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農本思想の社会史

生活と国体の交錯

岩崎 正弥

菊上製・368頁

ISBN: 9784876980390

発行年月: 1997/02

  • 本体: 3,883円(税込 4,271円
  • 在庫なし
 
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内容

これまでの農本思想研究は、日本ファシズム・イデオロギーとの関連でとらえるか、農本主義者のライフ・ヒストリーから内在的に追求するかに分断されていた。本書はこうした二極化した農本思想のとらえ方を批判的に見直し、<生活世界>というキー概念を基底に、自然委任→社会創出→国体依存と展開されるその実態を克明に分析する。

書評

『日本史研究』431号、評者:玉真之介氏

プロフィール

岩崎正弥(いわさき まさや)

現 職:愛知大学経済学部専任講師(地域経済論)
1961年12月 静岡県生まれ。
1984年 3月 京都大学農学部農林経済学科卒業.。
1995年 1月 京都大学大学院農学研究科農林経済学専攻(農学原論講座)博士課程修了。京都大学博士(農学)。
京都大学研修員、龍谷大学非常勤講師などを経て現職。

主要論文:
「『帰農農本主義』の歴史的意味」『社会思想研究』第16号、1992年。
「戦時下の農村保健運動の実態―滋賀県湖北地域を事例として―」『歴史評論』第536号、1994年2月、など。

目次

序章  課題と方法
  第一節 課題
  第二節 分析視角と構成

第一部 大正期「<自然>委任型」農本思想
第1章 帰農思想の特質
  第一節 帰農の背景と帰農への批判
  第二節 新たな生活世界の創造
  第三節 一五年戦争下の帰農生活者
第2章 江渡狄嶺の「農行」思想
  第一節 狄嶺の帰農
  第二節 <場>と<行>の思想
  第三節 狄嶺と国体・天皇・戦争
第3章 石川三四郎の「土民生活」
  第一節 「土民生活」の源泉
  第二節 一五年戦争下の石川三四郎
  第三節 「土民生活」と農本主義

第二部 昭和恐慌期「<社会>創出型」農本思想
第4章 農本連盟の歴史的位置とその思想
  第一節 昭和恐慌期の農村
  第二節 農本連盟の結成
  第三節 農本連盟の<地域社会>構想をめぐって
第5章 規範と自治の<地域社会>構想
  第一節 岡本利吉の規範社会構想
  第二節 権藤成卿の自治社会構想
  第三節 岡本と権藤における<地域社会>構想の歴史的意味
第6章 農本主義運動、その理念と現実との緊張
  第一節 農本主義運動の勃興
  第二節 農本主義運動の活発化のなかで
  第三節 農本主義運動の終息
  第四節 「<社会>創出型」農本思想の変質

第三部 戦時期「<国体>依存型」農本思想
第7章 総力戦体制下の農本思想
  第一節 「<国体>依存型」農本思想の特質
  第二節 農政イデオローグの葛藤
  第三節 戦時下農民文学の視線
  第四節 戦時下の農本主義運動
  第五節 「<国体>依存型」農本思想と戦時下農村厚生運動
第8章 戦時下農村保健運動の歴史的意味
  第一節 人的資源論と厚生運動
  第二節 戦時下の国民健康管理と農村
  第三節 滋賀県湖北地域における戦時下農村保健運動
  第四節 戦時下農村保健運動の特質

第9章 農民道場の「訓育」実態
  第一節 藍野塾の設立とその「訓育」内容
  第二節 農民道場生の意識構造334
  第三節 戦時下農村厚生運動の歴史的意味をめぐって
終章 農本思想の歴史的・現代的意味
  第一節 農本思想の変質
  第二節 農本思想と生活世界
  第三節 農本思想の通説批判

あとがき
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