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半分だけ倒壊したコロッセオ,大阪城の堀跡に生じた凹み,年々高さを増す天井川……。これらはいずれも,“やり過ぎてしまった”開発に対する自然からの反撃である。地下に埋もれた災害の痕跡は,人々がその地で自然と対峙してきた歴史を伝え,現代に続く災害リスクを教えてくれる。私達の暮らす町の下には,どのような歴史が眠っているのだろうか? 地盤災害と人間の関係を探る防災考古学への招待。
第7回古代歴史文化賞 優秀作品賞
月刊『地理』2017年2月号、116頁、評者:吉田英嗣氏
『毎日新聞』2017年2月19日付「今週の本棚」
『毎日新聞』2017年2月19日付「今週の本棚」
釜井 俊孝(かまい としたか)
1957年東京都生。1979年筑波大学卒業(地球科学専攻)。1986年日本大学大学院修了(地盤工学専攻)。利根コンサルタント(株)技師(1979~1986)。通商産業省工業技術院・地質調査所(現・産業技術総合研究所)研究官・主任研究官(1986~1995)。日本大学理工学部土木工学科助手・専任講師・助教授(1995~2000)。京都大学防災研究所助教授・教授(2000~現在)。博士(工学)
主要著書など
『斜面防災都市』理工図書2002年、『地震で沈んだ湖底の村』サンライズ出版2012年、他論文報告多数。
1957年東京都生。1979年筑波大学卒業(地球科学専攻)。1986年日本大学大学院修了(地盤工学専攻)。利根コンサルタント(株)技師(1979~1986)。通商産業省工業技術院・地質調査所(現・産業技術総合研究所)研究官・主任研究官(1986~1995)。日本大学理工学部土木工学科助手・専任講師・助教授(1995~2000)。京都大学防災研究所助教授・教授(2000~現在)。博士(工学)
主要著書など
『斜面防災都市』理工図書2002年、『地震で沈んだ湖底の村』サンライズ出版2012年、他論文報告多数。
釜井俊孝著『宅地の防災学:都市と斜面の近現代』
はじめに―過去から照射する未来
第1章……ローマも一日にしてならず―都市と災害の歴史
永遠にして災害の都
コロッセオのある限り
世界史を揺るがした地震
古代のツインタワー
ローマの地下世界
古代のゴミ山
二〇〇〇年前の震災復興
コラム1 「タルペイアの崖」の地層
コラム2 リスボン地震の災後
第2章……古墳は語る―科学と考古学の間
巨大内陸地震の爪痕
大王の墳墓と地すべり―今城塚古墳
古代航路のランドマーク―西求女塚古墳
プレート地震の感震器
王家の谷の古墳―カヅマヤマ古墳
宅地開発に揺れる古墳―赤土山古墳
コラム3 近畿トライアングル
第3章……水底の証言者
千軒遺跡
御厨の地すべり
湖底に向かう地すべり/湖岸地すべりのメカニズム
フロイスが報告した地すべり
湖底地形が語るもの/複数の地すべり
江戸時代の湖底遺跡
現代のウォーターフロントで
コラム4 海底に残る関東大震災の痕跡
第4章……山崩れと人生
山の木を刈るということ―タブーと防災
石庭の砂の山地
山の成り立ち/山崩れの副産物
開発の始まり
山中の遺跡/埋没黒色土壌
一二世紀の大震災
離宮の谷
マツとはげ山
京マツタケの始まり/花粉は語る
山の寺と土石流
科学の時間と生活の時間/堆積物が語る谷の歴史
崩壊の免疫性/中世の宗教都市
現代の山麓で
コラム5 ヨーロッパの大開墾時代
第5章……天井川時代
天井川はどうしてできたのか
天井川以前―木津川河床遺跡の世界
天井川の基底
南山城、北河内の天井川/多羅尾盆地
