ホーム > 書籍詳細ページ

多民族社会の軍事統治

出土史料が語る中国古代

宮宅 潔 編

A5上製・402頁

ISBN: 9784814001361

発行年月: 2018/04

  • 本体: 4,800円(税込 5,280円
  • 在庫あり
 
  • mixiチェック

書評

『史學雜誌』第128編 第6号、43-52頁、評者:平田陽一郎氏

プロフィール

宮宅 潔 京都大学 人文科学研究所准教授
丸橋充拓 島根大学 法文学部教授
陳  偉 中国 武漢大学 歴史学院教授
野口 優 中国 中山大学 歴史学系副教授
エノ・ギーレ ドイツハイデルベルク大学 中国学研究所教授
鷹取祐司 立命館大学 文学部教授
孫 聞博 中国 中国人民大学 国学院講師
佐藤達郎 関西学院大学 文学部教授
金 秉駿 韓国 ソウル大学 人文学部東洋史学科教授
金  玄耿  京都大学 大学院文学研究科博士後期課程
藤井律之 京都大学 人文科学研究所助教
佐川英治  東京大学 大学院人文社会系研究科准教授
森部 豊 関西大学 文学部教授
李 基天 韓国 ソウル大学 人文学部東洋史学科講師

目次

はじめに
 ――共同研究の経緯と問題の所在

Ⅰ 研究動向篇
 第1章 中国古代軍事史研究の現状[宮宅 潔]
  はじめに
  1●欧米における中国軍事研究――三つの“Introduction”から
  2●中国における軍事史研究
  3●日本における中国軍事史研究――秦漢時代
  4●「軍事」への注視と史料の洗い直し

 第2章 「闘争集団」と「普遍的軍事秩序」のあいだ
     ――親衛軍研究の可能性[丸橋充拓]
  はじめに
  1●親衛軍研究の近況と展望
  2●親衛軍の二面性
  3●隋唐軍制理解への波及
  おわりに

Ⅱ 論考篇
第1部 「中華」の拡大と軍事制度:占領支配の諸相
 第3章 征服から占領統治へ
     ――里耶秦簡に見える穀物支給と駐屯軍[宮宅 潔]
  はじめに
  1●穀物支給簡の分析
   (1)穀物支給簡の形状と書式
   (2)記載内容の分析
   (3)穀物支給の実態
  2●戍卒への穀物支給
   (1)兵種と支給方法の関係
   (2)穀物の貸与とその償還
   (3)食糧自弁の原則とその限界
  おわりに

 第4章 秦代遷陵県の「庫」に関する初歩的考察[陳 偉]
  1●職掌
  2●吏員
  3●徒隷
  4●関連問題

 第5章 漢代西北辺境防備軍の社会構造
     ――出土史料の分析に基づく方法論的考察[エノ・ギーレ]
  はじめに――典籍史料から
  1●研究上の課題と関連する問題
  2●理論上の土台と軍事制度
  3●徴兵の仕組み
  4●研究状況
  5●肩水金関漢簡から得られる情報と方法論上の問題点

 第6章 漢代長城警備体制の変容[鷹取祐司]
  はじめに
  1●戍卒出身地の変化
   (1)戍卒の出身地記載があり年代が確定できる簡の集成
   (2)肩水金関址出土戍卒簡の時期分布
  2●成帝中期以降における戍卒の出身地変化の背景
   (1)「住―歳―更」制の動揺
   (2)「庸」の拡大とその問題化
  3●居延における長城警備体制の変容
   (1)居延地域の戍卒総数
   (2)吏卒家属の烽燧同居
   (3)戍卒の「庸」化と家属同居
   (4)騎士の烽燧勤務
  おわりに

第2部 軍事制度よりみた古代帝国の構造
 第7章 秦漢「内史―諸郡」武官変遷考
      ――軍事体制より日常行政体制への転換を背景として[孫 聞博]
  はじめに
  1●秦及び漢初における「内史―諸郡」の武官の対等構造
  2●武帝以降における地方武官の「辺地化」の趨勢
  3●後漢の軍事組織の「辺地化」と地方の屯兵

 第8章 漢代における周辺民族と軍事
     ――とくに属国都尉と異民族統御官を中心に[佐藤達郎]
  はじめに
  1●漢代における周辺民族の軍事動員とその歴史的影響
  2●漢代における周辺民族の管理
   (1)属国都尉
   (2)「異民族統御官」
  3●属国都尉下の諸民族管理と軍事動員
   (1)属国下の諸民族管理
   (2)軍事動員
   (3)軍役以外の諸雑役への使役
  4●「異民族統御官」下の周辺民族管理と軍事動員――特に烏桓校尉、護羌校尉の場合
   (1)烏桓校尉
   (2)護羌校尉
  5●「帰義蛮夷」をめぐって

 第9章 漢帝国の辺境支配と部都尉[金 秉駿]
  はじめに
  1●部都尉は異民族を主管する特殊機構か
  2●部都尉は郡県に比べて緩やかな政策を展開したか
  3●部都尉は郡都尉とは別の特殊組織か
  4●部都尉は異民族の民事を統御する「治民機関」か
  おわりに

第3部 「中華」の転換と再編:多民族社会における軍事と支配
 第10章 前秦政権における「民族」と軍事[藤井律之]
  はじめに
  1●前秦の兵力
   (1)前秦史概観
   (2)兵力動員数の推移
   (3)動員兵数増加の要因
  2●石刻史料にみえる「民族」と軍事
   (1)鄧太尉祠碑と広武将軍□産碑
   (2)「雑戸」と軍事
   (3)前秦梁阿広墓誌
  3●氐戸の分徙
  おわりに

 第11章 北魏道武帝の「部族解散」と高車部族に対する羈縻支配[佐川英治]
  はじめに
  1●高車伝「得別為部落」条の検討
  2●道武帝と高車諸部族
  3●柔然の勃興
  4●護高車中郎将と附国高車
  おわりに

 第12章 唐前半期における羈縻州・蕃兵・軍制に関する覚書
      ――営州を事例として[森部 豊]
  はじめに
  1●唐代営州の沿革
  2●営州管内の羈縻州と軍府
  3●初唐期の行軍と契丹系軍府
  おわりに

 第13章 唐代高句麗・百済系蕃将の待遇及び生存戦略[李基天]
  1●問題の所在
  2●唐前期における蕃将中の諸衛将軍の任命傾向
  3●高句麗・百済系蕃将の入仕類型
  4●高句麗・百済系蕃将の武官号及び唐朝の待遇
  5●蕃将の勢力基盤
  6●結びに代えて――唐朝の蕃将に対する認識及び蕃将の生存戦略

後記
索引
このページの先頭へ