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本書は、地球全体を視野におさめたうえで、初期農業の拡散過程と、人口と言語の拡散についてのエピソードとを大胆にむすびつけている。人類史の壮大なテーマを斬新かつシンプルなヴィジョンのもと、力づよく首尾一貫した視点から書ききった。
このすばらしい書物は、農耕起源以後の人類史に関するめざましい情報の宝庫だ。考古学・言語学・遺伝学・人類学の分野で現代社会の形成に関心をもつ者にとっては必携書だろう。
ベルウッドは定説へ果敢に挑戦している。本書は今日の考古学で問われている最重要課題についての調査研究であり、刺激的で読者の思考を喚起してやまない。
まさに歴史人類学的「離れわざ」だ。農耕起源と人口拡散の過程とを地球規模で関連づけるという、じつに広範な歴史的視野で書かれている。本書を手にすることはたぐいまれな僥倖である。
コリン・レンフルー(ケンブリッジ大学)
このすばらしい書物は、農耕起源以後の人類史に関するめざましい情報の宝庫だ。考古学・言語学・遺伝学・人類学の分野で現代社会の形成に関心をもつ者にとっては必携書だろう。
ジャレド・ダイアモンド(カリフォルニア大学ロサンゼルス校、『銃・病原菌・鉄』著者)
ベルウッドは定説へ果敢に挑戦している。本書は今日の考古学で問われている最重要課題についての調査研究であり、刺激的で読者の思考を喚起してやまない。
ピーター・ボグキ(プリンストン大学)
まさに歴史人類学的「離れわざ」だ。農耕起源と人口拡散の過程とを地球規模で関連づけるという、じつに広範な歴史的視野で書かれている。本書を手にすることはたぐいまれな僥倖である。
パトリック・カーチ(カリフォルニア大学バークレイ校)
農耕はいったい地球上のどこでいつ始まり,どのようにして世界中へと広まったのか? この人類史的問いに,考古学,人類学,比較言語学,遺伝学の成果を博捜し,過去1万年にわたる人々の移動と農耕の伝播,文化の衝突と受容のプロセスを大胆に推理する.First Farmers: The Origins of Agricultural Societies(2005)の全訳.
『日本農業新聞』’08年8月25日「読書」、評者:大倉康伸氏
『週刊読書人』’08年10月10日、評者:森枝卓士氏
『月刊言語』’08年11月号、評者:風間喜代三氏
『古代文化』'09年9月号、58頁
『週刊読書人』’08年10月10日、評者:森枝卓士氏
『月刊言語』’08年11月号、評者:風間喜代三氏
『古代文化』'09年9月号、58頁
■ 著者紹介
ピーター・ベルウッド(Peter Bellwood)
オーストラリア国立大学先史学・人類学部教授。
1943年イギリス・レスター市生まれ。ケンブリッジ大学で博士号を取得。ニュージーランドのオークランド大学を経て、1973年から現職。
専門は、オセアニア考古学。
著書は、『太平洋:東南アジアとオセアニアの人類史』(植木武・服部研二訳、法政大学出版局)、『ポリネシア』(池野茂訳、大明堂)の翻訳書をはじめ多数。
■ 監訳者紹介
長田俊樹(おさだ としき)
総合地球環境学研究所教授。
1954年11月神戸市生まれ。1981年北海道大学文学部卒業。1984年同大学文学研究科修士課程修了。1991年インド・ラーンチー大学博士課程修了(Ph.D.)。国際日本文化研究センター助手、京都造形芸術大学教授を経て、2003年10月より現職。専門は、言語学。
