地域研究叢書12
ラオ人社会の宗教と文化変容
東北タイの地域・宗教生活誌

林 行夫 著

菊上製・476頁・税込 6,264円
ISBN: 9784876984022
発行年月: 2000/04
在庫あり

書評

『民族学研究』65巻3号、292-296頁、評者:津村文彦氏
『宗教研究』75巻1号、162-168頁、評者:櫻井義秀氏
『地域研究スペクトラム』5号、評者:村上忠良氏

内容

東北タイ、ラオスに別れ住むラオ人たちが、それぞれに異なる居住地域の風土と国家的な宗教の枠組みの中で、どのようにその文化状況を変えていったのか? 一国一村に限定した従来の民族誌を越え、地方と国家、一農村と集落間関係のなかに宗教の布置と動態担い手の実践の変容を捉える。文化人類学と地域間研究の新しいスタイルを拓く。

目次

序 本書の課題と目的
 序-1 対象の周辺
 序-2 対象への接近
第一章 東南アジア上座部仏教徒社会研究と課題
 1-1 「実践宗教」へ
 1-2 タンバイア以前
 1-3 タンバイアの村落宗教論
 1-4 体系化と現実
 1-5 展望
第二章 「ラオ」人社会はどこにあるか
 2-1 「ラオ」は誰か
 2-2 差異化されたラオ―タイの「民族内関係」
 2-3 ラオと東北タイ
 2-4 イサーンの生成
 2-5 東北タイにおける「民族」間関係
第三章 東北タイにおけるラオ人集落の形成過程と宗教構成
 3-1 調査村とその周辺
 3-2 MN村における口述記録
 3-3 「ハーナーディー」をめぐる若干の考察
 3-4 宗教構成からみた村落類型
第四章 村落宗教の構造と変容
 4-1 東北タイ・ラオ系村落宗教の概要と「現在」―D村から
 4-2 仏教実践の諸相(1)
 4-3 仏教実践の諸相(2)
第五章 東北タイにおける仏教とモータム
 5-1 モータムの所在
 5-2 守護力の概念とモータム―仏教実践と異界の相克
 5-3 仏教守護力の担い手モータム
 5-4 モータムと信奉者の社会的関係
 5-5 国教化過程にみる頭陀行僧とタンマ
 5-6 仏教実践者としてのモータム
第六章 村落宗教の変節と「森の寺」  6-1 村落の変貌
 6-2 年中仏教行事と出家行動(1965年~1985年)
 6-3 功徳と貨幣経済
 6-4 成熟者の権威のゆくえ
 6-5 D村における「森の寺」の成立
 6-6 「森の寺」をめぐる考察
終章 ラオ人社会の現在と実践宗教の行方

【付録】モータムになること―口述史にみる師弟関係の系譜
  付-1 タム・オラハン派の師弟関係の系譜
  付-2 タム・ルオンポー派の系譜

  あとがき
  註
  参考文献
  索引

プロフィール

林 行夫(はやし ゆきお)

京都大学東南アジア研究センター助教授
1995年 大阪府生まれ
1981-83年 タイ国チューラロンコーン大学に留学
1988年 龍谷大学大学院博士課程(社会学専攻)単位取得退学
国立民族学博物館研究部助手を経て、1993年より現職。

主な著訳書
Inter-Ethnic Relations in the making of Mainland Southeast Asia Vol.1, CSEAS, Kyoto University, 1998
『ドンデーン村の伝統構造とその変容』(1990)創文社
『王権の位相』(1991)弘文堂
『実践宗教の人類学―上座部仏教の世界』(1993)京都大学学術出版会
『東南アジア大陸部における「民族」間関係と「地域」の生成』(1996)京都大学東南アジア研究センター
『岩波講座文化人類学・宗教の現代』(1997)岩波書店
『カンボジア―社会と文化のダイナミクス』(1998)古今書院