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学術選書 120

コオロギたちのすだく夜に

竹田 真木生

四六並製・316頁

ISBN: 9784814005536

発行年月: 2025/07

  • 本体: 2,200円(税込 2,420円

8月上旬発売予定

 
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内容

古くからその声を愛でられる身近な虫、コオロギ。飼育しやすく、温度操作や絶食といった実験に耐える彼らは、実は生理学や行動学など様々な分野でモデルとして貢献する、生物学の研究材料の花形でもあるのだ。休眠、種分化、光周性など、コオロギに会えるならどんな労苦も厭わない著者の研究内容を中心に、虫たちが教えてくれることを綴った冒険譚。

プロフィール

竹田 真木生(たけだ まきお)
1950年生まれ、1973年京都大学農学部卒業。1978年米国ミズーリ大学大学院修了(Ph.D in Entomology)。神戸大学名誉教授。神戸市在住。

主な著訳書
[共編著]竹田真木生・田中誠二編著『昆虫の季節適応と休眠』(文一総合、1993)、S・F・ギルバート&D・イーペル著/正木進三・竹田真木生・田中誠二訳『生態進化発生学―エコ-エボ-デボの夜明け』(東海大出版会、2012)、Tufail, M. and M. Takeda (eds.), Hemolymph Proteins and Functional Peptides: Recent Advances in Insects and Other Arthropods (Benthum Press, 2012).

目次

はじめに

第1章 コオロギとはどういう昆虫だろう
 生命の誕生と節足動物の出現
 直翅目の昆虫とその仲間たち
 触角の長い仲間と短い仲間
 コオロギ上科の昆虫たち
  BOX 1 分子生物学の進展と新しい生物の見方
 分類・系統と生物の実体
 世界のコオロギ、いろいろなコオロギ
 日本のコオロギの代表、エンマコオロギ
 コオロギの性決定と生殖隔離機構
 エンマコオロギの生活史と地理的変異
 中型コオロギたち
 小型コオロギたち
 多化性コオロギの生活史の地理的傾向
 地熱帯のコオロギ
  Column 1 俳句とコオロギ
  Column 2 晶子とエリオットが聴いたコオロギ

第2章 コオロギの生活史と休眠
 日本にいるコオロギの種類
 低温への適応―耐凍性と休眠
 季節との同調―光周性
 高温・乾燥度への適応―耐暑性および耐乾性
 化性と生活史
 クリプトバイオーシス
 もう一つの耐乾性の形
 翅の役割―良い声のしくみ
 コオロギの耳
  BOX 2 キーの使い方と絵解きのキー
  Column 3 児童文学とコオロギ
  Column 4 音楽とコオロギ

第3章 コオロギの種はどうしてできるか
 異所的種分化と同所的種分化
 季節的種分化
 生息場所による分化と産卵管の長短が意味するもの
 ツヅレサセコオロギはどこから来たか、どこへ行くか
 仮説を立てる
 中国大陸コオロギ記
 アメリカ合衆国コオロギ記
 分化機構の謎は続く
  BOX 3 学名の付け方
  Column 5 かつて栄えしコオロギ市
  Column 6 コオロギを持ち歩く

第4章 体の大きなコオロギと小さなコオロギ
 体の大きさは何で決まるか
 正木進三と逆ベルグマンの法則
 正木のクライン
 体の大きさは雄が決める
 インプリンティングと性淘汰
 翅の長さの多型
 翅型、ボディ・サイズ、インプリンティングの関係
 アロメトリー(対比成長、相対成長)と楯や鉾のできかた
 体の大きさを決める分子的な機構
 ラパマイシン標的リン酸化酵素(TOR)の発見
 河馬にヨークシャーテリアに駱駝の瘤
  BOX 4 オオコオロギの採り方
  Column 7 コオロギを創る、コオロギを描く

第5章 コオロギの一日
 コオロギの時間
 コオロギの活動と睡眠
 コオロギの眠りは「食べる」と同義
 概日時計のありか
 光周性を司る時計―季節の読み取り
 時計への入力系
 日長の読み取り機構
 コオロギの求愛と繁殖
 雄の戦いと武器
  BOX 5 ミツカドコオロギの雄の小さな社会学
  Column 8 コオロギ相撲

第6章 コオロギが食べる、コオロギを食べる
 コオロギのお食事
 コオロギを食べる最強ハンター、ハチ
 キジも鳴かずば撃たれまい、コオロギは?
 食用コオロギ―陸のエビ
 昆虫食の新視点
 私たちの未来とコオロギ―思考実験として
  BOX 6 漢方薬としてのケラ
  Column 9 文学作品とコオロギ

付録1 コオロギの採り方
付録2 コオロギの飼い方
コオロギについてもっと学びたい人は
文献リスト
おわりに
索引
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