生態学ライブラリー9
トビムシの住む森
土壌動物から見た森林生態系

武田 博清

四六上製・266頁・税込 2,268円
ISBN: 9784876983094
発行年月: 2002/03
在庫あり

書評

『生物科学』第55巻4号、評者:長嶋寿江氏

内容

われわれはふだん地上の大きな動物たちしか見ていない。だが、なかなか目にすることのない土の中にも厳正動物からミミズやトビムシまで、さまざまな動物が住んでおり、植物の生活を支える土壌を創り出している。その豊かな生物相を、観察の方法なども説明しながら、生き生きと描き出す。

目次

第一章 生態系における生物の位置
1 生態系という考え方
2 生態系における生物の機能
3 生態系の研究
4 生物の住み場所を生態系の機能に関連づける試み
5 マクロな「食物―住み場所テンプレート」の構造
第二章 土壤分解系の生物群集を観察する
1 取り残された二つのすみ場所
2 土壌の住み場所を探る
3 土壌分解系の動物たち
4 土壌の捕食者
5 土壌分解系の案内人──トビムシ
第三章 土壤分解系の提供する「食物―住み場所テンプレート」形成の過程
1 土壌動物の住み場所形成の過程
2 分解系への有機物の供給
3 各種の森林生態系におけるリター供給量
4 森林生態系における落葉などの有機物の分解過程
5 森林における落葉などの有機物の分解を測定する方法
6 分解過程における分解者の資源利用様式
第四章 「食物―すみ場所テンプレート」を利用する土壤動物群集
1 土壌における有機物分解の主役──微生物の役割
2 土壌で提供される食物―住み場所テンプレートを利用した動物群集の構造
3 野外での群集パタンの発見の重要性
4 森林生態系の機能とトビムシ群集の関係
5 落葉分解ともなう資源の変化と土壌動物群集
6 分解者群集の多様性
第五章 熱帯と温帯森林における落葉分解過程と土壤動物群集
1 熱帯と温帯の比較
2 熱帯林生態系の生産者の特徴
3 熱帯の落葉分解過程
4 熱帯の分解過程と土壌動物
5 樹木の多様性への分解系の効果
6 熱帯の土地利用に関する特徴
7 緯度に沿っての森林生態系の植物-土壌系の様式
第七章 新しい環境論としての地球共生系の発想
1 人類の歴史
2 生物の生存戦略
3 森林生態系──蓄積利息を利用した生態系
4 低い生産性を持つ生態系の意義
5 緑に保たれた地球共生系
6 生態系の機能と構造についてのまとめ
7 人間と自然の関係

読書案内
引用文献
索  引

プロフィール

武田博清(たけだ ひろし)

京都大学農学研究科森林生態学分野教授。京都大学農学博士
1948年 愛媛県新居浜市生まれ
1971年 名古屋大学農学部林学科卒業
1976年 京都大学農学部農学研究科博士課程終了
1976年 京都大学農学部森林生態学研究室助手
その後、同助教授を経て1997年より現職
専門:森林生態学

主著
『日本の昆虫群集』(木元新作、武田博清共編、東海大学出版会、1987)、『群集生態学入門』(木元新作、武田博清共著、共立出版、1989)、Structure and function of soil communities (Abe et al. eds. Kyoto University Press, 1995)、Enviromental Forest Science (K. Sasa ed. Kluwer Academic Publishers, 1998)、他