ホーム > 書籍詳細ページ
占領期のアメリカ軍人たちは、戦前の日本人が実は日米野球でベーブ・ルースやルー・ゲーリッグに熱狂した野球愛好者であったことを知る。かつては「理解不能」な存在だった日本人を、米国的な価値観の下、いかに自陣営に組み込もうとしたのか。武道を禁止する一方で野球を普及するスポーツ統制によって、日本人の「心を掴む」戦いを進めた文化外交政策の実相に迫る。
第四回野球文化學會学会賞(研究部門)
『週刊ポスト』2021年12月24日号、評者:川本三郎氏
『産経新聞』2022年1月16日付 読書面「聞きたい」
『産経新聞』2022年1月16日付 読書面「聞きたい」
谷川 建司(たにかわ たけし)
早稲田大学政治経済学術院 客員教授
博士(社会学)。茨城大学人文学部コミュニケーション学科助教授、早稲田大学政治経済学術院客員助教授を経て現職。
主な著作
『「イージー・ライダー」伝説 ピーター・フォンダとデニス・ホッパー』(1996年、筑摩書房)、『レオナルド・ディカプリオへの旅』(1999年、マガジンハウス)、『アメリカ映画と占領政策』(2002年、京都大学学術出版会)、『アメリカの友人 東京デニス・ホッパー日記』(2011年、キネマ旬報社)、『戦後「忠臣蔵」映画の全貌』(2013年、集英社クリエイティブ)、『高麗屋三兄弟と映画』(2018年、雄山閣)、『イージー☆ライダー 敗け犬(ルーザー)たちの反逆―ハリウッドをぶっ壊したピーター・フォンダとデニス・ホッパー』(2020年、径書房)、Baseball in Occupied Japan: US Postwar Cultural Policy, Kyoto University Press, 2021(本書の英語版)、『近衛十四郎十番勝負』(2021年、雄山閣)、編著はCultural Politics around East Asian Cinema 1939-2018, Kyoto University Press, 2019、『映画産業史の転換点―経営・継承・メディア戦略』(2020年、森話社)等多数。その他翻訳書、論文が多数ある。
早稲田大学政治経済学術院 客員教授
博士(社会学)。茨城大学人文学部コミュニケーション学科助教授、早稲田大学政治経済学術院客員助教授を経て現職。
主な著作
『「イージー・ライダー」伝説 ピーター・フォンダとデニス・ホッパー』(1996年、筑摩書房)、『レオナルド・ディカプリオへの旅』(1999年、マガジンハウス)、『アメリカ映画と占領政策』(2002年、京都大学学術出版会)、『アメリカの友人 東京デニス・ホッパー日記』(2011年、キネマ旬報社)、『戦後「忠臣蔵」映画の全貌』(2013年、集英社クリエイティブ)、『高麗屋三兄弟と映画』(2018年、雄山閣)、『イージー☆ライダー 敗け犬(ルーザー)たちの反逆―ハリウッドをぶっ壊したピーター・フォンダとデニス・ホッパー』(2020年、径書房)、Baseball in Occupied Japan: US Postwar Cultural Policy, Kyoto University Press, 2021(本書の英語版)、『近衛十四郎十番勝負』(2021年、雄山閣)、編著はCultural Politics around East Asian Cinema 1939-2018, Kyoto University Press, 2019、『映画産業史の転換点―経営・継承・メディア戦略』(2020年、森話社)等多数。その他翻訳書、論文が多数ある。
序 論 マッカーサーのスポーツ奨励策
占領軍=アメリカの国益を追求する為政者
飴と鞭の二つの側面を併せ持つ占領政策
3S政策による被占領国民の不満のガス抜き
二大リーグ制度とコミッショナー制度の導入
〝見るスポーツ〟と〝科学的トレーニング〟
アメリカの対外文化外交政策とJ・ロビンソン
第1章 野球の復興と日米関係
1 スポーツを通じての民主化
ベーブ・ルースと日米大野球戦
〝ストライク・ワン〟改め〝ヨシ一本〟
スポーツと民主主義
野球復興事業責任者=W・マーカット
2 東西対抗戦の実施
東西対抗戦で露呈した戦後の問題
3 天皇とベースボール
熱烈なプロ野球ファンとしての著名人
現人神からスポーツ好きへの天皇の変身
早慶戦へのマッカーサーの祝辞
第2章 占領下日本のスポーツ改革
1 改革を迫られた武道
戦後に異なる道を選択した柔道と剣道
スポーツとしての柔道を目指した講道館
2 大相撲の興行改革
双葉山の宗教スキャンダルと相撲協会改革
メモリアル・ホールと大相撲の露天興行
3 プロ野球における二大リーグ制への模索
短命に終わった国民野球リーグ
4 科学的スポーツとしての拳闘
拳闘から新時代の呼称としてのボクシングへ
無謀だったピストン堀口のカムバック
科学的トレーニングで頂点を掴んだ白井義男
第3章 武士道の延長としての剣道への弾圧
1 スポーツにおける民主化促進阻害要素の排除
占領期は〝剣道冬の時代〟という言説
2 武士道の延長としての剣道
〝チャンバラ禁止〟と剣道への弾圧
王貞治の真剣での素振り
3 占領期における武道政策の流れ
撓競技への言い替え
4 学校剣道の禁止と大日本武徳会への解散命令
占領政策開始前の武道政策の検討
大日本武徳会の解散・財産没収
5 「道場剣道」と「警察剣道」への対応
警察や道場での稽古の継続
剣道・柔道を学ぶ占領軍スタッフ
6 処分される剣道具の野球用具への転用
面金のキャッチャー・マスクへの改造
7 「剣道への厳しい弾圧」という幻想
警察剣道の訓練中止
占領期は本当に〝剣道冬の時代〟だったのか?
