東洋史研究叢刊之七十九(新装版 17)
八旗制度の研究

谷井 陽子

A5上製・512頁・税込 7,560円
ISBN: 9784876985371
発行年月: 2015/02
在庫あり

書評

『東洋史研究』第74巻第4号(2016年3月)、155-163頁、評者:岡洋樹氏

内容

八旗は中国清代に満洲人が属した社会・軍事組織を指す。従来は八旗を各々独立した存在とみる分権制的理解が行われていたが、本書は経済、行政、軍政の面から検討し、八旗が限られた労力と物資を最大限に活用するために強力な中央管理のもとで運営された制度であることを明らかにすることで、通説を覆し、同時代の新しい歴史像を提供する。

目次

凡例

序 章 連旗制論批判
 序
 1 連旗制論的理解の論拠の検証
 2 連旗制論と矛盾する諸事象
 3 連旗制論を支えてきたもの
 小結
第1章 経済的背景
 序
 1 「天が諸々の国人を養うようにと任じた聡明なるハン」
 2 遼東征服後の苦闘と挫折
 3 入関前清朝の経済的限界
 小結
第2章 財政構造
 序
 1 「家boo」の経営
 2 「公siden」の財政
 3 「養うujimbi」ことの必要性
 4 「八家均分」の意味するもの
 小結
第3章 ニルの構成と運営
 序
 1 八旗と八家
 2 「家のニルbooi niru」の構成と運営
 3 「外ニルtulergi niru」の構成と運営
 小結
第4章 軍事的背景と戦略
 序
 1 ヌルハチの自立から遼東征服まで
 2 遼東進出から山海関攻撃の挫折まで
 3 華北侵入の成功から内モンゴル・朝鮮の服属まで
 4 入関までの対明戦
 小結
第5章 軍隊の編制と指揮・管理
 序
 1 兵制と兵種
 2 戦時編制と指揮・管理
 3 軍規と賞罰
 小結
第6章 政治構造とエートス
 序
 1 ヌルハチ即位以前の女真政権の問題点
 2 合議による集権体制の成立
 3 諸王の政治的基盤の不在
 4 満洲政権を支えたエートス
 小結
第7章 新しい秩序の創出
 序
 1 「出自を見るな」「系統を見るな」
 2 「功」を上げる義務
 3 「法度」による支配
 結語
附論1 入関後における八旗制度の変化
 序
 1 議政のゆくえ
 2 八旗の組織と役割の変化
 3 新しい経済的基盤の設定
 結語
附論2 清朝入関以前のハン権力と官位(hergen)制
 序
 1 官位の体系とその特質
 2 分配の基準
 3 政権の責務
 結語
附論3 清朝入関以前における漢人官僚の対政治的影響
 序
 1 ヌルハチ期における漢官の役割
 2 ホンタイジの漢官に対する方針
 3 入関以前の政治に対する漢官の影響
 結語

参考文献
あとがき
中文提要
索引(人名、地名・国gurun名・事項)

プロフィール

谷井 陽子(たにい ようこ)
天理大学文学部教授
1962年生まれ
1985年 京都大学文学部卒業
1991年 京都大学大学院博士後期課程退学。京都大学研修員。京都大学人文科学研究所助手。
1999年 天理大学文学部講師、助(准)教授を経て、2012年より現職。
主要論文
「明律運用の統一過程」(『東洋史研究』第58巻第2号、1999年)、「明初の対モンゴル軍事政策とその帰結」(『史林』第92巻第3号、2009年)など。