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フェティシズム研究 3

侵犯する身体

田中 雅一 編

A5上製・508頁

ISBN: 9784876989515

発行年月: 2017/06

  • 本体: 5,000円(税込 5,500円
  • 在庫あり
 
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内容

身体について、メディア研究やカルチュラル・スタディーズなどの成果をも取り入れた専門横断的な成果。身体観が表象と肉体とに分裂したかに見える現代社会において、フェティシズムこそが両者を結びつける。そのフェティシズムを対象に、通文化的かつ研究領域横断的に現代社会におけるヒト・身体・モノの関係を究めるシリーズの完結編。

書評

『Tarzan(ターザン)』2021年8/26号 No.816、対談「フェティシズムって何だ?」

プロフィール

◆編者紹介

田中雅一(たなか・まさかず)
 1955年生まれ。京都大学人文科学研究所教授、人類学(南アジア)、ジェンダー・セクシュアリティ研究。
 主要著書に、『供犠世界の変貌 南アジアの歴史人類学』法藏館、2002年(単著)、『癒しとイヤラシ エロスの文化人類学』筑摩書房、2010年(単著)、『ジェンダーで学ぶ文化人類学』2005年、『ミクロ人類学の実践』2006年、『ジェンダーで学ぶ宗教学』2007年、『南アジア社会を学ぶ人のために』2010年(以上、世界思想社、共編)、『文化人類学文献事典』弘文堂、2004年(共編)、『暴力の文化人類学』京都大学学術出版会、1998年(編著)、『女神 聖と性の人類学』平凡社、1998年(編著)などがある。

◆著者紹介

桑原牧子(くわはら・まきこ)
金城学院大学文学部准教授。文化人類学、ジェンダー研究。

岡田浩樹(おかだ・ひろき)
神戸大学大学院国際文化研究科教授。人類学(東アジア、ベトナム研究、宇宙開発に関する人類学的研究)。

岡田温司(おかだ・あつし)
京都大学大学院人間・環境学研究科教授。美術史、思想史(イタリア)。

佐藤知久(さとう・ともひさ)
京都市立芸術大学芸術資源研究センター准教授。人類学、都市文化論、アメリカ研究。

西村大志(にしむら・ひろし)
広島大学大学院教育学研究科准教授。社会学。

妙木 忍(みょうき・しのぶ)
東北大学大学院国際文化研究科准教授。社会学、ジェンダー研究、観光研究。

青木恵理子(あおき・えりこ)
龍谷大学社会学部教授。人類学(インドネシア)。詩的言語・身体・芸術と社会変革。

松村薫子(まつむら・かおるこ)
大阪大学日本語日本文学研究センター講師。日本文化学、民俗学。

フィロメナ・キート
ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)博士課程修了。ファッション研究。

成実弘至(なるみ・ひろし)
京都女子大学家政学部教授。社会学、ファッション研究、メディア研究。

小野原教子(おのはら・のりこ)
兵庫県立大学経営学部准教授。ファッション研究、イギリス文化。

大浦康介(おおうら・やすすけ)
京都大学人文科学研究所教授。文学・表象理論。

佐伯順子(さえき・じゅんこ)
同志社大学大学院社会学研究科教授・同志社大学男女共同参画推進室長。比較文化史。

森村麻紀(もりむら・まき)
同志社大学非常勤講師。映画研究。

藤本純子(ふじもと・すみこ)
大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。ジェンダー・セクシュアリティ研究。

花房観音(はなぶさ・かんのん)
小説家。『花祀り』で第1回団鬼六賞受賞。

田村公江(たむら・きみえ)
龍谷大学社会学部教授。哲学・倫理学。

菊地 暁(きくち・あきら)
京都大学人文科学研究所助教。民俗学、写真論、ヘリテージ研究。

立木康介(ついき・こうすけ)
京都大学人文科学研究所准教授。精神分析・思想史。

目次

はじめに [田中雅一]

序 章 侵犯する身体と切断するまなざし [田中雅一]
1 はじめに
2 身体論へ
3 フェティシズムにおける二重の否認
4 フェティシズムの分類
5 複製技術時代のフェティシズム
6 侵犯、切断、誘惑
7 女性のフェティシズム
8 本書の構成

第 I 部 身体をかたどる

第1章 皮膚をまさぐる視線
    一八、一九世紀タヒチ社会における他者認識にみるフェティシズム [桑原牧子]
1 はじめに
2 タプ——皮膚を包む
3 タイオ——皮膚に溶ける
4 船長の皮膚、首長の皮膚
5 水夫の皮膚、平民の皮膚
6 おわりに

第2章 韓国社会における身体の商品化とフェティシズム
    美容整形の流行と新生殖補助医療技術をつなぐもの [岡田浩樹]
1 はじめに
2 韓国における美容整形の浸透と「繁栄」
3 韓国における美容整形流行の状況
4 韓国における「儒学的伝統」とその「崩壊」
5 韓国における新生殖医療技術受容
6 美容整形の受容・普及と新生殖補助医療技術受容の共通点
7 おわりに

