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時代の転形期を生きた人類学者の思索と実践
[推薦]篠原 徹(滋賀県立琵琶湖博物館・館長)
掛谷誠は,日本の農山漁村やアフリカの原野に生きる人びとの「生きざま」の研究から生態人類学をリードし,地域の在来性がもつポテンシャルに未来をつくる力を見いだした。自然のなかで生きる人びととともに思索し実践してきた人類学者のこの論集は、混乱する世界にあって,未来を志向する私たちの「生きざま」にひとつの指針を示している。
[推薦]篠原 徹(滋賀県立琵琶湖博物館・館長)
掛谷誠は,日本の農山漁村やアフリカの原野に生きる人びとの「生きざま」の研究から生態人類学をリードし,地域の在来性がもつポテンシャルに未来をつくる力を見いだした。自然のなかで生きる人びととともに思索し実践してきた人類学者のこの論集は、混乱する世界にあって,未来を志向する私たちの「生きざま」にひとつの指針を示している。
アフリカの焼畑農耕民社会を対象とし、自然・社会・文化の相互関係と動態を生態人類学の立場から解明してきた京都大学名誉教授・掛谷誠の著作集。日本をフィールドにした初期の研究も含め、その足跡を集大成。第1巻は日本の山村と島嶼を皮切りに、アフリカのトングウェとベンバの農村社会へフィールドを拡げ、生態人類学の基礎を築いていった著者の足跡をつまびらかにする。
掛谷 誠(かけや まこと)
元京都大学名誉教授。理学博士。1945年2月11日-2013年12月22日
1968年京都大学理学部を卒業し、同大学大学院理学研究科に入学して生態人類学を学ぶ。1974年に福井大学教育学部助教授、1979年に筑波大学歴史・人類学系助教授、1987年に弘前大学人文学部教授を歴任し、1990年には京都大学アフリカ地域研究センター教授、1998年からは同大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授を兼任した。2008年には定年により退職し、2013年12月22日に逝去した。享年68歳であった。
日本における生態人類学の創始者のひとりであり、東アフリカ乾燥疎開林帯の農耕民社会に関する研究によって優れた業績を残した。そのなかで提唱された「最小生計努力」や「平準化機構」はアフリカ社会を理解するための基本的な概念として幅広い分野の研究者に援用されている。また、アフリカ地域研究の進展を牽引するとともに、研究成果をアフリカの農村開発に還元する応用的・実践的研究にも従事し、在来性に根ざした地域の内発的な発展という新たな視座を提示した。
生態人類学会の会長や日本アフリカ学会の理事などを歴任すると同時に、京都大学アフリカ地域研究資料センター長や同大学評議員の要職を務めるなど、学界の組織化や体制の確立に尽力し、1998年には大同生命地域研究奨励賞を受賞した。主な著書に、『ヒトの自然誌』(平凡社)、『講座 地球に生きる2 環境の社会化』(雄山閣)、『続・自然社会の人類学』(アカデミア出版会)、『講座 生態人類学3 アフリカ農耕民の世界』(京都大学学術出版会)、『アフリカ地域研究と農村開発』(京都大学学術出版会)など多数の共著編著がある。
編集委員
伊谷樹一(いたに じゅいち) 京都大学アフリカ地域研究資料センター教授。博士(農学)。
伊藤詞子(いとう のりこ) 京都大学野生動物研究センター研究員。博士(理学)。
大山修一(おおやま しゅういち) 京都大学アフリカ地域研究資料センター准教授。博士(人間・環境学)。
黒崎龍悟(くろさき りゅうご) 高崎経済大学経済学部国際学科准教授。博士(地域研究)。
近藤 史(こんどう ふみ) 弘前大学人文学部准教授。博士(地域研究)。
杉山祐子(すぎやま ゆうこ) 弘前大学人文学部教授。博士(地域研究)。
寺嶋秀明(てらしま ひであき) 神戸学院大学人文学部教授。理学博士。
山本佳奈(やまもと かな) 日本学術振興会特別研究員(RPD)/北海道大学大学院文学研究科。博士(地域研究)。
元京都大学名誉教授。理学博士。1945年2月11日-2013年12月22日
1968年京都大学理学部を卒業し、同大学大学院理学研究科に入学して生態人類学を学ぶ。1974年に福井大学教育学部助教授、1979年に筑波大学歴史・人類学系助教授、1987年に弘前大学人文学部教授を歴任し、1990年には京都大学アフリカ地域研究センター教授、1998年からは同大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授を兼任した。2008年には定年により退職し、2013年12月22日に逝去した。享年68歳であった。
