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ジャワラ――インドネシアの暴力集団。「神秘的パワー」で若者を引きつけてきた地方の暴力団が,スハルト独裁の契機となった「アクト・オブ・キリング」の事件(9.30事件)を通じて,権威主義体制の礎となっていく。そして今,民主化の波に乗って,地方政治の新しい主役となる。その軌跡と実態を身体を張ったフィールドワークで赤裸々に明らかにする。
第32回 大平正芳記念賞
2018年度大同生命地域研究奨励賞
2018年度大同生命地域研究奨励賞
『朝日新聞』2015.8.2付「読書面」、評者:吉岡桂子氏
『東南アジア研究』53巻第2号(2016年1月)、287-289頁、評者:永渕康之氏
『アジア経済』Vol.57 No.2、96-100頁、評者:木場紗綾氏
『アジア・アフリカ地域研究』2016年 第16-1号、87-90頁、評者:森下明子氏
『東南アジア研究』53巻第2号(2016年1月)、287-289頁、評者:永渕康之氏
『アジア経済』Vol.57 No.2、96-100頁、評者:木場紗綾氏
『アジア・アフリカ地域研究』2016年 第16-1号、87-90頁、評者:森下明子氏
岡本 正明(おかもと まさあき)
京都大学東南アジア研究所准教授。東南アジア地域研究専攻。
1971年,兵庫県生まれ。1994年,京都大学法学部(比較政治学専攻)卒業。
1999年,京都大学大学院人間・環境学研究科文化・地域環境学専攻博士後期課程研究指導認定退学。2001年,国際協力事業団(JICA)長期派遣専門家。
2003年より現職。
主な著作に
「インドネシアにおける地方政治の活性化と州「総督」の誕生—バンテン地方の政治:1998—2003」,『東南アジア研究』第34巻第1号,3—25頁,2005.
Kelompok Kekerasan dan Bos Lokal di Indonesia Era Reformasi, Yogyakarta: IRE Press. xxii+161p., 2006.(Abdur Rozakiとの共編)
Jawara in Power, 1998—2007, Indonesia 86, pp. 109—138. October, 2008.(Abdul Hamidとの共著)
Populism under Decentralization in post-Suharto Indonesia. In Mizuno Kosuke and Pasuk Pongpaichit (eds.), Populism in Asia, 2009, pp. 144—164.
Islam in Contention: The Rethinking of Islam and State in Indonesia. Jakarta: CSEAS, CAPAS and Wahid Institute. x+468p., 2010(Ota Atsushi, Ahmad Suaedyとの共編)
「逆コースを歩むインドネシアの地方自治:中央政府による「ガバメント」強化への試み」,船津鶴代・永井史男編『東南アジア:変わりゆく地方自治と政治』(ジェトロ・アジア経済研究所),27—66頁,2012.
「環境にやさしいアブラヤシ農園というディスコースの誕生:インドネシアのアブラヤシ農園拡大戦略から」『地域研究』14巻1号,238—263頁,2013.
など。
京都大学東南アジア研究所准教授。東南アジア地域研究専攻。
1971年,兵庫県生まれ。1994年,京都大学法学部(比較政治学専攻)卒業。
1999年,京都大学大学院人間・環境学研究科文化・地域環境学専攻博士後期課程研究指導認定退学。2001年,国際協力事業団(JICA)長期派遣専門家。
2003年より現職。
主な著作に
「インドネシアにおける地方政治の活性化と州「総督」の誕生—バンテン地方の政治:1998—2003」,『東南アジア研究』第34巻第1号,3—25頁,2005.
Kelompok Kekerasan dan Bos Lokal di Indonesia Era Reformasi, Yogyakarta: IRE Press. xxii+161p., 2006.(Abdur Rozakiとの共編)
Jawara in Power, 1998—2007, Indonesia 86, pp. 109—138. October, 2008.(Abdul Hamidとの共著)
Populism under Decentralization in post-Suharto Indonesia. In Mizuno Kosuke and Pasuk Pongpaichit (eds.), Populism in Asia, 2009, pp. 144—164.
