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公用語を使って生きる力を補償しながら,民族文化の多様性を尊重する――アメリカの言語教育とは,公民権運動以来の国是とも関わる,理論と実践と闘いの歴史であった。多様性が尊重されれば学力が低下し,学力を重視すれば多様性が蔑ろにされるという揺らぎを常に抱えつつ,それを宿命とすることなく,その双方を補償する道を探ってきた歴史を丹念に追い,C. スノーらによる最新の取り組みを紹介しながら,その到達点を総括する。現代日本が向かう多文化社会の教育の在り方にも,強い示唆を与える意欲作。
山本 はるか(やまもと はるか)
1984 年,兵庫県伊丹市生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。日本学術振興会特別研究員を経て,2015 年度より,帝塚山学院大学教職実践研究センター助教。専門は,教育方法学。
主な著書に,『パフォーマンス評価―思考力・判断力・表現力を育む授業づくり』(共著,ぎょうせい,2011 年),『新しい教育評価入門―人を育てる評価のために』(共著,有斐閣,2015 年),『戦後日本教育方法論史(下)―各教科・領域等における理論と実践』(共著,ミネルヴァ書房,2017 年),『「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価―アクティブ・ラーニングをどう充実させるか』(共著,明治図書,2017 年),『よくわかる教育課程(第2 版)』(共著,ミネルヴァ書房,2018 年)など。
1984 年,兵庫県伊丹市生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。日本学術振興会特別研究員を経て,2015 年度より,帝塚山学院大学教職実践研究センター助教。専門は,教育方法学。
主な著書に,『パフォーマンス評価―思考力・判断力・表現力を育む授業づくり』(共著,ぎょうせい,2011 年),『新しい教育評価入門―人を育てる評価のために』(共著,有斐閣,2015 年),『戦後日本教育方法論史(下)―各教科・領域等における理論と実践』(共著,ミネルヴァ書房,2017 年),『「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価―アクティブ・ラーニングをどう充実させるか』(共著,明治図書,2017 年),『よくわかる教育課程(第2 版)』(共著,ミネルヴァ書房,2018 年)など。
いま,「言語」教育を考える意味
——<多文化性の尊重>と<学力保障>の両立は可能か?
序章 〈多文化性の尊重〉と〈学力保障〉の歴史から学ぶ
第1節 「多文化性」をめぐる歴史的展開——本書の問題意識
⑴ 同化・融合主義から文化多元主義へ
——アメリカ建国時から現代に至る文化をめぐる状況
⑵ 文化の多様性に対する教育の対応
第2節 言語教育をみる3つの視点
⑴ 国語科教育としての言語教育
⑵ リテラシーの育成としての言語教育
⑶ 権利としての言語教育
第3節 「多文化性の尊重」と「学力保障」の両立のあり方を探る
——本書の視角と構成
第1章 「平等性」の実現をめざす言語教育の源流
第1節 公民権運動の展開と補償教育の必要性の提起
第2節 補償教育の具体像
⑴ 文化剥奪論にもとづくヘッド・スタート・プログラムの実施
⑵ フォロー・スルー・プログラムの実施
⑶ 補償教育の効果の評価と批判
第3節 他者文化か自文化か
——文化的多様性を背景とした言語教育の2つの方向
第2章 子どもたちの「言語経験」を重視する立場からの提案
第1節 グレイによる機能的リテラシー論の提起
⑴ 4つの指導段階
⑵ 教材集『人々と発展』——「素晴らしき川」の分析
第2節 ダートマス・セミナーにおける「言語経験」の重視
第3節 ブルーナーによる「レリバンス」概念の提唱
⑴ 『教育の過程』への反省
⑵ 2つの「レリバンス」概念の提起
第4節 「個人的レリバンス」と「社会的レリバンス」の両立
第3章 ホール・ランゲージ運動における多文化性
第1節 「基礎に帰れ」運動の具体像
⑴ 時代背景
⑵ 「基礎読本」の特徴
第2節 ホール・ランゲージ運動の興隆
⑴ 理論的背景と問題意識
⑵ 共同学習者としての教師
⑶ 批判的教育学からの示唆を踏まえたホール・ランゲージ実践
第3節 言語教育における基礎・基本と「真正性」
第4章 言語科スタンダードの開発
第1節 アメリカにおけるスタンダード運動の興隆とそれをめぐる議論
第2節 SELAの開発
⑴ 開発の経緯
⑵ SELA における「多文化性」と「普遍性」
⑶ SELA における「文学」教育の知識
第3節 イリノイ州における言語科スタンダード
第4節 『事例集』における評価事例
⑴ 『事例集』における評価の枠組み
⑵ 「文学作品への反応」の評価課題
第5節 イリノイ州における「文学」領域のパフォーマンス評価
第6節 「多文化性」をくぐりぬけた「普遍性」
第5章 言語教育における科学性と有効性
第1節 スノーの問題意識
⑴ 補償教育が直面する課題の克服に向けて
⑵ ホーム・スクール・スタディ実施にあたって
⑶ 読む力の分析から,読む力の向上へ 研究手法と成果
第2節 要素の背後にある実践の多様性と意図性への配慮
⑴ 「全米読解委員会」の目的と成果
⑵ 「低年齢児の読むことの困難性の予防に関する委員会」の
問題意識と成果
第3節 「RAND読解研究グループ」の成果
⑴ 「読解」概念の定義と「評価」の再検討——研究目的
⑵ 「読解」概念の整理
⑶ 「評価」方法の提起
第4節 「理解」や「評価」の概念の見直しと実践の重視
第6章 『ヴォイシズ・リーディング』にみる可能性
第1節 『ヴォイシズ』の全体像
⑴ 目的
⑵ 構成
第2節 『ヴォイシズ』の内容とその特徴——単元の分析
⑴ 幼稚園段階
⑵ 第5学年段階
第3節 「自立した読者」を育てる長期的な道筋
終 章
第1節 現代アメリカにおける言語教育の歴史から何を学ぶか
⑴ 「多文化性の尊重」と「学力保障」の両立への不断の実践
⑵ 「多文化性の尊重」と「学力保障」を両立する教育内容の選択と
長期的カリキュラムの構想
⑶ 日本の教育への示唆
第2節 言語教育における教育目標・評価研究の継続と深化
——今後の課題
引用・参考文献
おわりに
索引
——<多文化性の尊重>と<学力保障>の両立は可能か?
