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出土した武器と武具を手掛りに,古墳時代の社会構造を論じる。武器,武具の型式学的な解析により,生産体制の変遷と生産から副葬に至る流れを考究し,埋葬形態,集積状況の分析により,集団内,集団間の関係を考察する。軍事組織研究の手段としての軛から武器,武具を解放し,社会構造分析へと斬り込む「武器」として古代社会の特質を解明する。
川畑 純(かわはた じゅん)
独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所 研究員
京都大学博士(文学)
1982年 北海道生まれ
2006年 京都大学文学部卒業
2008年 京都大学大学院文学研究科修士課程修了
2011年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学
主な業績
「前・中期古墳副葬鏃の変遷とその意義」『史林』第92巻2号史学研究会 2009年
「古墳副葬矢鏃の生産・流通・保有・副葬」『古代学研究』185号 古代学研究会 2010年
「衝角付冑の型式学的配列」『日本考古学』第32号 日本考古学協会 2011年
独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所 研究員
京都大学博士(文学)
1982年 北海道生まれ
2006年 京都大学文学部卒業
2008年 京都大学大学院文学研究科修士課程修了
2011年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学
主な業績
「前・中期古墳副葬鏃の変遷とその意義」『史林』第92巻2号史学研究会 2009年
「古墳副葬矢鏃の生産・流通・保有・副葬」『古代学研究』185号 古代学研究会 2010年
「衝角付冑の型式学的配列」『日本考古学』第32号 日本考古学協会 2011年
図一覧/表一覧
序 章
1.本書の目的と分析対象
2.国家形成過程の研究における武器・武具研究の役割
3.本書の視点
第1部 矢鏃の型式学的研究
第1章 古墳出土鏃の編年
1.はじめに
2.研究史と本章の視点
⑴研究史
⑵本章の視点
3.鏃の分類
⑴部分名称と用語の設定
⑵分類の前提
⑶分類
4.型式設定の検証と配列
⑴型式設定の検証
⑵配列と段階設定
⑶銅鏃生産の終焉について
5.各期の様相と意義
⑴各期の様相
⑵鏃組成の変遷とその意義
6.鏃の形の変化と組み合わせの変化の意義
第2章 矢の構造
1.はじめに
2.根挟みの装着手順と形態,機能について
⑴根挟みの分類と装着手順
ⅰ 根挟みの分類/ ⅱ 装着先行型の根挟み/ ⅲ 加工先行型の根挟み/ ⅳ 装着手順と挟み部の形態
⑵根挟みの機能について
⑶分離式鏃の出土状況
ⅰ 鏃の出土状況の研究略史/ ⅱ 中期の出土状況/ ⅲ 前期の出土状況/ ⅳ 後期の出土状況
3.根挟みの材質転換について
⑴捩じりと頸部の成立
ⅰ 根挟みの材質転換/ ⅱ 根挟みの材質転換と鏃形式の刷新
⑵分離式の諸方式
ⅰ ホゾ孔式の分離式矢鏃/ ⅱ 中柄式の分離式矢鏃
⑶矢の流通形態について
4.結語
矢の流通の意義
第3章 矢鏃の生産・流通とその変遷
1.はじめに
2.矢柄の装着
⑴矢柄の装着手順
⑵矢柄先端の加工と形状について
⑶口巻きの手法とその変遷
3.一括資料としての鏃群の検討
⑴Ⅰ期の様相
⑵Ⅱ期の様相
⑶Ⅲ期の様相