著書は、A Reference Grammar of Mundari (東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所)、『新インド学』(角川叢書)、『ムンダ人の農耕文化と食事文化:民族言語学的考察』(国際日本文化研究センター)など多数。
佐藤洋一郎(さとう よういちろう)
総合地球環境学研究所教授。
1952年11月和歌山県生まれ。1977年京都大学農学部卒業。1979年同大学院農学研究科修了。高知大学農学部助手、国立遺伝学研究所研究員、静岡大学農学部助教授を経て、2003年10月より現職。専門は、植物遺伝学。
2001年第9回松下幸之助花と緑の博覧会記念奨励賞、2004年第17回濱田青陵賞受賞。
著書は、『DNAが語る稲作文明』(NHKブックス)、『森と田んぼの危機(クライシス)』(朝日選書)、『DNA考古学のすすめ』(丸善ライブラリー)、『稲の日本史』(角川選書)、『クスノキと日本人』(八坂書房)、『里と森の危機(クライシス)』(朝日選書)、『よみがえる緑のシルクロード』(岩波ジュニア新書)など多数。
ピーター・ベルウッド(Peter Bellwood)
オーストラリア国立大学先史学・人類学部教授。
1943年イギリス・レスター市生まれ。ケンブリッジ大学で博士号を取得。ニュージーランドのオークランド大学を経て、1973年から現職。
専門は、オセアニア考古学。
著書は、『太平洋:東南アジアとオセアニアの人類史』(植木武・服部研二訳、法政大学出版局)、『ポリネシア』(池野茂訳、大明堂)の翻訳書をはじめ多数。
■ 監訳者紹介
長田俊樹(おさだ としき)
総合地球環境学研究所教授。
1954年11月神戸市生まれ。1981年北海道大学文学部卒業。1984年同大学文学研究科修士課程修了。1991年インド・ラーンチー大学博士課程修了(Ph.D.)。国際日本文化研究センター助手、京都造形芸術大学教授を経て、2003年10月より現職。専門は、言語学。
著書は、A Reference Grammar of Mundari (東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所)、『新インド学』(角川叢書)、『ムンダ人の農耕文化と食事文化:民族言語学的考察』(国際日本文化研究センター)など多数。
佐藤洋一郎(さとう よういちろう)
総合地球環境学研究所教授。
1952年11月和歌山県生まれ。1977年京都大学農学部卒業。1979年同大学院農学研究科修了。高知大学農学部助手、国立遺伝学研究所研究員、静岡大学農学部助教授を経て、2003年10月より現職。専門は、植物遺伝学。
2001年第9回松下幸之助花と緑の博覧会記念奨励賞、2004年第17回濱田青陵賞受賞。
著書は、『DNAが語る稲作文明』(NHKブックス)、『森と田んぼの危機(クライシス)』(朝日選書)、『DNA考古学のすすめ』(丸善ライブラリー)、『稲の日本史』(角川選書)、『クスノキと日本人』(八坂書房)、『里と森の危機(クライシス)』(朝日選書)、『よみがえる緑のシルクロード』(岩波ジュニア新書)など多数。
序文
日本語版への序文
第1章 初期農耕拡散仮説のみとおし
1 本書に関連する学問分野
2 本書の枠組み
3 いくつかの鍵となる原理
第2章 問題提起——農耕の起源と拡散
1 農耕の重要性——生産性と人口数
2 なぜ農耕が登場したのか
3 狩猟採集に対する農耕の重要性
4 先史時代には狩猟採集民はどんな状況で農耕を採用したのだろうか
5 なぜ民族誌上の狩猟採集民は農耕採用に関して問題が多いのか——比較の視点
6 考古学的記録に対して
第3章 西南アジアにおける農耕のはじまり
1 肥沃な三日月地帯における植物の栽培化
