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「儒教資本主義」「儒教主義的福祉国家」——西洋中心主義への対抗として個人主義(自由主義)に対する家族主義の見直しとして,いま「儒教」が注目されている。しかし,そもそも儒教が説くとされる家族主義とは何なのか?本当に東アジアとは「儒教社会」なのか?東アジアが大きく変動した近世から近代の,制度,法,家族,実践に鋭く焦点を当て,中国,日本,朝鮮,台湾,琉球そしてベトナムの,多様な「家族主義」とジェンダー構造,その変容に迫ることで,再構築と脱再構築を繰り返してきた「儒教」と私たちの「家族」の未来を展望する。
『中国研究月報』第77巻第11号(2023.11)、42-45頁、評者:崔学松氏
小浜 正子(こはま まさこ)
日本大学文理学部教授。(公財)東洋文庫研究員。お茶の水女子大学人間文化研究科博士課程単位取得退学、博士(人文科学)。専門は中国近現代史、中国ジェンダー史。鳴門教育大学助教授を経て現職。主な著書に、『一人っ子政策と中国社会』(京都大学学術出版会、2020年)、『東アジアの家族とセクシュアリティ』(共編著、京都大学学術出版会、2022年)、『中国ジェンダー史研究入門』(共編著、京都大学学術出版会、2018年)など。
小島 毅(こじま つよし)
東京大学大学院人文社会系研究科教授。1962年生まれ、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専門は中国思想史。徳島大学総合科学部助教授、東京大学大学院人文社会系研究科准教授などを経て現職。主な著書に『儒教の歴史』(宗教の世界史5、山川出版社、2017年)、『中国思想と宗教の奔流―宋朝』(中国の歴史7、講談社学術文庫、2021年)、『東アジアの尊厳概念』(共編、法政大学出版局、2021年)など。
佐々木 愛(ささき めぐみ)
島根大学法文学部教授。1968年生まれ、京都大学大学院文学研究科東洋史専攻博士課程修了、博士(文学)。専門は中国近世思想史。島根大学准教授を経て現職。主な著作に、「「父子同気」概念の成立時期について―「中国家族法の原理」再考」『東洋史研究』79-1、『岩波講座 世界歴史07 東アジアの展開8世紀~14世紀』(共著、岩波書店、2022年)、『中国ジェンダー史研究入門』(共編著、京都大学学術出版会、2018年)など。
マルティナ・ドイヒラー
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)名誉教授。専門は韓国/朝鮮学(Korean studies)。ハーバード大学で中国および日本の近代史を、オックスフォード大学で社会人類学を学び、当時、西洋ではほとんど知られていなかった韓国/朝鮮への関心を高め、最初の西洋人韓国/朝鮮学者の一人として初期の著書Confucian Gentlemen and Barbarian Envoys (University of Washington Press, 1977年)をはじめ多数の著作を著し、世界の研究をリードしてきた。大韓民国文化功労章(1995年)、韓国研究生涯貢献賞(2008年)など受賞多数。
牧田 勲(まきた いさお)
摂南大学名誉教授。1950生まれ、神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。専門は日本法制史。摂南大学法学部専任講師、同助教授、同教授を務めた。主な著書に、『黒木三郎先生古希記念 現代法社会学の諸問題 上』(共著、民事法研究会、1992年)、『三下り半の世界とその周縁』(共著、日本経済評論社、2012年)、『歴史と民族における結婚と家族 江守五夫先生古稀記念論文集』(共著、第一書房、2010年)など。
吉田 ゆり子(よしだ ゆりこ)
