学術選書040
文化の誕生
ヒトが人になる前

杉山 幸丸

四六並製・240頁・税込 1,944円
ISBN: 9784876988402
発行年月: 2008/12
在庫あり

内容

チンパンジーの社会や行動は地域により様々だが、なかでもボッソウは「例外」だらけ。雌だけでなく雄も群から移出するし、道具の使い方もユニークである。かれらのこの「文化的」多様性は、人類の文化と同根だろうか。自ら新たに切り開いたフィールドにおける30年の研究を振り返り、今後の課題を展望する。

目次

はじめに

第1章……ボッソウへ
1 ボッソウを見つける——調査地の選定
2 ボッソウに住み着く
3 ギニア・チンパンジーとは——その位置付け
4 ボッソウの自然的位置
5 生息地の状況

第2章……ボッソウのチンパンジー
1 群れの略歴
2 住民登録簿
3 消えてゆく雄たち
4 雌とその子どもたち

第3章……チンパンジーの生涯——ボッソウの場合
1 赤ん坊の成長と死
2 子どもから若者期へ
3 雌の成熟
4 若者の消失
5 成熟から老化へ
6 人口動態
7 人口動態を他地域や近縁種と比較する

第4章……社会の仕組みとつき合い行動
1 繁殖集団の成り立ち
2 随時形成集団としてのパーティ
3 おとなたちの社会関係
4 チンパンジーは父系社会なのか

第5章……環境と生活様式
1 何でも食べる果実食者
2 慣れない肉食
3 動物タンパクは昆虫食から
4 半地上半樹上性
5 近隣個体群との関係

第6章……道具使用
1 道具使用行動の原型
2 単純な道具使用
3 複雑で高度な道具使用

第7章……文化の誕生と知能の発達
1 行動様式の伝播
2 複合道具使用(tool—composite using)
3 利き手の発達(hand—preference)
4 文化の発生

第8章……野生動物との共存
1 チンパンジーの変化と村の変化
2 開発と環境保全
3 研究搾取へのお返し
4 ボッソウのチンパンジーと村の将来

文献
あとがき
索引

コラム01 文献とその引用
コラム02 京都大学霊長類研究所
コラム03 ギニア共和国とセク・トゥーレ初代大統領
コラム04 学名
コラム05 DNA鑑定
コラム06 植物の部位
コラム07 霊長類の分類
コラム08 就巣性
コラム09 緑の回廊

  挿絵/杉山詩乃

プロフィール

杉山 幸丸(すぎやま ゆきまる)

京都大学名誉教授、ギニア共和国高等教育科学研究省招聘教授。理学博

1935年5月旧満州国新京(現長春)生まれ。1958年東京教育大学理学部卒業。1963年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。京都大学理学部助手、霊長類研究所助教授、教授、所長を経て1999年退官。2000年東海学園大学人文学部教授、学部長。2006年退職。1997—2001年日本霊長類学会会長。1995—1999年日本生態学会中部地区会長。専門は、人類学・生態学。

編著書 『ボッソウ村の人とチンパンジー』(紀伊国屋書店)、『野生チンパンジーの社会』(講談社)、『子殺しの行動学』(北斗出版・講談社)、『サルを見て人間本性を探る』(農文協)、『サルはなぜ群れるのか』(中央公論社)、『サルの百科』(データハウス)、『アフリカは立ちあがれるか』(はる書房)、『サルの生き方・ヒトの生き方』(農文協)、『霊長類生態学』(京都大学学術出版会)、『崖っぷち弱小大学物語』(中央公論新社)、『進化しすぎた日本人』(中央公論新社)ほか。