ホーム > 書籍詳細ページ

環境人間学と地域

シークヮーサーの知恵

奥・やんばるの「コトバ-暮らし-生きもの環」

大西 正幸・宮城 邦昌 編著

A5上製・570頁

ISBN: 9784814000258

発行年月: 2016/03

  • 本体: 6,600円(税込 7,260円
  • 在庫あり
 
  • mixiチェック

内容

やんばる・奥の果樹園のシークヮーサーには驚くべき多様性が見られる。その背景には,異なる形質の果実に名前をつけ,意図的に維持してきた地域の人々の営みがあった。土地の「コトバ」,人々の「暮らし」,それを取り巻く「生きもの」の強固な連関を軸に,文化と自然が密に交感しながら多様性を育む様を明らかにするとともに,消滅危機に瀕する地域言語の継承問題にも焦点を当てる。豊富なオンライン史料・音声データつき。QRコード対応。

書評

『琉球新報』2016.4.12付「あしゃぎ」
『琉球新報』2016.5.15付、読書面、評者:桜井国俊氏
『沖縄タイムス』2016.5.21付、読書面、評者:安渓遊地氏
『沖縄地理学会会報』第64号
『沖縄地理』第16号(2016年6月)、123頁、評者:崎浜靖氏
*Social Science Japan Journal* jyz048, https://doi.org/10.1093/ssjj/jyz048, 評者:Anna WIEMANN氏

プロフィール

【編者】
大西 正幸(おおにし まさゆき) 序章、終章
同志社大学文化遺産情報科学研究センター嘱託研究員
専門分野:記述言語学、言語類型論、言語教育、ベンガル語文学
主な著作:“A Grammar of Motuna (Bougainville, Papua New Guinea)”(単著、Lincom Europa)、“Language Atlas of South Asia”(共編共著、Harvard University)、『危機言語―言語の消滅でわれわれは何を失うのか(地球研ライブラリー)』(ニコラス・エヴァンズ著、共訳、京都大学学術出版会)、『船頭タリニ(インド現代文学選集7)』(タラションコル・ボンドパッダエ著、単独訳、めこん社)など。

宮城 邦昌(みやぎ くにまさ) 第7章、コラム1、2、4、5、7
シシ垣ネットワーク会員、やんばる学研究会員、沖縄地理学会会員、沖縄考古学会会員、南島地名研究センター会員。元在那覇奥郷友会長(2014年度)。
専門分野:気象、地震・津波、奥の猪垣・地名
主な著作:『国頭村立奥小中学校創立90周年記念誌』(編集委員、国頭村奥小中学校)、『奥共同店100周年記念誌』(編集委員、奥共同店)、『日本のシシ垣』(分担執筆、古今書院)、「奥部落のイノシシ垣(ウーガチ)について」(やんばる学研究会会誌創刊号、pp.64~76)、「宜名真のオランダ墓にまつわる遺物について」(やんばる学研究会会誌第2号、pp.38~45)

【執筆者】
石川 隆二(いしかわ りゅうじ) 第1章、終章
弘前大学農学生命科学部教授
専門分野:植物育種学、イネ系統分化
主な著作:「国境を越えて」(佐藤洋一郎編『メコン―風土と野生イネ(アジア遊学No.55)』、分担執筆、勉誠出版)、『〈三内丸山遺跡〉植物の世界』(共著、裳華房)、「自然科学からみたイネの起源」(佐藤洋一郎監修『モンスーン農耕圏の人びとと植物(ユーラシア農耕史1)』分担執筆、臨川書店)、「国境を越えて―イネをめぐるフィールド研究」(佐藤洋一郎・赤坂憲雄編『イネの歴史を探る(フィールド科学の入り口)』分担執筆、玉川大学出版部)

石原 昌英(いしはら まさひで) 第10章
琉球大学法文学部教授
専門分野:社会言語学・言語政策
主な著作:“Language Vitality and Endangerment in the Ryukyus” (Language Crisis in the Ryukyus, Mark Anderson and Patrick Heinrich (eds.), pp.140―168, Newcastle upon Tyne, England: Cambridge Scholars Publishing)

