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終戦直前、我国の大都市の実に六一万戸の建物が、強制的に撤去された。木造家屋が密集し制空権を失う中で、空襲から都市を守るには、もはや火災の 種になる家屋そのものを破壊しなければならなかったのである。「破壊防空」がもたらした、市民生活と都市の空間構造への今日にまで至る、物理的・ 心理的影響に、初めて学術的に迫る意欲作。
『京都新聞』2014年8月8日付夕刊、1面
『毎日新聞』2014年10月19日付朝刊 京都面「京都読書之森」
『毎日新聞』2014年10月19日付朝刊 京都面「京都読書之森」
川口 朋子(かわぐち ともこ)
1980年熊本県生まれ。立命館大学文学部史学科卒,京都大学人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専攻は都市史,日本近代史。現在,京都府立総合資料館勤務。京都外国語短期大学非常勤講師。
主要論文に「戦時下建物疎開の執行目的と経過の変容―京都の疎開事業に関する考察―」(『日本建築学会計画系論文集』666,2011年),「「非戦災都市」京都における建物疎開の戦後処理と法的規定」(『人文学報』104,2013年)など。
1980年熊本県生まれ。立命館大学文学部史学科卒,京都大学人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専攻は都市史,日本近代史。現在,京都府立総合資料館勤務。京都外国語短期大学非常勤講師。
主要論文に「戦時下建物疎開の執行目的と経過の変容―京都の疎開事業に関する考察―」(『日本建築学会計画系論文集』666,2011年),「「非戦災都市」京都における建物疎開の戦後処理と法的規定」(『人文学報』104,2013年)など。
序章―建物疎開(強制疎開)と近現代史研究
1 わが国の民防空と建物疎開
2 戦争体験の記録・歴史化のなかで等閑視された建物疎開
3 建物疎開研究の本質的意義と学際的アプローチの必要性
4 京都の建物疎開を研究する意義
5 本書の目的と意義
第1部 民防空と建物疎開
第1章 近代戦における航空機の発達と民防空
1 世界の民防空の歴史とその概念
1―1 欧州の民防空
1―2 ドイツ・イタリアの民防空
1)ドイツ
2)イタリア
1―3 建築物の防空
2 日本の民防空
2―1 アジア・太平洋戦争下の日本の都市空襲
2―2 民防空の発展と防空法
2―3 防空法の改正と防空計画
コラム1 日本の大都市の人口集中率と地形的特徴
第2章 京都の民防空
1 「近畿防空演習」(1934年)の実態
2 防空計画の設定―防空法第1期(1937年4月~1941年11月
2―1 監視・通信
2―2 消防
2―3 防空訓練
2―4 木造家屋の防火改修
3 国際情勢の変化と防空計画の対応
3―1 京都府の防空計画
3―2 京都市の防空計画
4 防火・消防の重視とその現実 ―防空法第2期(1941年11月~1943年10月)
4―1 防空のための予算措置
4―2 物資不足による防空計画と現実の乖離
5 民防空への「疎開」の導入と空襲の現実化 ―防空法第3期(1943年10月~1945年8月)
5―1 待避
5―2 防空資材の窮乏と防空の強化
5―3 燃料不足
5―4 防火改修
5―5 京都空襲と市民の防空意識
5―6 敗戦直前の市内の防空
第3章 建物疎開と民防空
1 内務行政としての民防空
2 建物疎開の法制
2―1 建築物の疎開と空地
2―2 防空法第2次改正と建物疎開
2―3 建物疎開の事業遂行過程
3 帝都東京の建物疎開
3―1 東京の建物疎開執行機関
3―2 建物疎開の変化
3―3 映画『破壊消防』
3―4 建物疎開と軍
第2部 建物疎開と京都
第4章 京都における建物疎開の実施
1 京都の建物疎開執行機関
2 大都市空襲以前の建物疎開
2―1 第1次建物疎開
2―2 軍需工場の移転
2―3 第2次建物疎開と京都市内の消防
3 大都市空襲以後の建物疎開
3―1 第3次建物疎開
3―2 第3次建物疎開地区選定の特徴
3―3 第4次建物疎開と疎開跡地
第5章 建物疎開を生き抜いた住民たち
1 除却および移転の実態
1―1 五条坂の除却
1―2 五条坂の住民の記憶
1―3 御池通の老舗旅館の建物疎開