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1958年生まれ、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程単位取得退学。東京大学より博士(文学)。専門は日本近世史。お茶の水女子大学人間文化研究科助手等を経て現職。主な著書に、『近世史講義―女性の力を問い直す』(共著、ちくま新書、2020年)、『近世の家と女性』(山川出版社、2016年)、『兵と農の分離』(山川出版社、2008年)など。
武井 基晃(たけい もとあき)
筑波大学人文社会系准教授。1977年生まれ、筑波大学大学院歴史・人類学研究科博士課程修了、博士(文学)。専門は民俗学。樹人医護管理専科学校(台湾)助理教授、筑波大学人文社会科学研究科助教を経て現職。主な著書に、『〈境界〉を越える沖縄―人・文化・民俗』(共著、森話社、2016年)、『民俗学が読み解く葬儀と墓の変化』(共著、朝倉書店、2017年)など。
桃木 至朗(ももき しろう)
日越大学(ベトナム)教員、大阪大学名誉教授。1955年生まれ、京都大学文学研究科博士課程中退、博士(文学)。専門はベトナム史。大阪外国語大学・大阪大学などの教員を経て現職。主な著書に、『中世大越国家の成立と変容』(大阪大学出版会、2011年)、『市民のための世界史』(共編著、大阪大学出版会、2014年)、『市民のための歴史学』(大阪大学出版会、2022年)など。
官 文娜(かん ぶんな)
1953年生まれ、華中師範大学歴史学部歴史専攻、京都大学文学研究科国史学博士課程修了、博士(文学)。専門は日本史学。香港大学アジア研究センター助教授を務めた。主な著書に、『日中親族構造の比較研究』(思文閣出版、2005)、『日本家族構造研究』(中国社会科学文献出版社、2017年(中国語))など。
森本 一彦(もりもと かずひこ)
高野山大学文学部教授。1962年生まれ、総合研究大学院大学文化科学研究科博士後期課程修了、博士(学術)。専門は社会学、民俗学、歴史学。京都大学文学研究科特定准教授、高野山大学文学部准教授を経て現職。主な著書に『先祖祭祀と家の確立―「半檀家」から一家一寺へ』(ミネルヴァ書房、2006年)、『家族イデオロギー(リーディングス アジアの家族と親密圏 第1巻)』(共編著、有斐閣、2022年)など。
鄭 智泳(チョン ジヨン)
梨花女子大学校教授、アジア女性学センター(ACWS)所長。1967年生まれ、西江大学校で歴史学を学ぶ。博士。専門は女性史。韓国女性学会の学会誌『韓国女性学』の編集委員長を務め、現在は“Asian Journal of Women’s Studies”(AJWS)の共同編集者 “International Feminist Journal of Politics(IFJP)”の編集委員、および「人種とジェンダー:グローバル韓国の新人種化現象分析と理論化」韓国研究財団人文社会研究所支援事業研究責任者を兼務している。主な著書に、『秩序の構築と亀裂―朝鮮後期の戸籍と女性たち』(西江大学校出版部、2015年(韓国語))。『東アジアの記憶の場』(共編著、河出書房新社、2011年)など。
加藤 敦典(かとう あつふみ)
京都産業大学現代社会学部准教授。1975年生まれ、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程退学、博士(人間科学)。専門は文化人類学、ベトナム地域研究。東京大学教養学部特任講師などを経て現職。主な著書に、『東南アジアにおけるケアの潜在力―生のつながりの実践』(共著、京都大学学術出版会、2019年)、Weaving Women’s Spheres in Vietnam: The Agency of Women in Family, Religion and Community (編著、Brill、2016年)、Rethinking Representations of Asian Women: Changes, Continuity, and Everyday Life (共編著、Palgrave Macmillan、2016年)など。
文 玉杓(ムン オクピョ)
