ホーム > 書籍詳細ページ

プリミエ・コレクション 92

グローバル人事改革の挫折と再生

制度論で捉える組織変革

後藤 将史

A5上製・252頁

ISBN: 9784814001446

発行年月: 2018/03

  • 本体: 3,400円(税込 3,740円
  • 在庫あり
 
  • mixiチェック

内容

今日,企業に求められるのは経済的成長だけではない。社会的責任を果たしているか,適切な企業統治を行っているか,その具体的成果や過程も厳しく問われる。そして,その評価軸は,伝統的な国内の経済文化ではなく「国際的に見て最適か」という視点からなされる。企業は首尾一貫した統合性を保ちながら,こうした社会的期待にどう答えようとしているのか。中でも企業の在り方を変える強い圧力になっているグローバル人事制度を題材に,21世紀に期待される組織の在り方,その実践のヒントを提示する。

プロフィール

後藤 将史(ごとう まさし)
東京大学法学部卒。経営学修士(MBA,INSEAD),経営研究修士(MSc,オックスフォード大学),京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了(博士(経済学))。2010 ―17年度に早稲田大学グローバルエデュケーションセンター(旧メディアネットワークセンター)非常勤講師,2017年度に慶應義塾大学SFC研究所上席所員,慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。
1999年より2014年にかけ,ボストンコンサルティンググループ,ブーズ・アンド・カンパニーにて内外企業に対する戦略・組織コンサルティングを行う。その後2016年までコンサルティング・シンクタンク組織にて執行役員を務める。

主な著作・研究:
後藤将史(2012)『グローバルで勝てる組織を作る7つの鍵 人材活用の新戦略』東洋経済新報社.
後藤将史(2016)「制度の同化圧力を受ける組織における,外的正当性に対する感度―日本企業7社におけるグローバル人事制度導入の事例研究」『国際ビジネス研究』8(1),5 ―25.
Goto, M.(2018)Theorization of institutional change in the emergence of disruptive technology: Big 4 accounting firms and AI audit. Academy of Management Specialized Conference, Big Data and Managing in a Digital Economy(University of Surrey).

目次

序章 新たな「正義」が増え続ける時代の組織

第1章 組織変革の制度理論に向けて
 第1節 組織行動の説明原理  ――制度論からのアプローチ
 (1)組織内プロセスの長期動因としての制度  ――理論的問題意識
 (2)「べき論」による組織変革の行き詰まり  ――実務的問題意識
 第2節 制度理論における先行研究と本書の意義
 (1)制度派組織論の問題意識
 (2)「新制度学派」の登場とそれに対する批判
 (3)近年の制度理論における三つのアプローチ
 (4)本書の視点
 第3節 制度の採用・不実行・再加速のプロセスの比較事例研究
 コラム1 日本企業と経営の流行

第2章 グローバル人事制度と日本企業
 第1節 人事制度普及を論じる意味
 (1)法規,社会規範,模倣圧力  ――制度理論の視角
 (2)日本的人事とグローバル人事  ――二つの制度の相剋と複雑性
 第2節 データ収集と分析の方法
 (1)データ収集
 (2)データ分析
 コラム2 日本企業における「グローバル人材」ブーム

第3章 制度採用:その遅速の要因
 第1節 組織による制度採用のタイミングは何によって決まるのか
 第2節 制度採用の説明要因はどう考えられてきたか
 第3節 制度採用の過程をデータ分析する
 (1)制度採用の遅速の要因
 (2)個別事例の経緯
 第4節 組織の意思決定プロセスの特性が施策採用にどう影響するか

第4章 実行停滞:意図せざる不実行の発生要因
 第1節 採用した制度が不実行に終わるのはなぜか
 第2節 不実行の説明要因はどう考えられてきたか
 第3節 制度採用後の実行過程をデータ分析する
 (1)実行プロセスの概要
 (2)個別事例の経緯
 (3)制度の実行・不実行の要因
 第4節 何が経営陣の意図する改革実行を妨げるのか
 コラム3 「とりあえず」の改革と改革の塩漬け

第5章 実行加速:改革を再加速させる変革リーダーとは
 第1節 推進リーダーの属性は変革にどう影響を及ぼすか
 第2節 停滞した改革が再加速する要因はどう考えられてきたか
 第3節 推進リーダーの交代は何をもたらしたか
 (1)実行プロセスの概要
 (2)個別事例の経過
 (3)リーダーの「制度的執着」と「制度的立場」
 (4)制度的属性が施策実行に及ぼす作用
 第4節 推進リーダーの「制度的属性」と組織反応
 コラム4 推進リーダーの孤独と勇気

第6章 プロセス全体に見る組織反応の原理
 第1節 プロセス全体を通じて何が観察されたか
 第2節 組織フィールドの相対性と組織反応

第7章 結 論
 第1節 制度に対する組織反応の経時的変化  ――理論的総括
 第2節 組織外からの影響に対する組織反応  ――実務的総括

参照文献
あとがき
索引
このページの先頭へ