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里海フィールド科学

京都の海に学ぶ人と自然の絆

山下 洋・益田 玲爾・甲斐 嘉晃・鈴木 啓太・高橋 宏司・邉見 由美 編著

A5並製・414頁

ISBN: 9784814004454

発行年月: 2022/10

  • 本体: 2,700円(税込 2,970円
  • 在庫あり
 
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プロフィール

秋山 諭(あきやま さとし)
大阪府立環境農林水産総合研究所 水産技術センター 主任研究員
2013年京都大学大学院農学研究科博士後期課程研究指導認定退学,博士(農学)。専門は漁場環境学。現在は,内湾環境のモニタリングや長期変動解析を担当する傍ら,海底にストックされた有機物や栄養塩に着目して研究を進めている。

井口 亮(いぐち あきら)
産業技術総合研究所 地質調査総合センター 主任研究員
2008年 James Cook University 博士課程修了,Ph.D.。専門は分子生態学。生物と環境が織りなす多種多様な現象を体系立てて詳細を明らかにし,様々な階層から俯瞰してその細部を見つめることで,新しい発見や応用方法を導き出すことを目指している。

甲斐 嘉晃*(かい よしあき)
京都大学 フィールド科学教育研究センター 舞鶴水産実験所 准教授
2004年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。専門は魚類分類学で,特にメバル科,カジカ科,クサウオ科など寒帯性魚類を扱っている。また,日本海を中心とした海産魚類の系統地理や表現型の進化について興味を持って研究を進めている。主な著書は Fish Diversity of Japan(Springer)など。

笠井 亮秀(かさい あきひで)
北海道大学 水産科学研究院 教授
1994年東京大学大学院理学研究科博士課程単位取得後退学,博士(農学)。専門は沿岸海洋学,水産海洋学。好きな内湾は瀬戸大橋の架かる備讃瀬戸。好きな海峡はウェールズの Menai Strait。好きな海岸は北海道のイタンキ浜。

金子 三四朗(かねこ さんしろう)
ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ 未来産業学部 レクチャラー
2017年京都大学大学院農学研究科博士後期課程研究指導認定退学,博士(農学)。専門は魚類心理学(記憶保持能力)。現在は,近未来の食料問題解決を目的とした,ピラルクの陸上養殖研究に取り組んでいる。

喜瀬 浩輝(きせ ひろき)
産業技術総合研究所 地質調査総合センター 産総研特別研究員
2021年琉球大学大学院理工学研究科博士後期課程修了,博士(学術)。専門は系統分類学。花虫綱(刺胞動物)の進化や種多様性を解明することを目指している。また,花虫綱と海洋無脊椎動物や微生物でみられる共生系についても興味を持ち,遺伝学的手法から研究している。

齋藤 寛(さいとう ひろし)
国立科学博物館 動物研究部 海生無脊椎動物研究グループ長
1992年東京水産大学大学院水産学研究科博士後期課程修了,博士(水産学)。専門は軟体動物の分類。特にヒザラガイ類,カセミミズ類,ケハダウミヒモ類の分類を研究してきた。

佐久間 啓(さくま けい)
水産研究・教育機構水産資源研究所新潟庁舎 研究員
2014年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了,博士( 理学)。専門は水産資源学および系統地理学。京都大学農学部在学中の2008年から2009年にかけて,舞鶴水産実験所において由良川河口域をフィールドにベントスの分布・生態を学ぶ。

澤田 英樹(さわだ ひでき)
京都府漁業者育成校「海の民学舎」 第8期研修生 
2009年京都大学大学院農学研究科博士課程研究指導認定退学,博士(農学)。京都大学舞鶴水産実験所特定助教を経て,現所属。専門は水産無脊椎動物学。二枚貝類やナマコ類の,卵からふ化後の浮遊期を中心に研究を進めてきた。現在は自ら水産業を行うことを目指している。