山東大学人類学科講席教授。韓国学中央研究院名誉教授。ソウル大学校人類学科卒、人類学博士(オックスフォード大学)。専門は文化人類学、日本地域学。ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー研究所訪問教授、お茶の水女子大学訪問教授、韓国文化人類学会長などを歴任。主な著書に『日本の都市社会―住民組織と社会運動』(共著、ソウル大学校出版部、2002年(韓国語))、『海外韓人の民族関係』(共著、アカネット、2006年(韓国語))、『中心と周縁からみた日韓社会の諸相』(共著、慶應義塾大学出版会、2007年)、『京都、西陣織の文化史―日本伝統工芸織物業の世界』(一潮閣、2016年(韓国語))など。
王 小林(おう しょうりん/ワン シャウリン)
香港城市大学人文社会科学部准教授。1963年生まれ、京都大学文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。専門は中日比較思想史、東アジア比較政治思想。香港城市大学人文社会科学部助理教授を経て現職。主な著書に、『従漢才到和魂―日本国学思想的形成與発展』(台北聯経出版有限公司、2013年(中国語))、『日中比較神話学』(汲古書院、2014年)、『走入〈十牛図〉』(香港中華書局、2015年(中国語))、『日中比較思想序論―「名」と「言」』(汲古書院、2016年)、『新語文学與早期中国研究』(共編著、上海人民出版社、2019年)など。
落合 恵美子(おちあい えみこ)
京都大学文学研究科教授、京都大学アジア研究教育ユニット長、京都大学文学研究科アジア親密圏/公共圏教育研究センター長。東京大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。専門は家族社会学、ジェンダー論、歴史社会学。国際日本文化研究センター研究部助教授等を経て現職。本書と関連する編著書に、『リーディングス アジアの家族と親密圏』(全3巻、共編著、有斐閣、2022年)、『徳川日本の家族と地域性―歴史人口学との対話』(編著、ミネルヴァ書房、2015年)、Asian Families and Intimacies (全4巻、共編著、Sage、2021年)など。
日本大学文理学部教授。(公財)東洋文庫研究員。お茶の水女子大学人間文化研究科博士課程単位取得退学、博士(人文科学)。専門は中国近現代史、中国ジェンダー史。鳴門教育大学助教授を経て現職。主な著書に、『一人っ子政策と中国社会』(京都大学学術出版会、2020年)、『東アジアの家族とセクシュアリティ』(共編著、京都大学学術出版会、2022年)、『中国ジェンダー史研究入門』(共編著、京都大学学術出版会、2018年)など。
小島 毅(こじま つよし)
東京大学大学院人文社会系研究科教授。1962年生まれ、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専門は中国思想史。徳島大学総合科学部助教授、東京大学大学院人文社会系研究科准教授などを経て現職。主な著書に『儒教の歴史』(宗教の世界史5、山川出版社、2017年)、『中国思想と宗教の奔流―宋朝』(中国の歴史7、講談社学術文庫、2021年)、『東アジアの尊厳概念』(共編、法政大学出版局、2021年)など。
佐々木 愛(ささき めぐみ)
島根大学法文学部教授。1968年生まれ、京都大学大学院文学研究科東洋史専攻博士課程修了、博士(文学)。専門は中国近世思想史。島根大学准教授を経て現職。主な著作に、「「父子同気」概念の成立時期について―「中国家族法の原理」再考」『東洋史研究』79-1、『岩波講座 世界歴史07 東アジアの展開8世紀~14世紀』(共著、岩波書店、2022年)、『中国ジェンダー史研究入門』(共編著、京都大学学術出版会、2018年)など。
マルティナ・ドイヒラー
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)名誉教授。専門は韓国/朝鮮学(Korean studies)。ハーバード大学で中国および日本の近代史を、オックスフォード大学で社会人類学を学び、当時、西洋ではほとんど知られていなかった韓国/朝鮮への関心を高め、最初の西洋人韓国/朝鮮学者の一人として初期の著書Confucian Gentlemen and Barbarian Envoys (University of Washington Press, 1977年)をはじめ多数の著作を著し、世界の研究をリードしてきた。大韓民国文化功労章(1995年)、韓国研究生涯貢献賞(2008年)など受賞多数。
