生物資源から考える 21世紀の農学3
植物を守る

佐久間 正幸 編

A5上製・370頁・税込 4,752円
ISBN: 9784876983384
発行年月: 2008/01
在庫あり

内容

20世紀が除草剤と殺虫剤すなわち「化学」による植物防除の時代だったとすれば、21世紀は「生物学」による防除の時代である。生物間の相互作用を活かして害虫・雑草を管理し、それが環境の多様性を高めて、さらに生産性を上げる——こうした挑戦が成功して初めて、農学は生の基盤となるのではなかろうか。その研究の最前線を俯瞰する。

目次

序 文

第1章 害虫防除についてのバイオミミクリー的考察 (藤崎憲治)
はじめに
1 昆虫とはどのような生き物か
2 自然の摂理としての害虫問題
3 害虫防除をどう考えるか
おわりに

第2章 ハダニの生態とそれを制する戦略 (高藤晃雄)
はじめに
1 ハダニはどのような生き物か
2 重要種の分布起源とひろがり
3 ハダニの発生動態と薬剤抵抗性
4 ハダニ類の天敵
5 カブリダニによる生物的防除
6 土着天敵によるハダニ個体数の自然制御
おわりに

第3章 昆虫と植物 —攻防と共存の歴史— (西田律夫)
はじめに
1 食草発見の手がかり
2 植物を守る化学障壁
3 攻防の歴史と食性進化
4 共存の絆
おわりに

第4章 新しい殺虫剤 (中川好秋・宮川 恒)
はじめに
1 殺虫剤の作用
2 昆虫成育制御剤
おわりに

第5章 性フェロモンによる害虫防除 (若村定男)
はじめに
1 大規模実験からはじめる
2 防除実験は成功したか
3 疑問点は解けるか
4 施設栽培での効果
5 合成フェロモン剤の特徴
おわりに

第6章 植物を病気から守る (田中千尋・奥野哲郎)
はじめに
1 歴史をかえた植物病
2 植物病の原因と発生
3 農作物・農耕地の特性と植物病
4 植物病防除の考え方と実際
5 遺伝子改変作物の利用
おわりに

第7章 雑草のしたたかな生き残り戦略 —擬態する雑草— (冨永 達)
はじめに
1 雑草とはどんな植物か
2 人間と雑草の戦い
3 コムギに擬態するドクムギ
5 除草剤が効かない雑草の出現—雑草の生理・生化学的な擬態
おわりに

第8章 除草剤の半世紀と今後の課題 (萩本 宏)
はじめに
1 雑草管理と除草剤
2 日本の除草剤事はじめ
3 わが国における除草剤利用の技術史
4 除草剤の使用法
5 除草剤の今後
おわりに

第9章 21世紀の植物保護 —有機合成農薬の視点から— (萩本 宏)
はじめに
1 この国の「かたち」を変えたいか,変えたくないか
2 農薬の研究開発は世界に向けて
3 人と自然に安全な農薬は創れるか
おわりに

索 引
執筆者一覧

プロフィール

■編者略歴
佐久間正幸 (さくま まさゆき)
 京都大学大学院農学研究科教授
 (昆虫生理学,応用生物科学専攻)
1951年 神奈川県横浜市生まれ
1980年 京都大学大学院農学研究科博士後期課程単位修得退学
1980年 京都大学農学部文部技官
1992年 京都大学博士(農学)
1996年 京都大学農学部助手
2002年 京都大学大学院農学研究科助教授
2003年より現職

主要論文:
Virtual reality experiments on a digital servosphere: guiding male silkworm moths to a virtual odour source. Comput. Electron. Agri. 35: 243-254 (2002)
Aggregation arrestant pheromone of the German Cockroach, Blattella germanica (L.) (Dictyoptera: Blattellidae): Isolation and structure elucidation of blattellastanoside-A,B. J.Chem.Ecol., 19: 2521-2541 (1993)
「集合フェロモン」『農芸化学の事典』鈴木昭憲・荒井綜一編,朝倉書店(2003)(分担執筆)

■執筆者一覧
序 文  佐久間正幸(編者略歴参照)
第1章 藤崎 憲治(ふじさき けんじ)
京都大学大学院農学研究科教授(昆虫生態学,応用生物科学専攻)
1947年 福岡県生まれ
第2章 高藤 晃雄(たかふじ あきお)
京都大学大学院農学研究科教授(生態情報開発学,地域環境科学専攻)
1944年 和歌山県生まれ
第3章 西田 律夫(にしだ りつお)
京都大学大学院農学研究科教授(化学生態学,応用生命科学専攻)
1949年 三重県生まれ
第4章 中川 好秋(なかがわ よしあき)
京都大学大学院農学研究科准教授(生物調節化学,応用生命科学専攻)
1955年 滋賀県生まれ
宮川 恒(みやがわ ひさし)
京都大学大学院農学研究科教授(生物調節化学,応用生命科学専攻)
1957年 大阪府生まれ
第5章 若村 定男(わかむら さだお)
独立行政法人農業生物資源研究所 昆虫-昆虫・植物間相互作用研究ユニット(昆虫行動制御物質研究サブユニット) 上級研究員(応用昆虫学,農芸化学専攻)
1949年 滋賀県生まれ
第6章 田中 千尋(たなか ちひろ)
京都大学大学院農学研究科准教授(微生物環境制御学,地域環境科学専攻)
1963年 兵庫県生まれ
奥野 哲郎(おくの てつろう)
京都大学大学院農学研究科教授(植物病理学,応用生物科学専攻)
1950年 京都府生まれ
第7章 冨永 達(とみなが とおる)
京都大学大学院農学研究科教授(雑草生態学,農学専攻)
1955年 京都府生まれ
第8,9章 萩本 宏(はぎもと ひろし)
元武田薬品工業株式会社取締役・アグロカンパニープレジデント(雑草管理学,農薬学,きのこ生態学専攻)
1934年 京都府生まれ