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日本の伝統的な武道、医療、伝統的な舞台芸術、文化にはさまざまな「型」がある。しかし、西洋的な科学的方法論の台頭により明治以降にそれらの型の多くはわたしたちの日常から失われた。科学と武道・伝統医学の双方に通じる著者は、その中で現代に生きるものの再生を試みる。科学的方法論との詳細な比較によって、科学では扱いきれない主題や対象を処理するための新たな方法論的ツールとして定式化し、総合学へ統合する可能性を探る。
『フレグランスジャーナル』2021年10月号
大庭 良介(おおにわ りょうすけ)
1977年 東京都に生まれる
2000年 京都大学総合人間学部卒業
2006年 京都大学大学院生命科学研究科博士後期課程単位取得退学
現在 筑波大学医学医療系准教授、博士(生命科学)
健康情報総合学研究室主宰、居合道六段、空手道四段、剣道二段
主な著作
『萌芽する科学技術』(共著、山口富子・日比野愛子編著、京都大学学術出版会、2009年)、Bacterial DNA, DNA Polymerase and DNA Helicases(Sam S. Bruns, Walter D. Knudsen編著, Nova Biomedical Publisher, 2010年)、『環境と微生物の事典』(共著、日本微生物生態学会編、朝倉書店、2014年)、その他、生命科学、医科学、科学計量学など複数の専門領域にて論文多数。
1977年 東京都に生まれる
2000年 京都大学総合人間学部卒業
2006年 京都大学大学院生命科学研究科博士後期課程単位取得退学
現在 筑波大学医学医療系准教授、博士(生命科学)
健康情報総合学研究室主宰、居合道六段、空手道四段、剣道二段
主な著作
『萌芽する科学技術』(共著、山口富子・日比野愛子編著、京都大学学術出版会、2009年)、Bacterial DNA, DNA Polymerase and DNA Helicases(Sam S. Bruns, Walter D. Knudsen編著, Nova Biomedical Publisher, 2010年)、『環境と微生物の事典』(共著、日本微生物生態学会編、朝倉書店、2014年)、その他、生命科学、医科学、科学計量学など複数の専門領域にて論文多数。
序章 なぜいま型なのか
科学的アプローチに限界を感じて
科学を補完する「型」の可能性
1 型の分類
型の辞書的定義
型の両義性
2 「型」が拓く事物へのアプローチの可能性
非分析的性質が科学的アプローチを補完する
「型」の六つの特徴と本書の構成
第1章 …武道の型と特徴―心身の修錬と叡知の獲得
1 型を通じて何を学ぶのか
「型」からの要求
居合にみる「型」の例
2 統合的に身体知を把握する
「型」がもたらす部分と全体の統御
要素分解による形骸化
要素の定義や役割は変化する
3 型の叡智の習得
「型」と「師」
「型」の半保存性
叡智を客体化した「型」と、叡智を内在化した「師」の間で
異なる型体系に重なる叡智
4 方法論としての「型」
武道における「型」の普遍性
方法論としての「型」の特徴
補章1 武道への視線
古武術から武道へ、そして、競技武道=スポーツへ
武道の伝書
海外から見た武道
第2章 漢方の型と特徴―証と方剤の照応に見る叡智
1 傷寒論にみられる「型」
傷寒論とは何か
「証-方剤」関係の原理
2 本草学と理論による「型」の補完
本草学の発展
漢方医学を支える三つの柱
3 型体系としての傷寒論
「型」体系としての構成
六病位に沿った学習
病位を跨ぐ学習
4 「型」としての漢方
「型」の特徴への合致
言葉を用いる「型」として
補章2 漢方の歴史と科学
漢方の歴史
漢方への科学的アプローチ
漢方と科学のクロストーク
第3章 科学的方法論と型的方法論
1 科学とは何か
方法論としての科学
科学的方法論に含まれる事項
2 科学的方法論の特徴①―対象の定義の不変性・一意性
科学は対象を明示することから始まる
対象の定義は変更されない
3 科学的方法論の特徴②―要素間の関係性・因果関係
要素間の関係性と因果関係
生命科学にみる要素間の関係性
4 型的方法論の特徴
要素の定義可変性
要素間関係性の非一意性
5 主観性と客観性(合意と共有)
哲学・論理学にみる主観性と客観性
「型」の叡智が示す共同主観性
6 反証性、反駁性、テスト可能性
「型」と疑似「型」の境界線
「型」の更新可能性
補章3 科学と非科学・疑似科学
科学と疑似科学の「線引き問題」
ホーリズム(全体論)と科学
科学を被る
科学に代わる方法論の条件
二項対立を超えて
第4章……型が表現・伝達する叡智の質―把握・発露・現在
1 把握と理解―型的叡智と科学的叡智の受容の違い
科学における理解
「型」における把握
「型」の主体への内在化
2 発露と推論―型的叡智と科学的叡智の活用の違い
科学的叡智による推論
「型」的叡智の発露
主体に応じた「型」の発露
3 今この瞬間を大切にする型
叡智に対する時間感覚の相違
現在という瞬間
4 科学と「型」、それぞれに適する叡智
適した叡智の質
医学における叡智の質の相違―西洋医学と漢方医学
補章4 科学における理解と推論、型における把握と発露
理解と把握
科学における論理的推論
演繹法(deduction)
帰納法(induction)
アブダクション(abduction, retroduction)(仮説形成法・仮説的推論)
第5章 人間や生命にアプローチする型―易経・生命科学