牧田 勲(まきた いさお)
摂南大学名誉教授。1950生まれ、神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。専門は日本法制史。摂南大学法学部専任講師、同助教授、同教授を務めた。主な著書に、『黒木三郎先生古希記念 現代法社会学の諸問題 上』(共著、民事法研究会、1992年)、『三下り半の世界とその周縁』(共著、日本経済評論社、2012年)、『歴史と民族における結婚と家族 江守五夫先生古稀記念論文集』(共著、第一書房、2010年)など。
吉田 ゆり子(よしだ ゆりこ)
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1958年生まれ、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程単位取得退学。東京大学より博士(文学)。専門は日本近世史。お茶の水女子大学人間文化研究科助手等を経て現職。主な著書に、『近世史講義―女性の力を問い直す』(共著、ちくま新書、2020年)、『近世の家と女性』(山川出版社、2016年)、『兵と農の分離』(山川出版社、2008年)など。
武井 基晃(たけい もとあき)
筑波大学人文社会系准教授。1977年生まれ、筑波大学大学院歴史・人類学研究科博士課程修了、博士(文学)。専門は民俗学。樹人医護管理専科学校(台湾)助理教授、筑波大学人文社会科学研究科助教を経て現職。主な著書に、『〈境界〉を越える沖縄―人・文化・民俗』(共著、森話社、2016年)、『民俗学が読み解く葬儀と墓の変化』(共著、朝倉書店、2017年)など。
桃木 至朗(ももき しろう)
日越大学(ベトナム)教員、大阪大学名誉教授。1955年生まれ、京都大学文学研究科博士課程中退、博士(文学)。専門はベトナム史。大阪外国語大学・大阪大学などの教員を経て現職。主な著書に、『中世大越国家の成立と変容』(大阪大学出版会、2011年)、『市民のための世界史』(共編著、大阪大学出版会、2014年)、『市民のための歴史学』(大阪大学出版会、2022年)など。
官 文娜(かん ぶんな)
1953年生まれ、華中師範大学歴史学部歴史専攻、京都大学文学研究科国史学博士課程修了、博士(文学)。専門は日本史学。香港大学アジア研究センター助教授を務めた。主な著書に、『日中親族構造の比較研究』(思文閣出版、2005)、『日本家族構造研究』(中国社会科学文献出版社、2017年(中国語))など。
森本 一彦(もりもと かずひこ)
高野山大学文学部教授。1962年生まれ、総合研究大学院大学文化科学研究科博士後期課程修了、博士(学術)。専門は社会学、民俗学、歴史学。京都大学文学研究科特定准教授、高野山大学文学部准教授を経て現職。主な著書に『先祖祭祀と家の確立―「半檀家」から一家一寺へ』(ミネルヴァ書房、2006年)、『家族イデオロギー(リーディングス アジアの家族と親密圏 第1巻)』(共編著、有斐閣、2022年)など。
鄭 智泳(チョン ジヨン)
梨花女子大学校教授、アジア女性学センター(ACWS)所長。1967年生まれ、西江大学校で歴史学を学ぶ。博士。専門は女性史。韓国女性学会の学会誌『韓国女性学』の編集委員長を務め、現在は“Asian Journal of Women’s Studies”(AJWS)の共同編集者 “International Feminist Journal of Politics(IFJP)”の編集委員、および「人種とジェンダー:グローバル韓国の新人種化現象分析と理論化」韓国研究財団人文社会研究所支援事業研究責任者を兼務している。主な著書に、『秩序の構築と亀裂―朝鮮後期の戸籍と女性たち』(西江大学校出版部、2015年(韓国語))。『東アジアの記憶の場』(共編著、河出書房新社、2011年)など。
