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街角を曲がって感じる,突然の開放感や懐かしさ,爽やかな風――こうした街の雰囲気や居心地はどのように生起するのか。建物の高さや日射,交通量といった数値計測では捉えられない都市の質的な側面を,本書は〈様相〉,すなわち音や匂い,印象などを含んだ空間の全体性として考える。ではどうすればそれを可視化できるのか。多くの人が同じ〈経路〉を歩く中で捉えた,印象が変わったと感じる〈変化点〉の言葉を分析することで,都市内の諸要素が心にもたらす意味を明らかにするとともに,街づくりの実践に貢献するフィールドワークや地図制作の方法論を提案する。
日本認知科学会 第11回野島久雄賞
『毎日新聞』2023年5月10日付 ブックウォッチング
北 雄介 (きた ゆうすけ)
長岡造形大学造形学部建築・環境デザイン学科 助教
1982年、兵庫県に生まれる。2012年、京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了、博士(工学)。京都大学学際融合教育研究推進センターデザイン学ユニット特定講師を経て、2019年より現職。専門分野は街歩き、街づくり、デザインプロセス論。
主な著書:『デザイン学概論』(分担執筆,共立出版,2016年)/『The Social City―Space as Collaborative Media to Enhance the Value of the City』(分担執筆,Springer,2023年)/『ソーシャルシティ』(分担執筆,放送大学教育振興会,2023年)
長岡造形大学造形学部建築・環境デザイン学科 助教
1982年、兵庫県に生まれる。2012年、京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了、博士(工学)。京都大学学際融合教育研究推進センターデザイン学ユニット特定講師を経て、2019年より現職。専門分野は街歩き、街づくり、デザインプロセス論。
主な著書:『デザイン学概論』(分担執筆,共立出版,2016年)/『The Social City―Space as Collaborative Media to Enhance the Value of the City』(分担執筆,Springer,2023年)/『ソーシャルシティ』(分担執筆,放送大学教育振興会,2023年)
1. 序 論:街歩きと都市の様相
1.1. 原体験
1.2. 街を歩くということ
1.3. 機能から様相へ
1.4. 本書の構成
第Ⅰ部 理論
2. 街歩き体験についての研究方法論
2.1. 先行研究
2.1.1. 『都市のイメージ』と環境心理学
2.1.2. 主流となった研究パラダイム
2.1.3. 実証主義の批判的乗り越えに向けて
2.2. 本書のアプローチ
2.2.1. 全体を捉える
2.2.2. 仮説と方法を探索する
2.3. 本書の研究方法
2.3.1. 街へ出る
2.3.2. 理論モデル-記録-記述-分析
2.3.3. 記録と記述の方法
3. 都市の様相論
3.1. 様相概念の歴史
3.2. 原広司の空間の様相論
3.2.1. 原広司の様相観と空間観
3.2.2. 三つの空間モデル
3.2.3. 経路
3.3. 本書のベースとなる理論モデル
3.3.1. 様相の定義
3.3.2. 心理主義的アプローチ
3.3.3. 類似と差異
3.3.4. 基本ダイアグラム
3.3.5. アトラクターと経路
3.4. 様相と記憶
3.4.1. フレームとその更新
3.4.2. 短期的フレームと長期的フレーム
3.4.3. フレームの知識構造
3.4.4. フレームのプロセス
第Ⅱ部 実験
4. 経路歩行実験
4.1. 実験ルート
4.1.1. 経路からルートへ
4.1.2. 三つのルート
4.2. 実験日程と被験者
4.3. 捉えた様相の記録
4.3.1. 記録の二つのスケール
4.3.2. 実験と記録の方法
4.3.3. 得られた記録データ
