ホーム > 書籍詳細ページ
富裕層のスポーツハンティングが許される一方で,地域住民の生活のための狩猟が規制される――。地球大気や生物多様性の保全のために住民が犠牲になるアフリカ熱帯雨林の現状は,外部主導の自然保護が抱える課題を浮き彫りにする。人と自然の共存世界の在り方を問う一冊。
第36回大同生命地域研究賞(本書の内容を含む業績に対して)
『林業経済』Vol.74 No.10(2022.1)、22-26頁、評者:目黒紀夫氏
市川 光雄(いちかわ みつお)
1946年愛知県生まれ
京都大学理学部卒業,大学院理学研究科博士課程単位取得退学,理学博士。
京都大学理学部助手,大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授を経て,京都大学名誉教授。
専攻は人類学・アフリカ地域研究
1974年より,コンゴ民主共和国,コンゴ共和国,カメルーン,ケニアなどにおいて狩猟採集社会の調査研究。著書に,『森の狩猟民——ムブティ・ピグミーの生活』(1982年,人文書院)『人類の起源と進化——自然人類学入門』(1987年,共著,有斐閣),『森と人の共存世界』(2001年,共編著,京都大学学術出版会)など。
1946年愛知県生まれ
京都大学理学部卒業,大学院理学研究科博士課程単位取得退学,理学博士。
京都大学理学部助手,大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授を経て,京都大学名誉教授。
専攻は人類学・アフリカ地域研究
1974年より,コンゴ民主共和国,コンゴ共和国,カメルーン,ケニアなどにおいて狩猟採集社会の調査研究。著書に,『森の狩猟民——ムブティ・ピグミーの生活』(1982年,人文書院)『人類の起源と進化——自然人類学入門』(1987年,共著,有斐閣),『森と人の共存世界』(2001年,共編著,京都大学学術出版会)など。
序 章
1 森の世界で進行する変容
2 中央アフリカの森の民「ピグミー」
3 熱帯雨林保護と先住民
4 森の目から世界を問う——本書の構成
(1)3つの生態学
(2)本書の構成
第1章 人類学から地域研究へ
1 旅への誘い——人類学を志す
2 生態人類学を選ぶ——最初のフィールドワーク
3 アフリカでの人類学的調査——イトゥリの森へ
4 ムブティに関する先行研究と当初の調査
5 人類学から民族誌,地域研究へ
6 地球環境問題への関心
第2章 熱帯雨林保護と先住民問題
——世界銀行の森林制度改革援助事業の査閲活動から
1 世界銀行インスペクション・パネルからの要請
2 査閲活動の開始
3 現地での実態調査
4 査閲報告(案)の概要
(1)和平合意直後の森林をめぐる状況と世銀の援助事業
(2)先住民からの訴えと世銀事業査閲の要請
(3)新しい森林法とそれに基づく世銀事業の問題点
(4)伐採に替わる道——森林制度改革と貧困削減
5 査閲委員会の報告とその後の経過
6 熱帯雨林と先住民をめぐる動き
(1)熱帯雨林保護の仕組み
(2)先住民=森の民の問題
(3)アフリカの先住民とは
第3章 森と人の共存世界
1 現代の環境問題と「無限の自然」観
2 人為による植生の改良
3 熱帯雨林域で進む開発と紛争
4 森林の多様性に依存した文化——文化生態学
5 森林環境に対する人為の影響——歴史生態学
(1)二次林環境に多い野生食用植物
(2)ワイルドヤム・クウェスチョン——二次林環境の再評価
(3)アフリカ森林帯における人為植生の例
(4)イトゥリの森における長期的な植生遷移
6 二元論的自然観にもとづく自然保護
7 共存世界の危機とそれへの対処——政治生態学
第4章 ブッシュミート問題と森林法
1 ブッシュミート流通の拡大
2 アフリカにおける野生ブッシュミートの利用
(1)タンパク源としての重要性
(2)ブッシュミートに対する文化的意味づけ
3 ブッシュミート取引の拡大とその影響
——コンゴ民主共和国とカメルーン
(1)狩猟産物の商品化
(2)ブッシュミート交易の開始と拡大
(3)経済危機の影響——カメルーンの場合
4 ブッシュミート問題への対処と保護政策——カメルーンの場合
(1)熱帯雨林の危機と新しい自然保護の必要性
(2)森林法による土地利用区分
(3)狩猟規制と地域住民の生活