日本における生態人類学の創始者のひとりであり、東アフリカ乾燥疎開林帯の農耕民社会に関する研究によって優れた業績を残した。そのなかで提唱された「最小生計努力」や「平準化機構」はアフリカ社会を理解するための基本的な概念として幅広い分野の研究者に援用されている。また、アフリカ地域研究の進展を牽引するとともに、研究成果をアフリカの農村開発に還元する応用的・実践的研究にも従事し、在来性に根ざした地域の内発的な発展という新たな視座を提示した。
生態人類学会の会長や日本アフリカ学会の理事などを歴任すると同時に、京都大学アフリカ地域研究資料センター長や同大学評議員の要職を務めるなど、学界の組織化や体制の確立に尽力し、1998年には大同生命地域研究奨励賞を受賞した。主な著書に、『ヒトの自然誌』(平凡社)、『講座 地球に生きる2 環境の社会化』(雄山閣)、『続・自然社会の人類学』(アカデミア出版会)、『講座 生態人類学3 アフリカ農耕民の世界』(京都大学学術出版会)、『アフリカ地域研究と農村開発』(京都大学学術出版会)など多数の共著編著がある。
編集委員
伊谷樹一(いたに じゅいち) 京都大学アフリカ地域研究資料センター教授。博士(農学)。
伊藤詞子(いとう のりこ) 京都大学野生動物研究センター研究員。博士(理学)。
大山修一(おおやま しゅういち) 京都大学アフリカ地域研究資料センター准教授。博士(人間・環境学)。
黒崎龍悟(くろさき りゅうご) 高崎経済大学経済学部国際学科准教授。博士(地域研究)。
近藤 史(こんどう ふみ) 弘前大学人文学部准教授。博士(地域研究)。
杉山祐子(すぎやま ゆうこ) 弘前大学人文学部教授。博士(地域研究)。
寺嶋秀明(てらしま ひであき) 神戸学院大学人文学部教授。理学博士。
山本佳奈(やまもと かな) 日本学術振興会特別研究員(RPD)/北海道大学大学院文学研究科。博士(地域研究)。
日本の離島と山村に生きる
第1章 小離島住民の生活の比較研究―トカラ列島、平島・悪石島
第2章 雪国の山村における戦後三〇年―福井県瀬戸部落(福井県南条郡今庄町瀬戸)
[現在の福井県南条郡南越前町瀬戸]
第3章 「白神山地ブナ帯域における基層文化の生態史的研究」の目的と構成
第4章 生態史と文明史の交錯―白神山地における自然と生活の生態史をめぐる諸問題
トングウェの暮らしと自然
第5章 トングウェ族の生計維持機構―生活環境・生業・食生活
第6章 アフリカのトングウェ族とともに
第7章 サブシステンス・社会・超自然的世界―トングウェ族の場合
第8章 伝統的農耕民の生活構造―トングウェを中心として
ベンバの伝統生活と変化
第9章 ザンビアにおける生態人類学研究上の諸問題―予備調査報告
第10章 ザンビアの伝統農耕とその現在―ベンバ族のチテメネ・システムの現況
第11章 中南部アフリカ・疎林帯におけるベンバ族の焼畑農耕―チテメネ・システムの諸相
第12章 ベンバ族
第13章 焼畑農耕社会の現在―ベンバの村の一〇年
生態人類学とアフリカ農耕民研究
第14章 環境の社会化の諸相
第15章 焼畑農耕民の生き方
第16章 アフリカ農耕民研究と生態人類学
解 題―掛谷誠の生態人類学、そのまぶしくもやさしい肖像 寺嶋 秀明
第1章 小離島住民の生活の比較研究―トカラ列島、平島・悪石島
第2章 雪国の山村における戦後三〇年―福井県瀬戸部落(福井県南条郡今庄町瀬戸)
[現在の福井県南条郡南越前町瀬戸]
第3章 「白神山地ブナ帯域における基層文化の生態史的研究」の目的と構成
第4章 生態史と文明史の交錯―白神山地における自然と生活の生態史をめぐる諸問題
トングウェの暮らしと自然
第5章 トングウェ族の生計維持機構―生活環境・生業・食生活
第6章 アフリカのトングウェ族とともに
第7章 サブシステンス・社会・超自然的世界―トングウェ族の場合
第8章 伝統的農耕民の生活構造―トングウェを中心として
ベンバの伝統生活と変化
第9章 ザンビアにおける生態人類学研究上の諸問題―予備調査報告
第10章 ザンビアの伝統農耕とその現在―ベンバ族のチテメネ・システムの現況
第11章 中南部アフリカ・疎林帯におけるベンバ族の焼畑農耕―チテメネ・システムの諸相
第12章 ベンバ族
第13章 焼畑農耕社会の現在―ベンバの村の一〇年
生態人類学とアフリカ農耕民研究
第14章 環境の社会化の諸相
第15章 焼畑農耕民の生き方
第16章 アフリカ農耕民研究と生態人類学
解 題―掛谷誠の生態人類学、そのまぶしくもやさしい肖像 寺嶋 秀明