杉本 亮(すぎもと りょう)
福井県立大学 海洋生物資源学部 教授
2008年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。専門は海洋生物環境学。学生時代は沿岸海洋学・生物地球化学,ポスドク時代は森里海連環学を学んだ。現在は,陸と海をつなぐ見えない水〝海底湧水〟の研究に邁進している。

鈴木 啓太*(すずき けいた)
京都大学 フィールド科学教育研究センター 舞鶴水産実験所 助教
2010年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。専門は沿岸・河口域生態学。学生時代は有明海,ポスドク時代は北極海,現在は丹後海をフィールドにする。特にプランクトンや仔稚魚の生態と気候変動の関係に興味がある。

鈴木 健太郎(すずき けんたろう)
電力中央研究所 サステナブルシステム研究本部 主任研究員
2012年京都大学大学院農学研究科博士後期課程中退,博士(農学)。専門はクラゲ類の生態学。沿岸生態系の理解やクラゲ類による水産業・発電所被害の抑制に貢献すべく,クラゲ類大発生メカニズムの解明を目指して研究を進めている。

鈴木 允(すずき まこと)
日本漁業認証サポート,一般社団法人 日本サステナブルシーフード協会 代表理事
2015年東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。漁師見習い,築地魚河岸のセリ人,MSC(海洋管理協議会)のスタッフを経て,2019 年に独立。国際認証を目指す漁業の支援をする一方,子ども向けの教育プログラム「おさかな小学校」を運営中。

仙北屋 圭(せんぼくや けい)
石川県水産総合センター 研究主幹
2002年東北大学大学院農学研究科博士前期課程修了。2002年石川県入庁。2019年京都大学大学院農学研究科博士後期課程研究指導認定退学,博士(農学)。専門は七尾湾のアカガイや養殖トリガイとその成育環境。学生時代,入庁後も潜水調査を行っている。趣味は魚突きと山スキー。

多賀 真(たが まこと)
茨城県農林水産部水産振興課
2020年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。学生時代は,ナマコやトラフグ研究に従事。修士課程修了後,民間企業に就職し,転職して茨城県に入庁。水産試験場在職中に学位を取得。専門はサバ類,マアジの資源生態学。

多賀(宮島) 悠子(たが(みやじま) ゆうこ)
水産研究・教育機構水産技術研究所神栖庁舎 研究員
2014年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。専門は水産生物の行動生態学。近年は,水中ドローンを用いた画像解析による資源評価手法や,二枚貝類の環境生態について研究している。

高橋 宏司*(たかはし こうじ)
京都大学 フィールド科学教育研究センター 舞鶴水産実験所 助教
2012年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。専門は,魚類や水生無脊椎動物を対象とした,認知科学や認知生態学。特に,学習に注目して水生生物の行動・心理・認知について,水産学・行動生態学・比較心理学の側面から研究を実施している。

田城 文人(たしろ ふみひと)
北海道大学 総合博物館水産科学館 助教
2011年北海道大学大学院水産科学院博士課程単位取得退学,博士(水産科学)。2014-2018年に研究員・特定助教として舞鶴水産実験所に在籍。専門は分類学を中心とした魚類の広義体系学。近年のモットーは,「とりあえず何でもやってみる」。

谷本 尚史(たにもと なおふみ)
京都府農林水産技術センター 海洋センター研究部 主任研究員
2010年京都大学大学院農学研究科博士後期課程中退。同年,水産技術職として京都府に入庁。農林水産技術センター海洋センターおよび水産課を経て,2018年より現所属でトリガイ種苗生産,二枚貝養殖技術開発等に従事。

寺島 佑樹(てらしま ゆうき)
寺島環境コンサルタント 代表
2018年京都大学大学院地球環境学舎博士後期課程研究指導認定退学,地球環境学博士。専門は環境経済学。学位論文では,生態系サービスに基づき沿岸域のハビタットを経済的評価。趣味はフライフィッシング。

