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学術選書 113

南方熊楠と猫とイスラーム

嶋本 隆光

四六並製・278頁

ISBN: 9784814005024

発行年月: 2023/12

  • 本体: 2,000円(税込 2,200円
  • 在庫あり
 
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内容

南方熊楠(1867-1941)は、天才的な資質をもった博物学者、民俗学者であった。そのために、尊敬のまなざしから書かれた「熊楠本」は数多い。若い頃に、大英博物館で膨大な資料群に対峙した熊楠の奮闘ぶりには感銘を受けるが、一方で熊楠が用いた情報は、資料考証が十分でないところもあり、その取扱いにおいて杜撰と思えるところもみられる。本書は、ロンドン滞在期間の研究活動に焦点を当て、同時代の資料をもとに検証することによって、等身大の熊楠像を提示する。

プロフィール

嶋本 隆光(しまもと たかみつ)
1951年生まれ.
大阪外国語大学ペルシア語学科卒業.
UCLA 歴史学科大学院修了.
元大阪大学教授.現在,大阪女学院大学非常勤講師
専門はイスラーム現代思想で,イスラームのシーア派に関する日本でも有数の研究者である.
【主な著訳書】
『シーア派イスラーム 神話と歴史』(学術選書,京都大学学術出版会)
『イスラーム革命の精神』(学術選書,京都大学学術出版会)
『イスラームの神秘主義―ハーフェズの智慧』(学術選書,京都大学学術出版会)
『人々のイスラーム―その学際的研究』(共著,日本放送出版協会)
『岩波講座 世界歴史21 イスラーム世界とアフリカ』(共著,岩波書店)
『イスラームを学ぶ人のために』(共著,世界思想社)
『イスラームの商法と婚姻法』(翻訳,大阪外国語大学学術研究叢書)
『イスラームの祭り』(監訳,イスラーム文化叢書,法政大学出版局)
その他,イランのイスラームに関する論文多数.

目次

はじめに
本書の概要

第1章 南方熊楠が語る自らの生涯と一九世紀のイギリス
1 南方熊楠の経歴
2 英国留学時代
3 一九世紀のイギリスと中東
4 まとめ

第2章 南方熊楠と猫とイスラーム
1 前提的考察―ホイッチングトン譚とクラウストン
2 『大蔵経』「義浄訳―根本説一切有部昆奈耶、巻三二」の記述
3 『ペルシア史(Tarikh-e Ma‘ajam)』の記述。Tarikh-e Vassaf 、オースリーによる紹介
4 イスラームにおける猫の位置
5 考察
6 まとめ

第3章 南方熊楠と比較宗教学―在英期間初期までに読んだ文献
1 Outlines of History of Religion―Cornelis Petrus Tiele
2 The History of the Conflict between Science and Religion―John William Draper
3 まとめ

第4章 ウィリアムズと『仏教講論』―熊楠と仏教およびキリスト教
1 前提的考察
2 M・M・ウィリアムズの『仏教講論』―熊楠による翻訳とコメント
3 比較宗教学の嚆矢ミュラー(Max Müller)と南条文雄
4 まとめ

第5章 熊楠と帰納法―ミルとベインから学んだこと、その学問の方法と「燕石考」
1 ミルの著作が生まれた時代と思想
2 ミルによる四つの実験的方法
3 四つの実験的方法の問題点と克服
4 【検証一】熊楠の学問の方法―特にアナロジーについて
5 【検証二】「燕石考」の分析
6 まとめ

第6章 熊楠の研究方法と後代の評価
1 評価の試み―鶴見和子
2 評価の試み―中沢新一
3 評価の試み―井筒俊彦
4 まとめ

おわりに
参考文献一覧
図版掲載一覧
南方熊楠関連年表
索引(人名/事項)
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