Islam in Contention: The Rethinking of Islam and State in Indonesia. Jakarta: CSEAS, CAPAS and Wahid Institute. x+468p., 2010(Ota Atsushi, Ahmad Suaedyとの共編)
「逆コースを歩むインドネシアの地方自治:中央政府による「ガバメント」強化への試み」,船津鶴代・永井史男編『東南アジア:変わりゆく地方自治と政治』(ジェトロ・アジア経済研究所),27—66頁,2012.
「環境にやさしいアブラヤシ農園というディスコースの誕生:インドネシアのアブラヤシ農園拡大戦略から」『地域研究』14巻1号,238—263頁,2013.
など。
略語一覧
序 章 暴力集団の台頭と「地方政治の安定」—社会的亀裂はなぜ政治化しなくなったのか?
【インドネシアの暴力集団との出会い】
第1節 インドネシア「安定」のメカニズムに迫る—本書の目的
第2節 民主化のパラドックス,暴力と政治,自治体新設—先行研究の意義と問題点
1. 民主化パラドックス論:オリガーキー論,金権政治論
2. 暴力と政治論
3. 自治体新設運動
4. 政治的安定論
第1章 権威主義体制の崩壊から民主化・分権化へ
【研究者人生も変えた民主化・分権化】
第1節 民主化に向けた改革
第2節 分権化に向けた施策の実態
第3節 細分化する地域主義
column 分権化法案作成者たちは誰だったのか?
第2章 暴力集団(ジャワラ)とイスラーム—バンテン地方の政治構造の歴史的展開
【イスラーム指導者ウラマーとは?】
第1節 バンテン地方の地誌
第2節 バンテン地方の研究史
第3節 歴史—植民地国家の時代
第4節 「無法者」ジャワラ
第5節 「バンテンのイスラーム」とウラマー
第3章 独立宣言,社会革命,そしてアイデンティティの政治—1945—1971年
【インドネシアにおける「正しい」暴力】
第1節 独立宣言と地方での秩序崩壊
第2節 無秩序状況と社会革命(1)—バンテン理事州
第3節 無秩序状況と社会革命(2)—タンゲラン地区
第4節 共和国政府による社会革命潰し
第5節 アイデンティティの政治とその失敗(1)—イスラーム国家樹立運動
第6節 アイデンティティの政治とその失敗(2)—細分化の地域主義
第7節 バンテン州設立運動の始まり—1960年代前半
第8節 二度目のバンテン州設立運動—1960年代後半
第4章 ウラマーとジャワラを通じたスハルト体制の浸透—1971—1998年
【スハルト時代の暴力集団,パンチャシラ青年団】
第1節 国家の浸透—イデオロギー,制度,外部者支配
第2節 国家と地域社会との媒介者—地方エリート,ゴルカル
第3節 媒介項(1)—ウラマー
第4節 媒介項(2)—ジャワラ
第5節 ハサン・ソヒブという男—スハルト体制の寵児
第5章 細分化の地域主義—バンテン州設立運動
【不法鉱山の取り締まり】
第1節 バンテン人アイデンティティの再政治化
第2節 バンテン州設立運動の組織化
第3節 公的機関からの支持調達—州設立運動のポリティクス
1. バンテン地方の支持調達
2. 中央政府の対応
3. 西ジャワ州の反発
4. 西ジャワ州の遅延作戦
5. バンテン州法制化
第4節 政治アクターの特徴
第5節 州設立運動の政治的意味
第6章 州「総督」と呼ばれる男—権力闘争とジャワラによる地方支配—2000—2006年