⑷Ⅳ期の様相
⑸Ⅴ期の様相
⑹口巻きを施す範囲について
⑺鏃形態と矢の生産の様相
4.矢鏃生産・流通の展開
第2部 甲冑の型式学的研究
第4章 衝角付冑の型式学的配列
1.はじめに
2.研究史と本章の位置づけ
3.衝角底板連接手法の再分類
⑴各要素の分類と相互関係
⑵各分類の関係
⑶各要素の組み合わせと型式設定
⑷型式相互の関係
ⅰ 横接式と上接式/ ⅱ 上内接式と上下接式/ ⅲ 内接式の展開
ⅳ 外接式と外接被覆式/ ⅴ 一連式・非連結式
4.型式学的配列
⑴配列の要素と優先順位
⑵竪矧板A系統の検討
⑶三角板系統の検討
⑷小札系統の検討
⑸横矧板系統の検討
⑹竪矧板B系統の検討
⑺衝角付冑の型式学的配列
5.衝角付冑の生産系譜の展開
⑴形式と型式の展開
⑵衝角付冑の型式と多系化の意義
6.甲冑生産の系統に関する予察
第5章眉庇付冑の系統と変遷
1.眉庇付冑研究の課題と本章の位置づけ
⑴眉庇付冑研究の意義
⑵眉庇付冑の研究史
⑶研究史上の課題と本章の視点
2.眉庇付冑の構造と特質
⑴受鉢・伏鉢の連接技法
⑵伏板の環状配置鋲
⑶腰巻板の鋲列
⑷地板形式と連接構造
3.庇部文様の検討
⑴庇部文様検討の前提
⑵葉文系の検討
⑶三角文系の検討
⑷レンズ文系の検討
⑸無透系の検討
⑹葉文系B類の検討
⑺小結
4.眉庇付冑の編年
⑴配列の前提
⑵葉文系の配列
⑶三角文系の配列
⑷レンズ文系の配列
⑸無透系の配列
⑹小結
5.眉庇付冑の系統と変遷
⑴系統認識の要素
⑵各系統の様相
⑶系統のまとまりと系統間の関係
⑷二つの系統 ――総鉄製と金銅装
⑸総鉄製と金銅装の前後関係
⑹眉庇付冑の変遷
6.眉庇付冑の系統と生産
⑴眉庇付冑生産の展開
⑵眉庇付冑からみる甲冑生産体制の転換
第6章短甲の系統と甲冑セットの再検討
1.短甲の研究史と本章の視点
⑴本章の目的
⑵短甲編年の研究史
⑶短甲編年の到達点と課題
⑷短甲の「系統」概念と編年について
2.検討項目
⑴検討項目の概要
⑵地板裁断の有無とその意義
⑶地板裁断の分類
3.短甲の系統と編年
⑴系統と変遷把握の前提
⑵長方形蝶番金具の三角板鋲留短甲
⑶長方形蝶番金具の横矧板鋲留短甲
⑷長方形蝶番金具系統の変遷
⑸方形3鋲蝶番金具の三角板鋲留短甲・横矧板鋲留短甲
⑹胴一連の三角板鋲留短甲・横矧板鋲留短甲
⑺方形4鋲蝶番金具の三角板鋲留短甲・横矧板鋲留短甲
⑻長釣壺形蝶番金具の三角板鋲留短甲・横矧板鋲留短甲
⑼釣壺形蝶番金具の三角板鋲留短甲・横矧板鋲留短甲
4.短甲系統の変遷と冑・頸甲との組み合わせ
⑴系統の意義と系統変遷
⑵出現期の冑と頸甲について
⑶衝角付冑・眉庇付冑の画期と短甲の位置づけ
⑷短甲・頸甲の終焉
⑸甲冑生産の画期
第3部 武器・武具からみた古墳時代の社会構造
第7章 一括資料にみる武器・武具の入手と保有
1.一括資料の分析 ――製作段階差について
⑴一括資料分析の意義
⑵衝角付冑・眉庇付冑・短甲の複数共伴例について
⑶複数甲冑の共伴例の傾向
⑷矢鏃と甲冑の共伴状況
⑸複数甲冑セットの構成
⑹金銅装の有無と製作順序
2.武器・武具の入手と流通戦略の画期
⑴矢鏃の履歴と甲冑の履歴
⑵武器・武具の入手と流通戦略の画期
第8章武器・武具の入手と階層構造
1.武器・武具の入手と帰属主体について
⑴本章の目的
⑵方法論
2.同一古墳内複数埋葬の分析
⑴概要
⑵各古墳における具体的様相
⑶武器・武具の入手主体
⑷複数埋葬における特殊な様相 ――後出3号墳例について
3.同一古墳群内における出土鏃の様相
⑴概要