狩俣 繁久(かりまた しげひさ) 第8章、11章
琉球大学 国際沖縄研究所 教授
専門分野:琉球語学
主な著作:「語構成からみた沖縄県名護市幸喜方言の形容詞」(『琉球の方言』39号、法政大学沖縄文化研究所、pp.87―116)、“5. Ryukyuan languages: A grammar overview”(『Handbook of Ryukyuan Linguistics』MOUTON、pp.113―140)、「連体形語尾からみたおもろさうしのオ段とウ段の仮名の使い分け」(『沖縄文化』116号、pp.187―198)、「琉球方言の焦点化助辞と文の通達的なタイプ」(『日本語の研究』第7巻4号、日本語学会、pp.69―81)、「消滅危機方言から見た日本語記述文法の未来」(『日本語文法』11巻2号、pp.16―28)、「琉球語から琉球方言へ、そして琉球語へ」(『沖縄文化』114号、pp.22―32)

齋藤 和彦(さいとう かずひこ) 第6章
森林総合研究所関西支所森林資源管理研究グループ長
専門分野:森林計画学
主な著作:「森林簿にもとづく沖縄県国頭村域の林齢分布の分析」(『環境情報科学論文集』No.25、pp.245―250)、「漁民の森づくり活動の展開について」(山本信次編『森林ボランティア論』J-FIC、第7章、pp.159―182)

島田 隆久(しまだ たかひさ) コラム1、2、4
元奥区長(1995~1998年、2001~2004年)。
専門分野:農業、奥の歴史・文化・産業・風俗・猪垣・地名
主な著作:『字誌 奥のあゆみ』(刊行委員、国頭村奥区事務所)、『ハワイのグワバ産業』(沖縄県農業協同組合、共訳著)、『奥共同店90周年記念誌』(刊行委員、奥共同店)、『国頭村立奥小中学校創立90周年記念誌』(編集委員、国頭村奥小中学校)、『奥共同店100周年記念誌』(実行委員長、奥共同店)、観賞用パインアップル3品種(「ミニパ」、「奥の靑」、「奥の赤」)商標権獲得(2005年)

高橋 そよ(たかはし そよ) 第2章
琉球大学研究推進機構研究企画室リサーチ・アドミニストレーター
専門分野:人類学
主な著作:「魚名からみる自然認識―沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から」(『地域研究』第13号、pp.67―94、沖縄大学地域研究所)、「“楽園”の島シアミル」(宮内泰介・藤林泰編『カツオとかつお節の同時代史』コモンズ、pp.180―196)、「沖縄・佐良浜における素潜り漁師の漁場認識―漁場をめぐる「地図」を手がかりとして」(『エコソフィア』第14号、pp. 101―119)

津村 宏臣(つむら ひろおみ) 第9章
同志社大学文化情報学部准教授/文化遺産情報科学研究センターセンター長
専門分野:人類学、時空間情報科学、行動計量解析学
主な著作:『経済からの脱出(来るべき人類学2)』(分担執筆、春風社)、『生きる場の人類学―土地と自然の認識・実践・表象過程』(分担執筆、京都大学学術出版会)、『実践考古学GIS―先端技術で歴史空間を読む』(分担執筆、NTT出版)、『文化情報学入門』(分担執筆、勉誠出版)、『近現代考古学の射程―今なぜ近現代を語るのか』(分担執筆、六一書房)、『考古学のためのGIS入門』(共編著、古今書院)など。

渡久地 健(とぐち けん) 第2章
琉球大学法文学部准教授
専門分野:地理学
主な著作:「植物景観画としての《奄美の杜》―田中一村絵画の地理学的考察」(『沖縄文化』第38巻第2号、pp.75―100、2003年)、「正保琉球国絵図に描写された奄美・沖縄のサンゴ礁と港」(International Journal of Okinawan Studies, vol. 4, no. 2, pp. 31―45)、「奄美・沖縄のサンゴ礁漁撈文化―漁場知識を中心に」(藤田陽子・渡久地健・かりまたしげひさ編『島嶼地域の新たな展望―自然・文化・社会の融合体としての島々』九州大学出版会、pp. 281―304)

當山 奈那(とうやま なな) 序章「ウクムニー(奥コトバ)の発音の特徴と表記について」、コラム7「まかび話の音声録音について」、第12章
琉球大学研究推進機構戦略的研究プロジェクトセンター特命助教
専門分野:琉球語文法
主な著作:『琉球のことばの書き方―琉球諸語統一的表記法』(分担執筆、くろしお出版)

