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プリミエ・コレクション 31

神社・学校・植民地

逆機能する朝鮮支配

樋浦 郷子

A5上製・380頁

ISBN: 9784876982714

発行年月: 2013/03

  • 本体: 3,600円(税込 3,960円
  • 在庫あり
 
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内容

植民地で「国教の信仰者」を獲得しようと懸命になればなるほど、果てなく壁にぶつかり続け、苛立ちを募らす——神道国教化の夢を一度は断たれた神職が乗り込んだ植民地朝鮮。しかし神社と学校が相互に寄り掛かりながら、あの手この手と工夫すればするほど、現地社会との乖離は進んでいく。植民地・学校という権力空間が帰結したパラドクスを鮮やかに描き出す。

書評

『図書新聞』2013年7月13日「2013年上半期読者アンケート」、評者:安田敏朗氏
『朝鮮史研究会会報』第194号、7-11頁、評者:山口公一氏
『日本歴史』2014年5月号、123-125頁、評者:青野正明氏
『日本の教育史学』Vol.57、157-160頁、評者:佐野通夫氏

プロフィール

樋浦 郷子(ひうら さとこ)
1973年生まれ.京都大学大学院教育学研究科博士課程修了.博士(教育学).
現在,帝京大学講師.

目次

序 章
第一節 「魔法の杖」と「神秘」
(一)学校教育と植民地支配の重なり
(二)「神秘」の足場
(三)「神秘」と植民地朝鮮
(四)「魔法の杖」の力
第二節 「皇民化政策」で概括できない重層的な教育の実態 —本書の課題
第三節 植民地研究・教育史研究の問題群と本書の視角
(一)神社祭祀と学校儀式
(二)キリスト教と神社参拝
(三)モノと空間
(四)植民地の神社史 —「強要」の語り
第四節 朝鮮の学校・神社制度
第五節 本書の構成

第一章 神社参拝の回路を拓く 修身教科書授与奉告祭・勧学祭
第一節 朝鮮神宮による修身教科書配布の開始 —一九二六年—一九三〇年
(一)初代宮司高松四郎と朝鮮総督府との距離
(二)高松四郎の思想と教科書配布開始
第二節 勧学祭への改称と御礼参拝 —一九三〇年代
(一)行事の展開と後任宮司
(二)朝鮮神宮への朝鮮人の参拝と「御礼参拝」
(三)「自発」性と「御礼参拝」
第三節 行事の展開 —一九三〇年代後半—一九四〇年代
章括

第二章 信仰へと引き込む 朝鮮神宮における大祓式
第一節 「神社非宗教」論と大祓式
(一)「崇敬」と「信仰」
(二)総督府の協力者
(三)神道国教化の要求
(四)憤懣を募らせる神職
第二節 生徒から児童へ —大祓式への参列者の具体像
(一)大祓式への動員開始とその対象
(二)初等学校の大祓式参列状況
第三節 日本内地の大祓式復興キャンペーンと朝鮮神宮
章括

第三章 授業日も日参させる モデルとしての朝鮮神宮夏季早朝参拝
第一節 夏季早朝参拝開始までのとりくみ
(一)一九三〇年代の神社政策
(二)夏季早朝参拝実施に至る朝鮮神宮の試みと「遊び場」としての周辺環境
(三)「参拝証」による個人の誘導
第二節 朝鮮神宮への参拝者の内実
(一)一九三〇年代中葉の参拝者激増
(二)夏季早朝参拝の影響力
(三)参拝児童数に関する検討 —距離と参拝率に焦点を当てて
第三節 一九三七年以降の参拝者
(一)個人参拝者の動向、団体参拝者の動向
(二)二年目の夏季早朝参拝と定日参拝開始
(三)愛国日開始と総督府学務行政のねらい
第四節 地域社会への拡大とその背景
(一)大邱神社日参会 —三〇年代後半から四〇年代
(二)朝鮮神宮と神宮皇学館
章括

第四章 地域で神社を維持管理させる 神祠設置と学校の役割
第一節 神祠の記憶と行政当局による学校への期待
(一)神祠はどのように回想されるか
(二)期待される学校
第二節 神祠設置の根拠法令と設置数の推移
(一)根拠となる法令
(二)神祠設置抑制の傾向
第三節 神祠設立を申請した代表者と実際の管理者 —一九三二年から一九三九年まで
(一)日本人申請者の場合
(二)朝鮮人申請者の場合
第四節 「一面一祠」政策の実施過程
(一)神祠の建造と維持に駆り出される小学校長と児童
(二)全羅南道の事例に見る極限的な様態
(三)変質する神祠 —一九四〇年代
章括

第五章 学校内に神社を創る 神宮大麻と学校儀礼空間
第一節 朝鮮での神宮大麻頒布
(一)日本内地における神宮大麻の位置付け —一九三〇年—三四年
(二)神宮大麻・神棚・「大麻奉祀殿」 —一九三四年—三六年
第二節 朝鮮の「御真影」とそれをめぐる混乱
(一)朝鮮の学校儀式規程と教育勅語謄本
(二)「御真影」交付 —一九三七年(その一)
(三)神棚移設指示 —一九三七年(その二)
第三節 一九三八年以後の儀礼空間
(一)神宮大麻頒布の実態 —一九三八年
(二)「皇国臣民ノ誓詞」 —一九三八年—三九年
(三)慶尚道の学校における「大麻奉斎殿」設置計画 —一九四〇年前後
(四)一九四〇年代の神棚と神宮大麻
章括

補論 神職会会報というメディア 朝鮮神職会会報『鳥居』について

結 章
第一節 「神道を奉ずる朝鮮」を目指した彼らは、なぜ児童に依存したのか—本書の要約
第二節 神社・学校の相互依存と支配構造の瓦解 —仮説の実証
第三節 絶え間ない要求、果てない苛立ち —多様な抑圧と「壁」
(一)圧迫の主体
(二)神社参拝を促す側から見た時の「壁」
第四節 無限定的な「神秘」の諸権力の様相
第五節 神社参拝を学校との関係から見る
(一)強要とは何か
(二)時期ごとの特徴
第六節 残された課題

〈資料1〉 朝鮮神宮神職一覧
〈資料2—1〉 本書関連事項年表
〈資料2—2〉 本書関連人物年表
〈資料3〉 朝鮮神職会会報『鳥居』見出し一覧

あとがき
主要参考文献目録
索  引
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