⑵各古墳群における様相
⑶古墳群内における武器・武具の入手と所有
⑷武器・武具生産の画期と集団間関係
終章 武器・武具からみた古墳時代社会の構造転換
1.武器・武具埋納量の変遷と展開
⑴武器・武具埋納量分析の意義
⑵Ⅰ期(前期前半)の様相
⑶Ⅱ期(前期後半)の様相
⑷Ⅲ期(中期前半)の様相
⑸Ⅳ期(中期後半)の様相
⑹武器・武具埋納の変遷
⑺武器・武具埋納の画期
2.武器・武具の画期とその意義
⑴武器・武具生産の変遷と価値転換
⑵古墳時代全期間を通してみた中期中葉の画期
⑶武器・武具の量差と質差
⑷量差システムと質差システムの提唱
3.量差システム・質差システムと古墳時代の社会構造
⑴前期から中期への展開
⑵量差システムと器物の更新
4.量差システムから質差システムへの転換の歴史的意義
⑴量差システムと質差システムの交錯期
⑵倭の五王の朝貢と質差システム
⑶量差システム・質差システムと国家形成過程
5.おわりに
図版出典
報告書
参考文献
あとがき
索引
序 章
1.本書の目的と分析対象
2.国家形成過程の研究における武器・武具研究の役割
3.本書の視点
第1部 矢鏃の型式学的研究
第1章 古墳出土鏃の編年
1.はじめに
2.研究史と本章の視点
⑴研究史
⑵本章の視点
3.鏃の分類
⑴部分名称と用語の設定
⑵分類の前提
⑶分類
4.型式設定の検証と配列
⑴型式設定の検証
⑵配列と段階設定
⑶銅鏃生産の終焉について
5.各期の様相と意義
⑴各期の様相
⑵鏃組成の変遷とその意義
6.鏃の形の変化と組み合わせの変化の意義
第2章 矢の構造
1.はじめに
2.根挟みの装着手順と形態,機能について
⑴根挟みの分類と装着手順
ⅰ 根挟みの分類/ ⅱ 装着先行型の根挟み/ ⅲ 加工先行型の根挟み/ ⅳ 装着手順と挟み部の形態
⑵根挟みの機能について
⑶分離式鏃の出土状況
ⅰ 鏃の出土状況の研究略史/ ⅱ 中期の出土状況/ ⅲ 前期の出土状況/ ⅳ 後期の出土状況
3.根挟みの材質転換について
⑴捩じりと頸部の成立
ⅰ 根挟みの材質転換/ ⅱ 根挟みの材質転換と鏃形式の刷新
⑵分離式の諸方式
ⅰ ホゾ孔式の分離式矢鏃/ ⅱ 中柄式の分離式矢鏃
⑶矢の流通形態について
4.結語
矢の流通の意義
第3章 矢鏃の生産・流通とその変遷
1.はじめに
2.矢柄の装着
⑴矢柄の装着手順
⑵矢柄先端の加工と形状について
⑶口巻きの手法とその変遷
3.一括資料としての鏃群の検討
⑴Ⅰ期の様相
⑵Ⅱ期の様相
⑶Ⅲ期の様相
⑷Ⅳ期の様相
⑸Ⅴ期の様相
⑹口巻きを施す範囲について
⑺鏃形態と矢の生産の様相
4.矢鏃生産・流通の展開
第2部 甲冑の型式学的研究
第4章 衝角付冑の型式学的配列
1.はじめに
2.研究史と本章の位置づけ
3.衝角底板連接手法の再分類
⑴各要素の分類と相互関係
⑵各分類の関係
⑶各要素の組み合わせと型式設定
⑷型式相互の関係
ⅰ 横接式と上接式/ ⅱ 上内接式と上下接式/ ⅲ 内接式の展開
ⅳ 外接式と外接被覆式/ ⅴ 一連式・非連結式
4.型式学的配列
⑴配列の要素と優先順位
⑵竪矧板A系統の検討
⑶三角板系統の検討
⑷小札系統の検討
⑸横矧板系統の検討
⑹竪矧板B系統の検討
⑺衝角付冑の型式学的配列
5.衝角付冑の生産系譜の展開
⑴形式と型式の展開
⑵衝角付冑の型式と多系化の意義
6.甲冑生産の系統に関する予察
第5章眉庇付冑の系統と変遷
1.眉庇付冑研究の課題と本章の位置づけ
⑴眉庇付冑研究の意義
⑵眉庇付冑の研究史
⑶研究史上の課題と本章の視点
