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漢王朝の祭祀と儀礼の研究

目黒 杏子

A5上製・628頁

ISBN: 9784814004539

発行年月: 2023/02

  • 本体: 5,000円(税込 5,500円
  • 在庫あり
 
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内容

前漢・後漢時代、皇帝は祭祀の実践によって国家の秩序と安寧をはかるが、両漢時代の祭祀の実態は十分に明らかではない。祭儀と祭祀場の分析を通じて、多様な思惟によって「皇帝」像がつくりあげられていく過程を解明する。

プロフィール

目黒杏子(めぐろ・きょうこ)

専門は中国秦漢時代史の研究。
京都府立大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。京都府立大学博士(歴史学)。
主な業績に、「秦代県下の「廟」――里耶秦簡と岳麓書院蔵秦簡「秦律令」にみえる諸廟の考察」(髙村武幸編『周縁領域からみた秦漢帝国』、六一書房、2017年)、「漢の高祖の「斬蛇剣」――その歴史的展開について」(『東洋史研究』77-1、2018年)等がある。

目次

   図・表一覧
   凡 例

序章 漢王朝の礼制・儀礼・祭祀
   一、儀礼と礼制
   二、両漢交替期の礼制改革をめぐって
   三、国家祭祀のふたつの局面
   四、支配にとって祭祀とは何か

第一部 郊祀制の展開 ――祀場構造と儀礼を中心に
  小序
第一章 前漢武帝期における郊祀制の成立
  はじめに
  第一節 高祖から武帝初期の郊祀制
   (一)「五帝=上帝」祭祀の展開
   (二)秦の継承と脱却
   (三)「天地」祭祀の登場
   (四)后土壇の形状と性質
  第二節 甘泉泰畤の創設
   (一)謬忌太一壇から甘泉泰畤へ
   (二)泰畤の構造①三重と昆侖・天門
   (三)泰畤の構造②「八通」と八風・八極
   (四)「上帝」太一
  おわりに
  附記
第二章 王莽「元始儀」の構造 ――前漢末における郊祀の変化
  はじめに
  第一節 『後漢書』祭祀志上劉昭注「元始儀」通釈
   (一)郊祀の説と祭儀
   (二)元始の郊祀の祀場の復元
  第二節 甘泉泰畤から「元始儀」へ
   (一)甘泉泰畤郊祀の儀礼
   (二)建始改革の理念
   (三)元始の上帝・后土の祀場の構造
  おわりに
  附記
第三章 後漢郊祀制と「元始故事」
  はじめに
  第一節 後漢郊祀制の成立とその儀礼
   (一)洛陽南北郊の成立
   (二)儀礼次第と奏楽
   (三)郊祀の祭服(冕服)
  第二節 祀場の構造とその世界観
   (一)南郊
   (二)北郊
   (三)明堂
   (四)五郊
  おわりに
  補論 「醊」について

付章 夏至の儀礼 ――「元康五年詔書冊」再考
   はじめに
   一、「元康五年詔書冊」の概要
   二、各官府の儀礼・行事
   三、夏至の儀礼・行事と魏相の思想
   四、魏相の世界観と郊祀
   おわりに