【ジャワラとメディア】
第1節 暴力の脅威による社会・経済・文化の支配
第2節 地方政治・行政の支配
1. 正副州知事選
2. 州開発行政・人事
3. 州開発予算
4. おごれるハサン,PPPSBBI
第3節 国家的正義,そして中央政界との関係—不安定な同盟
第4節 バンテン社会の他のアクターたち
1. 県知事,市長
2. 市民社会勢力
第7章 新勢力との闘争—バンテン州知事選,2006年
【領導会の人たち】
第1節 政党推薦の獲得
第2節 副知事候補選び
第3節 選挙戦略—買票
第4節 ジャワラ組織の歴史的連合の発足—PPPSBBI,そして領導会
第5節 若手知識人の取り込み
第6節 州知事選挙結果—僅差の勝利
第8章 福祉正義党—イスラーム的正義の台頭と皮肉なアクロバット
【宗教と暴力】
第1節 正義党,そして福祉正義党の台頭
第2節 政界における正義党—イスラーム化と汚職撲滅
第3節 2004年総選挙,そして地方首長公選
第4節 「普通」政党としての福祉正義党—穏健化,金権化
1. 大統領直接選挙と金権体質の始まり
2. 政党体操
3. テレビ広告
第5節 バンテン州の福祉正義党—台頭の軌跡
第6節 素人政治家たちの議会政治
第7節 現実主義路線へ
1. セラン県知事選と県行政
2. バンテン州知事選
第8節 政治的アクロバット—ジャワラとイスラーム主義勢力の連合
第9章 安定化のポリティクスの多様性—インドネシア地方政治の全体像
【政治的安定と暴力】
第1節 細分化する地域主義のポリティクス
1. バンカ・ビリトゥン島嶼部州新設運動
2. ゴロンタロ州新設運動
3. 西スラウェシ州新設運動
4. 中スラウェシ州での県新設運動
5. 西カリマンタン州での県新設運動
6. 西スマトラ州での県新設運動
7. 北スラウェシ州での県新設運動
8. 東ヌサトゥンガラ州での県新設運動
9. リアウ島嶼部州新設運動
10. アチェ,パプア
第2節 地方首長公選における社会的亀裂の非政治化
1. バンカ・ビリトゥン島嶼部州知事選
2. 南スラウェシ州知事選
3. アンボン市長選(2006年5月15日)
4. ポソ県知事選(2005年6月30日)
5. マナド市長選(2005年7月21日)
6. 北スマトラ州知事選(2008年4月16日)
7. 西カリマンタン州知事選(2007年11月15日)
第3節 合従連衡する政党
第10章 暴力と適応の政治を超えて
【暴力の恐怖を超えて】
第1節 暴力と政治をめぐる比較政治学—フィリピンとタ
第2節 インドネシアは再び不安定化するか?
第3節 再び集権化へ?
第4節 再びバンテン州の事例—暴力とカネの政治を超えて
あとがき
引用文献リスト
索 引
序 章 暴力集団の台頭と「地方政治の安定」—社会的亀裂はなぜ政治化しなくなったのか?
【インドネシアの暴力集団との出会い】
第1節 インドネシア「安定」のメカニズムに迫る—本書の目的
第2節 民主化のパラドックス,暴力と政治,自治体新設—先行研究の意義と問題点
1. 民主化パラドックス論:オリガーキー論,金権政治論
2. 暴力と政治論
3. 自治体新設運動
4. 政治的安定論
第1章 権威主義体制の崩壊から民主化・分権化へ
【研究者人生も変えた民主化・分権化】
第1節 民主化に向けた改革
第2節 分権化に向けた施策の実態
第3節 細分化する地域主義
column 分権化法案作成者たちは誰だったのか?