加藤 敦典(かとう あつふみ)
京都産業大学現代社会学部准教授。1975年生まれ、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程退学、博士(人間科学)。専門は文化人類学、ベトナム地域研究。東京大学教養学部特任講師などを経て現職。主な著書に、『東南アジアにおけるケアの潜在力―生のつながりの実践』(共著、京都大学学術出版会、2019年)、Weaving Women’s Spheres in Vietnam: The Agency of Women in Family, Religion and Community (編著、Brill、2016年)、Rethinking Representations of Asian Women: Changes, Continuity, and Everyday Life (共編著、Palgrave Macmillan、2016年)など。
文 玉杓(ムン オクピョ)
山東大学人類学科講席教授。韓国学中央研究院名誉教授。ソウル大学校人類学科卒、人類学博士(オックスフォード大学)。専門は文化人類学、日本地域学。ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー研究所訪問教授、お茶の水女子大学訪問教授、韓国文化人類学会長などを歴任。主な著書に『日本の都市社会―住民組織と社会運動』(共著、ソウル大学校出版部、2002年(韓国語))、『海外韓人の民族関係』(共著、アカネット、2006年(韓国語))、『中心と周縁からみた日韓社会の諸相』(共著、慶應義塾大学出版会、2007年)、『京都、西陣織の文化史―日本伝統工芸織物業の世界』(一潮閣、2016年(韓国語))など。
王 小林(おう しょうりん/ワン シャウリン)
香港城市大学人文社会科学部准教授。1963年生まれ、京都大学文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。専門は中日比較思想史、東アジア比較政治思想。香港城市大学人文社会科学部助理教授を経て現職。主な著書に、『従漢才到和魂―日本国学思想的形成與発展』(台北聯経出版有限公司、2013年(中国語))、『日中比較神話学』(汲古書院、2014年)、『走入〈十牛図〉』(香港中華書局、2015年(中国語))、『日中比較思想序論―「名」と「言」』(汲古書院、2016年)、『新語文学與早期中国研究』(共編著、上海人民出版社、2019年)など。
落合 恵美子(おちあい えみこ)
京都大学文学研究科教授、京都大学アジア研究教育ユニット長、京都大学文学研究科アジア親密圏/公共圏教育研究センター長。東京大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。専門は家族社会学、ジェンダー論、歴史社会学。国際日本文化研究センター研究部助教授等を経て現職。本書と関連する編著書に、『リーディングス アジアの家族と親密圏』(全3巻、共編著、有斐閣、2022年)、『徳川日本の家族と地域性―歴史人口学との対話』(編著、ミネルヴァ書房、2015年)、Asian Families and Intimacies (全4巻、共編著、Sage、2021年)など。
序 章 東アジアの家族主義を歴史化する
[小浜 正子]
1 東アジアの「家族主義」と「儒教社会」
2 「儒教」と「儒教社会」
3 東アジアの「近世」と儒教
4 東アジア各地の近世家族
5 東アジアの近現代—植民地的近代における「ナショナルな伝統」としての儒教?
6 現代東アジアの家族の変容
第Ⅰ部 多様な儒教化―東アジアの近世
第1章 家にかかわる儒教の教義について
[小島 毅]
1 儒教とは何か
2 男女有別
3 愛敬事親
4 三年之喪
5 敬祀祖宗
6 同姓不婚=夫婦別姓
第2章 儒教の「普及」と近世中国社会—家族倫理と家礼の変容
[佐々木 愛]
1 中国における儒教の「普及」の特徴とその困難さについて
2 科挙と儀礼
3 旌表
4 競争社会の中での「儒教の普及」
