近代日本の地域工業化と下請制

橋口 勝利

A5上製・288頁・税込 3,780円
ISBN: 9784814000647
発行年月: 2017/02
在庫あり

内容

日本の工業化を担った三つの主人公、すなわち、企業投資や経営者として活躍した地域商人、その彼らと「下請」という有機的・動的な関係を結ぶ中、市場に機敏に対応した産地工場、そして現場で要になった、農家労働から切り離され労働者へと変化した女性たち。彼らの主体的な活動を分析することで、工業化の形と要因を斬新な視点で描き出す。

目次

序 章 近代日本と地域
第一節 地域からみた工業化
第二節 地域工業化と綿業史研究
第三節 市場戦略と下請制 ―地域商人への再評価
第四節 綿織物産地の諸類型
第五節 本書の視角と構成

第Ⅰ部 市場のインパクトと地域商人の対応 ―市場選択と組織再編―

第一章 国内市場の選択と流通網の再編 ―瀧田商店の戦略的市場創出―
第一節 国内市場に向けた取引先の再編
第二節 取引秩序の再構築と生産調整
第三節 戦間期の国内市場と産地成長

第二章 国内市場の選択と生産組織の再編 ―北村木綿株式会社の経営拡大―
第一節 市場構造変化と北村木綿の成長
第二節 販売戦略と生産組織の編成
第三節 輸出市場拡大のインパクトと生産組織の再編
第四節 賃織工場の自立化にともなう生産組織の再編 ―本章のまとめ

第三章 輸出市場の選択と生産者化 ―中七木綿株式会社の産地大経営―
第一節 先駆的産地問屋としての中七木綿
第二節 輸出向け綿布生産への転換と産地大経営
第三節 大都市綿布商と産地機業家との分業関係 ―輸出産地化の促進要因

第Ⅱ部 工業化の波及と下請制の展開 ―問屋・工場・労働者―

第四章 問屋制から下請制へ―分散型生産組織のメリット―
第一節 知多産地の力織機化
第二節 産地問屋の地理的分布と下請制の展開
第三節 産地問屋と下請織布工場との取引関係
第四節 下請制選択の条件と効果

第五章 下請制下の賃織工場 ―冨貴織布株式会社の工賃交渉―
第一節 知多産地における賃織工場の分布
第二節 工賃をめぐる交渉
第三節 経営危機を支えた地域ネットワーク
第四節 取引関係のパターンと恐慌への対応

第六章 農村から工場へ ―工場労働者の誕生―
第一節 市場戦略と工場経営
第二節 工場労働者の定着
第三節 「地域の産業革命」の達成

終 章 地域発展のメカニズム
第一節 市場のインパクトと産地の対応力
第二節 工業化と生産組織
第三節 産地類型と産地問屋
第四節 下請制の起源をめぐって

あとがき
索  引

プロフィール

橋口 勝利(はしぐち かつとし)

1975年 大阪府泉佐野市に生まれる
1999年 京都大学経済学部卒業
2005年 京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了
     経済学博士(京都大学)
     京都橘女子大学文化政策学部ティーチングアシスタント,
     日本学術振興会特別研究員などを経て
2007年 関西大学政策創造学部専任講師
2010年 関西大学政策創造学部准教授

主要業績
「1920年恐慌前後の日本綿業─中京圏の綿糸取引信用をめぐって」『社会経済史学』第77巻第3号,2011年11月。
「明治後期における地方紡績企業の合併─ 一宮紡績株式会社を事例として」『経営史学』第47巻第4号,2013年3月。
「昭和恐慌と日本綿業─第11次操業短縮と服部商店」『社会経済史学』第82巻第3号,2016年11月。