第2章 暴力集団(ジャワラ)とイスラーム—バンテン地方の政治構造の歴史的展開
【イスラーム指導者ウラマーとは?】
第1節 バンテン地方の地誌
第2節 バンテン地方の研究史
第3節 歴史—植民地国家の時代
第4節 「無法者」ジャワラ
第5節 「バンテンのイスラーム」とウラマー
第3章 独立宣言,社会革命,そしてアイデンティティの政治—1945—1971年
【インドネシアにおける「正しい」暴力】
第1節 独立宣言と地方での秩序崩壊
第2節 無秩序状況と社会革命(1)—バンテン理事州
第3節 無秩序状況と社会革命(2)—タンゲラン地区
第4節 共和国政府による社会革命潰し
第5節 アイデンティティの政治とその失敗(1)—イスラーム国家樹立運動
第6節 アイデンティティの政治とその失敗(2)—細分化の地域主義
第7節 バンテン州設立運動の始まり—1960年代前半
第8節 二度目のバンテン州設立運動—1960年代後半
第4章 ウラマーとジャワラを通じたスハルト体制の浸透—1971—1998年
【スハルト時代の暴力集団,パンチャシラ青年団】
第1節 国家の浸透—イデオロギー,制度,外部者支配
第2節 国家と地域社会との媒介者—地方エリート,ゴルカル
第3節 媒介項(1)—ウラマー
第4節 媒介項(2)—ジャワラ
第5節 ハサン・ソヒブという男—スハルト体制の寵児
第5章 細分化の地域主義—バンテン州設立運動
【不法鉱山の取り締まり】
第1節 バンテン人アイデンティティの再政治化
第2節 バンテン州設立運動の組織化
第3節 公的機関からの支持調達—州設立運動のポリティクス
1. バンテン地方の支持調達
2. 中央政府の対応
3. 西ジャワ州の反発
4. 西ジャワ州の遅延作戦
5. バンテン州法制化
第4節 政治アクターの特徴
第5節 州設立運動の政治的意味
第6章 州「総督」と呼ばれる男—権力闘争とジャワラによる地方支配—2000—2006年
【ジャワラとメディア】
第1節 暴力の脅威による社会・経済・文化の支配
第2節 地方政治・行政の支配
1. 正副州知事選
2. 州開発行政・人事
3. 州開発予算
4. おごれるハサン,PPPSBBI
第3節 国家的正義,そして中央政界との関係—不安定な同盟
第4節 バンテン社会の他のアクターたち
1. 県知事,市長
2. 市民社会勢力
第7章 新勢力との闘争—バンテン州知事選,2006年
【領導会の人たち】
第1節 政党推薦の獲得
第2節 副知事候補選び
第3節 選挙戦略—買票
第4節 ジャワラ組織の歴史的連合の発足—PPPSBBI,そして領導会
第5節 若手知識人の取り込み
第6節 州知事選挙結果—僅差の勝利
第8章 福祉正義党—イスラーム的正義の台頭と皮肉なアクロバット
【宗教と暴力】
第1節 正義党,そして福祉正義党の台頭
第2節 政界における正義党—イスラーム化と汚職撲滅
第3節 2004年総選挙,そして地方首長公選
第4節 「普通」政党としての福祉正義党—穏健化,金権化
1. 大統領直接選挙と金権体質の始まり
2. 政党体操
3. テレビ広告
第5節 バンテン州の福祉正義党—台頭の軌跡
第6節 素人政治家たちの議会政治
第7節 現実主義路線へ
1. セラン県知事選と県行政
2. バンテン州知事選
第8節 政治的アクロバット—ジャワラとイスラーム主義勢力の連合
第9章 安定化のポリティクスの多様性—インドネシア地方政治の全体像
【政治的安定と暴力】
第1節 細分化する地域主義のポリティクス
1. バンカ・ビリトゥン島嶼部州新設運動
2. ゴロンタロ州新設運動
3. 西スラウェシ州新設運動
4. 中スラウェシ州での県新設運動
5. 西カリマンタン州での県新設運動
6. 西スマトラ州での県新設運動
7. 北スラウェシ州での県新設運動
8. 東ヌサトゥンガラ州での県新設運動
9. リアウ島嶼部州新設運動
10. アチェ,パプア
第2節 地方首長公選における社会的亀裂の非政治化
1. バンカ・ビリトゥン島嶼部州知事選
2. 南スラウェシ州知事選
3. アンボン市長選(2006年5月15日)
4. ポソ県知事選(2005年6月30日)
5. マナド市長選(2005年7月21日)
6. 北スマトラ州知事選(2008年4月16日)
7. 西カリマンタン州知事選(2007年11月15日)
第3節 合従連衡する政党
第10章 暴力と適応の政治を超えて
【暴力の恐怖を超えて】
第1節 暴力と政治をめぐる比較政治学—フィリピンとタ
第2節 インドネシアは再び不安定化するか?
第3節 再び集権化へ?
第4節 再びバンテン州の事例—暴力とカネの政治を超えて
あとがき
引用文献リスト
索 引