5 持続的利用に向けて
第5章 非木材森林資源の持続的利用
——カメルーンにおける新しい試み
1 カメルーンでの調査に着手
2 カメルーンの森林事情
3 SATREPSプロジェクト
4 調査地と基地の建設5
5 調査の成果(1)——NTFPsの利用
(1)焼畑農耕の持続性
(2)植生調査の結果
(3)非木材森林資源の分布
(4)NTFPsの生産量と収穫量
(5)NTFPsの生計及び世帯収入における重要性
(6)NTFPsの商業化をめぐる社会的問題
6 調査の成果(2)——持続的狩猟の可能性
(1)動物の調査と商業的狩猟の影響
(2)捕獲構成種の変化
7 資源の持続性を支える社会システム
8 プロジェクトの成果とその位置づけ
第6章 狩猟採集民の生き方と現代社会
1 「現在に向けられた関心」
2 狩猟採集民の窮乏化
3 不安定な国民経済と安定した物々交換
4 物々交換の意味
5 新しい経済機会の陥穽
参考文献
あとがき
索引
1 森の世界で進行する変容
2 中央アフリカの森の民「ピグミー」
3 熱帯雨林保護と先住民
4 森の目から世界を問う——本書の構成
(1)3つの生態学
(2)本書の構成
第1章 人類学から地域研究へ
1 旅への誘い——人類学を志す
2 生態人類学を選ぶ——最初のフィールドワーク
3 アフリカでの人類学的調査——イトゥリの森へ
4 ムブティに関する先行研究と当初の調査
5 人類学から民族誌,地域研究へ
6 地球環境問題への関心
第2章 熱帯雨林保護と先住民問題
——世界銀行の森林制度改革援助事業の査閲活動から
1 世界銀行インスペクション・パネルからの要請
2 査閲活動の開始
3 現地での実態調査
4 査閲報告(案)の概要
(1)和平合意直後の森林をめぐる状況と世銀の援助事業
(2)先住民からの訴えと世銀事業査閲の要請
(3)新しい森林法とそれに基づく世銀事業の問題点
(4)伐採に替わる道——森林制度改革と貧困削減
5 査閲委員会の報告とその後の経過
6 熱帯雨林と先住民をめぐる動き
(1)熱帯雨林保護の仕組み
(2)先住民=森の民の問題
(3)アフリカの先住民とは
第3章 森と人の共存世界
1 現代の環境問題と「無限の自然」観
2 人為による植生の改良
3 熱帯雨林域で進む開発と紛争
4 森林の多様性に依存した文化——文化生態学
5 森林環境に対する人為の影響——歴史生態学
(1)二次林環境に多い野生食用植物
(2)ワイルドヤム・クウェスチョン——二次林環境の再評価
(3)アフリカ森林帯における人為植生の例
(4)イトゥリの森における長期的な植生遷移
6 二元論的自然観にもとづく自然保護
7 共存世界の危機とそれへの対処——政治生態学
第4章 ブッシュミート問題と森林法
1 ブッシュミート流通の拡大
2 アフリカにおける野生ブッシュミートの利用
(1)タンパク源としての重要性
(2)ブッシュミートに対する文化的意味づけ
3 ブッシュミート取引の拡大とその影響
——コンゴ民主共和国とカメルーン
(1)狩猟産物の商品化
(2)ブッシュミート交易の開始と拡大
(3)経済危機の影響——カメルーンの場合
4 ブッシュミート問題への対処と保護政策——カメルーンの場合
(1)熱帯雨林の危機と新しい自然保護の必要性
(2)森林法による土地利用区分
(3)狩猟規制と地域住民の生活
5 持続的利用に向けて
第5章 非木材森林資源の持続的利用
——カメルーンにおける新しい試み
1 カメルーンでの調査に着手
2 カメルーンの森林事情
3 SATREPSプロジェクト
4 調査地と基地の建設5
5 調査の成果(1)——NTFPsの利用
(1)焼畑農耕の持続性
(2)植生調査の結果
(3)非木材森林資源の分布
(4)NTFPsの生産量と収穫量
(5)NTFPsの生計及び世帯収入における重要性
(6)NTFPsの商業化をめぐる社会的問題
6 調査の成果(2)——持続的狩猟の可能性
(1)動物の調査と商業的狩猟の影響
(2)捕獲構成種の変化
7 資源の持続性を支える社会システム
8 プロジェクトの成果とその位置づけ
第6章 狩猟採集民の生き方と現代社会
1 「現在に向けられた関心」
2 狩猟採集民の窮乏化
3 不安定な国民経済と安定した物々交換
4 物々交換の意味
5 新しい経済機会の陥穽
参考文献
あとがき
索引