5. 記述・分析-1 空間的経路と様相
5.1. 記述と分析の流れ:三つの経路から
5.2. 基本的記述-1 ルート全体の様相の遷移
5.2.1. 領域分割グラフ
5.2.2. エッジとエリア
5.2.3. 領域評価グラフ
5.3. 領域のシークエンスの分析
5.4. 基本的記述-2 言語を用いて
5.4.1. 様相因子とその抽出方法
5.4.2. 様相因子リスト
5.4.3. 領域表現の集計表
5.4.4. 様相表現のプロットグラフ
5.5. 経路上での言語使用の分析
5.5.1. コネクターとシフター
5.5.2. 言葉のカテゴリー
コラム1 映像による様相の記述
6. 記述・分析-2 都市構造と様相
6.1. 街路構造と様相
6.1.1. ガワとアンコでの様相の違い
6.1.2. 街路構造とシークエンス
6.1.3. 街路構造を歴史から紐解く
6.2. 場としての空間
6.2.1. アトラクターのマッピングと分析
6.2.2. アトラクターの成立の歴史
6.3. 小結:都市の様相のレイヤー構造
コラム2 地形と街路構造
コラム3 街路構成の定量化
7. 記述・分析-3 記憶と様相
7.1. 経路とフレーム
7.1.1. 気づきと参照
7.1.2. 長期的フレームの揺さぶり
7.2. フレームの空間構造
7.2.1. 二つの座標系
7.2.2. 内と外
7.3. フレームの社会性
7.3.1. 社会的なフレーム
7.3.2. 個人的なフレーム
7.4. 小結:三つの経路から
第Ⅲ部 実践
8. 街歩きフィールドワーク
8.1. フィールドワーク手法としての記録行為
8.1.1. 建築・都市のフィールドワークとデザイン
8.1.2. フィールドワークの二つの段階
8.1.3. 探索型フィールドワークと様相の記録
8.2. 探索型フィールドワークの方法
8.2.1. 準備
8.2.2. 街に出て行なうこと
8.2.3. 振り返り
8.3. 事例-1 筆者自身の研究の種探し
(1) ボストン(2014年3月)
(2) 尾道(2018年3月)
8.4. 事例-2 地図制作のテーマを探る
コラム4 「ストリートビュー」によるフィールドワーク
9. 都市の様相を地図にする
9.1. 地図制作研究の枠組み
9.1.1. 目的:新しい街歩き地図
9.1.2. 方法:記録の制限
9.1.3. 理論:経路からメッシュワークへ
9.2. 事例-1 大見をARUKU:手描きを重ねる英語地図
(1) 大見とワークショップの概要
(2) トレーシングペーパーによる記録と記述
(3) 街歩き体験の変容
9.3. 事例-2 焼津オノマトペマップ:スマートフォンアプリを用いて
(1) 記録:スマートフォンアプリとオノマトペ
(2) 記述:データ取得とオノマトペマップ
(3) 分析:第Ⅱ部との比較の元に
9.4. 事例-3 ヨイタタンサケイカク:地域の様相を複層的に捉える
(1) 多数のレイヤーで地図をつくる
(2) 構想・記録・記述
(3) 地域住民と来街者の街の見方の変化
(4) 多層的記述についての考察
10. 結 論:複雑な現象の全体性と向き合う
10.1. 研究方法論の検証
10.1.1. 本書の成果
10.1.2. 往復する思考
10.2. 理論や方法の応用可能性
10.3. 探索の楽しみ
あとがき
文献一覧/索引
1.1. 原体験
1.2. 街を歩くということ
1.3. 機能から様相へ
1.4. 本書の構成
第Ⅰ部 理論
2. 街歩き体験についての研究方法論
2.1. 先行研究
2.1.1. 『都市のイメージ』と環境心理学
2.1.2. 主流となった研究パラダイム
2.1.3. 実証主義の批判的乗り越えに向けて
2.2. 本書のアプローチ
2.2.1. 全体を捉える
2.2.2. 仮説と方法を探索する
2.3. 本書の研究方法
2.3.1. 街へ出る
2.3.2. 理論モデル-記録-記述-分析
2.3.3. 記録と記述の方法
3. 都市の様相論
3.1. 様相概念の歴史
3.2. 原広司の空間の様相論
3.2.1. 原広司の様相観と空間観
3.2.2. 三つの空間モデル