第二部 武帝の封禅と巡幸
  小序
第一章 前漢武帝の封禅 ――政治的意義と儀礼の考察205
  はじめに
  第一節 前漢初期の封禅計画
   (一)文帝期の封禅計画
   (二)武帝初期の封禅計画
  第二節 同時代人の目からみた封禅の意義
   (一)封禅書の分析
   (二)封禅文の分析
  第三節 封禅儀礼の構造とその意義
   (一)封禅儀礼の策定過程
   (二)第一回封禅の儀礼次第
   (三)泰山下明堂
  おわりに
第二章 封禅儀礼の創出
  はじめに
  第一節 武帝期封禅の儀礼構成
   (一)第一回封禅の行事、及び「射牛」について
   (二)第二回以降の「封」
   (三)「禅」及び明堂の祭儀
  第二節 「封」の祭儀
   (一)「封」の実態 ――武帝と光武帝の違い
   (二)封禅と天地の祭祀 ――郊祀を手がかりとして
   (三)「封」壇の構造
  第三節 天下統合の象徴 ――「江淮の茅」と「五色の土」
   (一)江淮の茅の神藉
   (二)「五色の土」の世界観
  むすびにかえて ――「玉牒の書」私見
  補論 武帝の封禅の刻石文について
第三章 前漢武帝の巡幸 ――祭祀と皇帝権力の視点から
  はじめに
  第一節 武帝期巡幸の構造解明に向けて
   (一)秦漢期皇帝巡幸研究の成果
   (二)武帝期巡幸の独自性の所在
  第二節 「東」の巡幸の構造 ――封禅の祭儀を手がかりに
   (一)封禅と山川祭祀
   (二)「物」と「功徳」
  第三節 「西」の巡幸の意義 ――郊祀と軍事の関係から
   (一)軍事的要地の巡幸
   (二)郊祀の軍事的性質
  第四節 巡幸にみる武帝の権力構造 ――泰山・甘泉・長安
  おわりに
第四章 前漢における上帝・山川祭祀の体系と展開
  はじめに
  第一節 統一秦の国家祭祀
   (一)上帝・山川諸神祭祀体系の復元
   (二)祭祀体系よりみた領域認識
  第二節 前漢初より武帝期までの変化
   (一)高祖の諸巫
   (二)封禅書武帝期総括部分の分析
  第三節 宣帝期の国家祭祀体系再編 ――武帝の継承と変革
   (一)武帝の巡幸祭祀の世界観
   (二)五岳四瀆祭祀と郊祀の相関関係
  おわりに

第三部 酎祭と両漢宗廟制
  小序
第一章 前漢前半期の酎祭
  はじめに
  第一節 酎祭の概要
   (一)酎祭の由来と挙行者
   (二)酎祭の儀礼
  第二節 「酎金」制度と酎祭の変化
   (一)「酎金」と元会における「貢献」
   (二)「助祭」と黄金
   (三)酎祭の変遷過程
  おわりに
第二章 前漢後半期における宗廟制の変容
  はじめに
  第一節 元・成帝期の宗廟制
   (一)永光四年の発議と改制案
   (二)永光五年の議論と決定
   (三)祫祭制度
   (四)竟寧元年の決定
  第二節 哀帝期の宗廟制
   (一)綏和二年の議論と決定
   (二)建平二年の変動
   (三)元寿元年の孝恵廟と孝景廟の復置
  第三節 元始年間の宗廟制
   (一)恭皇廟と悼皇考廟の廃止
   (二)「宗」の決定
  むすびにかえて ――王莽の宗廟制
第三章 後漢の酎祭と宗廟制
  はじめに
  第一節 光武帝期の宗廟制
   (一)建武三年の宗廟制
   (二)建武十九年の宗廟制改革
   (三)建武二十六年の「祫禘」制度
  第二節 明・章帝期の宗廟制
   (二)明帝の遺詔と章帝の措置
  第三節 章帝の「禘」祭
   (一)建初七年正月の「禘」祭
   (二)酎祭復興の背景
  おわりに

終章 前漢末礼制改革の来し方と行く末
   一、前漢武帝期までの儀礼と秩序 ――『史記』礼書から
    (一)前漢高祖~景帝期
    (二)武帝の理念
    (三)武帝の影響
   二、前漢末礼制改革の政治的背景
    (一)「故事」の相対化
    (二)外戚・中書宦官と儒家官僚
   三、宗廟制改革をつらぬく対立軸
    (一)貢禹と翼奉
    (二)文帝と武帝の位置づけ
    (三)武帝の評価とその決着
   四、郊祀制改革における配祀と承天の思想
    (一)建始改革の主旨
    (二)元始改革の構想
   五、未完の礼制改革 ――章帝と曹褒
    (一)「河図」の予言
    (二)「新礼」の限界

   あとがき
   索 引
   中文提要
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