生態学ライブラリー19
植物のかたち
その適応的意義を探る

酒井 聡樹

四六上製・258頁・税込 2,484円
ISBN: 9784876983193
発行年月: 2002/05
在庫あり

書評

『日経サイエンス』、評者:森山和道氏
『海洋と生物』Vol.24No.3
『遺伝』57巻2号、評者:清水健太郎氏
『生物科学』第55巻第2号、評者:長田典之氏

内容

私たちの周りには、様々な形をした植物が、様々な生活様式で暮らしている。では、何がそのような多様性をもたらしているだろうか?カエデ類とニリンソウ類を題材にしてその謎に挑む。失敗談や有望な仮説を考え出す過程など、研究成果発表の場にはあらわれない、試行錯誤の様子まで描きながら「研究する人生」の楽しみを紹介する。

目次

 はじめに

第一章 稚樹の形の研究をやろう
 1生物学に決める
 2植物生態学と系統進化学の中間的な研究を志す
 3目的もなく、カエデの枝の長さを測る
 4東大大学院の入試
 5大学院での研究テーマを考える
第二章 仮説を描くまでの日々
 1カエデ科の比較生態学をやろう
 2日光植物園
 3研究とは
 4私なりの研究目的
 5フィールド歩き
 6クリッチフィールドさんの論文との出会い
 7冬芽を解剖してみる
 8葉の展開の様子を定期的に観察する
 9研究室セミナー
 10ウリハダカエデのひらめき
 11仮説
第三章 カエデ科稚樹における、分枝伸長様式の適応進化
 1その年に着ける葉の数は前年の内に決まっているのか
 2稚樹の移植実験
 3初めての学会発表
 4分枝伸長様式に三型あり
 5冬芽の開芽率
 6葉の大きさと節間長の変化
 7主軸の伸長量
 8移植実験の結果
 9三型の適応戦略
 10どういう大きさの林冠ギャップで世代更新しているのか
第四章 論文を書く
 1修士論文の構想を練る
 2修士論文執筆
 3修士論文発表会
 4修士論文と投稿論文
 5論文が科学雑誌に掲載されるまでの道筋
 6論文執筆開始
 7緒言では何を書くべきか
 8論文投稿
 9論文が返ってこない
 10論文改訂
 11論文が通った!
 12論文を終えて
第五章 数理モデルへの道
 1博士課程修了
 2一般性の高い研究がしたい
 3イチリンソウ属
 4個体を掘り取る
 5トレードオフ
 6乾燥重量を計る
 7自然淘汰による進化と最適戦略
 8数理生態学
 9大間違いの数理モデルを作る
 10釧路での生態学会
第六章 草の形の多様性の進化に関する理論的解析
 1ゲーム理論
 2進化的に安定な戦略
 3ギブニッシュさんの論文を読む
 4茎と葉柄は違う?! コンピュータシミュレーション
 5研究室の城の中で
 6解析的な数理モデル
 7求めるべき条件は何だ?
 8最後の大間違い
 9生物学における四つの問い
 10進化生態学における数理モデルの役割
 11草の形の多様性の進化:私が作った数理モデル

 おわりに
 引用文献
 索  引

プロフィール

酒井聡樹(さかい さとき)

東北大学大学院生命科学研究科助教授。
理学博士。
1960年 熊本県生まれ。
1989年 東京大学大学院理学研究科植物学専門課程博士課程終了。
日本学術振興会特別研究員。農林水産庄草地試験場研究員を経て現職。
専門 進化生態学

主著
『これから論文を書く若者のために』(共立出版、2002)、『生き物の進化ゲーム―進化生態学最前線:生物の不思議を解く』(共著、共立出版、1999)、『数理生態学』(分担執筆、共立出版、1997)、『多様性の生物学3 植物の種』(分担執筆、東京大学出版会、2000)、『水生生物の卵サイズ―生活史変異・種分化の生物学』(分担執筆、海遊舎、2001)