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近代ドイツの農村社会と農業労働者

<土着>と<他所者>のあいだ

足立 芳宏

A5上製・350頁

ISBN: 9784876980499

発行年月: 1997/12

  • 本体: 6,214円(税込 6,835円
  • 在庫なし
 
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内容

前世紀末から今世紀初頭のドイツにおける「土着」(大農や小規模農民)と「他所者」(季節労働者たち)の文化的・経済的葛藤に注目して、農村のナチ化と現代社会の成立のダイナミズムを明らかにする。生き生きとした史料描写と精緻な分析によって、農村ファシズム論に新しい道を開く秀作。

受賞

1999年度 日本農業経済学会学術賞

書評

『西洋史学』196号、評者:飯田収治氏
『土地制度史学』41巻4号、評者:古内博行氏
『農業経済研究』71巻1号、評者:森建資氏
『社会経済史学 』65巻1号 、評者:柴田英樹氏
『歴史学研究』720号 、評者:藤田幸一郎氏

目次

序章 課題と視角─近代ドイツ農村史研究と農業労働者─
Ⅰ 農民とナチズム─「中間層テーゼ」について─
Ⅱ「連続性」論と批判派─旧西ドイツにおける研究について─
Ⅲ 農業労働者論─「階級」から「エスニシティ」問題へ─
Ⅳ 本書の課題と視角

第Ⅰ部 ヴィルヘルム・ドイツにおける農村社会と農業労働者

第一章 北西ドイツにおける大農=農業奉公人─「家」と「移動」と「自由」と─
第一節 マルシュ地方の農業展開と農業労働力市場
第二節 ゲマインデの社会空間
第三節 大農=農業奉公人の雇用関係

第二章 北西ドイツ農村における「土着」と「他所者」─蒸気脱穀機と農村放浪者─
第一節 土着の農業労働者家族の生活と労働
1 生活/2 雇用と労働/3 生活の不安定化に対する対応
第二節 「他所者」農業移動労働者─東欧季節労働者とモナーヘン─
1 東欧季節労働者/2 モナーヘン
第三節 脱穀労働者の保険問題
1 脱穀労働者JWの災害補償負担をめぐる問題/2 賃脱穀機所有者たちによる脱穀労働者のための健康保険設立の運動/3 強制加入のゲマインデ健康保険の設立

補論 北ドイツ農村におけるスウェーデン人奉公人
1 北ドイツ農村の基本的構成/2 スウェーデン人奉公人の雇用形態/3 スウェーデン人マークトの問題/4 「家父長」的支配と「他所者」のホーフゲンガー

第三章 近代ドイツ農村と外国人季節労働者─甜菜と「ポーランド人」─
第一節 甜菜作の展開と「外国人季節労働者」の導入
1 甜菜糖業の展開/2 農業雇用関係の変化/3 東欧季節労働者導入の規模と地域差
第二節 農場での労働と紛争─「契約破棄」を中心に─
1 賃金を不満とする「契約破棄」/2 季節労働者におけるジェンダーの問題/3 組頭Vorschnitterについて/4「契約破棄」の全体像と処分の実態
第三節 「営舎」と「外国人労働者」の形成
1 「住」と性/2 「寝」の実態/3 「住」と病

第Ⅱ部 ワイマール・ドイツにおける農村社会と農業労働者

第四章 北西ドイツの農業労働者と農村ナチズム形成─ディトマルシェン 一九二五年─一九三三年─
第一節 農業労働者の実態と「開かれた」季節労働市場
第二節 農業労働者制度─協約体制の部分的成立と国家の労働市場管理─
第三節 脱穀移動労働者とストライキ
1 農村放浪者としての移動脱穀労働者モナーヘン/2 脱穀労働者のストライキ
第四節 脱穀労働者とコミュニズム─農村ナチ化のもう一つの局面─

第五章 後期ワイマール時代のグーツの世界
第一節 グーツの労働編成と雇用制度の変化
第二節 雇用紛争分析─奉公人的雇用関係の現代化─
1 家族と雇用/2 住宅問題/3 虐待 Mi■handlung 4 雇用紛争の全体像
第三節 農業労働者の日常生活のあり方と組合運動
1 消費/2 社会的交わりの階層化と組合運動による「鋳なおし」/3 組合の日常活動
第四節 「小所有化」と外国人労働者問題
1 住宅問題と外国人労働者/2 住宅建設と入植

補説 ハノーファー農村における女性労働者とナチズム

終 章 ─ドイツ農村における「土着」と「他所者」─
1 農村下層民の社会的自立論/2 農村における「他者」の問題/3 農村のナチ化論
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