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近代思想の萌芽はオッカムに始まると言ってよい。個を離れて普遍はない。教会のカトリシスムという普遍性から個を解放するなかで、近代的な自由が開花する。本書はデカルト、スピノザらいわゆる異端思想家たちが目指したものが、個としての人間の自由に結実し、やがて政治思想、経済思想へと発展する過程を、独自の史観のもとに描く。
大津 真作(おおつ しんさく)
1945年大阪府に生まれる。
甲南大学名誉教授。
専門はヨーロッパ社会思想史。
主な著訳書
『啓蒙主義の辺境への旅』(世界思想社、1986)、『倫理の大転換』(行路社、2012)、『思考の自由とはなにか』(晃洋書房、2012)、『異端思想の500年』(学術選書、京都大学学術出版会、2016)など。
ジャルダン『トクヴィル伝』(晶文社、1994)、フュレ『フランス革命を考える』(岩波書店、1989)、レーナル『両インド史 東インド篇』上下巻(法政大学出版局、2009, 2011)、レーナル『両インド史 西インド篇』上巻(法政大学出版局、2015)、ランゲ『市民法理論』、フリードリヒ二世『反マキアヴェッリ論』、トクヴィル『合衆国滞在記』、ネッケル『穀物立法と穀物取引について』(訳者代表)(以上、近代社会思想コレクション、京都大学学術出版会、2013, 2016, 2018, 2021)など。
1945年大阪府に生まれる。
甲南大学名誉教授。
専門はヨーロッパ社会思想史。
主な著訳書
『啓蒙主義の辺境への旅』(世界思想社、1986)、『倫理の大転換』(行路社、2012)、『思考の自由とはなにか』(晃洋書房、2012)、『異端思想の500年』(学術選書、京都大学学術出版会、2016)など。
ジャルダン『トクヴィル伝』(晶文社、1994)、フュレ『フランス革命を考える』(岩波書店、1989)、レーナル『両インド史 東インド篇』上下巻(法政大学出版局、2009, 2011)、レーナル『両インド史 西インド篇』上巻(法政大学出版局、2015)、ランゲ『市民法理論』、フリードリヒ二世『反マキアヴェッリ論』、トクヴィル『合衆国滞在記』、ネッケル『穀物立法と穀物取引について』(訳者代表)(以上、近代社会思想コレクション、京都大学学術出版会、2013, 2016, 2018, 2021)など。
序 章 唯名論の現代性
言葉と普遍性
カトリックと普遍性
言葉が世界を作った
普遍と個別の矛盾
神は三位一体か?
ロスケリヌスの三神論
普遍とは?
普遍の個別化
オッカムの剃刀
オッカムの普遍論
普遍を自由に操る
認識活動の自由
意志と想像力
言葉の力は主体の知性の力
第1章 デカルトにおける精神の自由と合理主義
1 デカルトの人生とその著作『宇宙論』、『方法序説』
平和と寛容の子
デカルトの幼少期
財産処分
イエズス会のコレージュ
思想転回
バラ十字会
自己を見つめる
『宇宙論』の執筆と出版の断念
『方法序説』の執筆
『方法序説』の概要
2 デカルトへの哲学的批判
『省察』について
否定は欠如
目的原因の否定
意志は自由
感覚論者の批判
3 オランダにおけるデカルト攻撃
プロテスタントによる攻撃
人間の自由と神による救済決定
デカルトは無神論者か?
