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小学校低学年児童の4人に1人が利用している学童保育施設で子どもたちはどんな生活現実を生きているのか。ある施設での参与観察をもとに子どもたちの遊びや会話に着目して描き出す。勝負へのこだわり、ふざけた規則違反…。個性を尊重する児童中心主義の保育は男子支配を助長しないか。ジェンダーに敏感な視点を取り入れることを提案する。
『ふぇみん』No.3081, 2015年2月25日
『教育学研究』第82巻第4号(2015年12月)、601-603頁、評者:結城恵氏
『ソシオロジ』185, 第60巻第3号(2016年2月)、162-170頁、評者:澁谷知美氏
『教育学研究』第82巻第4号(2015年12月)、601-603頁、評者:結城恵氏
『ソシオロジ』185, 第60巻第3号(2016年2月)、162-170頁、評者:澁谷知美氏
片田 孫 朝日(かただ そん あさひ)
灘中学校・高等学校教諭。
京都大学大学院文学研究科行動文化学専攻博士学位取得。
主な著作:
「社会的スキルとしての男性性:学童保育所における男子集団の遊びにおける相互行為の分析から」(『ソシオロジ』148, 2003年)。
「「男子は4周を目標に」:体育授業の性別カリキュラムと男女生徒への性差別」(木村涼子・古久保さくら編『ジェンダーで考える教育の現在』解放出版社,2008年)。
「父親と社会」(村瀬聡美・我部山キヨ子編『助産学講座4 母子の心理・社会学』医学書院,2008年)。
灘中学校・高等学校教諭。
京都大学大学院文学研究科行動文化学専攻博士学位取得。
主な著作:
「社会的スキルとしての男性性:学童保育所における男子集団の遊びにおける相互行為の分析から」(『ソシオロジ』148, 2003年)。
「「男子は4周を目標に」:体育授業の性別カリキュラムと男女生徒への性差別」(木村涼子・古久保さくら編『ジェンダーで考える教育の現在』解放出版社,2008年)。
「父親と社会」(村瀬聡美・我部山キヨ子編『助産学講座4 母子の心理・社会学』医学書院,2008年)。
序 章 男子文化の批判的な探究へ
1 男子の世界を記述する
2 日本における男子研究の欠如
3 「ジェンダー問題」の再構成
4 本書の章立て
第Ⅰ部 理論と方法
第1章 男子の権力の理論化13
1 「現場の課題としてのジェンダー問題」の構築へ
1―1.社会化論とポスト構造主義
1―2.人権保育の課題としてのジェンダー問題
1―3.権力関係と「権威」の定義
2 覇権的な男らしさ論
2―1.覇権的な男らしさ論の概要
2―2.二つの視点
3 児童中心の保育と男子の権力
3―1.日本の「児童中心の保育」
3―2.社会化論における児童中心主義
3―3.児童中心主義の落とし穴
二つの議論をもとに
第2章 A学童クラブでのフィールドワーク ―調査の対象と方法
1 学童クラブ事業とは
1―1.小学校低学年期とジェンダー
1―2.放課後の保育施設
1―3.学童クラブの特徴
2 マイクロ・エスノグラフィー
2―1.会話の読解
2―2.遊びの相互行為と権力の記述
3 A学童クラブでの参与観察とデータ収集
3―1.調査地とフィールドでの立場
3―2.記録の観点とその変化
第Ⅱ部 クラブ運営と自由遊び
第3章 クラブ運営とジェンダー
1 A学童クラブの概要と日常
2 学童クラブの運営
2―1.「先生―子ども」関係
2―2.班活動と3年生による統制
2―3.遊びや工作などの取り組み
3 ジェンダー・バイアスとスポーツ行事
3―1.ジェンダー・バイアス
3―2.先生の注意と男子のからかい
3―3.スポーツ行事
クラブ運営における男子支配の条件
第4章 男女の分離と保育者の関わり ―10月遊び調査から
1 自由時間における男女の分離
1―1.遊び調査と子どもの多様な過ごし方
1―2.男女集団の分離と大人の存在
1―3.男女集団の特徴
2 男女間のボーダーワークと保育者の調整
2―1.「男対女」の競争遊び
2―2.ボーダーワーク
2―3.保育者による境界の調整
3 男子の侵入と権力行使
3―1.女子遊びへの侵入
3―2.男子間の権力とからかい
男女の境界と保育者の役割
第Ⅲ部 男子の仲間文化
第5章 「強さ」の価値と能力主義
1 「強さ」の文化
