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地域研究叢書 8

〈地域間研究〉の試み(下)

世界の中で地域をとらえる

高谷 好一 編著

菊上製・352頁

ISBN: 9784876980802

発行年月: 1999/08

  • 本体: 4,200円(税込 4,620円
  • 在庫あり
 
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内容

対象地域そのものだけに焦点を絞ってきた旧来の地域研究の枠を超え、地域を地球全体の座標の上に置き他と比較することで、それぞれの地域の外郭と実質を明らかにする。下巻では中国、ヨーロッパという「強い地域」と東南アジアの比較を扱う。併せて地域研究の今後の課題も示す。文部省重点領域研究の成果を公開した、地域研究者必読の書。

プロフィール

編著者
高谷 好一(たかや よしかず) 
滋賀県立大学人間文化学部教授・京都大学名誉教授(地域研究)  
1934年,滋賀県生まれ.京都大学大学院理学研究科修了,京都大学理学博士.京都大学東南アジア研究センター助手,助教授,教授を経て現職.  

主要著書
『熱帯アジアの農業発展』 創元社 1982年
『東南アジアの自然と土地利用』 勁草書房 1985年
『マングローブに生きる』 NHKブックス 1988年
『コメをどう捉えるのか』 NHKブックス 1990年
『新世界秩序を求めて』 中公新書 1993年
『「世界単位」から世界を見る』 京都大学学術出版会 1996年
『多文明世界の構図』 中公新書 1997年

報告者(50音順)
阿部健一 国立民族学博物館地域研究企画交流センター助手(生態学)
上田 信 立教大学・助教授(歴史学)
川勝平太 国際日本文化研究センター・教授(社会経済史学)
斯波義信 国際其督教大学・教授(東洋史学)
陣内秀信 法政大学・教授(建築学)
高谷好一 上記 立本成文  京都大学東南アジア研究センター長・教授(地域研究)
松原正毅 国立民族学博物館地域研究企画交流センター長・教授(社会人類学)
宮嶌博史 東京大学東洋文化研究所・教授(朝鮮史学)

発言者(50音順)
應地利明 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授(地理学)
海田能宏 京都大学東南アジア研究センター・教授(地域学)
掛谷 誠 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授(人類学)
木村雅昭 京都大学大学院法学研究科・法学部教授(政治思想学)
角山 栄 堺市博物館長、和歌山大学名誉教授(経済大学)
坪内良博 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科長・教授(比較社会学)
永沼博道 関西大学商学部・教授(商業史)
濱下武志 東京大学東洋文化研究所教授(東洋史学)
弘末雅士 立教大学文学部・教授(東南アジア史)
古川久雄 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授(地域研究)
家島彦一 東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所教授(歴史学)
山田 勇 京都大学東南アジア研究センター・教授(生態学)
渡邉 尚 京都大学大学院経済学研究科・教授(経済史学)

目次

下巻の〈はじめに〉
下巻各章の概要
    第四章「東南アジアと中国」第五章「東南アジアとヨーロッパ」
    第六章「地域間研究を求めて」

第四章 東南アジアと中国
報告1 華僑史からみた東南アジア(斯波義信)
 一 華僑史の時代区分
 二 東南アジアにおける華僑の諸相
 三 華僑とネットワーク
 四 華僑観の変容--「華南」からの視点
コメント1 華--非華の構図を超えて(立本成文)
討論1 「華僑のアイデンティティ」の多様性と変容
報告2 結合のイデオロギーとしての「輩分」(上田 信)
コメント2 「伝統の生成システム」の欠如--固定化しない東南アジア(阿部健一)
報告3 朝鮮における「固定化」のシステム(宮嶌博史)
コメント3 結合エネルギーの制度化/非制度化(松原正毅)
討論2 〈強い結合〉〈弱い結合〉--組織原理の違いから地域を見る
    現代と伝統の比重--結合エネルギー成立の原理に迫る
総合討論 《集団の社会》と《ネットワーキングの社会》
    ネットワーク、集団、カテゴリー  異質と平準化--交易ネットワーク論
    文化・物産  複合をゆるがす海  生活の場としての東南アジアの海
    ネットワークとネットワーキング  本質の伝播と作り替え--大文明世界とその周辺
    移住と受け入れ  ナメクジの移動と虫食いの移動「地域らしさ」を浮き上がらせる
    --地域研究の視角

第五章 東南アジアとヨーロッパ

報告1 ヨーロッパを作った東洋のインパクト(川勝平太)
 一 生態学的観点から歴史変化は見えるか
 二 地域を文化・物産複合からみる
 三 ヨーロッパを作った東南アジア
報告2 都市空間から見た地中海世界と東南アジア(陣内秀信)
 一 多様性の世界としての地中海瑚
 二 地中海世界のコスモロジー
 三 コロニアルスタイルの形成

討論1 ヨーロッパと東洋を結ぶ海

報告3
 男の美学--東南アジアのコスモロジーとヨーロッパ(高谷好一)
総合討論 《関連性・発展の論理》と《固有性の論理》
  東南アジアの発展  交流が地域をかえる  ヨーロッパの発展  固有性と関連性
  「所有権」とは何なのか  地域は風土性をもっている  東南アジアは変わらないのか?
  東南アジアの「男の美学」と宗教  東南アジアの森の意味  近代化とその波紋
  ヨーロッパで起こった近代  近代化への日本の対応  近代の誕生、発展と海
  アジアへの憧れ  ヨーロッパにおきた相転移としての近代

第六章 地域間研究を求めて
地域研究の精神とは(高谷好一)
 はじめに
 一 「南進」とその背景
    近代の国際情勢「南進」の経過  昭和の「南進」戦後の日本
 二 地域研究の展開
    古典的な地域の研究「地域研究」から「地域間研究」へ
討論 地域研究はどこへ向かうのか
    「南進」から「かかわりのエトス」へ  地域間研究の有効性  地域研究者を
    名乗る者として  「実体か操作概念か」「機能か実質か」--「地域」とはなんだ
    ろうか ふたたび「地域研究とは何か?」

あとがき
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