生態学ライブラリー6
「知恵」はどう伝わるか
ニホンザルの親から子へ渡るもの

田中 伊知郎

四六上製・304頁・税込 2,268円
ISBN: 9784876983063
発行年月: 1999/08
在庫あり

書評

『生物科学』52巻2号、評者:沓掛展之氏

内容

ごく身近に観察できるサル---ニホンザルを題材に、子どもたちが親の世代から生きていく知恵を受け継ぐ仕組みを解き明かす。かつては「ノミ取り」と誤解されていた「シラミの卵取り」行動を、サルと一体になったかのような密着観察によって生き生きと描写しながら、ヒトにも通じる「文化」伝播を考える、フィールド観察の面白さを示す好著。

目次

はじめに
第一章 観察の始まり
1 観察とは、どんなことか
2 観察の方法
3 最初の報告
4 乳首の好み
第二章 授乳行動
1 授乳行動研究の背景
2 医学研究からの手がかり
3 野外研究への応用
4 周期性への回り道
5 ミルク分泌速度の推定
6 授乳期間
7 授乳と胎児との関係
8 ミルク分泌の量的変
9 人類への進化との関係
10 ミルク分泌の生理的側面
第三章 ニホンザルと物理法則
1 ニホンザルにおける「石当て」
2 実験の解釈
第四章 行動の社会的伝達��ニホンザルにおけるシラミ取りを中心にして
1 毛づくろい行動
2 ビデオを利用した研究
3 毛づくろい時に取り上げるものの判明
4 毛づくろいからシラミ卵処理へ
5 シラミ卵処理技術
6 行動の社会的伝達へ
7 行動の社会的伝達の検証研究
8 社会的伝達としての解釈
9 社会的伝達で伝わる情報
10 交渉相手の関与��社会であるために
第五章 終わりに
あとがき
謝  辞
読書案内
引用文献
索  引

プロフィール

田中伊知郎(たなか いちろう)

京都大学霊長類研究所生態機構分野研修員.理学博士. 1961年 新潟県生まれ. 1990年 東京大学大学院理学系研究科人類学専攻博士課程修了. 日本学術振興会特別研究員(PD),東京大学大学院理学系研究科人類学専攻研究生,京都大学霊長類研究所COE非常勤研究員を経て現在にいたる.

専 門 
自然人類学,行動人類学,霊長類学.

主 著 
『霊長類学を学ぶ人のために』(分担執筆,世界思想社,1999年)