福西 悠一(ふくにし ゆういち)
富山県農林水産総合技術センター 水産研究所 主任研究員
2010年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。専門は魚類の初期生態学。舞鶴水産実験所,ノルウェー海洋研究所で海産魚類の紫外線適応について研究。現職では,ノドグロの種苗生産技術の開発に従事。

藤田 純太(ふじた じゅんた)
京都府立福知山高等学校 教諭
2012年京都大学大学院農学研究科博士後期課程中退,博士(農学)。専門は,分子生態学,保全生物学,理科教育学。陸水から深海までの環境とそれに適応した生物の応答,過去からの時空間的な生物集団の形成過程について研究を進めている。近年は,高校理科の教材開発や高大接続にも積極的に関わっている。

冨士 泰期(ふじ たいき)
水産研究・教育機構水産資源研究所横浜庁舎 研究員
2014年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。専門は水産資源生物学。これまでの研究については「冨士泰期(2022) フィールド研究一筋14年~沿岸のスズキから外洋のサンマまで~ 日本水産学会誌88,30-31」をご覧ください。 

舩越 裕紀(ふなこし ゆうき)
京都府農林水産技術センター 海洋センター研究部 副主査
2012年京都大学大学院農学研究科修士課程修了。3 年間プログラマーとして勤務したのち,現職。入庁後は定置網担当として,海況予報閲覧アプリや「のれん網」を開発。現在は二枚貝養殖担当の傍ら,同博士後期課程在学中。

邉見 由美*(へんみ ゆみ)
京都大学 フィールド科学教育研究センター 舞鶴水産実験所 助教
2018年高知大学大学院黒潮圏総合科学専攻修了,博士(学術)。専門は海洋共生生態学。水槽実験や野外採集により甲殻類の巣穴に共生するハゼ類の生態を明らかにしてきた。現在は造巣性甲殻類の分類や生態研究にも取り組んでいる。

益田 玲爾*(ますだ れいじ)
京都大学 フィールド科学教育研究センター 舞鶴水産実験所 教授
1995年東京大学農学系研究科博士課程修了,博士(農学)。専門は魚類心理学。魚類の行動を飼育下で観察し,潜水目視調査により海の生態系の謎に迫る研究を展開。環境DNA も調査ツールとする。著書に『魚の心をさぐる』がある。

松井 彰子(まつい しょうこ)
大阪市立自然史博物館 学芸員
2014年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。専門は魚類生態学。研究テーマは,ハゼ科魚類を中心とした沿岸性魚類の系統地理学的研究,大阪府周辺における魚類相,外来魚の分布と生態など。著書に「小学館の図鑑Z:日本魚類館」(共著, 小学館),「Fish Diversity of Japan: Evolution, Zoogeography, and Conservation」(共著,Springer)がある。

三澤 遼(みさわ りょう)
水産研究・教育機構水産資源研究所八戸庁舎 任期付研究員
2019年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。長野県生まれ。専門はエイ類の分類・生物地理,底魚類の資源生態。現在はおもに東北太平洋沖の底魚類の分類や資源評価を行っている。

南 憲吏(みなみ けんじ)
北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター 准教授
2010年北海道大学大学院環境科学院単位取得退学,博士(環境科学)。京都大学フィールド科学教育研究センター舞鶴水産実験所で研究員として2010年から約2年半,舞鶴湾のマナマコと向き合い研究に取り組む。研究キーワードは,沿岸海域,生物分布推定,音響計測手法。

村上 弘章(むらかみ ひろあき)
東北大学 大学院農学研究科 助教
2019年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。専門は環境DNA,魚類生態学。環境DNA 手法を用いて,スズキ,マアジ,カタクチイワシ等の水産重要種の分布や資源量推定を試みている。特技は魚釣り,潜水,野球。

