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民主主義の歴史を持たずに独立の共同体を形成し,種々の対立や社会変動を経たマレーシア.彼らは相互主義に基づいて,政治的権利を制限する法を協議的に構築・運用し,政治共同体の秩序化を目指した.このような制度と体制はなぜ持続的たりえたのか.その問題点は何か.1971年以降の法制定過程を分析し,マレーシア政治体制論の再構築を試みる.
第27回大平正芳記念賞
『アジア経済』Vol.53 No.5、95-99頁、評者:中村正志氏
『アジア・アフリカ地域研究』No.31 2014、49-52頁、評者:外山文子氏
『東南アジア研究』51巻1号、188-190頁、評者:伊賀司氏
『アジア・アフリカ地域研究』No.31 2014、49-52頁、評者:外山文子氏
『東南アジア研究』51巻1号、188-190頁、評者:伊賀司氏
鈴木絢女(すずき あやめ)
1977年 神奈川県生まれ
2000年 慶應義塾大学法学部卒業
2007年 東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了
2008年 博士(学術)取得
現在,日本学術振興会特別研究員(PD)
1977年 神奈川県生まれ
2000年 慶應義塾大学法学部卒業
2007年 東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了
2008年 博士(学術)取得
現在,日本学術振興会特別研究員(PD)
序 章 マレーシアの政治体制をどのように見るか?
1―どのような政治体制か
2―マレーシアの政治体制の持続性
3―政治体制の性質と持続性はどのように説明されてきたか
4―本書の議論―協議・相互主義的制度
5―本書の構成
第1章 協議・相互主義的制度から見るマレーシア ―先行研究の整理と本書の主張―
1―既存研究の概観
―準権威主義体制論,開発独裁論,民族間権力不均衡論
2―既存研究の問題点
―「支配集団」vs.「被支配集団」/「欠如態」としての政治体制解釈
3―定義・焦点・分析の枠組み
4―協議・相互主義的制度から見るマレーシア
第2章 マレーシア政治史の概観
1―独立前の状況
2―独立後~1969年の政治
―冷戦下の自由と民族の権利の争点化
3―1970年代の政治
―民族の権利に関する政治的権利の制限と新経済政策(NEP)
4―1980年代の政治―経済開発と政治的権利の漸進的制限
5―1990年代の政治
―「民主化」運動と協議的決め方の制度化
6―アブドゥッラー政権成立後
―制度変更なき「自由化」とその帰結
第3章 1971年憲法(修正)法 ―民族的属性に由来する権利をめぐる取引―
1―5月13日暴動―連盟党間での独立時の合意への挑戦
2―暴動後の政治―議会停止と民族的属性に由来する権利の争点化
3―暴動後の経済政策―新経済政策(NEP)の策定
4―国家諮問評議会における政治制度をめぐる議論
5―議会再開へ向けた諸勢力の思惑
6―1971年憲法(修正)法案の内容とインプリケーション
7―法案に対する態度(1)―与党
8―法案に対する態度(2)―野党とその他の主体
9―1971年憲法(修正)法案をめぐる政治過程のまとめ
10―新たな憲法規定はどのように運用されたのか―扇動法の適用と拡大版与党連合の成立
11―小括―民族間の箍のはめ合いとしての憲法改正
第4章 1981年,1983年結社法(修正)法 ―新興主体NGOの制御と包摂―
1―1970年代の産業政策への社会の不満
2―NGO,都市部中間層,民間セクターによる政治活動
3―1981年結社法(修正)法案
4―1981年結社法の修正へ向けた政府・結社間の協議
5―1982年結社法(修正)法案の撤回と新たな法案に向けた協議
6―1983年結社法(修正)法案
7―1981年,1982年,1983年結社法(修正)法案をめぐる政治過程
8―結社法はどのように運用されたのか
9―小括―政府,政党,NGOによるルール形成と参加の拡大
第5章 1986年国家機密法(修正)法 ―開発の時代の情報公開―
1―機密法改正の背景―官民協力の深化と汚職問題の争点化
2―1986年国家機密法(修正)法案(1)―1986年3月上程
3―1986年国家機密法(修正)法案(2)―1986年10月上程
4―1986年国家機密法(修正)法案(3)―1986年12月上程
5―1986年国家機密法(修正)法案をめぐる政治過
6―国家機密法はどのように運用されたのか
7―小括
―情報公開のレファレンス・ポイントとしての国家機密法
第6章 1987年印刷機・出版物法(修正)法/1988年憲法(修正)法―自由主義制度と競争的政治過程の抑制―
1―二つの裁判を通じた行政に対する異議申し立て
2―経済政策をめぐる論争
3―民族の権利をめぐる議論への発展
4―1987年印刷機・出版物法(修正)法案
5―印刷機・出版物法はどのように運用されたか
6―1987年印刷機・出版物法(修正)法案をめぐる政治過程
7―1988年憲法(修正)法案をめぐる政治
8―小括―自由の制限と非競争的決定過程の確立へ
第7章 国家経済諮問評議会の成立 ―長期経済計画の協議的な決め方の制度化―
1―マレーシアにおける協議会の軌跡
2―NECCの成立過程―大量逮捕と二つの立法の再解釈の提示
3―NECCは有効だったか?
