学術選書033
大気と微粒子の話
エアロゾルと地球環境

笠原三紀夫・東野達 編

四六並製・230頁・税込 1,944円
ISBN: 9784876988334
発行年月: 2008/03
在庫あり

内容

「エアロゾルってなに?」たいていの人が思ってしまうこの言葉.実は,明日の天気の善し悪しや,酸性雨・地球温暖化,呼吸器疾患やアレルギーといった,私たちの日常生活に密接に関わっている.小さいゆえ,多様なゆえにこれまでなかなか実態のつかめなかった大気中を浮遊する微粒子の世界とはどのようなものだろうか.エアロゾルの正体,地球環境や人体への影響,そして意外なところで役に立っている姿を最前線の研究者たちが紹介する.

目次

口 絵
はじめに

第1章……エアロゾルってそもそも何だろう?
1 エアロゾルの中で生きている私たち
2 エアロゾルと現代社会
(1) エアロゾルの昔と今
(2) エアロゾル研究の難しさ
(3) エアロゾル利用の可能性
3 エアロゾルにはどんな種類があるのか
(1) 大きさによる分類と発生・生成
(2) 一次粒子と二次粒子

第2章……エアロゾルはどのように生まれ消えるのか
1 二次粒子と環境問題
2 二次粒子生成の化学—どこまでわかっているか
(1) 「夜の化学反応」と硝酸エアロゾル
(2) 硫酸エアロゾルの複雑な生成過程
(3) 難しい有機エアロゾルの把握
(4) 都市のエアロゾルは濃くなる?—排出物どうしの化学反応
3 エアロゾルと酸性雨の怪しい関係—エアロゾルの「沈着」
(1) 硫酸アンモニウムと雲—「雲粒の先天的汚染」
(2) 積雪の上に積もるエアロゾル—乾性沈着とその測定
(3) 雨に濡れたエアロゾル—湿性沈着

第3章……東アジアのエアロゾル
1 東アジアに降る酸性雨
(1) 硝酸イオンと硫酸イオンの沈着量から何がわかるか
(2) アンモニウムとカルシウムイオンの沈着量から何がわかるか?
2 東アジアの大気汚染物質はどこから来る?—シミュレーションによる検討
(1) シミュレーションによる解析とは
(2) 酸性沈着のシミュレーション
3 海を渡る黄砂

第4章……エアロゾルをつかまえるのは大事業
1 山に吹く風、「世間の風」—地上で観測してみると?
(1) 富士山頂での観測
(2) 沖縄の炭化水素
2 中国の空の有機エアロゾル—航空機から観測してみると
3 無人飛行機でわかった、黄砂の化学
4 海に落ちるエアロゾルが魚の栄養に?—船舶からの観測でわかったこと
5 高空、広範囲のエアロゾルをとらえる—ライダーや衛星による観測

第5章……エアロゾルと地球環境
1 エアロゾルの性状についてのおさらい
2 エアロゾルの性状と人体への影響
3 自然環境への影響
(1) 「しらせ」から目視された大きなもや
(2) 気象・気候への影響の原理
(3) エアロゾルの直接効果と間接効果
(4) 真っ暗な地底で雲を作ってみる

第6章……エアロゾルを利用する
1 ヘルスケアーとエアロゾル
2 工業材料への応用
3 医薬品分野へ
4 ナノ技術へ

第7章……エアロゾルを極めよう—エアロゾル研究の未来と研究への誘い
1 厄介者に関わったかな……
2 エアロゾル研究の未来
(1) 一段高いところから眺めてみる
(2) 博物学としてのエアロゾル研究—地球から宇宙へ
(3) エアロゾルの「働き」に関する研究
3 研究者の責任、社会の責任、そしてエアロゾルの研究への招待

おわりに
文献案内 より深く知りたい読書のために
掲載図版について
索 引

コラム
粒子1個の極微量成分をはかる
ナノ粒子の計測
リアルタイムの計測装置

プロフィール

笠原 三紀夫(かさはら みきお)
1942年生まれ.1971年京都大学大学院工学研究科博士課程中退,工学博士.京都大学助手,助教授,教授,京都大学大学院エネルギー科学研究科長,日本エアロゾル学会会長,科研費特定領域研究「微粒子の環境影響」研究代表者,21世紀COE「環境調和型エネルギー」拠点リーダーなどを歴任,現在,京都大学名誉教授,中部大学教授,ウェストバージニア大学教授,大気環境学会会長,エアロゾル学,大気環境科学,エネルギー環境学を専攻

東野  達(とうの すすむ)
1954年生まれ.1980年京都大学大学院工学研究科博士課程中退,工学博士.京都大学助手,助教授,日本エアロゾル学会常任理事などを歴任,現在,京都大学大学院エネルギー科学研究科教授,エアロゾル学,大気環境工学を専攻