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プリミエ・コレクション 130

春秋戦国時代の青銅器と鏡

生産・流通の変容と工人の系譜

石谷 慎

菊上製・430頁

ISBN: 9784814005222

発行年月: 2024/03

  • 本体: 5,800円(税込 6,380円
  • 在庫あり
 
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内容

周王朝の解体とともに諸侯国に再編成されていく青銅器の生産体制。工芸品としての質を落としながら大量生産・市場流通へと変移していく……技術論に偏りすぎていた春秋戦国時代の青銅器研究に文献史学を導入することで、全面的な生産・流通を把握する画期的な成果。転換期としての新たな春秋戦国時代が青銅器からみえてくる。

プロフィール

石谷 慎(いしたに まこと)
京都府立大学文学部歴史学科共同研究員・非常勤講師。
京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学,京都大学博士(文学)。
主な著作に,『秦漢遺宝—器物に込めた願い』(黒川古文化研究所 研究図録シリーズ6,2019年),『漢字の象形—文字の賞玩』(黒川古文化研究所 研究図録シリーズ8,2021年)(いずれも公益財団法人 黒川古文化研究所)などがある。

目次

序 章 春秋戦国時代と青銅器生産に係る基本的な問題
第1節 春秋戦国時代のものさし—時期区分を見直す
第2節 殷周青銅器の製作技術はいかに発展してきたか?
第3節 生産・工人・工房—用語から見えてくる青銅器生産研究の課題

第Ⅰ部 青銅器・青銅鏡の技術史的研究

第1章 青銅器の製作—随仲嬭加鼎を例に
第1節 器形と紋様の特徴
第2節 製作技術と施紋方法
第3節 随仲嬭加鼎の製作背景

第2章 編鐘の製作—ヒョウ氏編鐘の紋様分析を中心に
第1節 紋様単位と規格
第2節 紋様から見た生産体制
第3節 紋様分析を通じた編鐘研究の射程

第3章 戦国鏡の制作—透彫二重体鏡と地紋鏡
第1節 透彫二重体鏡の制作と年代
第2節 地紋鏡の制作—原型と印型を用いた制作法の検討
第3節 戦国鏡制作の背景

第Ⅱ部 青銅器の生産と流通

第4章 青銅器工人の実像—侯馬鋳銅遺跡の分析から
第1節 文献や出土文字資料から見た工人と生産組織
第2節 生産遺跡に見る工人と工房の実態
第3節 侯馬鋳銅工房の形成と侯馬産青銅器の展開
第4節 侯馬式生産体制の影響

第5章 青銅器工人群の系譜—曾国青銅器の事例
第1節 曾国青銅器をめぐる研究
第2節 随棗地区出土青銅器の分類・分期と形態的特徴
第3節 随棗地区出土青銅器の紋様表現とその変遷
第4節 紋様と銘文から見た青銅器製作工人群の系譜
第5節 曾国青銅器とその周辺

第6章 青銅器製品の生産と流通—戦国楚の帯鈎の事例
第1節 「淮式」帯鈎の定義をめぐって
第2節 紋帯鈎の分類と編年
第3節 虺紋帯鈎・獣面紋帯鈎の用途と制作
第4節 「淮式」帯鈎の正体
第5節 楚製品の中原流通と南襄走廊

Column 1 中国考古学とは?

第Ⅲ部 青銅鏡と青銅貨幣の生産と流通

第7章 葉紋鏡・山字紋鏡と楚の東漸
第1節 戦国鏡研究の歴史と可能性
第2節 同型鏡・同印鏡論の提言
第3節 葉紋鏡の制作と流通
第4節 山字紋鏡の連作と流通
第5節 戦国楚の鏡生産とその背景

第8章 獣紋鏡と漢初の長沙
第1節 獣紋鏡の分類と編年
第2節 獣紋と変形獣紋
第3節 鏡から探る漢初の長沙
第4節 南陽の鏡生産—もうひとつの文化の交点

Column 2 青銅器を記録する

第9章 細地紋鏡・蟠紋鏡と秦の中国統一
第1節 細地紋鏡の分類と同型鏡・同印鏡
第2節 細地紋鏡の制作時期と流通期間
第3節 中原の鏡と秦の鏡
第4節 細地紋鏡と蟠螭紋鏡
第5節 細地紋鏡が築く漢鏡繁栄の礎

第10章 半両銭の鋳行と秦の中国統一
第1節 半両銭の編年
第2節 魏の「垣」銭と秦の円銭
第3節 秦と戦国各国の重量体系
第4節 中国統一と貨幣統一
第5節 鏡と半両銭から探る秦漢帝国成立期の文化動態

終 章 春秋戦国時代の青銅器・青銅鏡の生産・流通と秦漢への展開
第1節 春秋時代—諸侯国青銅器の生産と流通
第2節 戦国時代—青銅器の商品化と市場流通
第3節 秦漢時代—青銅器生産の管理と官営手工業の発達
第4節 生産・流通から見る時代の転換期

参考文献一覧
図版出典
あとがき
索  引
英文要旨
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