学術選書030 心の宇宙6
脳の情報表現を見る

櫻井 芳雄

四六並製・245頁・税込 1,944円
ISBN: 9784876988303
発行年月: 2008/02
在庫あり

書評

『科学』'08年4月号、478頁
『日経サイエンス』'08年5月号「森山和道の読書日記」、135頁、評者:森山和道氏

内容

心は,人間ならば誰でも持っているものでありながらその正体は謎に満ちている.その「心」を脳の情報表現としてとらえると,何が見えてくるだろうか.近年、研究の 進展が著しいブレイン−マシン・インターフェイスの最新の動向や,ニューロンとそ の回路網の活動を記録し解析する研究をなど,緻密な実験に基づいて脳内現象を解明 する.

目次

まえがき—心は見えるか
第1章……脳の情報表現をとらえるには
1 情報表現の場所と実体
2 鶏口となるべし
3 教科書よりも実験事実
第2章……ニューロン活動と情報表現
1 ニューロンとは何か
2 ニューロンが作る神経回路網
3 ニューロンは集団で協調して働く
4 協調を作る活動相関
5 セル・アセンブリ仮説
第3章……実験のストラテジーと技術
1 セル・アセンブリ検証のストラテジー
2 多数ニューロン活動の同時記録
3 基本的技術と問題点
4 記録法の変遷
5 実験に臨むうえで
第4章……セル・アセンブリを検出する
1 これまでの実験例
2 作業記憶と参照記憶(実験一)
3 異なる刺激(聴覚、視覚、視聴覚)の記憶(実験二)
4 時間情報と刺激情報の記憶(実験三)
5 近接したニューロンの活動を分離する方法(実験四)
6 局所的セル・アセンブリの検出(実験五)
7 構造的変化によるセル・アセンブリの固定化(実験六)
第5章……情報表現とブレイン—マシン・インタフェース
1 ブレイン—マシン・インタフェースとは何か
2 ラットの運動野によるBMI(研究例一)
3 サルの運動野によるBMI(研究例二)
4 少数ニューロンによる高精度なサルのBMI(研究例三)
5 ラットの海馬によるBMIとニューロン活動の変化(研究例四)
6 ヒトの運動野によるBMI(研究例五)
7 実用化への課題
8 将来のBMI
第6章……情報表現を支える神経回路網
1 機能と構造のキャッチボール
2 生後経験による回路網の整備
3 ニューロンの増殖
4 伸びるニューロンと再生する回路網
5 ニューロンの個性も変化する
第7章……脳と情報表現の個性
1 変化する機能地図
2 形態と機能の個性
3 記憶の個性
4 生活環境と出産の影響
第8章……回路網と情報表現の混乱
1 身体情報が断たれ時
2 幻肢を引き起こすメカニズム
3 情報遮断による幻覚
4 薬物による幻覚
第9章……たくましい脳とたくましい情報表現
1 脳と機械を分ける決定的事実
2 再びセル・アセンブリ
3 機能代償と復元
4 老人の脳もたくましい
5 脳の実験研究者が示すべきこと
引用・参考文献
読書案内
あとがき
索引

プロフィール

櫻井 芳雄 (さくらい よしお)
 
 京都大学大学院文学研究科心理学研究室教授.科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業研究代表者.医学博士.1953年生まれ.京都大学大学院文学研究科博士課程中途退学.広島大学助手,富山医科薬科大学助教授,Johns Hopkins大学客員助教授,科学技術振興機構研究員(兼任),京都大学霊長類研究所助教授,生理学研究所客員助教授(併任)を経て現職.

【主な著書】
『ブレイン-マシン・インタフェース最前線』(共著,工業調査会,2007年),『知のたのしみ学のよろこび』(共著,岩波書店,2003年),『考える細胞ニューロン』(講談社,2002年),『記憶と脳』(共著,サイエンス社,2000年),『脳の情報表現』(共著,朝倉書店,2002年),『脳とワーキングメモリー』(共著,京都大学学術出版会,2000年),『大脳辺縁系』(共著,ブレーン出版,2000年),『ニューロンから心をさぐる』(岩波書店,1998年).