地域研究叢書16
バングラデシュ 農村開発のなかの階層変動
貧困削減のための基礎研究

藤田 幸一

菊判上製・287頁・税込 3,456円
ISBN: 9784876986484
発行年月: 2005/01
在庫あり

受賞

第9回国際開発研究大来賞 受賞
第1回樫山純三賞 受賞

内容

「援助の実験場」とも呼ばれるバングラデシュだが、独立後30年余年、さまざまな開発努力が実って経済発展は幾分か軌道に乗った。そうした農村開発政策が、いかに普及し、農村下層民にまで裨益したのか。その過程を<階層格差の変動>という視点から分析することで、効果的な開発政策の在り方を示唆する。巨額援助時代に不可欠な研究書。

目次

序章 開発と農村階層変動—課題と方法—
1 農業成長とインフラ整備への再注目:問題の所在
2 フィールドワークによる経済分析:方法
3 本書の構成
第1章 バングラデシュの経済発展と農村変容
1 印パ分離独立時代の経済政策と経済発展
2 1980年代(および90年代)の位置づけ
第 I 部 「緑の革命」と農村階層
第2章 灌漑地下水市場の形成と所得分配—「水主」の出現をめぐって—
1 鍵としての灌漑地下水市場
2 水利料率の決定:灌漑地下水市場の分析概念
3 灌漑地下水市場の分析:ボグラ県アエラ村の事例
小 括
第3章 1990年代における灌漑地下水市場の変容
1 灌漑農業の展開過程
2 農村 quick survey より
3 農村 intensive survey より:ボグラ県ティクトル村の事例
小 括
第4章 インド・西ベンガル州の灌漑と農業発展
—地下水位低下と新型管井戸の導入—
1 西ベンガル州の農業発展概観
2 調査村における灌漑開発と農業・農村変容
小 括
第 II 部 農村階層変動と金融
第5章 農村インフォーマル金融の階層間「逆流」
政策金融の失敗とインフォーマル金融の変質
1 農村インフォーマル金融の実態:二つの農村調査から
2 インフォーマル金融「逆流」は見せかけか?
3 インフォーマル金融の経済的役割
総括と含意
補 論 マイクロ・クレジットの虚像と実相
1 生計向上プロジェクトの幻想
2 グラミン銀行融資の投資先としての土地の質受け等転貸
3 グラミン銀行の貧困緩和メカニズム
4 政策的含意
第6章 馬鈴薯流通システムの変容と金融
1 調査村の農業および就業構造
2 馬鈴薯の冷蔵・流通システム
3 馬鈴薯生産・流通に関わる各経済主体の費用・収益構造
4 馬鈴薯冷蔵・流通のマージン率と農村金融市場
結  論
第 III 部 インフラと政府・農村社会
第7章 インフラ整備事業をめぐる地方行政と村落社会・農村階層
1 政府農村インフラ事業と村落
2 村の資源動員システムと社会組織
終 章 総  括
1 経済発展における農業および市場メカニズムの役割について
2 経済発展の均霑効果と貧困削減について
3 今後の経済発展に向けて:いわゆるガバナンスを中心に
あとがき
参考文献
索  引

プロフィール

藤田幸一(ふじた こういち)

京都大学東南アジア研究所助教授
1959年 大阪生まれ
1982年 東京大学農学部農業経済学科卒業
1986年 同大学院農学系研究科農業経済学専攻修士課程修了
1992年 同大学院農学系研究科より博士(農学)を取得
農林水産省農業総合研究所研究員(1986年より)、東京大学農学部助教授(1995年より)
を経て、1998年より現職

主な著書
『バングラデシュ農業発展論序説』農業総合研究所、研究叢書第114号、1993年
「制度の経済学と途上国の農業・農村開発」『農業経済研究』第74巻第2号、2002年
「90年代ミャンマーの稲二期作化と農業政策・農村金融」『経済研究』第54巻第4号、2003年
「農村の貧困と開発の課題」絵所秀紀・穂坂光彦・野上裕生編著『貧困と開発』日本評論社、2004年