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◉檜山爲次郎 氏
(中央大学研究開発機構教授・京都大学名誉教授)
京都大学工学部の化学系では、基礎の裏付けがあって独自の応用が拓けると考える喜多源逸の信念のもと、応用と基礎の間の双方向的な知的刺激によって創造性を高めてゆく独特の学問的雰囲気が育まれていった。
本著は喜多から福井謙一・野依良治へと連なる京都学派の生の化学者群像を活写する。
この知的刺激は、若い世代にとって必ずや科学技術創造の一助になるだろう。
(中央大学研究開発機構教授・京都大学名誉教授)
京都大学工学部の化学系では、基礎の裏付けがあって独自の応用が拓けると考える喜多源逸の信念のもと、応用と基礎の間の双方向的な知的刺激によって創造性を高めてゆく独特の学問的雰囲気が育まれていった。
本著は喜多から福井謙一・野依良治へと連なる京都学派の生の化学者群像を活写する。
この知的刺激は、若い世代にとって必ずや科学技術創造の一助になるだろう。
「応用をやるなら基礎をやれ」(喜多源逸)
「理論をやるなら実験をやれ」(福井謙一)
遠縁の喜多源逸から「数学が好きなら化学をやれ」といわれ、化学を専攻することにした福井謙一。彼が量子化学の最前線にいたった背景には京都大学工学部化学系に独特の学風があった。草創期の喜多、戦前から戦後にかけて高分子化学を切り拓いた桜田一郎をはじめ、明治から現代にいたる研究者群像を軸に、日本の化学の歴史が明瞭に示される1冊。知る人ぞ知る存在だった喜多や桜田の研究人生にも光を当て、かれらから福井や野依良治へと連なる「化学の京都学派」を科学史の専門家が鮮やかに描き出す。
「理論をやるなら実験をやれ」(福井謙一)
遠縁の喜多源逸から「数学が好きなら化学をやれ」といわれ、化学を専攻することにした福井謙一。彼が量子化学の最前線にいたった背景には京都大学工学部化学系に独特の学風があった。草創期の喜多、戦前から戦後にかけて高分子化学を切り拓いた桜田一郎をはじめ、明治から現代にいたる研究者群像を軸に、日本の化学の歴史が明瞭に示される1冊。知る人ぞ知る存在だった喜多や桜田の研究人生にも光を当て、かれらから福井や野依良治へと連なる「化学の京都学派」を科学史の専門家が鮮やかに描き出す。
Society for the History of Alchemy and Chemistry: Morris Award 2018
『京都新聞』2017年12月23日付朝刊 教育科学面「科学トピックス-本」
『朝日新聞』2018年1月21日付朝刊 読書面、評者:諸富徹氏
週刊『読書人』2018年2月23日付、評者:猪野修治氏
月刊『化学』2018年4月号、評者:竹内敬人氏
『化学史研究』第45巻 第4号(2018)、213-216頁、評者:菊池好行氏
アメリカ科学史学会誌『アイシス Isis』vol. 110, no. 3 (September 2019) 639-640頁、評者:Nobumichi Ariga (有賀暢迪)氏
『科学史研究』58巻(2020年1月号)、408-410頁、評者:古林祐佳氏
『日本経済新聞』2023年9月2日付朝刊「リーダーの本棚」、藤原正隆氏
『朝日新聞』2018年1月21日付朝刊 読書面、評者:諸富徹氏
週刊『読書人』2018年2月23日付、評者:猪野修治氏
月刊『化学』2018年4月号、評者:竹内敬人氏
『化学史研究』第45巻 第4号(2018)、213-216頁、評者:菊池好行氏
アメリカ科学史学会誌『アイシス Isis』vol. 110, no. 3 (September 2019) 639-640頁、評者:Nobumichi Ariga (有賀暢迪)氏
『科学史研究』58巻(2020年1月号)、408-410頁、評者:古林祐佳氏
『日本経済新聞』2023年9月2日付朝刊「リーダーの本棚」、藤原正隆氏
古川 安(ふるかわ やす)
科学史家.日本大学生物資源科学部教授.
1948年 静岡県生まれ.東京工業大学工学部合成化学科卒業,米国オクラホマ大学大学院博士課程修了,Ph. D.帝人株式会社,横浜商科大学商学部助教授,東京電機大学工学部助教授・同教授を経て現職.
化学史学会会長(2011-2016),日本科学史学会欧文誌編集委員長(2003-2007),Chemical Heritage(米国・化学遺産財団誌)海外編集委員(1993-2011),国際科学史技術史科学哲学連合・現代化学史委員会役員(1999-2015),徳山科学技術振興財団理事(2017- ).
日本産業技術史学会賞(2001),化学史学会学術賞(2004),化学史学会論文賞(2013, 2016).
主要著書
『科学の社会史─ルネサンスから20世紀まで─』(南窓社,1989;増訂版2000),Inventing Polymer Science: Staudinger, Carothers, and the Emergence of Macromolecular Chemistry(University of Pennsylvania Press, 1998).[共著]:『科学史』(弘文堂,1987),『精密科学の思想』(岩波書店,1995),『科学と国家と宗教』(平凡社,1995).[共編著]:『化学史事典』(化学同人,2017).
科学史家.日本大学生物資源科学部教授.