当山 昌直(とうやま まさなお) 第4章、コラム1、2、4
沖縄県教育庁文化財課主査、沖縄大学地域研究所特別研究員、沖縄国際大学南島文化研究所特別研究員
専門分野:動物学、両生爬虫類学、沖縄の生物文化
主な著作:『奄美沖縄環境史資料集成』(共編著、南方新社)、『ソテツをみなおす』(共編著、ボーダーインク)、『島と海と森の環境史(シリーズ日本列島の三万五千年―人と自然の環境史 第4巻)』(湯本貴和編、田島佳也・安渓遊地責任編集、分担執筆、文一総合出版)など。

中村 愛子(なかむら あいこ) コラム3
名護民話の会
専門分野:野草食

中村 誠司(なかむら せいじ) 第5章
名桜大学総合研究所客員研究員
専門分野:名護やんばるの地域史、字誌
主な著作:『名護市第一次産業振興計画』(共著、名護市)、『字誌づくり入門』(編著、名護市教育委員会)、『羽地大川―山の生活誌』(共著、名護市)、『5000年の記憶―名護市民の歴史と文化』(共著、名護市)など。

新田 義貴(にった よしたか) コラム6
ディレクター・ジャーナリスト ユーラシアビジョン代表
主な作品:映画「歌えマチグヮー」、ETV特集「摩文仁~沖縄戦 それぞれの慰霊」など

ネイサン・バデノック(Nathan Badenoch) 序章、終章
京都大学東南アジア研究所准教授
専門分野:地域研究、東南アジア大陸部、言語文化
主な著作:Badenoch, N and Tomita S. “Mountain People in the Muang: Creation and Governance of Tai polity in Northern Laos”, Southeast Asian Studies, Vol. 2, No. 1, April 2013, pp. 29―67; Lazarus, Badenoch and Nga (eds) Water Rights and Social Justice in the Mekong Region. London and Washington DC: Earthrights.

盛口 満(もりぐち みつる) 3章、コラム1、2、4
沖縄大学人文学部こども文化学科教授
専門分野:植物生態学・理科教育
主な著作:『奄美沖縄環境史資料集成』(分担執筆、南方新社)、『ソテツをみなおす―奄美・沖縄の蘇鉄文化誌』(分担執筆、ボーダーインク)、『生き物の描き方―自然観察の技法』(東京大学出版会)、『雑草が面白い―その名前の覚え方』(新樹社)、『西表島の巨大なマメと不思議な歌』(どうぶつ社)ほか。

目次

巻頭付録
 奥の地名図
 カラー口絵
 新奥案内書
 奥の原風景

「環境人間学と地域」の刊行によせて

序章 奥・やんばるの「コトバ―暮らし―生きもの環」[大西正幸/ネイサン・バデノック]
1 奥・やんばるの魅力を伝えるために
(1)シークヮーサーの知恵 (2)やんばるの中の「奥」  
(3)「奥」の伝統とコトバの重要性 (4)本書の構成と内容について  
2 生物文化多様性と「コトバ―暮らし―生きもの環」
(1)「生物文化多様性」プロジェクト (2)「生物多様性」と「文化多様性」
(3)世界各地の「コトバ―暮らし―生きもの環」
ウクムニー(奥コトバ)の発音の特徴と表記について[當山奈那]

第1部 生きもの

第1章 奥で保存活用される多様なシークヮーサーの知恵[石川隆二]
1―1 奥のシークヮーサーは千変万化
1―2 みかんのふるさと
(1)カンキツと呼ばれるさまざまな果実 (2)栽培種の成立  
(3)日本のカンキツ:温州ミカンとシークヮーサー
1―3 シークヮーサーの多様性
(1)シークヮーサーのさまざまな呼称 (2)生物文化多様性とシークヮーサー (3)おじいが開いたみかん園  (4)パイナップルからシークヮーサーへ (5)シークヮーサー栽培における多様性の意味
1―4 シークヮーサーのDNA調査
(1)DNAによるシークヮーサーの遺伝的多様性の検証
(2)自生するカンキツ:シークヮーサー起源地の検証
(3)やんばる各地でのフィールド調査 (4)遺伝子バンクとしての奥
1―5 シークヮーサーの未来
(1)奥の母親:子は母親を超えられるのか
(2)DNAでシークヮーサーを育種する:氏より育ちか?
(3)方言名とDNA多型