第3章 朝鮮の親族制度に対する儒教の影響
—マルティナ・ドイヒラーによる再考察
[マルティナ・ドイヒラー/岩坂 彰[訳]]
1 高麗王朝の社会
2 変化の舞台
3 父系原理の移植
4 父系原理に鑑みた相続の慣習
5 変化の障害としての女性
6 朝鮮時代後期の展開—リネージの出現
7 リネージと門中
8 結論
第4章 近世日本の刑法と武士道儒教—忠孝を中心に
[牧田 勲]
1 忠孝背反状況をめぐる言説
2 忠孝の奨励
3 親子訴訟
4 逆罪
5 縁座
6 敵討
7 「武士道儒教」—「武士道の代弁者」として解釈された儒教
第5章 儒教思想の日本的受容と職分観念—性別役割に注目して
[吉田 ゆり子]
1 福沢諭吉の「女大学」批判
2 「女大学」の枠組み
3 『六諭衍義大意』の枠組み
4 中江藤樹『翁問答』
5 鈴木正三『四民日用』
6 「家業」という媒介項
第6章 姓の継承・創設—近世琉球の士の制度と、近代沖縄のシジタダシ
[武井 基晃]
1 近世琉球の姓
2 家譜の制度・法制と儒教教育の概要
3 首里士・那覇士から久米村士への入籍—1600年代の事例
4 法整備後の柔軟な対応—1700年代~1830年代の4代連続長兄以外の継承例
5 新参士への身上り—特殊技能と献金
6 シジタダシ(筋正し)—近代以降における過去の系譜の修正
7 家譜研究の意義と可能性
第7章 「儒教」の重層、「近世」の重層
—近世北部ベトナムにおける親族集団と村落社会
[桃木 至朗]
1 ベトナム史に関する前置き・予備知識
2 近世紅河デルタ農村と親族集団
3 旧百穀社と近隣村落に見るゾンホと村の歴史性
4 婚姻・ジェンダーと土地所有
5 「植民地的近世化」を含む「伝統」の構築
第8章 東アジアの養子縁組文書の比較—儒教的宗族原理の矛盾
[官 文娜]
1 儒家的宗族原理
2 中、日社会における養子文書の比較
3 台湾における家族と宗族原理
4 日中の養子の違いと台湾での現地化した養子
第Ⅱ部 脱/再構築される儒教―近現代アジアの家族の変容
第9章 日本の民俗慣行と儒教—支配・村・家の変化
[森本 一彦]
1 日本における儒教
2 家族の民俗慣行
3 先祖祭祀の父系化
4 長幼の序
5 近世の支配体制と共同体
第10章 朝鮮大家族論を再考する
—朝鮮時代における戸の構成と家長権を通じた考察
[鄭 智泳/姜 民護[訳]]
1 あいまいな近代的知識としての「朝鮮大家族論」
2 「朝鮮大家族論」の内容と歴史—植民主義の遺産
3 朝鮮時代における家戸の構成と戸主・家長の統率範囲
4 大家族制の言説と近代知識体系の朝鮮ファンタジー
第11章 娘たちがつくった祠堂—現代ベトナム村落における儒教と逸脱
[加藤 敦典]
1 傍らで死ぬ人たち
2 娘たちによる祭祀
3 ベトナムにおける儒教的祖先祭祀
4 娘たちがつくった「家族の祠堂」
5 寓居民
6 娘による祭祀という実践の随意性
7 逸脱と儒教社会
8 儒教的実践としての逸脱
第12章 娘たちの反乱—現代韓国社会における女性と宗中財産
[文 玉杓/伊藤 理子[訳]]
1 比較の視点から見た韓国の伝統的な制度
2 日本の植民地時代の遺産
3 韓国における「娘たちの反乱」訴訟の展開
4 判決への抵抗
5 結語—衰退する父系イデオロギー
第13章 墓のない故郷へ—現代中国における「家」の機能
[王 小林]
1 「平墳運動」とは何か
2 「平墳運動」が語るもの
3 崩壊する祭祀空間
4 「祖先」を祭る家から「指導者」を崇める家へ
5 近代化を推進するかつてない「儒教国家」の予感
終 章 親族構造・文明化・近代化—世界的視野における「儒教社会」
[落合 恵美子]
1 「儒教」という問い—東アジアのアイデンティティと近代家族論
2 親族構造と文明化
3 「広義の東南アジア」の文明化
4 「儒教化」という文明化
5 「近代化」という文明化
6 問いへの答え
索 引
執筆者紹介
[小浜 正子]
1 東アジアの「家族主義」と「儒教社会」
2 「儒教」と「儒教社会」
3 東アジアの「近世」と儒教
4 東アジア各地の近世家族
5 東アジアの近現代—植民地的近代における「ナショナルな伝統」としての儒教?