序章 〈多文化性の尊重〉と〈学力保障〉の歴史から学ぶ
第1節 「多文化性」をめぐる歴史的展開——本書の問題意識
⑴ 同化・融合主義から文化多元主義へ
——アメリカ建国時から現代に至る文化をめぐる状況
⑵ 文化の多様性に対する教育の対応
第2節 言語教育をみる3つの視点
⑴ 国語科教育としての言語教育
⑵ リテラシーの育成としての言語教育
⑶ 権利としての言語教育
第3節 「多文化性の尊重」と「学力保障」の両立のあり方を探る
——本書の視角と構成
第1章 「平等性」の実現をめざす言語教育の源流
第1節 公民権運動の展開と補償教育の必要性の提起
第2節 補償教育の具体像
⑴ 文化剥奪論にもとづくヘッド・スタート・プログラムの実施
⑵ フォロー・スルー・プログラムの実施
⑶ 補償教育の効果の評価と批判
第3節 他者文化か自文化か
——文化的多様性を背景とした言語教育の2つの方向
第2章 子どもたちの「言語経験」を重視する立場からの提案
第1節 グレイによる機能的リテラシー論の提起
⑴ 4つの指導段階
⑵ 教材集『人々と発展』——「素晴らしき川」の分析
第2節 ダートマス・セミナーにおける「言語経験」の重視
第3節 ブルーナーによる「レリバンス」概念の提唱
⑴ 『教育の過程』への反省
⑵ 2つの「レリバンス」概念の提起
第4節 「個人的レリバンス」と「社会的レリバンス」の両立
第3章 ホール・ランゲージ運動における多文化性
第1節 「基礎に帰れ」運動の具体像
⑴ 時代背景
⑵ 「基礎読本」の特徴
第2節 ホール・ランゲージ運動の興隆
⑴ 理論的背景と問題意識
⑵ 共同学習者としての教師
⑶ 批判的教育学からの示唆を踏まえたホール・ランゲージ実践
第3節 言語教育における基礎・基本と「真正性」
第4章 言語科スタンダードの開発
第1節 アメリカにおけるスタンダード運動の興隆とそれをめぐる議論
第2節 SELAの開発
⑴ 開発の経緯
⑵ SELA における「多文化性」と「普遍性」
⑶ SELA における「文学」教育の知識
第3節 イリノイ州における言語科スタンダード
第4節 『事例集』における評価事例
⑴ 『事例集』における評価の枠組み
⑵ 「文学作品への反応」の評価課題
第5節 イリノイ州における「文学」領域のパフォーマンス評価
第6節 「多文化性」をくぐりぬけた「普遍性」
第5章 言語教育における科学性と有効性
第1節 スノーの問題意識
⑴ 補償教育が直面する課題の克服に向けて
⑵ ホーム・スクール・スタディ実施にあたって
⑶ 読む力の分析から,読む力の向上へ 研究手法と成果
第2節 要素の背後にある実践の多様性と意図性への配慮
⑴ 「全米読解委員会」の目的と成果
⑵ 「低年齢児の読むことの困難性の予防に関する委員会」の
問題意識と成果
第3節 「RAND読解研究グループ」の成果
⑴ 「読解」概念の定義と「評価」の再検討——研究目的
⑵ 「読解」概念の整理
⑶ 「評価」方法の提起
第4節 「理解」や「評価」の概念の見直しと実践の重視
第6章 『ヴォイシズ・リーディング』にみる可能性
第1節 『ヴォイシズ』の全体像
⑴ 目的
⑵ 構成
第2節 『ヴォイシズ』の内容とその特徴——単元の分析
⑴ 幼稚園段階
⑵ 第5学年段階
第3節 「自立した読者」を育てる長期的な道筋
終 章
第1節 現代アメリカにおける言語教育の歴史から何を学ぶか
⑴ 「多文化性の尊重」と「学力保障」の両立への不断の実践
⑵ 「多文化性の尊重」と「学力保障」を両立する教育内容の選択と
長期的カリキュラムの構想
⑶ 日本の教育への示唆
第2節 言語教育における教育目標・評価研究の継続と深化
——今後の課題
引用・参考文献
おわりに
索引