2 レヴァントにおける狩猟採集民の背景——紀元前一万九〇〇〇〜九五〇〇年
3 先土器新石器時代と栽培作物の台頭
4 どのように西南アジアの穀物の栽培化がはじまったのか
5 ひろい視点からみた西南アジアの考古資料
6 新石器革命のほんとうのおりかえし地点
第4章 肥沃な三日月地帯をこえて——ヨーロッパとアジアにおける農業のひろがりをたどる
1 ヨーロッパにおける新石器経済のひろがり
2 南・地中海ヨーロッパ
3 温帯・北ヨーロッパ
4 西南アジアから東への農耕拡散
5 インド亜大陸
6 南アジア地域における狩猟採集から農業への軌跡
7 ヨーロッパと南アジアの概要
第5章 アフリカの農耕——もう一つの起源
1 西南アジア農耕技術のエジプトへの伝播
2 アフリカ在来栽培植物の起源
3 サハラ砂漠以南のアフリカにおける農耕の発達と伝播
4 中央・南アフリカ農耕の出現
第6章 東アジアにおける農耕のはじまり
1 中国における栽培化の過程とその環境的要因
2 中国初期農耕の考古学
3 黄河流域と長江流域における新石器時代前期の考古資料
4 中国新石器時代後半期(紀元前五〇〇〇年以降)の発展
第7章 東南アジア・オセアニアへの農耕の拡散
1 東南アジアにおける農耕拡散の背景
2 東南アジア大陸部における初期農耕民
3 台湾と東南アジア島嶼部における初期農耕民
4 ニューギニアにおける農耕の軌跡と太平洋への植民にはたした役割
第8章 アメリカ大陸における初期農耕
1 いくつかの必須な背景
2 初期農耕の地理と全体的な文化の変遷
3 アメリカ大陸における農耕の起源についての最近の見解
4 栽培植物
5 アメリカ大陸における初期の土器
6 アメリカ大陸での初期農民
7 アンデス
8 中央アメリカ(メソアメリカ)
9 南西部
10 イースタン・ウッドランドにおける農耕の独立起源
第9章 語族は人類の先史に対してどのような意味をもつのか
1 語族はどのように研究されるのか
2 系統発生と網状進化の問題
3 語族の同定と系統研究
4 言語のにない手
5 言語と語族はいかにひろがるのか
6 言語は時代をこえていかに変化するか
7 言語の競合と言語の取り替え
第10章 農耕のひろがり——考古学と言語学の比較から
1 西・中央ユーラシアと北アフリカ
2 インド=ヨーロッパ語族
3 アフロ=アジア語族
4 エラム語やドラヴィダ語族とインド=アーリア諸語
5 インド=ヨーロッパ、アフロ=アジア、エラモ=ドラヴィダの三語族とノストラティック大語族の問題
6 サハラ砂漠とサハラ以南のアフリカ——ナイル=サハラ言語群とニジェール=コンゴ語族
7 東・東南アジアと太平洋
8 南北アメリカ大陸——南部と中部
9 北アメリカ東部
10 最初の農耕民は彼らの言語をひろめたのか
第11章 遺伝子、古人骨、人々の身体特徴からさぐる
1 人間集団と言語族のあいだには相関関係があるだろうか
2 西南アジアとヨーロッパ
3 東南アジアとオセアニア(オーストロネシア語族を中心に)
4 はたして初期農耕民は遺伝子浸透拡散をともない拡散していったのか
第12章 初期農耕拡散の特徴
1 起源地、拡散ゾーン、摩擦ゾーン、オーバーシュート
2 農業の発生と拡散のプロセスにおける諸段階
おわりに
解題——おもに農学・遺伝学の分野から(佐藤洋一郎)
解題——おもに言語学の立場から(長田俊樹)
文献
索引
日本語版への序文
第1章 初期農耕拡散仮説のみとおし
1 本書に関連する学問分野
2 本書の枠組み
3 いくつかの鍵となる原理
第2章 問題提起——農耕の起源と拡散
1 農耕の重要性——生産性と人口数
2 なぜ農耕が登場したのか
3 狩猟採集に対する農耕の重要性