1―1.技能の競い合い
1―2.「強さ」の主張と「思いやり」の原理
1―3.能力競争の語彙
2 チームゲームと指導
2―1.指導者テルキ
2―2.マサヨシの従属と指導
2―3.1年生男子のチームゲームへの参入
3 スポーツと男女間の権力関係
3―1.スポーツ行事と男子のヘゲモニー
3―2.女子の参加と男子の口出し
3―3.女子による指導
能力競争の世界を生きること
第6章 攻撃の文化 ―スポーツ,闘い遊び,粗暴な言動
1 スポーツにおける攻撃と痛みへの無関心
1―1.攻撃性とタフネス
1―2.はやし言葉とからかい
2 遊びとしての闘い
2―1.闘いの文化
2―2.侵害と追いかけ
2―3.攻撃への対処
3 粗暴な言動の文化
3―1.ふざけた攻撃
3―2.違反と非難,おとしめと罵り
3―3.偉ぶりと支配
遊びの中の攻撃
第7章 柔らかい声 ―異質性と抵抗性
1 「幼稚園児」のように
1―1.動揺する声とその行方
1―2.逃げるスーパーマン
1―3.先生の保護を求めて
2 泣きべその主張
2―1.ヨウスケとユウヘイ
2―2.ユウヘイの自己主張
2―3.敬意の要求
3 「思いやり」と罵りへの介入
3―1.下位学年への気遣いと罵りへの介入
3―2.主流の価値観の中で
男子文化の中の様々な声
第Ⅳ部 保育の指導法と男子の権力
第8章 受容中心の指導と「腕白」なパフォーマンス ―帰りの会の場面記述から
1 特定男子の「腕白」な位置取り
1―1.3年生男子の座る位置と「勝手」な発話の挿入
1―2.先生の注意と子どもによるその利用
1―3.先生による「腕白」な行動の利用
2 女子への野次とその注意
2―1.女子のサブ先生の位置取りとその妨害
2―2.C先生の野次への注意
3 幼児的な男らしさと規則の再考
3―1.幼児的な男らしさ
3―2.受容中心の指導と規則の再考
実質的な男女平等のために
第9章 児童中心主義とジェンダーへの無関心 ―C先生へのインタビューから
1 学童クラブ観と指導法
1―1.「ほっとできる」自由な場
1―2.注意の少ない指導法
1―3.子どもの集団作りと仲間関係の課題
2 ジェンダーと権力についての認識
2―1.性別期待
2―2.男子の勝手な行動や野次
2―3.自由遊びにおける分離や力関係
3 児童中心主義の眼差しによる権力関係の不可視化
3―1.テキスト『指導員の仕事』の保育観
3―2.児童中心主義の保育と個人化
3―3.ジェンダーに敏感な保育・教育
児童中心主義のバージョンアップ
終 章 現場の課題としてのジェンダー問題
1 男女の分離
2 「男らしい」権力を支える文化
2―1.スポーツと男子優位
2―2.能力競争とおとしめ
2―3.「遊び」としての攻撃
2―4.規則違反
3 権力の日常化
3―1.二つの日常化の形態
3―2.侵害の連鎖
4 児童中心主義と公共性の課題
補 章 社会化論とポスト構造主義 ―日本の教室研究の理論的な展開
1 社会化論とジェンダー・フリー教育
1―1.社会化論と「男らしさ」の学習
1―2.ジェンダー・フリー教育とその困難
1―3.社会化パラダイムの成立
2 フェミニズム・ポスト構造主義の戦略
2―1.言説実践と権力関係
2―2.反本質主義とラディカリズムの困難
ジェンダー論の再構築へ
参考文献
あとがき
索 引
1 男子の世界を記述する
2 日本における男子研究の欠如
3 「ジェンダー問題」の再構成
4 本書の章立て
第Ⅰ部 理論と方法
第1章 男子の権力の理論化13
1 「現場の課題としてのジェンダー問題」の構築へ
1―1.社会化論とポスト構造主義
1―2.人権保育の課題としてのジェンダー問題
1―3.権力関係と「権威」の定義
2 覇権的な男らしさ論
2―1.覇権的な男らしさ論の概要
2―2.二つの視点
3 児童中心の保育と男子の権力
3―1.日本の「児童中心の保育」
3―2.社会化論における児童中心主義
3―3.児童中心主義の落とし穴
二つの議論をもとに
第2章 A学童クラブでのフィールドワーク ―調査の対象と方法
1 学童クラブ事業とは
1―1.小学校低学年期とジェンダー
1―2.放課後の保育施設
1―3.学童クラブの特徴
2 マイクロ・エスノグラフィー
2―1.会話の読解
2―2.遊びの相互行為と権力の記述
3 A学童クラブでの参与観察とデータ収集
3―1.調査地とフィールドでの立場