1 人間への型によるアプローチ―易経
易経の型体系
易経にみる把握と発露
2 生命への型によるアプローチ―生命科学と記号論
解剖的アプローチ
システム的アプローチ
理論的アプローチ
構成論的アプローチ
記号論的アプローチ
「型」的アプローチによる生命の把握
生命科学への発露
「型」的アプローチにおける主体性の発揮
生命科学を刷新しうる創造性とは
補章5 生命科学研究の半世紀
生命科学のパラダイム
通常科学としての生命科学研究
第6章 イノベーションや創造力にアプローチする型―デザイン思考・アート思考
1 ビジネス界で議論される四つの思考法と分類
2 科学・「型」と四つの思考のトポロジー
「型」を作る―デザイン思考と共通性と「型」的運用
「型」としてのデザイン思考の運用
創造力を涵養する「型」―アート思考
アート思考を涵養する環境としての「型」―配置するが説明しない
アート思考する個人への「型」―先覚後知
結 型が切り拓く可能性
1 本書で明らかにしたこと
2 総合学に向けた「型」の活用
総合的な教育と研究の現状
「型」的な総合学の提案
3 生きた「型」の創出に向けて
あとがき
参考文献
English abstract
索引
科学的アプローチに限界を感じて
科学を補完する「型」の可能性
1 型の分類
型の辞書的定義
型の両義性
2 「型」が拓く事物へのアプローチの可能性
非分析的性質が科学的アプローチを補完する
「型」の六つの特徴と本書の構成
第1章 …武道の型と特徴―心身の修錬と叡知の獲得
1 型を通じて何を学ぶのか
「型」からの要求
居合にみる「型」の例
2 統合的に身体知を把握する
「型」がもたらす部分と全体の統御
要素分解による形骸化
要素の定義や役割は変化する
3 型の叡智の習得
「型」と「師」
「型」の半保存性
叡智を客体化した「型」と、叡智を内在化した「師」の間で
異なる型体系に重なる叡智
4 方法論としての「型」
武道における「型」の普遍性
方法論としての「型」の特徴
補章1 武道への視線
古武術から武道へ、そして、競技武道=スポーツへ
武道の伝書
海外から見た武道
第2章 漢方の型と特徴―証と方剤の照応に見る叡智
1 傷寒論にみられる「型」
傷寒論とは何か
「証-方剤」関係の原理
2 本草学と理論による「型」の補完
本草学の発展
漢方医学を支える三つの柱
3 型体系としての傷寒論
「型」体系としての構成
六病位に沿った学習
病位を跨ぐ学習
4 「型」としての漢方
「型」の特徴への合致
言葉を用いる「型」として
補章2 漢方の歴史と科学
漢方の歴史
漢方への科学的アプローチ
漢方と科学のクロストーク
第3章 科学的方法論と型的方法論
1 科学とは何か
方法論としての科学
科学的方法論に含まれる事項
2 科学的方法論の特徴①―対象の定義の不変性・一意性
科学は対象を明示することから始まる
対象の定義は変更されない
3 科学的方法論の特徴②―要素間の関係性・因果関係
要素間の関係性と因果関係
生命科学にみる要素間の関係性
4 型的方法論の特徴
要素の定義可変性
要素間関係性の非一意性
5 主観性と客観性(合意と共有)
哲学・論理学にみる主観性と客観性
「型」の叡智が示す共同主観性
6 反証性、反駁性、テスト可能性
「型」と疑似「型」の境界線
「型」の更新可能性
補章3 科学と非科学・疑似科学
科学と疑似科学の「線引き問題」
ホーリズム(全体論)と科学
科学を被る
科学に代わる方法論の条件
二項対立を超えて
第4章……型が表現・伝達する叡智の質―把握・発露・現在
1 把握と理解―型的叡智と科学的叡智の受容の違い
科学における理解
「型」における把握
「型」の主体への内在化
2 発露と推論―型的叡智と科学的叡智の活用の違い
科学的叡智による推論
「型」的叡智の発露
主体に応じた「型」の発露
3 今この瞬間を大切にする型
叡智に対する時間感覚の相違
現在という瞬間
4 科学と「型」、それぞれに適する叡智
適した叡智の質
医学における叡智の質の相違―西洋医学と漢方医学
補章4 科学における理解と推論、型における把握と発露
理解と把握
科学における論理的推論
演繹法(deduction)
帰納法(induction)
アブダクション(abduction, retroduction)(仮説形成法・仮説的推論)
第5章 人間や生命にアプローチする型―易経・生命科学
1 人間への型によるアプローチ―易経
易経の型体系
易経にみる把握と発露
2 生命への型によるアプローチ―生命科学と記号論
解剖的アプローチ
システム的アプローチ
理論的アプローチ
構成論的アプローチ
記号論的アプローチ
「型」的アプローチによる生命の把握
生命科学への発露
「型」的アプローチにおける主体性の発揮
生命科学を刷新しうる創造性とは
補章5 生命科学研究の半世紀
生命科学のパラダイム
通常科学としての生命科学研究
第6章 イノベーションや創造力にアプローチする型―デザイン思考・アート思考
1 ビジネス界で議論される四つの思考法と分類
2 科学・「型」と四つの思考のトポロジー
「型」を作る―デザイン思考と共通性と「型」的運用
「型」としてのデザイン思考の運用
創造力を涵養する「型」―アート思考
アート思考を涵養する環境としての「型」―配置するが説明しない
アート思考する個人への「型」―先覚後知
結 型が切り拓く可能性
1 本書で明らかにしたこと
2 総合学に向けた「型」の活用
総合的な教育と研究の現状
「型」的な総合学の提案
3 生きた「型」の創出に向けて
あとがき
参考文献
English abstract
索引