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日常言語には「酒に飲まれる」(隠喩)、「漱石を読む」(換喩)、「公然の秘密」(矛盾語法)などの修辞表現がみられるが、そのメカニズムを言語学的に分析すれば、人間の思考の癖、ひいては人間性とは何かなど、興味深い知見が得られる。本書は認知言語学の立場からこの問題に迫り、言語現象を認知能力の発現とみた最新の成果を提供する。
伊藤 薫(いとう かおる)
1988年愛知県生まれ。九州大学言語文化研究院助教。京都大学博士(人間・環境学)。京都大学非常勤講師,奈良先端科学技術大学院大学博士研究員などを経て現職。
主な論文
Idea density in Japanese for the early detection of dementia based on narrative speech,(PLOS ONE, 13(12), 2018, 共著),「文脈が修辞表現の理解に及ぼす影響」(山梨正明他編『認知言語学論考』No. 13, 2016),「修辞表現と意味の衝突の解決詳細な記述方法の確立に向けての試論」(『大阪医科大学紀要 人文研究』No. 46・47, 2016),「直喩再考“like” の機能と様々な修辞技法の関連について」(『日本認知言語学会論文集』No. 15, 2015),Metaphor and Consistency in Text: A Corpus-based Study(Papers in Linguistic Science, 20: Department of Linguistic Science, Graduate School of Human and Environmental Studies, Kyoto University, 2014),「Opposed termsを基にしたオクシモロンの分類」(『日本認知言語学会論文集』No. 13, 2013),「オクシモロンにおける矛盾の解決についてドメインの観点から」(児玉一宏・小山哲春編『山梨正明教授退官記念論文集 言語の創発と身体性』,ひつじ書房,2013),他。
1988年愛知県生まれ。九州大学言語文化研究院助教。京都大学博士(人間・環境学)。京都大学非常勤講師,奈良先端科学技術大学院大学博士研究員などを経て現職。
主な論文
Idea density in Japanese for the early detection of dementia based on narrative speech,(PLOS ONE, 13(12), 2018, 共著),「文脈が修辞表現の理解に及ぼす影響」(山梨正明他編『認知言語学論考』No. 13, 2016),「修辞表現と意味の衝突の解決詳細な記述方法の確立に向けての試論」(『大阪医科大学紀要 人文研究』No. 46・47, 2016),「直喩再考“like” の機能と様々な修辞技法の関連について」(『日本認知言語学会論文集』No. 15, 2015),Metaphor and Consistency in Text: A Corpus-based Study(Papers in Linguistic Science, 20: Department of Linguistic Science, Graduate School of Human and Environmental Studies, Kyoto University, 2014),「Opposed termsを基にしたオクシモロンの分類」(『日本認知言語学会論文集』No. 13, 2013),「オクシモロンにおける矛盾の解決についてドメインの観点から」(児玉一宏・小山哲春編『山梨正明教授退官記念論文集 言語の創発と身体性』,ひつじ書房,2013),他。
まえがき
第1章 日常的に行われる修辞表現の理解
1.1 普通でない「普通の表現」
1.2 文脈と修辞表現の自然さ
1.3 言語学のフィルターを通して見た修辞表現
1.4 本書のねらい
第2章 分析の前提とする概念
2.1 選択制限の違反と意味の衝突
2.1.1 選択制限の違反とは
2.1.2 意味の衝突
2.1.3 選択制限の違反によるメタファーの説明とその限界
2.2 認知言語学の諸概念
2.2.1 百科事典的意味論
2.2.2 概念構造に関わる心的モデル
2.2.3 依存構造・精緻化と対応関係
2.2.4 概念メタファー理論
2.3 談話・テクスト研究と修辞表現
2.3.1 修辞表現の研究方法:言語能力と言語運用
2.3.2 プロダクトとしてのテクストvs.プロセスとしてのテクスト
2.3.3 結束性・一貫性・談話トピック
2.3.4 テクストの一貫性に対する期待
第3章 修辞表現の理解に影響を与える要因
3.1 複数要因モデル
3.1.1 規則から要因へ
3.1.2 複数の要因を仮定するモデルの可能性
3.1.3 量的アプローチ
3.2 ボトムアップ的要因
3.2.1 ミクロレベルの整合性
3.2.2 文の内容と文外の要素
3.2.3 修辞表現の文法的単位
3.3 トップダウン的要因
3.3.1 結束性と語義一貫性
3.3.2 談話トピックと一貫性
3.3.3 テクスト内で構築される知識
コラム① 実世界のオクシモロン①
第4章 メタファーの理解
4.1 意味の衝突とメタファーの理解
4.1.1 意味の衝突の検出