3―2.記録の観点とその変化
第Ⅱ部 クラブ運営と自由遊び
第3章 クラブ運営とジェンダー
1 A学童クラブの概要と日常
2 学童クラブの運営
2―1.「先生―子ども」関係
2―2.班活動と3年生による統制
2―3.遊びや工作などの取り組み
3 ジェンダー・バイアスとスポーツ行事
3―1.ジェンダー・バイアス
3―2.先生の注意と男子のからかい
3―3.スポーツ行事
クラブ運営における男子支配の条件
第4章 男女の分離と保育者の関わり ―10月遊び調査から
1 自由時間における男女の分離
1―1.遊び調査と子どもの多様な過ごし方
1―2.男女集団の分離と大人の存在
1―3.男女集団の特徴
2 男女間のボーダーワークと保育者の調整
2―1.「男対女」の競争遊び
2―2.ボーダーワーク
2―3.保育者による境界の調整
3 男子の侵入と権力行使
3―1.女子遊びへの侵入
3―2.男子間の権力とからかい
男女の境界と保育者の役割
第Ⅲ部 男子の仲間文化
第5章 「強さ」の価値と能力主義
1 「強さ」の文化
1―1.技能の競い合い
1―2.「強さ」の主張と「思いやり」の原理
1―3.能力競争の語彙
2 チームゲームと指導
2―1.指導者テルキ
2―2.マサヨシの従属と指導
2―3.1年生男子のチームゲームへの参入
3 スポーツと男女間の権力関係
3―1.スポーツ行事と男子のヘゲモニー
3―2.女子の参加と男子の口出し
3―3.女子による指導
能力競争の世界を生きること
第6章 攻撃の文化 ―スポーツ,闘い遊び,粗暴な言動
1 スポーツにおける攻撃と痛みへの無関心
1―1.攻撃性とタフネス
1―2.はやし言葉とからかい
2 遊びとしての闘い
2―1.闘いの文化
2―2.侵害と追いかけ
2―3.攻撃への対処
3 粗暴な言動の文化
3―1.ふざけた攻撃
3―2.違反と非難,おとしめと罵り
3―3.偉ぶりと支配
遊びの中の攻撃
第7章 柔らかい声 ―異質性と抵抗性
1 「幼稚園児」のように
1―1.動揺する声とその行方
1―2.逃げるスーパーマン
1―3.先生の保護を求めて
2 泣きべその主張
2―1.ヨウスケとユウヘイ
2―2.ユウヘイの自己主張
2―3.敬意の要求
3 「思いやり」と罵りへの介入
3―1.下位学年への気遣いと罵りへの介入
3―2.主流の価値観の中で
男子文化の中の様々な声
第Ⅳ部 保育の指導法と男子の権力
第8章 受容中心の指導と「腕白」なパフォーマンス ―帰りの会の場面記述から
1 特定男子の「腕白」な位置取り
1―1.3年生男子の座る位置と「勝手」な発話の挿入
1―2.先生の注意と子どもによるその利用
1―3.先生による「腕白」な行動の利用
2 女子への野次とその注意
2―1.女子のサブ先生の位置取りとその妨害
2―2.C先生の野次への注意
3 幼児的な男らしさと規則の再考
3―1.幼児的な男らしさ
3―2.受容中心の指導と規則の再考
実質的な男女平等のために
第9章 児童中心主義とジェンダーへの無関心 ―C先生へのインタビューから
1 学童クラブ観と指導法
1―1.「ほっとできる」自由な場
1―2.注意の少ない指導法
1―3.子どもの集団作りと仲間関係の課題
2 ジェンダーと権力についての認識
2―1.性別期待
2―2.男子の勝手な行動や野次
2―3.自由遊びにおける分離や力関係
3 児童中心主義の眼差しによる権力関係の不可視化
3―1.テキスト『指導員の仕事』の保育観
3―2.児童中心主義の保育と個人化
3―3.ジェンダーに敏感な保育・教育
児童中心主義のバージョンアップ
終 章 現場の課題としてのジェンダー問題
1 男女の分離
2 「男らしい」権力を支える文化
2―1.スポーツと男子優位
2―2.能力競争とおとしめ
2―3.「遊び」としての攻撃
2―4.規則違反
3 権力の日常化
3―1.二つの日常化の形態
3―2.侵害の連鎖
4 児童中心主義と公共性の課題
補 章 社会化論とポスト構造主義 ―日本の教室研究の理論的な展開
1 社会化論とジェンダー・フリー教育
1―1.社会化論と「男らしさ」の学習
1―2.ジェンダー・フリー教育とその困難
1―3.社会化パラダイムの成立
2 フェミニズム・ポスト構造主義の戦略
2―1.言説実践と権力関係
2―2.反本質主義とラディカリズムの困難
ジェンダー論の再構築へ
参考文献
あとがき
索 引