3.2.3. 経路
3.3. 本書のベースとなる理論モデル
3.3.1. 様相の定義
3.3.2. 心理主義的アプローチ
3.3.3. 類似と差異
3.3.4. 基本ダイアグラム
3.3.5. アトラクターと経路
3.4. 様相と記憶
3.4.1. フレームとその更新
3.4.2. 短期的フレームと長期的フレーム
3.4.3. フレームの知識構造
3.4.4. フレームのプロセス
第Ⅱ部 実験
4. 経路歩行実験
4.1. 実験ルート
4.1.1. 経路からルートへ
4.1.2. 三つのルート
4.2. 実験日程と被験者
4.3. 捉えた様相の記録
4.3.1. 記録の二つのスケール
4.3.2. 実験と記録の方法
4.3.3. 得られた記録データ
5. 記述・分析-1 空間的経路と様相
5.1. 記述と分析の流れ:三つの経路から
5.2. 基本的記述-1 ルート全体の様相の遷移
5.2.1. 領域分割グラフ
5.2.2. エッジとエリア
5.2.3. 領域評価グラフ
5.3. 領域のシークエンスの分析
5.4. 基本的記述-2 言語を用いて
5.4.1. 様相因子とその抽出方法
5.4.2. 様相因子リスト
5.4.3. 領域表現の集計表
5.4.4. 様相表現のプロットグラフ
5.5. 経路上での言語使用の分析
5.5.1. コネクターとシフター
5.5.2. 言葉のカテゴリー
コラム1 映像による様相の記述
6. 記述・分析-2 都市構造と様相
6.1. 街路構造と様相
6.1.1. ガワとアンコでの様相の違い
6.1.2. 街路構造とシークエンス
6.1.3. 街路構造を歴史から紐解く
6.2. 場としての空間
6.2.1. アトラクターのマッピングと分析
6.2.2. アトラクターの成立の歴史
6.3. 小結:都市の様相のレイヤー構造
コラム2 地形と街路構造
コラム3 街路構成の定量化
7. 記述・分析-3 記憶と様相
7.1. 経路とフレーム
7.1.1. 気づきと参照
7.1.2. 長期的フレームの揺さぶり
7.2. フレームの空間構造
7.2.1. 二つの座標系
7.2.2. 内と外
7.3. フレームの社会性
7.3.1. 社会的なフレーム
7.3.2. 個人的なフレーム
7.4. 小結:三つの経路から
第Ⅲ部 実践
8. 街歩きフィールドワーク
8.1. フィールドワーク手法としての記録行為
8.1.1. 建築・都市のフィールドワークとデザイン
8.1.2. フィールドワークの二つの段階
8.1.3. 探索型フィールドワークと様相の記録
8.2. 探索型フィールドワークの方法
8.2.1. 準備
8.2.2. 街に出て行なうこと
8.2.3. 振り返り
8.3. 事例-1 筆者自身の研究の種探し
(1) ボストン(2014年3月)
(2) 尾道(2018年3月)
8.4. 事例-2 地図制作のテーマを探る
コラム4 「ストリートビュー」によるフィールドワーク
9. 都市の様相を地図にする
9.1. 地図制作研究の枠組み
9.1.1. 目的:新しい街歩き地図
9.1.2. 方法:記録の制限
9.1.3. 理論:経路からメッシュワークへ
9.2. 事例-1 大見をARUKU:手描きを重ねる英語地図
(1) 大見とワークショップの概要
(2) トレーシングペーパーによる記録と記述
(3) 街歩き体験の変容
9.3. 事例-2 焼津オノマトペマップ:スマートフォンアプリを用いて
(1) 記録:スマートフォンアプリとオノマトペ
(2) 記述:データ取得とオノマトペマップ
(3) 分析:第Ⅱ部との比較の元に
9.4. 事例-3 ヨイタタンサケイカク:地域の様相を複層的に捉える
(1) 多数のレイヤーで地図をつくる
(2) 構想・記録・記述
(3) 地域住民と来街者の街の見方の変化
(4) 多層的記述についての考察
10. 結 論:複雑な現象の全体性と向き合う
10.1. 研究方法論の検証
10.1.1. 本書の成果
10.1.2. 往復する思考
10.2. 理論や方法の応用可能性
10.3. 探索の楽しみ
あとがき
文献一覧/索引