八谷 光介(やつや こうすけ)
水産研究・教育機構水産技術研究所宮古庁舎 主任研究員 
2005年京都大学大学院地球環境学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。京都府立海洋センターを経て,現職。専門は海藻類を中心とする沿岸生態学。愛知県に生まれ,若狭湾で潜水を始め,長崎県,岩手県に赴任。日本を囲む四方の海での暮らしを経験。

八谷 三和(やつや みわ)
水産研究・教育機構 水産資源研究所 主任研究員
2010年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了研究指導認定退学,博士(農学)。専門は水産増殖学。舞鶴水産実験所での研究テーマは「由良川河口域のベントスの食物網」,「淡水性エビ類の生活史と生息環境」。現在は,川と海を回遊するさけます資源の持続的な利用のための研究に取り組む。

山下 洋*(やました よう)
京都大学 フィールド科学教育研究センター 特任教授(京都大学名誉教授)
1983年東京大学大学院農学系研究科博士課程修了,農学博士。専門は沿岸資源生物学。水産研究所時代はヒラメ・カレイ類などの初期生態を研究,京都大学では森里海連環学の基盤づくりと,ニホンウナギやスズキなど両側回遊性魚類の生態を研究してきた。

山本 圭吾(やまもと けいご)
大阪府立環境農林水産総合研究所 水産技術センター 総括研究員
2016年京都大学大学院農学研究科博士後期課程研究指導認定退学,博士(農学),博士(水産科学)。専門は植物プランクトンから浮魚まで浮遊系全般だが,地方公設試の常で貝毒の分析や汽水域のヤマトシジミ調査,さらには昆虫を利用した養殖飼料開発まで多様な業務に従事。

横田 高士(よこた たかし)
水産研究・教育機構水産技術研究所長崎庁舎 主任研究員
2009年京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了,博士(情報学)。魚類資源について生活史を通した飼育を行い,様々な発育段階における生理生態特性を追究。資源評価や増養殖への貢献が目標。

渡辺 謙太(わたなべ けんた)
海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所 主任研究官
2012年京都大学大学院農学研究科修士課程修了,博士(農学)。専門は沿岸生態系の物質循環。2012年から現所属にて,藻場等の沿岸植生域(ブルーカーボン生態系)が持つ炭素隔離機能について,フィールドワークを主体とした研究を進めている。

和田 敏裕(わだ としひろ)
福島大学 環境放射能研究所 准教授
2007年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了,博士(農学)。専門は,魚類生態学,水圏放射生態学。主にカレイ類の生態特性や栽培漁業,福島県の水産物の放射能汚染や漁業復興に関する調査研究を行っている。

目次

まえがき[益田玲爾]

第1章 里海を支える環境と基礎生産
 1‒1 気象と海象─季節変化と長期変化[笠井亮秀]
  1 丹後海・由良川水系の気象
  2 由良川
  3 由良川河口域
  4 丹後海
 1‒2 栄養塩と植物プランクトン─由良川・丹後海の相互作用[渡辺謙太]
  1 由良川流域の土地利用と栄養塩
  2 塩水遡上と由良川下流域の基礎生産
  3 丹後海沿岸域の基礎生産
  4 河口沿岸域における鉄の動態
  5 川・海の相互作用と生物生産
 1‒3 海藻と海草─海の森の多様なつながり[八谷光介]
  1 海藻や海草とは
  2 京都での藻場研究
  3 人と海の共生に向けて
 より深く学びたい人のための参考図書・引用文献

第2章 動物プランクトンの細やかな環境応答
 2‒1 カイアシ類と浮遊卵仔魚─逆らわず流されず[鈴木啓太]
  1 動物プランクトンとは
  2 カイアシ類の分布
  3 浮遊卵仔魚の輸送
  4 関心から始まる
 2‒2 アミ類─魚類成育場を支える鍵生物[秋山 諭]
  1 砂浜浅海域におけるアミ類の重要性
  2 丹後海浅海域におけるアミ類の生産
  3 温暖化の影響
 2‒3 クラゲ類─特異な生活史と大発生[鈴木健太郎]
  1 クラゲとは?
  2 生態系における役割
  3 人間との関わり
  4 鉢クラゲ類の生活史
  5 鉢クラゲ類の大発生とその原因
 より深く学びたい人のための参考図書・引用文献