―包括性,実質的参加,政策決定への影響力
4―NECCは実質的参加を実現したのか
5―NECC報告書はOPPIIにどれくらい反映されたのか
6―NECCの有効性
7―小括―政治的自由の制限と協議会の制度化
終 章 結論
―協議・相互主義的制度から見たマレーシア―
別 表
参照資料・引用文献一覧
あとがき
索 引
1―どのような政治体制か
2―マレーシアの政治体制の持続性
3―政治体制の性質と持続性はどのように説明されてきたか
4―本書の議論―協議・相互主義的制度
5―本書の構成
第1章 協議・相互主義的制度から見るマレーシア ―先行研究の整理と本書の主張―
1―既存研究の概観
―準権威主義体制論,開発独裁論,民族間権力不均衡論
2―既存研究の問題点
―「支配集団」vs.「被支配集団」/「欠如態」としての政治体制解釈
3―定義・焦点・分析の枠組み
4―協議・相互主義的制度から見るマレーシア
第2章 マレーシア政治史の概観
1―独立前の状況
2―独立後~1969年の政治
―冷戦下の自由と民族の権利の争点化
3―1970年代の政治
―民族の権利に関する政治的権利の制限と新経済政策(NEP)
4―1980年代の政治―経済開発と政治的権利の漸進的制限
5―1990年代の政治
―「民主化」運動と協議的決め方の制度化
6―アブドゥッラー政権成立後
―制度変更なき「自由化」とその帰結
第3章 1971年憲法(修正)法 ―民族的属性に由来する権利をめぐる取引―
1―5月13日暴動―連盟党間での独立時の合意への挑戦
2―暴動後の政治―議会停止と民族的属性に由来する権利の争点化
3―暴動後の経済政策―新経済政策(NEP)の策定
4―国家諮問評議会における政治制度をめぐる議論
5―議会再開へ向けた諸勢力の思惑
6―1971年憲法(修正)法案の内容とインプリケーション
7―法案に対する態度(1)―与党
8―法案に対する態度(2)―野党とその他の主体
9―1971年憲法(修正)法案をめぐる政治過程のまとめ
10―新たな憲法規定はどのように運用されたのか―扇動法の適用と拡大版与党連合の成立
11―小括―民族間の箍のはめ合いとしての憲法改正
第4章 1981年,1983年結社法(修正)法 ―新興主体NGOの制御と包摂―
1―1970年代の産業政策への社会の不満
2―NGO,都市部中間層,民間セクターによる政治活動
3―1981年結社法(修正)法案
4―1981年結社法の修正へ向けた政府・結社間の協議
5―1982年結社法(修正)法案の撤回と新たな法案に向けた協議
6―1983年結社法(修正)法案
7―1981年,1982年,1983年結社法(修正)法案をめぐる政治過程
8―結社法はどのように運用されたのか
9―小括―政府,政党,NGOによるルール形成と参加の拡大
第5章 1986年国家機密法(修正)法 ―開発の時代の情報公開―
1―機密法改正の背景―官民協力の深化と汚職問題の争点化
2―1986年国家機密法(修正)法案(1)―1986年3月上程
3―1986年国家機密法(修正)法案(2)―1986年10月上程
4―1986年国家機密法(修正)法案(3)―1986年12月上程
5―1986年国家機密法(修正)法案をめぐる政治過
6―国家機密法はどのように運用されたのか
7―小括
―情報公開のレファレンス・ポイントとしての国家機密法
第6章 1987年印刷機・出版物法(修正)法/1988年憲法(修正)法―自由主義制度と競争的政治過程の抑制―
1―二つの裁判を通じた行政に対する異議申し立て
2―経済政策をめぐる論争
3―民族の権利をめぐる議論への発展
4―1987年印刷機・出版物法(修正)法案
5―印刷機・出版物法はどのように運用されたか
6―1987年印刷機・出版物法(修正)法案をめぐる政治過程
7―1988年憲法(修正)法案をめぐる政治
8―小括―自由の制限と非競争的決定過程の確立へ
第7章 国家経済諮問評議会の成立 ―長期経済計画の協議的な決め方の制度化―
1―マレーシアにおける協議会の軌跡
2―NECCの成立過程―大量逮捕と二つの立法の再解釈の提示
3―NECCは有効だったか?
―包括性,実質的参加,政策決定への影響力
4―NECCは実質的参加を実現したのか
5―NECC報告書はOPPIIにどれくらい反映されたのか
6―NECCの有効性
7―小括―政治的自由の制限と協議会の制度化
終 章 結論
―協議・相互主義的制度から見たマレーシア―
別 表
参照資料・引用文献一覧
あとがき
索 引