4 人間の自由意志と精神の永遠性
自由意志の確立
精神の不死性と身体の可死性
エリーザベトからの批判
5 デカルトのマキアヴェッリ論
デカルト、『君主論』を読む
財産重視
嫉妬ないし羨望は悪徳
デカルトの敵
第2章 スピノザにおける思想の自由
1 自由思想家スピノザ
亡命ユダヤ人の家系
スペインのユダヤ人
オランダのユダヤ人
スピノザの青年時代
父の死と遺産相続
ユダヤ教からの破門
最初の論文
レインスブルフ時代
『知性改善論』
2 呪われた書、『神学・政治論』
『神学・政治論』の執筆意図
『神学・政治論』の構成と内容
旧約聖書批判
神学と哲学
政治論または国家の基礎論
『神学・政治論』の刊行とその反響
第3章 ルソーにおける自然状態と社会状態
1 自然状態の人間
自然状態のジレンマ
楽園喪失とその意味
自然状態での生産活動
自然状態における人間の自由
文明状態は病的状態
「自然に帰れ」
ルソーの三大告白文書
2 自然状態から社会状態へ
人間の霊性
神に背く自由
自己完成能力のパラドックス
憐れみと同情
スミスの反論
未開人の性愛
偶然が社会状態を招く
観念と歴史
私的所有と先占権
私有観念の発生
アリストテレスの形而上学的思考
分業と交換
3 ルソーの家族観
力と権利の分離
男女の愛と家族
反社会性とルソー
小所有者の代弁者
家族愛のユートピア
4 人間の不平等状態
社会状態の時期区分
不平等の最終段階
第4章 労働、禁欲、慈善の近代思想史
1 マルクスの『資本論』における本源的蓄積
労働者の誕生
先行的か、本源的か
交換、分業、蓄積
自由な労働者の創出
過去の大罪
歴史としての資本の本源的蓄積
国債と近代的租税
2 カルヴィニズムにおける世俗内禁欲としての労働
宗教改革の社会的影響
神に向き合う個人
魂の救済
労働は禁欲
汎「罪」論
3 マンデヴィルの幸福な経済自然主義
『蜂の寓話』の社会論理学
慈善なき汎労働社会モデル
第5章 アダム・スミスの労働のユートピアとその崩壊
1 人間の効用価値
スミスへのマンデヴィルの影響
労働の価値
公平に収入が得られる社会
善なる自由社会と悪なる強制社会
労働の分割としての分業
富があふれる豊かな社会
国家も解放される
商品交換社会の人間の条件
2 慈善が強制されない社会
慈善は忌むべき浪費
他人の感情は不可知
カタルシスは自己利益
損得勘定の社会
3 唯名論的自己利益社会
商品社会の唯名論的特徴
スミスにおける公共支出論
軍事費の肥大化
スミスの経済主義的軍事論
戦争と公債
スミスの財政再建策
植民地の放棄
『諸国民の富』の運命
第6章 マルクスによるスミス批判
奴隷労働
人類愛溢れるケース
重農主義の影響
スミスのドグマ
スミスの「粗雑な」唯名論的方法論
交換価値と使用価値
資本蓄積と分業
スミスはどのような時代にいるか?
剰余労働の発見
市民階級の失われた楽園
生産資本と商業資本の区別
生産的労働と不生産的労働
どんな労働が生産的労働なのか?
犯罪は生産的?
勤労と分業と収入のディストピア
終 章 エンゲルスと未来社会
1 ヘーゲルとエンゲルスの国家論
国家とは
ヘーゲルの人倫的国家観
家族は人倫で国家を補完
国家権力と議会
自由と平等の未来社会
2 私有財産、家族の未来
女性が解放される未来社会
婚姻制度の古代史
婚姻制度の近代史
『家族・私有財産・国家の起源』が描く未来
あとがき
注
文献解題
索引(人名・事項・出典)
言葉と普遍性
カトリックと普遍性
言葉が世界を作った
普遍と個別の矛盾
神は三位一体か?
ロスケリヌスの三神論
普遍とは?
普遍の個別化
オッカムの剃刀
オッカムの普遍論
普遍を自由に操る
認識活動の自由
意志と想像力
言葉の力は主体の知性の力
第1章 デカルトにおける精神の自由と合理主義
1 デカルトの人生とその著作『宇宙論』、『方法序説』
平和と寛容の子
デカルトの幼少期
財産処分
イエズス会のコレージュ
思想転回
バラ十字会
自己を見つめる
『宇宙論』の執筆と出版の断念
『方法序説』の執筆
『方法序説』の概要
2 デカルトへの哲学的批判
『省察』について
否定は欠如
目的原因の否定
意志は自由
感覚論者の批判
3 オランダにおけるデカルト攻撃
プロテスタントによる攻撃
人間の自由と神による救済決定
デカルトは無神論者か?