コラム1 ゼウクシスのひそみ [岡田温司]

第3章 ドラァグ・クイーン
    触発するフェティッシュあるいは最も美に近い創造物としての [佐藤知久]
1 ドラァグ・クイーンをめぐる諸問題
2 ニューヨークにおけるドラァグ・クイーン小史——〈社会=社交〉空間の観点
3 フェティッシュを通じた触発——古橋悌二とブブ・ド・ラ・マドレーヌ
4 自己フェティッシュ化/脱フェティッシュ化としてのドラァグ

第4章 「人体模倣」の現在 [西村大志]
1 はじめに
2 「ダッチワイフ」から「ラブドール」へ
3 アメリカの「リアルドール」と日本の「ラブドール」の目指すもの
4 ドールにおける物語性——ラブドールとスーパードルフィー
5 おわりに

第5章 観光化する複製身体
    マダム・タッソー蝋人形館をめぐって [妙木 忍]
1 はじめに
2 マダム・タッソーの何に着目するか
3 現実の再現か空想の再現か
4 迫真性の類型
5 アウラの消滅がもたらす娯楽性
6 おわりに

第 II 部 身体をつつむ

第6章 布とフェティシズム
    インドネシア・東ヌサテンガラ州の絣織の考察をとおして [青木恵理子]
1 はじめに
2 布の特性とフェティシズム論
3 東ヌサテンガラ州のイカット
4 おわりに

第7章 袈裟の裂に対するフェティシズム
    金襴袈裟と糞掃衣の裂をめぐって [松村薫子]
1 はじめに
2 金襴袈裟の歴史的展開
3 糞掃衣の歴史的展開
4 金襴袈裟と糞掃衣の裂に対する考え方
5 おわりに

第8章 ファッション・フェティッシュ・ファケーレ [フィロメナ・キート(藤原久仁子訳)]
1 はじめに
2 ファッションにおけるフェティシズム
3 フェティッシュとしてのブランド
4 フェティッシュな対象としてのブランド品
5 衣服ブランド——ファッションを作ること
6 おわりに

コラム2 文化フェティシズムと欲望される身体 [成実弘至]

第9章 ふわふわの訳
    ゴシックロリータ・ファッション [小野原教子]
1 「ゴシックロリータ」とは?
2 「ゴシックロリータ」スタイル
3 「ゴシックロリータ」作り
4 存在感と浮遊感
5 おわりに

第10章 ランジェリー幻想
    官能小説と盗撮、格子写真 [田中雅一]
1 はじめに
2 官能小説
3 ブルセラ・ショップと盗撮
4 〈モノでなし〉の出現と主体の攪乱
5 商品カタログと考現学
6 おわりに——不在の否認から喪の作業へ

コラム3 お札とハイヒール [大浦康介]

第 III 部 身体をえがく

第11章 谷崎文学におけるフェティシズム
    フロイトとマゾッホを超えて [佐伯順子]
1 はじめに——〈フェチのアジール〉としての「文学」
2 谷崎文学における女性の足への執着——〈造形美〉と〈男性を蹂躙する女性像〉
3 なぜ足なのか——〈母性憧憬〉と〈去勢恐怖〉
4 〈男根恐怖〉と〈女性崇拝〉——フロイト説への疑問
5 キリスト教的二元論と男性中心主義を超えて——女性とモノの復権
6 〈女性差別〉か〈女性崇拝〉か——フェミニズム的観点からみたフェティシズムの両義性
7 世界の再解釈の可能性——『毛皮を着たヴィーナス』を超えて

第12章 初期映画と身体
    フェティッシュとしての表象された身体 [森村麻紀]
1 はじめに
2 複製技術とフェティッシュ
3 映画の被写体に選ばれた男
4 ポーズをとる男とその受容
5 連続写真と初期映画の身体表象
6 身体鍛錬の時代
7 おわりに

第13章 「やおい」の男性表現にみる女性の欲望の現在
    女性とフェティシズムについて語りはじめる前に [藤本純子]
1 はじめに
2 男性表現の推移と現状
3 深化するまなざしの背景
4 ナルシシズム的欲望の行方
5 おわりに

コラム4 侵犯されるカラダとココロ——アダルトビデオにおける「フェティシズム」 [花房観音]

第14章 サイボーグに性別はあるか? [田村公江]
1 はじめに
2 「攻殻ワールド」で設定されている科学技術
3 読み取り得る哲学的問題
4 サイボーグ・ファンタジーにおいて語られない部分
5 おわりに

第15章 〈BBS〉の片隅で
    身体、書物、インターネット [菊地 暁]
1 ボディ/メディア/フェティシズム
2 スキャニスト——身体と書物とネットのあいだ
3 レスポンス——オンライン・コミュニティの「秩序」1
4 ヴァリエーション——ジャンルの拡散
5 クライシス——オンライン・コミュニティの「秩序」2
6 おわりに——「アダルト」サイト

コラム5 これは愛ではない [立木康介]

  あとがき [田中雅一]
  索引
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