新生剣道の強調による生き残りへの模索
第4章 CIE映画を通じてのスポーツ普及
1 アメリカの対日映画政策のコンテンツとしてのスポーツ
さまざまな映画フォーマットでのベースボールの利用
2 CIE映画の概要
3 CIE映画においてスポーツの占めていた位置
占領期間中に公開されたCIE映画の本数
ベースボール/スポーツを扱ったCIE映画
4 一九五〇年における一都三県のCIE映画上映記録分析
ベースボール/スポーツを扱ったCIE映画を見た人の数
ベースボール関連CIE映画八作品の概要
少年野球リーグの理想と目的
スポーツ関連CIE映画五本の概要
アダプテーション作業と公開月
一都三県のCIE映画上映記録から何が読み取れるか
5 福島県におけるCIE映画上映報告書
福島県CIE映画上映報告書から読み取れるもの
CIE映画を見た観客の感想
6 アメリカの対外文化外交政策の中での情報・教育映画
『ボールプレイヤーズ』
『ベースボール・トゥデイ』
第5章 VOAラジオ番組におけるジャッキー・ロビンソンのイメージの利用
1 背景としてのメジャーリーグ・ベースボールにおける人種の壁の打破
稀有なアスリートとしてのジャッキー・ロビンソン
愛国者としてのジャッキー・ロビンソン
2 VOAの歴史と日本での展開
戦時情報局の情報プログラムとしてのVOA
VOAの日本向け放送の歴史
VOAのキラー・コンテンツとしての野球放送
3 VOAプレス・リリースにみるベースボール関連放送の具体例
VOA放送プログラムにおけるスポーツの比重
日本向けベースボール関連放送プログラム
オールスター・ゲームとVOAスポーツ・エディター=ボブ・アリソン
ボビー・シャンツと「アメリカから日本の人々へ」
ジョー・ディマジオが日本のリスナーに語り掛けるインパクト
日本での試合が現役最後の試合となったディマジオ
ヤンキース名監督ケイシー・ステンゲル
4 VOA「ジャッキー・ロビンソン:リーディング・ベースボール・スター」
日本人向けのジャッキー・ロビンソン登場の番組
近東向けのジャッキー・ロビンソン登場の番組
南米向けのジャッキー・ロビンソン登場の番組
フィリピン向けのジャッキー・ロビンソン登場の番組
アメリカの文化外交政策としてのジャッキー・ロビンソンの利用
第6章 映画・雑誌・漫画におけるジャッキー・ロビンソンのイメージの利用
1 伝記映画『ジャッキー・ロビンソン物語』
本人主演による伝記映画
日本で公開されなかった事情
占領下日本では封印されたアメリカ国内の人種差別の描写
USIAにおける黒人アスリートの利用
2 活字メディアおよび漫画によるジャッキー・ロビンソンの物語の流布
野球雑誌におけるロビンソンの物語の流布
子ども向け漫画におけるロビンソンの物語の流布
シリーズ化されたベースボール・ヒーロー物
日米で同時出版されたロビンソンの漫画の相違点
3 ロビンソンが受けた差別についての表象
アメリカにおける黒人差別の表象
メジャーリーガーとなったロビンソンの試練
日本人にはなじみの深い艱難辛苦の末の栄光の物語
4 ロビンソンらによって実践された道徳的にお手本となる行為・考え方の表象
差別を克服するのに必要な、力のある白人のサポート
5 英語版から日本語版に翻訳されるに当たって加えられた変更点
恋愛の要素がカットされた日本版
日本人読者にとって理解しやすくするための工夫
6 日米二つのヴァージョンの漫画からわかること
