学術選書037
新・動物の「食」に学ぶ

西田 利貞

四六並製・214頁・税込 1,944円
ISBN: 9784876988372
発行年月: 2008/08
在庫あり

内容

動物は、体に必要な食物を「美味しい」と感じるように進化してきた。だが、いわゆる先進国では「飽食の時代」といわれるようになり、突然、食物がありあまるようになってしまった。そんななかで食欲の赴くままに食べ続けると、様々な弊害がおこる。ここで一度立ち止まり、動物たちの食生活に学んで、現代人の「食」を考える必要がある。

目次

口絵
初版の序
 
第1章 食を決めるもの—食物ニッチ
1 大きな動物の小さな食べ物
2 大きなサルと小さなサル—体の大きさと食性
3 小さな動物は消化が早い—腸の通過時間
4 食べたものの行く末—消化と発酵
5 環境の小さな違いや偶然が行動の大きな違いを生む—霊長類の食文化
第2章 遺伝子の散布—食べられることは増えること
1 果実は食べてもらうためにある—植物の知恵
2 種子の散布者たち—果実の戦略
3 チンパンジー向けに進化した果実—種子の散布者を選ぶ
第3章 味覚の不思議—なぜ甘いものに惹かれるか
1 甘味を演出する植物—味覚の進化
2 動物によって味覚は違う
3 チンパンジーの食物の味—味覚による食の選択
4 どれくらいの低濃度まで味を感じるか—味覚の閾値
第4章 薬の起源—生物間の競争が薬を生む
1 食べ物としての葉—植物の化学工場
2 薬の起源は二つある
3 チンパンジーの薬①—葉の呑み込み行動
4 チンパンジーの薬②—ベルノニアの茎 
5 動物たちが使う薬—森は薬の宝庫
第5章 肉の獲得と分配—ごちそうを賢く手に入れる
1 肉食するサル—ヒトの定義
3 チンパンジーのコロブス狩り—共同ではない集団狩猟
3 見返りを期待する?—食物の分配
第6章 “変わった”食べ物いろいろ
1 糞は栄養に富んでいる 
2 昆虫という食物
3 救荒食としての樹皮—古代からの非常食
4 土を食べる—なぞに包まれた食べ物
5 魚を食べるサル—魚食文化
6 サルを食べるヒト—猿食文化
第7章 ヒトの食行動—ヒトの“食べる”を考えよう
1 最初の人類を作った食物—ヒトへの進化
2 朝食は重要か?—食事の回数
3 カニはなぜうまいのか?—現代人のグルメ三昧
4 “食べる”ために生きる 
第8章 食の現在−現代文明と食生活
1 飽食と廃棄の現代文明
2 食料輸入で日本人は生活を維持できるのか
3 GDP伝説よ、さようなら

初版あとがき
新版のあとがき
参考文献
索引

プロフィール

西田利貞(にしだ としさだ)

(財)日本モンキーセンター所長。京都大学名誉教授。理学博士。1941年生まれ。1969年京都大学理学研究科動物学専攻博士課程修了。東京大学理学部助手、講師、助教授を経て、1988年より
京都大学理学部動物学教室教授。2004年3月退官し、4月より現職。1965年以来、アフリカのタンザニアで野生チンパンジーの行動学的・社会学的研究に従事。ほかに、ニホンザル、ピグミーチンパンジー、アカコロブス、焼畑農耕民を研究。

【主な著書】
『野性チンパンジー観察記』 (中央公論社)、『チンパンジーおもしろ観察記』 (紀伊国屋書店)、『人間性はどこから来たか』(京都大学学術出版会)、『マハレのチンパンジー』(編著、京都大学学術出版会)などがある。2002年よりユネスコ・ユネップ大型類人猿保全計画(GRASP)パトロン。タンザニアでの研究の様子は『どうぶつ奇想天外!』(TBS)などのテレビ番組でも紹介されている。