども集団への参与観察
三 調査地での困難と信頼関係
四 森のキャンプでの調査
五 子どもたちの日常生活の概要
第三章 森の遊びとおもちゃの文化
一 遊びながら調査する
二 遊びの数かず
三 遊びの諸相
四 子どもたちの遊び創造能力
第四章 小さな狩猟採集民>
一 生業活動への「遊戯性アプローチ」
二 子どもたちの生業活動
三 狩猟
四 採集
五 漁撈(一)釣り
六 漁撈(二)かいだし漁
七 農耕
八 非生計貢献型生業活動
第五章 子どもたちのコスモロジー
一 子どもたちの見た森——迷子と精霊
二 子どもの食生活と食物分配
三 少年と少女の活動仲間
四 子どもたちの居住空間
第六章 子どもたちをとりまく時代
一 バカの子どもたちと学校
二 教育プロジェクトの概要
三 集落滞在期の子どもたち
四 狩猟採集期の子どもたち
五 学校の達成と未達成
第七章 狩猟採集社会における子どもの社会化
一 非生計貢献型生業活動と遊戯性の機能
二 子どもたちの社会化における四つのプロセス
三 結語
補 論 フィールドで絵を描こう——人文・社会科学におけるスケッチ・リテラシー
一 はじめに——ヒト、絵を描く
二 なぜ人文・社会科学におけるスケッチか
三 社会調査法としてのスケッチ
四 スケッチは提言する
五 おわりに——新しいリテラシー教育に向けて
注
おわりに——狩猟採集民の子どもたちの未来
付表
文献
索引