アメリカの強力なリーダーシップの許で努力すべき日本国
映画よりも差別描写のチェックが緩かった漫画メディア
ディマジオ同様に日本での試合が引退試合となったロビンソン
第7章 サンフランシスコ・シールズとコカ・コーラ
1 野球復興の総仕上げとしての日米野球復活
サンフランシスコ・シールズというチームの立ち位置
2 日米野球ビジネスと親善目的の強調
マーカットの横顔とベースボールへの情熱
GHQが勧進元となるビジネスのための理論武装
シールズ来日にかかわるコストの試算
3 シールズ来日狂想曲
日本の野球界と映画界の緊密な関係
シールズ来日のインパクト
オドール監督との握手写真があだとなった横綱前田山
来日中のシールズの戦績
〝オドール・デー〟開催の真相
4 コカ・コーラ社とペプシコーラ社
メインの広告主としての両コーラ・カンパニー
コーラ・カンパニーの日本人向けビジネス
5 シールズ来日とその副産物
スポーツを通じての相互理解とシールズ帰国後の状況
ウォーリー与那嶺の日本球界での活躍
その後の日米野球の発展
終章 スポーツは民主主義促進の役に立ったのか
GHQは日本文化を破壊したのか
押し付けではなくアメリカから学ぼうとした日本人
アメリカによる対外文化外交政策の中でのベースボール
OWI、国務省、USIAと受け継がれたスポーツを用いた政策
スポーツは民主主義促進の役に立ったのか
あとがき
参考文献表
索引(人名/事項)
占領軍=アメリカの国益を追求する為政者
飴と鞭の二つの側面を併せ持つ占領政策
3S政策による被占領国民の不満のガス抜き
二大リーグ制度とコミッショナー制度の導入
〝見るスポーツ〟と〝科学的トレーニング〟
アメリカの対外文化外交政策とJ・ロビンソン
第1章 野球の復興と日米関係
1 スポーツを通じての民主化
ベーブ・ルースと日米大野球戦
〝ストライク・ワン〟改め〝ヨシ一本〟
スポーツと民主主義
野球復興事業責任者=W・マーカット
2 東西対抗戦の実施
東西対抗戦で露呈した戦後の問題
3 天皇とベースボール
熱烈なプロ野球ファンとしての著名人
現人神からスポーツ好きへの天皇の変身
早慶戦へのマッカーサーの祝辞
第2章 占領下日本のスポーツ改革
1 改革を迫られた武道
戦後に異なる道を選択した柔道と剣道
スポーツとしての柔道を目指した講道館
2 大相撲の興行改革
双葉山の宗教スキャンダルと相撲協会改革
メモリアル・ホールと大相撲の露天興行
3 プロ野球における二大リーグ制への模索
短命に終わった国民野球リーグ
4 科学的スポーツとしての拳闘
拳闘から新時代の呼称としてのボクシングへ
無謀だったピストン堀口のカムバック
科学的トレーニングで頂点を掴んだ白井義男
第3章 武士道の延長としての剣道への弾圧
1 スポーツにおける民主化促進阻害要素の排除
占領期は〝剣道冬の時代〟という言説
2 武士道の延長としての剣道
〝チャンバラ禁止〟と剣道への弾圧
王貞治の真剣での素振り
3 占領期における武道政策の流れ
撓競技への言い替え
4 学校剣道の禁止と大日本武徳会への解散命令
占領政策開始前の武道政策の検討
大日本武徳会の解散・財産没収
5 「道場剣道」と「警察剣道」への対応
警察や道場での稽古の継続
剣道・柔道を学ぶ占領軍スタッフ
6 処分される剣道具の野球用具への転用
面金のキャッチャー・マスクへの改造
7 「剣道への厳しい弾圧」という幻想
警察剣道の訓練中止
占領期は本当に〝剣道冬の時代〟だったのか?
