生態学ライブラリー1
カワムツの夏
ある雑魚の生態

片野 修

四六上製・230頁・税込 2,268円
ISBN: 9784876983018
発行年月: 1999/04
在庫あり

書評

『生物科学』、評者:窪川かおる氏
『日本動物行動学会NEWSLETTER』2000年6月30日、評者:箱山洋氏
『科学』69巻10号、評者:山極寿一氏

内容

京都の北山を流れる清滝川に生息するコイ科の淡水魚カワムツの物語。初夏の繁殖期には、産卵をめぐる個体間の驚くべきかけひきと多様な社会関係が認められた。餌を食べるためには、他魚種をもまきこんだ競争が展開されていた。さまざまな個性がしのぎを削るありさまを、淡水魚で初めて明らかにした研究成果の結集である。

目次

はじめに
第一章 清滝川のカワムツ
1 魚を観察する
2 清滝川にて
3 カワムツの生態
4 調査方法と時期
第二章 雄どうしの闘いと繁殖
1 産卵場
2 産卵行動を中止した雄
3 産卵場から姿を消した雄
4 初期の繁殖と順位
6 変動する順位
7 雄の順位と繁殖
9 雄の消耗
第三章 雄のかけひき
1 妨害雄の頭突き
2 負けるが勝ち?
3 静かな場所で
4 大型雄たちの激突
5 六月二六日の状況
6 移動する雄——もどってきたエルオ
7 雌の頭を突いた雄
第四章 劣位な雄の行動
1 受精を盗む雄
2 雌を求めて——「広」の話
3 成長のちがいによる順位の逆転
4 非繁殖雄の存在
5 一日だけのスニーカー
6 どしゃぶりの雨の中で
7 雄の生活史
8 「広」に可能性はあったか
第五章 雌の産卵と卵食い
1 産卵にいたるまで
2 追尾行動の意味
3 雌の多回産卵
4 雌の卵食
5 卵食における個体差
6 食べられる卵の数
7 ペアと他個体とのかけひき
第六章 繁殖が終わって
1 魚とりの季節
2 夏が終わって
3 二次性徴について
4 魚の死にぎわ
5 秋に向かって
第七章 餌を食べる
1 摂食行動
2 水面の虫を食べる
3 流下動物を食べる
4 行動圏に見られる個性
5 少し変わった摂餌スタイル
6 「老」の話
7 カワムツは春に成長する
8 雄は雌より大きい
9 アマゴとカワムツとの競争
10 オイカワとカワムツ
11 その他の魚との関係
第八章 カワムツの社会を考える
1 これまでのカワムツ研究との比較
2 他の淡水魚との比較
3 動物の社会研究
おわりに
付  録-本書に登場する主なカワムツ一覧
参考文献
索  引

プロフィール

片野 修(かたの おさむ)

現 職:水産庁中央水産研究所内水面利用部主任研究官。理学博士。
1956年 神奈川県生まれ。
1979年 京都大学理学部卒業。
科学技術庁科学技術特別研究員を経て現職。
専 門:動物生態学

主な著書:
『個性の生態学』(京都大学学術出版会,1991年),『新動物生態学入門』(中央公論社,1995年),『ナマズはどこで卵を産むのか』(創樹社,1998年),『魚類の繁殖行動』(分担執筆,東海大学出版会,1989年),『水辺環境の保全』(分担執筆,朝倉書店,1998年),他.