第3章 ベントスの知られざる生活史と多様性
 3‒1 日本海のベントス─多様性と漁業[佐久間 啓]
  1 ベントスについて
  2 日本海のベントス
  3 漁業資源としてのベントス
 3‒2 腹足類を中心とするベントスの生態─遺伝子解析によるアプローチ
  [井口 亮・喜瀬浩輝]
  1 日本海における遺伝子解析の研究事例
  2 他の海域での最新の遺伝子解析技術を用いた研究事例
  3 日本海におけるベントス遺伝子解析の展開
 3‒3 重要水産資源マナマコ─持続的な利用に向けて[南 憲吏]
  1 生活史
  2 舞鶴湾のナマコ漁業
  3 資源調査の適期
  4 天然採苗手法の開発
  5 成体の分布と天然採苗への影響
  6 マナマコ資源の回復と管理
 3‒4 エビ・カニ類の役割─里海を支える生き物たち[邉見由美]
  1 日本海のカニ類・京都府のカニ類
  2 日本海のエビ類・京都府のエビ類
  3 生態系エンジニアとしての造巣性エビ類
  4 日本海におけるエビ・カニ類研究のこれから
 3‒5 エビ類の生活史戦略と遺伝的多様性─川から深海まで[藤田純太]
  1 両側回遊性エビ類の海洋幼生分散と遺伝的多様性
  2 非回遊性種ミナミヌマエビの遺伝的多様性
  3 深海エビの生活史戦略─クロザコエビ類をモデルとして
  4 エビ類の生活史進化と多様性創出機構
 3‒6 アカガイ資源の保全と増殖に向けて─七尾湾を例に[仙北屋 圭]
  1 七尾湾
  2 七尾湾のアカガイ
  3 七尾湾の水温の長期変化
  4 アカガイの斃死と浅海域の海底環境
  5 水槽実験による斃死の再現
  6 アカガイ資源の保全と増殖
 より深く学びたい人のための参考図書・引用文献

第4章 魚類の生態と里海の利用
 4‒1 日本海の魚類の分布─深海から浅海まで[甲斐嘉晃]
  1 日本海の浅海性魚類相
  2 日本海を回遊する浅海性魚類
  3 日本海の深海性魚類
  4 遺伝子から見た日本海の魚類
 4‒2 潜水調査でみた魚の生態─魚類相の季節変化と長期変動[益田玲爾]
  1 舞鶴湾の魚類相の季節変化と長期変動
  2 原発温排水による局所温暖化に対する魚類の応答
  3 津波後の海に見る魚類相の大規模撹乱後の回復
  4 里海の回復と保全に向けての展望
 4‒3 魚の学習能力─認知能力と生態そして栽培漁業へ[高橋宏司]
  1 里海に棲む魚類の認知能力
  2 マアジの沿岸加入に伴う認知能力の変化
  3 マダイの釣りに対する認知能力
  4 栽培漁業のための認知研究
  5 魚類の認知研究から考える里海の魚とヒトの共存
 4‒4 海と川をつなぐ魚─スズキ稚魚の河川利用生態[冨士泰期]
  1 いつ・どのように河川を利用する?
  2 どのような個体が河川を利用する?
  3 何のために河川を遡上する?
  4 個体群の何割が河川を利用する?
  5 環境改変がスズキ個体群に及ぼしうる影響
 4‒5 若狭湾に暮らすハゼ類─その多様性と固有性[松井彰子]
  1 若狭湾はハゼ類の宝庫
  2 若狭湾のハゼ科魚類相
  3 若狭湾のハゼ類の遺伝的集団構造
  4 若狭湾の里海に暮らすハゼ類の保全
 より深く学びたい人のための参考図書・引用文献

