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プリミエ・コレクション 29

存在論と宙吊りの教育学

ボルノウ教育学再考

井谷 信彦

A5上製・540頁

ISBN: 9784876982653

発行年月: 2013/03

  • 本体: 6,600円(税込 7,260円
  • 在庫あり
 
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内容

ドイツの教育学者ボルノウは、ハイデガーの思想を応用し新しい教育学を構築した。本書は、単なるボルノウの紹介の書ではなく、ボルノウの教育学の問題点を批判的に検討し、これによって明らかにされた問題点を存在論の立場から克服することを試みる。有用性や価値の連関に還元できない人間存在を扱った新しい教育学の可能性を追求する。

書評

『教育学研究』第81巻第1号(2014年3月)、91-93頁、評者:宮野安治氏

プロフィール

井谷 信彦(いたに のぶひこ)

武庫川女子大学文学部教育学科講師。博士(教育学)。2011年京都大学大学院教育学研究科博士後期課程(臨床教育学講座)研究指導認定退学。同研究科助教などを経て現職。

主な著訳書
『臨床の知:臨床心理学と教育人間学からの問い』(共著,矢野智司・桑原知子編,2010),「O.F.ボルノウ『練習の精神』とメビウスの輪」『教育学研究論集』第7号 2012,「存在論に立脚した教育理論の展開:「有用化としての教育」に対する問いかけを軸に」『京都大学大学院教育学研究科紀要』第55号 2009。

目次

凡 例
序 論

第一部 ボルノウ教育学の再考
―ハイデガー哲学との関係を軸に  

第一部の課題設定

第一章 有用性の尺度に規定された方法論 
―O・F・ ボルノウ「教育学における人間学的な考察方法」再考
第一節 「人間学的な考察方法」の諸原理
第二節 教育学における人間学的な考察方法
第三節 方法論を規定している世界観/人間観
第四節 有用性に規定された方法論の問題点?

第二章 生の危機と生の成熟 
―O・F・ボルノウ「生と教育の非連続的な形式」再考
第一節 ボルノウ教育学における「危機」の概念
第二節 ボルノウ教育学への問いかけ (1)
第三節 現存在の分析論―「本来性」と「非本来性」
第四節 危機の機能に関する理論の限界

第三章 希望と不安の相互連関
―O・F・ボルノウ「希望の哲学」再考
第一節 ボルノウ教育学における「希望」の概念
第二節 ボルノウ教育学への問いかけ (2)
第三節 ボルノウ教育学における「不安」の概念
第四節 世界と自己の無規定性に臨んで

第四章 「住まうこと」と世界の奥行き 
―O・F・ボルノウ「新しい被護性」再考
第一節 ボルノウ教育学における「被護性」の概念
第二節 ボルノウ教育学への問いかけ (3)
第三節 「住まうこと」と世界の奥行き
第四節 「有意義性の連関による包摂」という問題

第一部の総括―「有意義性の連関による包摂」の諸例

第二部 存在論と「宙吊り」の教育学
―ボルノウ教育学の再興に向けて

第二部の課題設定

第五章 存在の真理と転回の思索
―M・ハイデガー「存在の問い」を解きほぐす
第一節 「存在の問い」の萌芽
第二節 ハイデガーの形而上学批判
第三節 「存在の真理」への探究

第六章 存在論に立脚した教育理論の来歴
―「有用性と価値の教育」に対する問いかけ
第一節 「有用性と価値の教育」の問題点
第二節 「存在の真理」への教育
第三節 存在論に立脚した教育理論の問題点
第四節 「宙吊りの教育学」に向けて

第七章 「知の宙吊り」という方法
―「存在の問い」を規定する探究方法の変遷
第一節 「形ばかりの告示」と「知の宙吊り」
第二節 詩作者の知としての予感/黙示
第三節 予感/黙示と「知の宙吊り」

第八章 宙吊りの教育学の構想
―ボルノウ教育学の再興に向けて
第一節 「知の宙吊り」と「として」
第二節 宙吊りの教育/教育学の方法
第三節 「知の宙吊り」のモデル
第四節 ボルノウ教育学の再興に向けて

第二部の総括―「方法ならざる方法」としての方便

補 章 O・F・ボルノウ『練習の精神』とメビウスの輪 
第一節 練習と「正しい生活」
第二節 『練習の精神』に対する批判
第三節 「放下」というアポリア
第四節 目的‐手段関係を越えた視座
第五節 『練習の精神』の議論の「ねじれ」
第六節 『練習の精神』とメビウスの輪

あとがき
文献一覧
索引(人名・事項)
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