認知言語類型論原理
「主体化」と「客体化」の認知メカニズム

中野 研一郎

A5上製・360頁・税込 3,780円
ISBN: 9784814001170
発行年月: 2017/11
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内容

「主体化」論理の日本語と「客体化」論理の欧米言語の 間で互換(翻訳)は可能なのか? 今、哲学・言語学・文 学・言語教育の基盤が問い直される。

目次

はじめに

第1部 「客観」という名の「主観」
第1章 本書の目的と理論的背景
第2章 言語類型論における「客観」主観の限界
 1 Langacker のパースペクティブと「主体化(subjectification)」
 2 英語における「主語性(subjecthood)」と「他動性(transitivity)」の消失現象
 3 「主体化されたトキ(modalized time)」と「客体化されたトキ(abstracted time)」

第2部 言語における「客体化」論理:英語を中心に
第1章 言語類型論における文法カテゴリの諸問題:「格」・「主語/目的語」の類型論における非普遍性
 1 現代ドイツ語と古英語の文法・統語カテゴリ:「格」と「語順」
 2 近代英語の統語・文法カテゴリ:「語順」と 「主語/目的語」
 3 言語類型論における「主語」という文法カテゴリのローカル性
   3-1.英語史から見た「主語」カテゴリのローカル性(1)
   3-2.歴史言語学から見た「主語」カテゴリのローカル性(2)
第2章 「客体化(objectification)」の認知メカニズム:「類像性」と「認知Dモード」
 1 「構文主導主義」の限界:GoldbergとCroftの「構文文法(construction grammar)」というパースペクティブの言語類型論における限界
 2 「認知Dモード(Displaced Mode of Cognition)」による事態把握と 「類像性(iconicity)」を介した構文の創発・拡張現象
 3 「認知Dモード」による事態把握とコミュニケーション: 「客体化・客観化(文字化)」された事象の交換
 4 「認知Dモード」による事態把握と文法カテゴリの創発 1: アクション・チェイン・モデルと「二重目的語使役動詞構文(ditransitive causative verb construction)」
 5 「語彙主導主義」の限界:Jackendoff 及び影山の「語彙意味論(lexical semantics)」というパースペクティブの言語類型論における限界
 6 「認知Dモード」による事態把握と文法カテゴリの創発 2:「態」と「時制」
   6-1.「能動態」と「時制」
   6-2.「能動態」と「受動態」:「受動態構文(passive-voice construction)」における「力動性の 伝達(transmittance of force dynamics)」と「伏在時間(concealed time)」

第3部 言語における「主体化」論理:日本語を中心に
第1章 「日本語(やまとことば)」の論理 1:「認知様態詞(形容詞)」と「認知標識辞」の 「が/ga(/由来・契機)」
 1 「シク/shiku/」活用の「認知様態詞」
 2 「認知標識(由来・契機)辞」の「が/ga/」
 3 「主語・主格」カテゴリの不在
 4 「ク/ ku/」活用の「認知様態詞」
 5 「日本語」と近代ヨーロッパ標準諸語間における文法カテゴリの非互換性:Langacker, Dixon, Croft の言語類型論における限界
第2章 「日本語(やまとことは?)」の論理 2: 認知標識辞「は/wa/・が/ga/・で/de/・を/wo/・に/ni/」
 1 認知標識辞「は/wa/」1:「場」における「共同注意(joint atten- tion)」機能
 2 認知標識辞「は/wa/」2:「場」における「参照点(reference point)」 機能と「概念誘起(conception inducing)」
 3 認知標識辞「は/wa/」3:日本語における論理学的命題の未在
 4 「共同注意」の認知標識辞「は/wa/」と「単独注意」の認知標識辞「が/ga/」:日本語における「格」カテゴリの不在
   4-1.「日本語」における統語カテゴリ(「主語」)と文法カテゴリ(「格」)及び意味役割の不一致
   4-2.「認知標識辞(cognitive marker)」としての「日本語(やまとことば)」の「は/wa/」・「が/ga/」
 5 「認知標識辞」の「で/ de/ 」:事象生起における「様態特性」の感知
第3章 「日本語(やまとことば)」の論理 3:「態」及び「時制」の不在
 1 「日本語(やまとことば)」における「態」の不在
   1-1.「日本語」における「態」という文法カテゴリの出自
   1-2.「日本語」の「れる/ reru/・られる/ rareru/」と「受け身文」
   1-3.「日本語」の「れる/ reru/・られる/ rareru/」構文に創発する「事態生起の不可避性(unavoidability)」という解釈
 2 「日本語(やまとことば)」における「時制」の不在
  2-1.「蘇発化・現前化」標識としての「たり/tari/・た/ta/」
  2-2.「日本語」の時間標識「た/ ta/」の出自
  2-3.「日本語」における「時制」という文法カテゴリの出自
第4章 「日本語(やまとことば)」の論理 4: 「音=意味」による「主体化」と「主体化」論理の拡張及び変容
 1 「日本語(やまとことば)」におけるオノマトペ(「様態音・語):「音=意味」の「主体化」現象
 2 「日本語(やまとことば)」の語彙生成:「音象徴(音=意味)」による「膠着」生成の認知メカニズム
 3 「日本語(やまとことば)」の 3原母音:/a/・/i/・/u/の「音象徴(音=意味)」と語彙生成の認知メカニズム
 4 「日本語(やまとことば)」における「音象徴」と文法カテゴリ:「対格/与格」・「他動詞 /自動詞」及び「過去時制」という 文法カテゴリの不在
 5 「日本語(やまとことば)」の論理の拡張と変容:「文字化・客体化・客観主観化」
   5-1.「認知標識辞・が/ga/」の通時的拡張と変容
   5-2.「日本語(やまとことは?)」の論理の通時的変容

第4部 言語のグレイディエンス:英語の中の「日本語」と日本語のアクロバシー
第1章 英語における「主体化(modalization)」現象:「中間構文」・「構文イディオム」・「場所主語構文」・「再帰構文 」
 1 「中間構文(middle construction)」の具体事例と分析視点
 2 「中間構文」と Langacker の「主体化(subjectification)」
 3 「中間構文」を創発させる「始原的内化の認知モード(Primordial and Assimilative Mode of Cognition):PAモード」
 4 「中間構文」と「日本語(やまとことば)」の事態把握
 5 「始原的内化の認知モード:PAモード」と英語の「構文イディオム(construction idiom)」・「場所主語構文(setting-subject construction)」・「再帰構文(reflexive construction)」
第2章 日本語のアクロバシー:「造語」と「脳内処理」
 1 「訓読み」論理と「音読み」論理の混合
 2 日本語の「読み」の脳内処理
第3章 「認知言語類型論」が予測する世界の言語のグレイディエンス分布

解  題 (山梨正明)
謝  辞
参考文献
索  引