2.眉庇付冑の構造と特質
⑴受鉢・伏鉢の連接技法
⑵伏板の環状配置鋲
⑶腰巻板の鋲列
⑷地板形式と連接構造
3.庇部文様の検討
⑴庇部文様検討の前提
⑵葉文系の検討
⑶三角文系の検討
⑷レンズ文系の検討
⑸無透系の検討
⑹葉文系B類の検討
⑺小結
4.眉庇付冑の編年
⑴配列の前提
⑵葉文系の配列
⑶三角文系の配列
⑷レンズ文系の配列
⑸無透系の配列
⑹小結
5.眉庇付冑の系統と変遷
⑴系統認識の要素
⑵各系統の様相
⑶系統のまとまりと系統間の関係
⑷二つの系統 ――総鉄製と金銅装
⑸総鉄製と金銅装の前後関係
⑹眉庇付冑の変遷
6.眉庇付冑の系統と生産
⑴眉庇付冑生産の展開
⑵眉庇付冑からみる甲冑生産体制の転換
第6章短甲の系統と甲冑セットの再検討
1.短甲の研究史と本章の視点
⑴本章の目的
⑵短甲編年の研究史
⑶短甲編年の到達点と課題
⑷短甲の「系統」概念と編年について
2.検討項目
⑴検討項目の概要
⑵地板裁断の有無とその意義
⑶地板裁断の分類
3.短甲の系統と編年
⑴系統と変遷把握の前提
⑵長方形蝶番金具の三角板鋲留短甲
⑶長方形蝶番金具の横矧板鋲留短甲
⑷長方形蝶番金具系統の変遷
⑸方形3鋲蝶番金具の三角板鋲留短甲・横矧板鋲留短甲
⑹胴一連の三角板鋲留短甲・横矧板鋲留短甲
⑺方形4鋲蝶番金具の三角板鋲留短甲・横矧板鋲留短甲
⑻長釣壺形蝶番金具の三角板鋲留短甲・横矧板鋲留短甲
⑼釣壺形蝶番金具の三角板鋲留短甲・横矧板鋲留短甲
4.短甲系統の変遷と冑・頸甲との組み合わせ
⑴系統の意義と系統変遷
⑵出現期の冑と頸甲について
⑶衝角付冑・眉庇付冑の画期と短甲の位置づけ
⑷短甲・頸甲の終焉
⑸甲冑生産の画期
第3部 武器・武具からみた古墳時代の社会構造
第7章 一括資料にみる武器・武具の入手と保有
1.一括資料の分析 ――製作段階差について
⑴一括資料分析の意義
⑵衝角付冑・眉庇付冑・短甲の複数共伴例について
⑶複数甲冑の共伴例の傾向
⑷矢鏃と甲冑の共伴状況
⑸複数甲冑セットの構成
⑹金銅装の有無と製作順序
2.武器・武具の入手と流通戦略の画期
⑴矢鏃の履歴と甲冑の履歴
⑵武器・武具の入手と流通戦略の画期
第8章武器・武具の入手と階層構造
1.武器・武具の入手と帰属主体について
⑴本章の目的
⑵方法論
2.同一古墳内複数埋葬の分析
⑴概要
⑵各古墳における具体的様相
⑶武器・武具の入手主体
⑷複数埋葬における特殊な様相 ――後出3号墳例について
3.同一古墳群内における出土鏃の様相
⑴概要
⑵各古墳群における様相
⑶古墳群内における武器・武具の入手と所有
⑷武器・武具生産の画期と集団間関係
終章 武器・武具からみた古墳時代社会の構造転換
1.武器・武具埋納量の変遷と展開
⑴武器・武具埋納量分析の意義
⑵Ⅰ期(前期前半)の様相
⑶Ⅱ期(前期後半)の様相
⑷Ⅲ期(中期前半)の様相
⑸Ⅳ期(中期後半)の様相
⑹武器・武具埋納の変遷
⑺武器・武具埋納の画期
2.武器・武具の画期とその意義
⑴武器・武具生産の変遷と価値転換
⑵古墳時代全期間を通してみた中期中葉の画期
⑶武器・武具の量差と質差
⑷量差システムと質差システムの提唱
3.量差システム・質差システムと古墳時代の社会構造
⑴前期から中期への展開
⑵量差システムと器物の更新
4.量差システムから質差システムへの転換の歴史的意義
⑴量差システムと質差システムの交錯期
⑵倭の五王の朝貢と質差システム
⑶量差システム・質差システムと国家形成過程
5.おわりに
図版出典
報告書
参考文献
あとがき
索引