周防国府周辺の開発と天井川/天井川の始まり
中世社会と天井川
高まる開発圧力/中世を分かつもの
近世の天井川と周辺地域の洪水
浮世絵に描かれた天井川/食料増産時代の天井川/埋まる古墳
埋まる太閤堤/洪水は止まらない/土砂留制度
近代化の中の天井川
天井川トンネル/近代砂防事業の始まり
鉱毒と天井川/茶畑が作った天井川
現代の天井川
戦中の森林荒廃と戦後の復興/極端気象の時代
コラム6 東南アジアの洪水と森林伐採
第6章……埋もれた近世都市
埋もれた大阪
大阪の成り立ち/埋もれた谷筋/埋もれた崖
大阪城の外堀/近世大阪の産業遺構
秀吉の京都
総構の時代/御土居堀/聚楽第
第7章……埋もれた都の近現代
都市型斜面災害の出現
土地制度が防いでいた災害/欲が招いた崖崩れ
都市における斜面災害の始まり
埋もれた郊外
消えゆく山林/消えゆく里山/宅地の地すべり
おわりに
基礎知識1 地震の痕跡
基礎知識2 地すべり地形
基礎知識3 液状化現象
基礎知識4 年代測定法
基礎知識5 洪水・堆積物
基礎知識6 表面波探査法
第1章……ローマも一日にしてならず―都市と災害の歴史
永遠にして災害の都
コロッセオのある限り
世界史を揺るがした地震
古代のツインタワー
ローマの地下世界
古代のゴミ山
二〇〇〇年前の震災復興
コラム1 「タルペイアの崖」の地層
コラム2 リスボン地震の災後
第2章……古墳は語る―科学と考古学の間
巨大内陸地震の爪痕
大王の墳墓と地すべり―今城塚古墳
古代航路のランドマーク―西求女塚古墳
プレート地震の感震器
王家の谷の古墳―カヅマヤマ古墳
宅地開発に揺れる古墳―赤土山古墳
コラム3 近畿トライアングル
第3章……水底の証言者
千軒遺跡
御厨の地すべり
湖底に向かう地すべり/湖岸地すべりのメカニズム
フロイスが報告した地すべり
湖底地形が語るもの/複数の地すべり
江戸時代の湖底遺跡
現代のウォーターフロントで
コラム4 海底に残る関東大震災の痕跡
第4章……山崩れと人生
山の木を刈るということ―タブーと防災
石庭の砂の山地
山の成り立ち/山崩れの副産物
開発の始まり
山中の遺跡/埋没黒色土壌
一二世紀の大震災
離宮の谷
マツとはげ山
京マツタケの始まり/花粉は語る
山の寺と土石流
科学の時間と生活の時間/堆積物が語る谷の歴史
崩壊の免疫性/中世の宗教都市
現代の山麓で
コラム5 ヨーロッパの大開墾時代
第5章……天井川時代
天井川はどうしてできたのか
天井川以前―木津川河床遺跡の世界
天井川の基底
南山城、北河内の天井川/多羅尾盆地
周防国府周辺の開発と天井川/天井川の始まり
中世社会と天井川
高まる開発圧力/中世を分かつもの
近世の天井川と周辺地域の洪水
浮世絵に描かれた天井川/食料増産時代の天井川/埋まる古墳
埋まる太閤堤/洪水は止まらない/土砂留制度
近代化の中の天井川
天井川トンネル/近代砂防事業の始まり
鉱毒と天井川/茶畑が作った天井川
現代の天井川
戦中の森林荒廃と戦後の復興/極端気象の時代
コラム6 東南アジアの洪水と森林伐採
第6章……埋もれた近世都市
埋もれた大阪
大阪の成り立ち/埋もれた谷筋/埋もれた崖
大阪城の外堀/近世大阪の産業遺構
秀吉の京都
総構の時代/御土居堀/聚楽第
第7章……埋もれた都の近現代
都市型斜面災害の出現
土地制度が防いでいた災害/欲が招いた崖崩れ
都市における斜面災害の始まり
埋もれた郊外
消えゆく山林/消えゆく里山/宅地の地すべり
おわりに
基礎知識1 地震の痕跡
基礎知識2 地すべり地形
基礎知識3 液状化現象
基礎知識4 年代測定法
基礎知識5 洪水・堆積物
基礎知識6 表面波探査法