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学術選書 108

女帝と道化のロシア

坂内 徳明 著

四六並製・422頁

ISBN: 9784814004577

発行年月: 2023/02

  • 本体: 2,600円(税込 2,860円
  • 在庫あり
 
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内容

ロマノフ朝ロシア帝国、4人目の皇帝アンナの治世は暗黒時代とも見なされているが、イタリアから劇団や音楽家などを招聘するなど、西洋文化を積極的に摂取したのもこの時代である。時代の息吹を教えるのは、新都サンクト・ペテルブルクの建設とともに、印刷・文字文化の媒体として発達したロシア特有の版画ルボークであった。本書は宗教物語、外国のニュースや風俗、風刺、日常生活など、世俗的で多岐にわたる題材を扱うルボークを紹介しながら、民衆の娯楽と啓蒙の世界を伝える。

書評

『熊本日日新聞』2023年4月2日付 読書面
『京都新聞』2023年4月8日付 読書面
『信濃毎日新聞』2023年4月8日付 読書面
『福井新聞』2023年4月9日付 読書面
『徳島新聞』2023年4月9日付 読書面
『下野新聞』2023年4月16日付 読書面
『佐賀新聞』2023年4月16日付 読書面
『山形新聞』2023年5月28日付 読書面

プロフィール

坂内 徳明(ばんない とくあき)
1949年福島県生まれ、東京都育ち。
ロシア民俗学・文化論研究者、一橋大学名誉教授。一橋大学博士(社会学)。

主な著訳書
『女帝と道化のロシア―もう一つの近代の道』(私家本、2021年)、『ロシア文化の基層』(日本エディタースクール出版部、1991年)、『ルボーク―ロシアの民衆版画』(東洋書店、ユーラシア選書、2006年)。翻訳に、ステブリン=カーメンスキイ『神話学入門』(共訳、東海大学出版会、東海選書、1980年)、A・B・オポローヴニコフ『ロシアの木造建築―民家・付属小屋・橋・風車』(井上書院、1986年)、A・F・ネクルィローヴァ『ロシアの縁日―ペトルーシカがやってきた』(平凡社、叢書演劇と見世物の文化史、1986年)、J・ハッブズ『マザー・ロシア―ロシア文化と女性神話』(青土社、2000年)がある。

目次

序 一枚の木版画

第1章 《怒涛》の後 ―ピョートル大帝なきロシアとアンナ女帝
1 突如、駆け出すロシア
2 宮廷文化と民衆文化
3 ピョートルからアンナへ
4 アンナは遊び、ロシアは進む

第2章 赤鼻道化、参上
―《戯け》の時代
1 作品管見、あるいはイコノグラフィ
2 中世芸人の行方
3 道化群像
4 伝承される《お馬鹿》

第3章 芸は身を助く ―或るイタリア人楽師のメタモルフォーゼ
1 ピエトロなる人物
2 ロシア巡業から宮中へ
3 宮廷道化、都市伝説となる
4 『ペドリーロ逸話集』を読む

第4章 道化の妻たち ―仲人婆と「悪妻」
1 妻たること
2 道化の結婚と仲人婆
3 悪妻は叩かれる
4 世話焼き女帝アンナ

第5章 《氷の館》―ロシア式結婚狂騒曲
1 厳寒の中で春を迎える祭典
2 企画と準備、そして行進の始まり
3 新夫婦への頌詩 もう一人の主役
4 祭りの目的と詩人の抗い

第6章 皇帝とフォークロア ―語り部の女たちに囲まれて
1 女性の中のアンナ
2 フォークロアとの距離感
3 ナロード学前史

結びにかえて 民衆版画作家と近代

あとがき

参考文献
索引(人名・事項)
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