6 現代東アジアの家族の変容
第Ⅰ部 多様な儒教化―東アジアの近世
第1章 家にかかわる儒教の教義について
[小島 毅]
1 儒教とは何か
2 男女有別
3 愛敬事親
4 三年之喪
5 敬祀祖宗
6 同姓不婚=夫婦別姓
第2章 儒教の「普及」と近世中国社会—家族倫理と家礼の変容
[佐々木 愛]
1 中国における儒教の「普及」の特徴とその困難さについて
2 科挙と儀礼
3 旌表
4 競争社会の中での「儒教の普及」
第3章 朝鮮の親族制度に対する儒教の影響
—マルティナ・ドイヒラーによる再考察
[マルティナ・ドイヒラー/岩坂 彰[訳]]
1 高麗王朝の社会
2 変化の舞台
3 父系原理の移植
4 父系原理に鑑みた相続の慣習
5 変化の障害としての女性
6 朝鮮時代後期の展開—リネージの出現
7 リネージと門中
8 結論
第4章 近世日本の刑法と武士道儒教—忠孝を中心に
[牧田 勲]
1 忠孝背反状況をめぐる言説
2 忠孝の奨励
3 親子訴訟
4 逆罪
5 縁座
6 敵討
7 「武士道儒教」—「武士道の代弁者」として解釈された儒教
第5章 儒教思想の日本的受容と職分観念—性別役割に注目して
[吉田 ゆり子]
1 福沢諭吉の「女大学」批判
2 「女大学」の枠組み
3 『六諭衍義大意』の枠組み
4 中江藤樹『翁問答』
5 鈴木正三『四民日用』
6 「家業」という媒介項
第6章 姓の継承・創設—近世琉球の士の制度と、近代沖縄のシジタダシ
[武井 基晃]
1 近世琉球の姓
2 家譜の制度・法制と儒教教育の概要
3 首里士・那覇士から久米村士への入籍—1600年代の事例
4 法整備後の柔軟な対応—1700年代~1830年代の4代連続長兄以外の継承例
5 新参士への身上り—特殊技能と献金
6 シジタダシ(筋正し)—近代以降における過去の系譜の修正
7 家譜研究の意義と可能性
第7章 「儒教」の重層、「近世」の重層
—近世北部ベトナムにおける親族集団と村落社会
[桃木 至朗]
1 ベトナム史に関する前置き・予備知識
2 近世紅河デルタ農村と親族集団
3 旧百穀社と近隣村落に見るゾンホと村の歴史性
4 婚姻・ジェンダーと土地所有
5 「植民地的近世化」を含む「伝統」の構築
第8章 東アジアの養子縁組文書の比較—儒教的宗族原理の矛盾
[官 文娜]
1 儒家的宗族原理
2 中、日社会における養子文書の比較
3 台湾における家族と宗族原理
4 日中の養子の違いと台湾での現地化した養子
第Ⅱ部 脱/再構築される儒教―近現代アジアの家族の変容
第9章 日本の民俗慣行と儒教—支配・村・家の変化
[森本 一彦]
1 日本における儒教
2 家族の民俗慣行
3 先祖祭祀の父系化
4 長幼の序
5 近世の支配体制と共同体
第10章 朝鮮大家族論を再考する
—朝鮮時代における戸の構成と家長権を通じた考察
[鄭 智泳/姜 民護[訳]]
1 あいまいな近代的知識としての「朝鮮大家族論」
2 「朝鮮大家族論」の内容と歴史—植民主義の遺産
3 朝鮮時代における家戸の構成と戸主・家長の統率範囲
4 大家族制の言説と近代知識体系の朝鮮ファンタジー
第11章 娘たちがつくった祠堂—現代ベトナム村落における儒教と逸脱
[加藤 敦典]
1 傍らで死ぬ人たち
2 娘たちによる祭祀
3 ベトナムにおける儒教的祖先祭祀
4 娘たちがつくった「家族の祠堂」
5 寓居民
6 娘による祭祀という実践の随意性
7 逸脱と儒教社会
8 儒教的実践としての逸脱
第12章 娘たちの反乱—現代韓国社会における女性と宗中財産
[文 玉杓/伊藤 理子[訳]]
1 比較の視点から見た韓国の伝統的な制度
2 日本の植民地時代の遺産
3 韓国における「娘たちの反乱」訴訟の展開
4 判決への抵抗
5 結語—衰退する父系イデオロギー
第13章 墓のない故郷へ—現代中国における「家」の機能
[王 小林]
1 「平墳運動」とは何か
2 「平墳運動」が語るもの
3 崩壊する祭祀空間
4 「祖先」を祭る家から「指導者」を崇める家へ
5 近代化を推進するかつてない「儒教国家」の予感
終 章 親族構造・文明化・近代化—世界的視野における「儒教社会」
[落合 恵美子]
1 「儒教」という問い—東アジアのアイデンティティと近代家族論
2 親族構造と文明化
3 「広義の東南アジア」の文明化
4 「儒教化」という文明化
5 「近代化」という文明化
6 問いへの答え
索 引
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