新生剣道の強調による生き残りへの模索
第4章 CIE映画を通じてのスポーツ普及
1 アメリカの対日映画政策のコンテンツとしてのスポーツ
さまざまな映画フォーマットでのベースボールの利用
2 CIE映画の概要
3 CIE映画においてスポーツの占めていた位置
占領期間中に公開されたCIE映画の本数
ベースボール/スポーツを扱ったCIE映画
4 一九五〇年における一都三県のCIE映画上映記録分析
ベースボール/スポーツを扱ったCIE映画を見た人の数
ベースボール関連CIE映画八作品の概要
少年野球リーグの理想と目的
スポーツ関連CIE映画五本の概要
アダプテーション作業と公開月
一都三県のCIE映画上映記録から何が読み取れるか
5 福島県におけるCIE映画上映報告書
福島県CIE映画上映報告書から読み取れるもの
CIE映画を見た観客の感想
6 アメリカの対外文化外交政策の中での情報・教育映画
『ボールプレイヤーズ』
『ベースボール・トゥデイ』
第5章 VOAラジオ番組におけるジャッキー・ロビンソンのイメージの利用
1 背景としてのメジャーリーグ・ベースボールにおける人種の壁の打破
稀有なアスリートとしてのジャッキー・ロビンソン
愛国者としてのジャッキー・ロビンソン
2 VOAの歴史と日本での展開
戦時情報局の情報プログラムとしてのVOA
VOAの日本向け放送の歴史
VOAのキラー・コンテンツとしての野球放送
3 VOAプレス・リリースにみるベースボール関連放送の具体例
VOA放送プログラムにおけるスポーツの比重
日本向けベースボール関連放送プログラム
オールスター・ゲームとVOAスポーツ・エディター=ボブ・アリソン
ボビー・シャンツと「アメリカから日本の人々へ」
ジョー・ディマジオが日本のリスナーに語り掛けるインパクト
日本での試合が現役最後の試合となったディマジオ
ヤンキース名監督ケイシー・ステンゲル
4 VOA「ジャッキー・ロビンソン:リーディング・ベースボール・スター」
日本人向けのジャッキー・ロビンソン登場の番組
近東向けのジャッキー・ロビンソン登場の番組
南米向けのジャッキー・ロビンソン登場の番組
フィリピン向けのジャッキー・ロビンソン登場の番組
アメリカの文化外交政策としてのジャッキー・ロビンソンの利用
第6章 映画・雑誌・漫画におけるジャッキー・ロビンソンのイメージの利用
1 伝記映画『ジャッキー・ロビンソン物語』
本人主演による伝記映画
日本で公開されなかった事情
占領下日本では封印されたアメリカ国内の人種差別の描写
USIAにおける黒人アスリートの利用
2 活字メディアおよび漫画によるジャッキー・ロビンソンの物語の流布
野球雑誌におけるロビンソンの物語の流布
子ども向け漫画におけるロビンソンの物語の流布
シリーズ化されたベースボール・ヒーロー物
日米で同時出版されたロビンソンの漫画の相違点
3 ロビンソンが受けた差別についての表象
アメリカにおける黒人差別の表象
メジャーリーガーとなったロビンソンの試練
日本人にはなじみの深い艱難辛苦の末の栄光の物語
4 ロビンソンらによって実践された道徳的にお手本となる行為・考え方の表象
差別を克服するのに必要な、力のある白人のサポート
5 英語版から日本語版に翻訳されるに当たって加えられた変更点
恋愛の要素がカットされた日本版
日本人読者にとって理解しやすくするための工夫
6 日米二つのヴァージョンの漫画からわかること
アメリカの強力なリーダーシップの許で努力すべき日本国
映画よりも差別描写のチェックが緩かった漫画メディア
ディマジオ同様に日本での試合が引退試合となったロビンソン
第7章 サンフランシスコ・シールズとコカ・コーラ
1 野球復興の総仕上げとしての日米野球復活
サンフランシスコ・シールズというチームの立ち位置
2 日米野球ビジネスと親善目的の強調
マーカットの横顔とベースボールへの情熱
GHQが勧進元となるビジネスのための理論武装
シールズ来日にかかわるコストの試算
3 シールズ来日狂想曲
日本の野球界と映画界の緊密な関係
シールズ来日のインパクト
オドール監督との握手写真があだとなった横綱前田山
来日中のシールズの戦績
〝オドール・デー〟開催の真相
4 コカ・コーラ社とペプシコーラ社
メインの広告主としての両コーラ・カンパニー
コーラ・カンパニーの日本人向けビジネス
5 シールズ来日とその副産物
スポーツを通じての相互理解とシールズ帰国後の状況
ウォーリー与那嶺の日本球界での活躍
その後の日米野球の発展
終章 スポーツは民主主義促進の役に立ったのか
GHQは日本文化を破壊したのか
押し付けではなくアメリカから学ぼうとした日本人
アメリカによる対外文化外交政策の中でのベースボール
OWI、国務省、USIAと受け継がれたスポーツを用いた政策
スポーツは民主主義促進の役に立ったのか
あとがき
参考文献表
索引(人名/事項)