4 人間の自由意志と精神の永遠性
自由意志の確立
精神の不死性と身体の可死性
エリーザベトからの批判
5 デカルトのマキアヴェッリ論
デカルト、『君主論』を読む
財産重視
嫉妬ないし羨望は悪徳
デカルトの敵
第2章 スピノザにおける思想の自由
1 自由思想家スピノザ
亡命ユダヤ人の家系
スペインのユダヤ人
オランダのユダヤ人
スピノザの青年時代
父の死と遺産相続
ユダヤ教からの破門
最初の論文
レインスブルフ時代
『知性改善論』
2 呪われた書、『神学・政治論』
『神学・政治論』の執筆意図
『神学・政治論』の構成と内容
旧約聖書批判
神学と哲学
政治論または国家の基礎論
『神学・政治論』の刊行とその反響
第3章 ルソーにおける自然状態と社会状態
1 自然状態の人間
自然状態のジレンマ
楽園喪失とその意味
自然状態での生産活動
自然状態における人間の自由
文明状態は病的状態
「自然に帰れ」
ルソーの三大告白文書
2 自然状態から社会状態へ
人間の霊性
神に背く自由
自己完成能力のパラドックス
憐れみと同情
スミスの反論
未開人の性愛
偶然が社会状態を招く
観念と歴史
私的所有と先占権
私有観念の発生
アリストテレスの形而上学的思考
分業と交換
3 ルソーの家族観
力と権利の分離
男女の愛と家族
反社会性とルソー
小所有者の代弁者
家族愛のユートピア
4 人間の不平等状態
社会状態の時期区分
不平等の最終段階
第4章 労働、禁欲、慈善の近代思想史
1 マルクスの『資本論』における本源的蓄積
労働者の誕生
先行的か、本源的か
交換、分業、蓄積
自由な労働者の創出
過去の大罪
歴史としての資本の本源的蓄積
国債と近代的租税
2 カルヴィニズムにおける世俗内禁欲としての労働
宗教改革の社会的影響
神に向き合う個人
魂の救済
労働は禁欲
汎「罪」論
3 マンデヴィルの幸福な経済自然主義
『蜂の寓話』の社会論理学
慈善なき汎労働社会モデル
第5章 アダム・スミスの労働のユートピアとその崩壊
1 人間の効用価値
スミスへのマンデヴィルの影響
労働の価値
公平に収入が得られる社会
善なる自由社会と悪なる強制社会
労働の分割としての分業
富があふれる豊かな社会
国家も解放される
商品交換社会の人間の条件
2 慈善が強制されない社会
慈善は忌むべき浪費
他人の感情は不可知
カタルシスは自己利益
損得勘定の社会
3 唯名論的自己利益社会
商品社会の唯名論的特徴
スミスにおける公共支出論
軍事費の肥大化
スミスの経済主義的軍事論
戦争と公債
スミスの財政再建策
植民地の放棄
『諸国民の富』の運命
第6章 マルクスによるスミス批判
奴隷労働
人類愛溢れるケース
重農主義の影響
スミスのドグマ
スミスの「粗雑な」唯名論的方法論
交換価値と使用価値
資本蓄積と分業
スミスはどのような時代にいるか?
剰余労働の発見
市民階級の失われた楽園
生産資本と商業資本の区別
生産的労働と不生産的労働
どんな労働が生産的労働なのか?
犯罪は生産的?
勤労と分業と収入のディストピア
終 章 エンゲルスと未来社会
1 ヘーゲルとエンゲルスの国家論
国家とは
ヘーゲルの人倫的国家観
家族は人倫で国家を補完
国家権力と議会
自由と平等の未来社会
2 私有財産、家族の未来
女性が解放される未来社会
婚姻制度の古代史
婚姻制度の近代史
『家族・私有財産・国家の起源』が描く未来
あとがき
注
文献解題
索引(人名・事項・出典)