1―4 移転時の状況とその特徴
2 疎開者への補償
2―1 補償制度と組織
2―2 実際の支払方法や受領額
2―3 建物疎開に対する住民の評価
コラム2 両側町
コラム3 学区
第6章 建物疎開の戦後処理 ―都市空間・都市意識への影響
1 京都における建物疎開の戦後
1―1 疎開跡地の都市計画決定
1―2 長引く残務処理
2 疎開者に対する戦後法的補償
2―1 罹災都市借地借家臨時処理法の改正と争点
2―2 戦時補償特別措置法の改正と争点
2―3 建物疎開に対する訴訟と国の規定概念
3 現代京都に見られる建物疎開のひずみ―3地域の事例
3―1 陶器の町の激変―五条坂地区
3―2 伝統的市街とコミュニティーの分断―下京区醒泉学区
3―3 市内随一の繁華街の衰退―寺町通
4 いまも残る,建物疎開の物質的・空間的・精神的影響
京都の戦中・戦後を論じるもう一つの意味 ―まとめに代えて―
引用および参考文献
資 料
あとがき
索 引
1 わが国の民防空と建物疎開
2 戦争体験の記録・歴史化のなかで等閑視された建物疎開
3 建物疎開研究の本質的意義と学際的アプローチの必要性
4 京都の建物疎開を研究する意義
5 本書の目的と意義
第1部 民防空と建物疎開
第1章 近代戦における航空機の発達と民防空
1 世界の民防空の歴史とその概念
1―1 欧州の民防空
1―2 ドイツ・イタリアの民防空
1)ドイツ
2)イタリア
1―3 建築物の防空
2 日本の民防空
2―1 アジア・太平洋戦争下の日本の都市空襲
2―2 民防空の発展と防空法
2―3 防空法の改正と防空計画
コラム1 日本の大都市の人口集中率と地形的特徴
第2章 京都の民防空
1 「近畿防空演習」(1934年)の実態
2 防空計画の設定―防空法第1期(1937年4月~1941年11月
2―1 監視・通信
2―2 消防
2―3 防空訓練
2―4 木造家屋の防火改修
3 国際情勢の変化と防空計画の対応
3―1 京都府の防空計画
3―2 京都市の防空計画
4 防火・消防の重視とその現実 ―防空法第2期(1941年11月~1943年10月)
4―1 防空のための予算措置
4―2 物資不足による防空計画と現実の乖離
5 民防空への「疎開」の導入と空襲の現実化 ―防空法第3期(1943年10月~1945年8月)
5―1 待避
5―2 防空資材の窮乏と防空の強化
5―3 燃料不足
5―4 防火改修
5―5 京都空襲と市民の防空意識
5―6 敗戦直前の市内の防空
第3章 建物疎開と民防空
1 内務行政としての民防空
2 建物疎開の法制
2―1 建築物の疎開と空地
2―2 防空法第2次改正と建物疎開
2―3 建物疎開の事業遂行過程
3 帝都東京の建物疎開
3―1 東京の建物疎開執行機関
3―2 建物疎開の変化
3―3 映画『破壊消防』
3―4 建物疎開と軍
第2部 建物疎開と京都
第4章 京都における建物疎開の実施
1 京都の建物疎開執行機関
2 大都市空襲以前の建物疎開
2―1 第1次建物疎開
2―2 軍需工場の移転
2―3 第2次建物疎開と京都市内の消防
3 大都市空襲以後の建物疎開
3―1 第3次建物疎開
3―2 第3次建物疎開地区選定の特徴
3―3 第4次建物疎開と疎開跡地
第5章 建物疎開を生き抜いた住民たち
1 除却および移転の実態
1―1 五条坂の除却
1―2 五条坂の住民の記憶
1―3 御池通の老舗旅館の建物疎開
1―4 移転時の状況とその特徴
2 疎開者への補償
2―1 補償制度と組織
2―2 実際の支払方法や受領額
2―3 建物疎開に対する住民の評価
コラム2 両側町
コラム3 学区
第6章 建物疎開の戦後処理 ―都市空間・都市意識への影響
1 京都における建物疎開の戦後
1―1 疎開跡地の都市計画決定
1―2 長引く残務処理
2 疎開者に対する戦後法的補償
2―1 罹災都市借地借家臨時処理法の改正と争点
2―2 戦時補償特別措置法の改正と争点
2―3 建物疎開に対する訴訟と国の規定概念
3 現代京都に見られる建物疎開のひずみ―3地域の事例
3―1 陶器の町の激変―五条坂地区
3―2 伝統的市街とコミュニティーの分断―下京区醒泉学区
3―3 市内随一の繁華街の衰退―寺町通
4 いまも残る,建物疎開の物質的・空間的・精神的影響
京都の戦中・戦後を論じるもう一つの意味 ―まとめに代えて―
引用および参考文献
資 料
あとがき
索 引