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私たちが心ときめかせ,あるいは切望した科学技術。原爆から「平和の火」に変えられた原子力,そして原子力に暗雲がかかると,憧れの対象は月着陸のドラマとなり,あるいは先進の医療となった。第三世界の人々の夢も,そうした憧れに駆動された。しかしそれらの夢は,実は冷戦の時代,東西陣営による「世界の心を勝ち取る戦い」として科学が利用された結果と言ってよい。雑誌の表紙を飾る,宇宙飛行士とその妻の表情や服装さえも「心を勝ち取る」ために演出された,文化冷戦の実態に鋭く迫る。
『図書新聞』2021年6月26日付、評者:中沢志保氏
『アメリカ学会会報』No.207(2021年11月)、評者:吉本秀子氏
『アメリカ学会会報』No.207(2021年11月)、評者:吉本秀子氏
土屋 由香(つちや ゆか)
京都大学大学院人間・環境学研究科教授
メリーランド大学歴史学研究科修士課程,ミネソタ大学アメリカ研究科博士課程修了。
広島大学総合科学部助手,愛媛大学法文学部准教授,同教授を経て,2017年より現職。博士(アメリカ研究)。
専門・関心は,20世紀アメリカ史,冷戦期のアメリカ広報文化外交・科学技術外交。
主要著書:『親米日本の構築——アメリカの対日情報・教育政策と日本占領』(明石書店,2009年)
主要共編著書:『文化冷戦の時代——アメリカとアジア』(国際書院,2009年),『占領する眼・占領する声——CIE/USIS 映画とVOAラジオ』(東京大学出版会,2012年)
京都大学大学院人間・環境学研究科教授
メリーランド大学歴史学研究科修士課程,ミネソタ大学アメリカ研究科博士課程修了。
広島大学総合科学部助手,愛媛大学法文学部准教授,同教授を経て,2017年より現職。博士(アメリカ研究)。
専門・関心は,20世紀アメリカ史,冷戦期のアメリカ広報文化外交・科学技術外交。
主要著書:『親米日本の構築——アメリカの対日情報・教育政策と日本占領』(明石書店,2009年)
主要共編著書:『文化冷戦の時代——アメリカとアジア』(国際書院,2009年),『占領する眼・占領する声——CIE/USIS 映画とVOAラジオ』(東京大学出版会,2012年)
主要略語一覧
序章
1 科学技術と文化冷戦
2 広報外交・情報政策などの概念整理と担当機関
3 「フォーリン・アトムズ・フォー・ピース」
4 本書の構成と各章の内容
第I部 文化冷戦と核・原子力
第1章 文化冷戦と原子科学者たち——「文化自由会議」と『原子科学者会報』
1 シカゴの科学者たちと『原子科学者会報』の創刊
2 文化自由会議との出会い
3 ラビノウィッチ、シルズ、文化自由会議、『原子科学者会報』をつなぐ共通項
4 『原子科学者会報』における「科学者の役割」と「科学の自由」
第2章 「フォーリン・アトムズ・フォー・ピース」と研究用原子炉の輸出
1 原子力技術援助の背景
2 南ヴェトナム
3 日本
4 ビルマ
第3章 原子力の留学生たち——アルゴンヌ国際原子力科学技術学校
1 アルゴンヌ国際原子力科学技術学校(ISNSE)の設立
2 原子力の「留学生」たちの経験
3 留学生を題材とした対外情報プログラム
第4章 太平洋の核実験をめぐる逆説の対外情報プログラム
1 レッドウィング作戦の開始と補償問題
2 「クリーン・ボム」(きれいな爆弾)をめぐる対外情報プログラムとその挫折
3 ハードタック作戦と「拓洋」「さつま」被ばく事件
4 核実験禁止要求と賠償請求との関係
5 抗議船に関する情報統制
第II部 新たな対外情報プログラムの展開
第5章 「アトムズ・フォー・ピース」から「サイエンス・フォー・ピース」ヘ
1 スプートニク・ショック後の科学技術政策に関する政府機構改革
2 対外情報プログラムにおける科学技術の新たな重要性
3 変革期の対外情報プログラム
第6章 「ホープ計画」に見る医療援助政策
1 文化冷戦の舞台としての医療援助——マラリア撲滅キャンペーンを事例として
2 医療援助・対外情報プログラム・民間ボランティア活動をめぐる議論
3 ホープ計画の実施内容
4 ホープ号のインドネシア訪問
5 ホープ号の南ヴェトナム訪問
第7章 新たな対外情報プログラムとしての宇宙開発
1 宇宙開発と情報政策
2 NASAとUSIAの協力
3 USIS 映画と展示会
おわりに
参考文献一覧
あとがき
索引
序章
1 科学技術と文化冷戦
2 広報外交・情報政策などの概念整理と担当機関
3 「フォーリン・アトムズ・フォー・ピース」
4 本書の構成と各章の内容
第I部 文化冷戦と核・原子力
第1章 文化冷戦と原子科学者たち——「文化自由会議」と『原子科学者会報』
1 シカゴの科学者たちと『原子科学者会報』の創刊
2 文化自由会議との出会い
3 ラビノウィッチ、シルズ、文化自由会議、『原子科学者会報』をつなぐ共通項
4 『原子科学者会報』における「科学者の役割」と「科学の自由」
第2章 「フォーリン・アトムズ・フォー・ピース」と研究用原子炉の輸出
1 原子力技術援助の背景
2 南ヴェトナム
3 日本
4 ビルマ
第3章 原子力の留学生たち——アルゴンヌ国際原子力科学技術学校
1 アルゴンヌ国際原子力科学技術学校(ISNSE)の設立
2 原子力の「留学生」たちの経験
3 留学生を題材とした対外情報プログラム
第4章 太平洋の核実験をめぐる逆説の対外情報プログラム
1 レッドウィング作戦の開始と補償問題
2 「クリーン・ボム」(きれいな爆弾)をめぐる対外情報プログラムとその挫折
3 ハードタック作戦と「拓洋」「さつま」被ばく事件
4 核実験禁止要求と賠償請求との関係
5 抗議船に関する情報統制
第II部 新たな対外情報プログラムの展開
第5章 「アトムズ・フォー・ピース」から「サイエンス・フォー・ピース」ヘ
1 スプートニク・ショック後の科学技術政策に関する政府機構改革
2 対外情報プログラムにおける科学技術の新たな重要性
3 変革期の対外情報プログラム
第6章 「ホープ計画」に見る医療援助政策
1 文化冷戦の舞台としての医療援助——マラリア撲滅キャンペーンを事例として
2 医療援助・対外情報プログラム・民間ボランティア活動をめぐる議論
3 ホープ計画の実施内容
4 ホープ号のインドネシア訪問
5 ホープ号の南ヴェトナム訪問
第7章 新たな対外情報プログラムとしての宇宙開発
1 宇宙開発と情報政策
2 NASAとUSIAの協力
3 USIS 映画と展示会
おわりに
参考文献一覧
あとがき
索引