1948年 静岡県生まれ.東京工業大学工学部合成化学科卒業,米国オクラホマ大学大学院博士課程修了,Ph. D.帝人株式会社,横浜商科大学商学部助教授,東京電機大学工学部助教授・同教授を経て現職.
化学史学会会長(2011-2016),日本科学史学会欧文誌編集委員長(2003-2007),Chemical Heritage(米国・化学遺産財団誌)海外編集委員(1993-2011),国際科学史技術史科学哲学連合・現代化学史委員会役員(1999-2015),徳山科学技術振興財団理事(2017- ).
日本産業技術史学会賞(2001),化学史学会学術賞(2004),化学史学会論文賞(2013, 2016).
主要著書
『科学の社会史─ルネサンスから20世紀まで─』(南窓社,1989;増訂版2000),Inventing Polymer Science: Staudinger, Carothers, and the Emergence of Macromolecular Chemistry(University of Pennsylvania Press, 1998).[共著]:『科学史』(弘文堂,1987),『精密科学の思想』(岩波書店,1995),『科学と国家と宗教』(平凡社,1995).[共編著]:『化学史事典』(化学同人,2017).
プロローグ 喜多源逸の姿を求めて――本書ができるまで――
化学の京都学派を創った男
本書ができるまで
第1章 京都学派の形成――工業化学者・喜多源逸の挑戦――
はじめに
1 奈良から、三高、東京帝国大学へ
2 教育観の齟齬
3 京都帝国大学と澤柳事件
4 欧米留学
5 理研精神――大河内正敏と喜多源逸――
6 喜多イズムの浸透
7 国策科学と学派の拡大
8 巨星墜つ
第2章 実験室から工場へ――戦時下の人造石油開発――
はじめに
1 小松茂と海軍の直接液化法
2 喜多源逸と京都帝国大学のフィッシャー法
――実験室からパイロットプラントへ――
3 京都から北海道へ
4 人造石油の遺産
第3章 繊維化学から高分子化学へ――桜田一郎のたどった道――
はじめに
1 教育――セルロース化学の世界へ――
2 喜多研究室とセルロース化学
3 若きセルロース化学者のドイツ――低分子派の下に――
4 帰国後の研究活動とシュタウディンガーとの論争
5 高分子説の受容と「高分子」という言葉
6 ドイツ仕込みの気鋭化学者
7 合成繊維ナイロンの出現とその意味
8 合成一号と李升基
9 繊維化学科、日本合成繊維研究協会、「大阪・中之島の陣」
10 悩める二人の「発明者」
11 高分子化学の重鎮
第4章 燃料化学から量子化学へ――福井謙一が拓いた世界――
はじめに
1 化学への道
2 量子の扉を開く
3 燃料化学科とハイドロカーボン
4 児玉信次郎のドイツ留学とポラニー
5 戦争のあとさき
6 フロンティア軌道理論をつくる
7 反発から受容へ
8 工学部の理論化学者たち
9 創造の源泉
エピローグ 有機合成化学の系譜――ラウエルから野依良治まで――
はじめに
1 合成化学科への道――小田良平と古川淳二――
2 有機化学者・野依良治の誕生
謝 辞――あとがきに代えて――
文献一覧
インタビュー一覧
喜多源逸 関連年表
人名索引
事項索引
化学の京都学派を創った男
本書ができるまで
第1章 京都学派の形成――工業化学者・喜多源逸の挑戦――
はじめに
1 奈良から、三高、東京帝国大学へ
2 教育観の齟齬
3 京都帝国大学と澤柳事件
4 欧米留学
5 理研精神――大河内正敏と喜多源逸――
6 喜多イズムの浸透
7 国策科学と学派の拡大
8 巨星墜つ
第2章 実験室から工場へ――戦時下の人造石油開発――
はじめに
1 小松茂と海軍の直接液化法
2 喜多源逸と京都帝国大学のフィッシャー法
――実験室からパイロットプラントへ――
3 京都から北海道へ
4 人造石油の遺産
第3章 繊維化学から高分子化学へ――桜田一郎のたどった道――
はじめに
1 教育――セルロース化学の世界へ――
2 喜多研究室とセルロース化学
3 若きセルロース化学者のドイツ――低分子派の下に――
4 帰国後の研究活動とシュタウディンガーとの論争
5 高分子説の受容と「高分子」という言葉
6 ドイツ仕込みの気鋭化学者
7 合成繊維ナイロンの出現とその意味
8 合成一号と李升基
9 繊維化学科、日本合成繊維研究協会、「大阪・中之島の陣」
10 悩める二人の「発明者」
11 高分子化学の重鎮
第4章 燃料化学から量子化学へ――福井謙一が拓いた世界――
はじめに
1 化学への道
2 量子の扉を開く
3 燃料化学科とハイドロカーボン
4 児玉信次郎のドイツ留学とポラニー
5 戦争のあとさき
6 フロンティア軌道理論をつくる
7 反発から受容へ
8 工学部の理論化学者たち
9 創造の源泉
エピローグ 有機合成化学の系譜――ラウエルから野依良治まで――
はじめに
1 合成化学科への道――小田良平と古川淳二――
2 有機化学者・野依良治の誕生
謝 辞――あとがきに代えて――
文献一覧
インタビュー一覧
喜多源逸 関連年表
人名索引
事項索引