4.1.2 オクシモロンに見られる意味の衝突の解消と修辞表現の重層性
4.1.3 ドメインマッピングとドメインの所在
4.2 テクストにおけるメタファーの実現
4.2.1 隠喩クラスターの文脈
4.2.2 異義兼用の文脈
4.2.3 異義反復と語彙的結束性
4.3 聞き手の期待との乖離
4.4 テクストにおける意味の不変性の計量
4.4.1 語義の一貫性とその基準
4.4.2 語義の一貫性についての調査
4.4.3 テクストにおける語義のマネジメント
コラム② 実世界のオクシモロン②
第5章 メトニミーの理解
5.1 意味の衝突とメトニミーの理解
5.1.1 アクティヴゾーンの乖離と参照点構造
5.1.2 メトニミーと品詞,文法的単位
5.1.3 転喩と意味の衝突
5.1.4 百科事典的知識と「死んだ」メトニミー
5.2 テクストにおける隣接関係の構築
5.2.1 隣接関係の所在
5.2.2 名詞のメトニミー:タイプとインスタンス
5.2.3 テクストで生じるメトニミーの定着
5.3 テクストにおける語の指示対象の変化
5.3.1 分析対象とするテクスト
5.3.2 小説を通した名詞の語義の追跡
5.3.3 結束性,意味の衝突とテクスト内の隣接関係
コラム③ 音楽と修辞表現
第6章 修辞表現の理解に関わる諸要因の相互作用
6.1 要因間の相互作用
6.1.1 衝突の回避とマクロ的要因の介入
6.1.2 「意味の衝突」の拡張
6.1.3 一貫性への期待とミクロ・マクロの相互作用
6.2 メタファーとメトニミーの相互作用と差異
6.2.1 メタファーとメトニミーの相互作用
6.2.2 語義の一貫性:メタファーとメトニミーの差異
コラム④ 円安と円高
第7章 結語と展望
7.1 本書の言語学的意義
7.2 展望と結び
あとがき
参考文献
用語解説
付録 語義一貫性に関する調査で使用したタグの分類
索引(人名・事項・出典)
第1章 日常的に行われる修辞表現の理解
1.1 普通でない「普通の表現」
1.2 文脈と修辞表現の自然さ
1.3 言語学のフィルターを通して見た修辞表現
1.4 本書のねらい
第2章 分析の前提とする概念
2.1 選択制限の違反と意味の衝突
2.1.1 選択制限の違反とは
2.1.2 意味の衝突
2.1.3 選択制限の違反によるメタファーの説明とその限界
2.2 認知言語学の諸概念
2.2.1 百科事典的意味論
2.2.2 概念構造に関わる心的モデル
2.2.3 依存構造・精緻化と対応関係
2.2.4 概念メタファー理論
2.3 談話・テクスト研究と修辞表現
2.3.1 修辞表現の研究方法:言語能力と言語運用
2.3.2 プロダクトとしてのテクストvs.プロセスとしてのテクスト
2.3.3 結束性・一貫性・談話トピック
2.3.4 テクストの一貫性に対する期待
第3章 修辞表現の理解に影響を与える要因
3.1 複数要因モデル
3.1.1 規則から要因へ
3.1.2 複数の要因を仮定するモデルの可能性
3.1.3 量的アプローチ
3.2 ボトムアップ的要因
3.2.1 ミクロレベルの整合性
3.2.2 文の内容と文外の要素
3.2.3 修辞表現の文法的単位
3.3 トップダウン的要因
3.3.1 結束性と語義一貫性
3.3.2 談話トピックと一貫性
3.3.3 テクスト内で構築される知識
コラム① 実世界のオクシモロン①
第4章 メタファーの理解
4.1 意味の衝突とメタファーの理解
4.1.1 意味の衝突の検出
4.1.2 オクシモロンに見られる意味の衝突の解消と修辞表現の重層性
4.1.3 ドメインマッピングとドメインの所在
4.2 テクストにおけるメタファーの実現
4.2.1 隠喩クラスターの文脈
4.2.2 異義兼用の文脈
4.2.3 異義反復と語彙的結束性
4.3 聞き手の期待との乖離
4.4 テクストにおける意味の不変性の計量
4.4.1 語義の一貫性とその基準
4.4.2 語義の一貫性についての調査
4.4.3 テクストにおける語義のマネジメント
コラム② 実世界のオクシモロン②
第5章 メトニミーの理解
5.1 意味の衝突とメトニミーの理解
5.1.1 アクティヴゾーンの乖離と参照点構造
5.1.2 メトニミーと品詞,文法的単位
5.1.3 転喩と意味の衝突
5.1.4 百科事典的知識と「死んだ」メトニミー
5.2 テクストにおける隣接関係の構築
5.2.1 隣接関係の所在
5.2.2 名詞のメトニミー:タイプとインスタンス
5.2.3 テクストで生じるメトニミーの定着
5.3 テクストにおける語の指示対象の変化
5.3.1 分析対象とするテクスト
5.3.2 小説を通した名詞の語義の追跡
5.3.3 結束性,意味の衝突とテクスト内の隣接関係
コラム③ 音楽と修辞表現
第6章 修辞表現の理解に関わる諸要因の相互作用
6.1 要因間の相互作用
6.1.1 衝突の回避とマクロ的要因の介入
6.1.2 「意味の衝突」の拡張
6.1.3 一貫性への期待とミクロ・マクロの相互作用
6.2 メタファーとメトニミーの相互作用と差異
6.2.1 メタファーとメトニミーの相互作用
6.2.2 語義の一貫性:メタファーとメトニミーの差異
コラム④ 円安と円高
第7章 結語と展望
7.1 本書の言語学的意義
7.2 展望と結び
あとがき
参考文献
用語解説
付録 語義一貫性に関する調査で使用したタグの分類
索引(人名・事項・出典)