4 先史時代には狩猟採集民はどんな状況で農耕を採用したのだろうか
5 なぜ民族誌上の狩猟採集民は農耕採用に関して問題が多いのか——比較の視点
6 考古学的記録に対して
第3章 西南アジアにおける農耕のはじまり
1 肥沃な三日月地帯における植物の栽培化
2 レヴァントにおける狩猟採集民の背景——紀元前一万九〇〇〇〜九五〇〇年
3 先土器新石器時代と栽培作物の台頭
4 どのように西南アジアの穀物の栽培化がはじまったのか
5 ひろい視点からみた西南アジアの考古資料
6 新石器革命のほんとうのおりかえし地点
第4章 肥沃な三日月地帯をこえて——ヨーロッパとアジアにおける農業のひろがりをたどる
1 ヨーロッパにおける新石器経済のひろがり
2 南・地中海ヨーロッパ
3 温帯・北ヨーロッパ
4 西南アジアから東への農耕拡散
5 インド亜大陸
6 南アジア地域における狩猟採集から農業への軌跡
7 ヨーロッパと南アジアの概要
第5章 アフリカの農耕——もう一つの起源
1 西南アジア農耕技術のエジプトへの伝播
2 アフリカ在来栽培植物の起源
3 サハラ砂漠以南のアフリカにおける農耕の発達と伝播
4 中央・南アフリカ農耕の出現
第6章 東アジアにおける農耕のはじまり
1 中国における栽培化の過程とその環境的要因
2 中国初期農耕の考古学
3 黄河流域と長江流域における新石器時代前期の考古資料
4 中国新石器時代後半期(紀元前五〇〇〇年以降)の発展
第7章 東南アジア・オセアニアへの農耕の拡散
1 東南アジアにおける農耕拡散の背景
2 東南アジア大陸部における初期農耕民
3 台湾と東南アジア島嶼部における初期農耕民
4 ニューギニアにおける農耕の軌跡と太平洋への植民にはたした役割
第8章 アメリカ大陸における初期農耕
1 いくつかの必須な背景
2 初期農耕の地理と全体的な文化の変遷
3 アメリカ大陸における農耕の起源についての最近の見解
4 栽培植物
5 アメリカ大陸における初期の土器
6 アメリカ大陸での初期農民
7 アンデス
8 中央アメリカ(メソアメリカ)
9 南西部
10 イースタン・ウッドランドにおける農耕の独立起源
第9章 語族は人類の先史に対してどのような意味をもつのか
1 語族はどのように研究されるのか
2 系統発生と網状進化の問題
3 語族の同定と系統研究
4 言語のにない手
5 言語と語族はいかにひろがるのか
6 言語は時代をこえていかに変化するか
7 言語の競合と言語の取り替え
第10章 農耕のひろがり——考古学と言語学の比較から
1 西・中央ユーラシアと北アフリカ
2 インド=ヨーロッパ語族
3 アフロ=アジア語族
4 エラム語やドラヴィダ語族とインド=アーリア諸語
5 インド=ヨーロッパ、アフロ=アジア、エラモ=ドラヴィダの三語族とノストラティック大語族の問題
6 サハラ砂漠とサハラ以南のアフリカ——ナイル=サハラ言語群とニジェール=コンゴ語族
7 東・東南アジアと太平洋
8 南北アメリカ大陸——南部と中部
9 北アメリカ東部
10 最初の農耕民は彼らの言語をひろめたのか
第11章 遺伝子、古人骨、人々の身体特徴からさぐる
1 人間集団と言語族のあいだには相関関係があるだろうか
2 西南アジアとヨーロッパ
3 東南アジアとオセアニア(オーストロネシア語族を中心に)
4 はたして初期農耕民は遺伝子浸透拡散をともない拡散していったのか
第12章 初期農耕拡散の特徴
1 起源地、拡散ゾーン、摩擦ゾーン、オーバーシュート
2 農業の発生と拡散のプロセスにおける諸段階
おわりに
解題——おもに農学・遺伝学の分野から(佐藤洋一郎)
解題——おもに言語学の立場から(長田俊樹)
文献
索引