第5章 里海の恵みを未来につなぐ
 5‒1 海の京都の漁業─持続的な資源管理・商品開発・人材育成[谷本尚史]
  1 漁業種類と漁獲魚種
  2 資源管理の新展開
  3 定置網漁業漁獲魚種の有効利用,高品質化への取り組み
  4 漁業の担い手確保
  5 水産資源の持続的な利用に向けて
 5‒2 初めて分かった遊漁の経済的価値─釣り人目線で海の資源を考える[寺島佑樹]
  1 沿岸魚介類資源がもたらす生態系サービス
  2 京都府丹後海における遊漁
  3 文化的サービスとしての遊漁の経済的価値
  4 供給サービスとしての漁業の経済的価値
  5 わが国における文化的サービスの経済的価値の増大
  6 世界における資源利用・管理の現状
  7 日本における資源利用・管理の現状と課題
  8 遊漁を活用した地域振興
 5‒3 里海保全における水産認証制度の可能性─生産者と消費者をつなぐ[鈴木 允]
  1 国際水産認証制度(MSCとASC)の歴史と評価基準
  2 国際認証の対象範囲と里海
  3 ローカル認証による里海の保全
  4 里海保全に向けた認証制度の活用
 5‒4 魚・二枚貝からみた里海の再生─都市圏の海,大阪湾からの報告[山本圭吾]
  1 大阪湾という海
  2 大阪湾の環境変化と低次生態系における生物生産の推移
  3 淀川感潮域におけるヤマトシジミ増殖の試み
  4 大阪湾から見えてくる都市と里海のあり方
 5‒5 森から海までの生態系のつながりと沿岸生物─森里海連環学のすすめ[山下 洋]
  1 森里海連環学と里海
  2 由良川・丹後海水系
  3 川が運ぶ物質と海への影響
  4 川と海を行き来する魚類
  5 健全な森里海連環にむけて
 より深く学びたい人のための参考図書・引用文献

クローズアップ舞鶴
  1 沿岸観測─変わらぬ方法と変わりゆく環境 [鈴木啓太]
  2 全国公開実習の魅力[邉見由美]
  3 歴代の教育研究船「緑洋丸」[鈴木啓太]
  4 淡水性エビ類の研究を通じて学んだ川の見方[八谷三和]
  5 標本館─世界に先立つ40万点の魚類標本 [甲斐嘉晃]
  6 魚市場調査─多様性を見つめ水産業のリアルを聞く[田城文人]
  7 学生生活と研究の思い出[金子三四朗]
  8 飼育棟─魚と人の育つところ [益田玲爾]

里海トピック
  1 急潮と定置網の被害[舩越裕紀]
  2 海底湧水と沿岸域の生物生産[杉本 亮]
  3 マダイとクロダイの紫外線適応[福西悠一]
  4 クラゲを食べる魚たち[宮島(多賀)悠子]
  5 若狭湾はケハダウミヒモ類の宝庫[齋藤 寛]
  6 若狭湾からの宝物「ぐじ」[横田高士]
  7 エイ類の多様性[三澤 遼]
  8 「丹後とり貝」─初夏を彩る極上の味覚 [谷本尚史]
  9 若狭のサバと鯖街道─大衆魚のエースが歩む道 [多賀 真]

BOX 1 DNAから分かること─最新の分析手法とフィールド研究への応用[甲斐嘉晃]
BOX 2 里海における研究者と漁業者の協働─宮津湾のマナマコに学ぶ[澤田英樹]
BOX 3 環境DNA─1杯のバケツ採水から探る魚の生態[村上弘章]
BOX 4 日本の栽培漁業─その歩みと展望[和田敏裕]

あとがき[山下 洋]
謝辞
用語解説
索引
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