第2章 山裾を縁どり暮らしに彩りを添えてきたサンゴ礁[高橋そよ・渡久地健]
2―1 「山国」の海辺へ
2―2 奥のサンゴ礁の特徴
2―3 言分けられたサンゴ礁地形
(1)パマ/イノー (2)’ピシ/ウンドゥムイ  
(3)’ピシヌパナ/’ピシヌプハ/その他
2―4 地形―生物―漁撈の関係性
(1)ムルル/イノー (2)’ピシ/フムイ/ヤト/ウンドゥムイ/’ピシヌパナ (3)’ピシヌプハ
2―5 サンゴ礁からの「お裾分け」―自給的資源利用と民俗知識
(1)潮干狩り (2)保存食 (3)サンゴやサンゴ砂利の利用
2―6 暮らしに彩りを添えたサンゴ礁の恵み
◉コラム1 奥における植物利用(1)ソテツとリュウキュウバショウ[当山昌直・盛口満・島田隆久・宮城邦昌]

第3章 魚毒植物の利用を軸に見た琉球列島の里山の自然[盛口 満]
3―1 身近な自然とは何か
3―2 琉球列島の里山の消失
3―3 魚毒漁に里山を見る
(1)魚毒漁とはどのようなものか (2)共同行事としての魚毒漁
(3)個人の営みとしての魚毒漁 (4)多様な魚毒漁  
(5)魚毒漁の消失と里山の改変
3―4 琉球列島の里山に見る生物文化多様性

第4章 沖縄島奥の動植物方言およびその生物知識を探る[当山昌直]
4―1 暮らしの中の生きもの
4―2 生きものを認識する
(1)命名:生きものに名前をつける (2)民俗分類:生きものを見分ける
4―3 生きものを利用する
(1)衣 (2)食 (3)薪 (4)住 (5)生産 (6)社会生活
(7)民間療法 (8)遊び・娯楽・趣味 (9)忌避・魔除け・俚諺など (10)行事
4―4 奥の生物知識を探る
(1)認識としての知識 (2)利用としての知識
4―5 奥の動植物方名の特徴
4―6 調査を終えて
◉コラム2 奥における植物利用(2)リュウキュウマツとイタジイ[当山昌直・盛口満・島田隆久・宮城邦昌]

第2部  暮らし

第5章 奥の共同性・自治・ひと―奥研究の未来に向けて[中村誠司]
5―1 島田隆久との出会い
5―2 『奥字ノ事績』をめぐって
(1)共計在和 (2)コトバによる記録の伝統
5―3 奥共同店と自治機構
(1)奥共同店:暮らしの多様性の原動力 (2)奥の自治(政治経済)機構
5―4 民具資料が伝える奧の暮らしの多様な姿
5―5 奥研究
(1)奧研究のあゆみ (2)『字誌 奥のあゆみ』:奧の字文書資料
(3)外からのまなざし:『琉球共産村落之研究』と「琉球村落の研究」
5―6 奥研究の未来―歴史文化を中心に
(1)これまでのシマ社会研究の積み重ね (2)先輩から後輩へ、未来の世代へ (3)膨大な字文書資料を資料化する  (4)奥研究会、資料の収集・保存・利用 (5)『新字誌・奥のあゆみ』に向けて
◉コラム3 奥・やんばるで身近な野草を食べる[中村愛子]

第6章 近代沖縄に継承された近世琉球の造林技術 ―国頭村字奥で見つかった『造林台帳』の分析[齋藤和彦]
6―1 「蔡温の林政」に惹かれて
6―2 沖縄の森林管理における歴史の重要性
6―3 近世から近代に至る沖縄の林業史
(1)沖縄の主要造林樹種 (2)近世琉球の森林管理  
(3)近代沖縄の森林管理
6―4 『造林台帳』の分析
(1)『造林台帳』の概要 (2)何を、どのように造林したのか
(3)何を、どこに造林したのか (4)何を、どこに、いつ頃造林したのか
6―5 「コトバ―暮らし―生きもの環」 ―森林利用に関わる沖縄の伝統知の解明に向けて
(1)近代沖縄の集落レベルの造林実態 (2)「蔡温の林政」の実態解明
(3)方言地名のGISデータ化
◉コラム4 奥における植物利用(3)ホウライチクとリュウキュウチク[当山昌直・盛口満・島田隆久・宮城邦昌]

第7章 地名に見る奥の暮らしの多様性[宮城邦昌]
7―1 地名図作成の経緯
(1)開墾での出会いと体験 (2)奥の地名調査と地名図作成
7―2 奥の地名分類
(1)地名分類の概要 (2)自然に関わる地名 (3)暮らしに関わる地名
7―3 地名から見る奥共同体の暮らしの歴史
(1)イノシシ垣 (2)ウプドーにあった奥中学校  
(3)消えた県道(宇座浜―奥を結ぶ海岸沿いの県道) (4)奥郵便局と電話
(5)外からの来訪者
7―4 地名語彙の多様性―その地域差と歴史的変遷
(1)地域による違い (2)歴史的変遷
7―5 地名調査を終えて
◉コラム5 アブントーの大蛇の話[宮城邦昌]

第3部 コトバ

第8章 琉球方言の言語地理学と動的系統樹 ―琉球方言研究の現代的意義と可能性[かりまたしげひさ]
8―1 フィールドワーク
8―2 琉球方言の多様性
8―3 琉球方言の言語地理学的研究
(1)やんばる方言の言語地図とやんばる方言の多様性  
(2)語形の多様性から変化を探る (3)分布にみる地域の歴史
8―4 琉球方言の系統樹研究
(1)動的言語系統樹 (2)動的言語系統樹のピラミッド
8―5 危機に対する意識

第9章 コトバと暮らしのミームを探る ―変化する“環”を捕まえる[津村宏臣]
9―1 「風が吹けば桶屋が儲かる」式世界への挑戦
(1)合理性の波が洗い流すモノ  
(2)「風が吹けば桶屋が儲かる」式世界の不可逆性
(3)風を止めることが、変化を食い止めるのか?
9―2 因果性のジレンマとの対峙
(1)因果性のジレンマと“環”の関係 (2)“環”に見えている“環”のようなモノ (3)進化論と因果性のジレンマ  (4)意伝子と系統解析と空間相関
9―3 やんばるのコトバ
(1)データ化した暮らしのある場所とコトバ
(2)各種の系統分析結果の可視化 (3)系統樹と空間分布の傾向から
9―4 眼前にある“環”の前と後
◉コラム6 おじぃはなぜ、最期の言葉をウクムニーで語ったのか?[新田義貴]

第10章 ウクムニー(奥方言)の活力と危機度について[石原昌英]
10―1 私とウクムニー
10―2 ウクムニーの活力
(1)言語の世代間継承 (2)話者人口と総人口に占める話者人口の割合
(3)言語の使用領域 (4)新しい領域およびメディアでの言語使用
(5)言語教材
10―3 ウクムニーに関する言語意識
(1)行政機関等の言語意識と政策  (2)地域住民の言語意識
10―4 ウクムニーの記録保存
10―5 ウクムニーを残していくために
◉コラム7 『いそーはるまかびばなし(面白い嘘話)』[宮城邦昌・當山奈那]

第11章 消滅危機方言における辞典の役割[かりまたしげひさ]
11―1 二つの方言辞典草稿との出会い
11―2 消えゆく故郷のコトバ
11―3 シマクトゥバと地域文化
11―4 シマの百科事典
(1)栽培植物の記述 (2)シマの生産活動と生活  
(3)形容詞はおもしろい (4)例文の充実
  
第12章 「ウクムニー」習得のための音声教材試作版の作成[當山奈那]
12―1 出会い
12―2 ウクムニーペーハナレー(奥方言早習い)の企画と開発
12―3 沖縄県の「方言ラーニング」商品について
12―4 琉球大学琉球語学研究室の取り組み
(1)地域方言を習得するための教材:方言多様性教育のために  
(2)音声教材の構成 (3)副次的な存在としての文字テキストの可能性
12―5 他の方言の「ペーハナレー」
12―6 奥の先輩方のコトバを話そう
調査、音声編集の概要について

終章 「コトバ―暮らし―生きもの環」の未来 ―奥・やんばるモデルを共有する[大西正幸/石川隆二/ネイサン・バデノック]
1 次世代継承をめぐって―与論高校生との対話
(1)与論島と奥・やんばる (2)与論高校生との対話
2 アジア大陸域・太平洋島嶼域の「コトバ―暮らし―生きもの環」
(1)ラオス山岳地帯 (2)ブーゲンビルの内戦と復興
3 ブーゲンビルと奥―二つの対話
(1)【対談1】ブーゲンビル戦:戦争体験の共有と和解  
(2)【対談2】ブーゲンビル国家形成に向けて:奥共同体の自治に学ぶ
4 「コトバ―暮らし―生きもの環」の未来
(1)各地域のアジェンダと課題  (2)コトバ多様性の維持・継承に向けて

あとがき
謝辞
索引
執筆者紹介
このページの先頭へ