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古代から綿々と論じられてきた「徳」と近代の現実である「商業」とが緊張をはらみつつ複雑に交錯しながら成立し拡大していった「文明社会」の本質を、J・ポーコックらによって刷新された20世紀後半の思想史研究の成果を踏まえつつ、社会・政治・経済の思想史の側面からテクストとコンテクストの相互作用に着目して描き出す。
『経済学史研究』58巻1号、163-164頁、評者:奥田敬氏
『社会思想史研究』No.40 2016,181-184頁、評者:後藤浩子氏
『社会思想史研究』No.40 2016,181-184頁、評者:後藤浩子氏
[編者]
坂本達哉(さかもと たつや)
慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。日本学術振興会海外特別研究員,慶應義塾大学経済学部助手・助教授を経て,1996年より慶應義塾大学経済学部教授。
主著に,『ヒュームの文明社会』(創文社),『ヒューム 希望の懐疑主義』(慶應義塾大学出版会),『社会思想の歴史』(名古屋大学出版会)。
長尾伸一(ながお しんいち)
京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。滋賀大学経済学部助手・講師・助教授,広島大学経済学部助教授,名古屋大学経済学部助教授を経て,2003年より名古屋大学大学院経済学研究科教授。
主著に,『ニュートン主義とスコットランド啓蒙』(名古屋大学出版会),『トマス・リード』(名古屋大学出版会),『複数世界の思想史』(名古屋大学出版会)。
[特別寄稿者]
J・G・A・ポーコック(John Greville Agard Pocock)[序章]
ジョンズ・ホプキンス大学名誉教授
The Ancient Constitution and the Feudal Law (Cambridge University Press), The Machiavellian Moment (Princeton University Press), The Discovery of Islands (Cambridge University Press), Political Thought and History (Cambridge University Press), Barbarism and Religion (6vols, Cambridge University Press) 他多数。
田中秀夫(たなか ひでお)[終章]
愛知学院大学経済学部教授・京都大学名誉教授
『スコットランド啓蒙思想史研究』(名古屋大学出版会),『共和主義と啓蒙』(ミネルヴァ書房),『アメリカ啓蒙の群像』(名古屋大学出版会),『近代社会とは何か』(京都大学学術出版会),『スコットランド啓蒙とは何か』(ミネルヴァ書房)他多数。
[執筆者]
伊藤誠一郎(いとう せいいちろう)[第1章]
大月短期大学教授
‘The Making of Institutional Credit in England, 1600―1688’ (European Journal of the History of Economic Thought, vol. 18),‘Registration and credit in seventeenth-century England’(Financial History Review, vol. 20)他。
林 直樹(はやし なおき)[第2章]
尾道市立大学講師
『デフォーとイングランド啓蒙』(京都大学学術出版会)他。
生越利昭(おごせ としあき)[第3章]
兵庫県立大学名誉教授
『ジョン・ロックの経済思想』(晃洋書房)他。
門亜樹子(かど あきこ)[第4章]
京都大学経済学研究科経済資料センタージュニアリサーチャー
「ジャン・バルベラック『娯楽論』研究序説―福音道徳と理性」(『調査と研究』(京都大学)第38号),「ジョン・ロックにおけるプロパティ論の形成」(『思想』第972号)他。
米田昇平(よねだ しょうへい)[第5章]
下関市立大学経済学部教授
『欲求と秩序』(昭和堂)他。
犬塚 元(いぬづか はじめ)[第6章]
東北大学法学研究科教授
『デイヴィッド・ヒュームの政治学』(東京大学出版会)他。
篠原 久(しのはら ひさし)[第7章]
関西学院大学名誉教授
『アダム・スミスと常識哲学』(有斐閣)他。
渡辺恵一(わたなべ けいいち)[第8章]
京都学園大学経済学部教授
「アダム・スミスの文明社会論」(田中秀夫編『野蛮と啓蒙』京都大学学術出版会),「『道徳感情論』における徳の政治学」(佐々木武・田中秀夫編著『啓蒙と社会』京都大学学術出版会)他。
野原慎司(のはら しんじ)[第9章]
東京大学経済学研究科講師
『アダム・スミスの近代性の根源』(京都大学学術出版会)他。
森岡邦泰(もりおか くにやす)[第10章]
大阪商業大学経済学部准教授
『深層のフランス啓蒙思想』(晃洋書房)他。
中澤信彦(なかざわ のぶひこ)[第11章]
関西大学経済学部教授
『イギリス保守主義の政治経済学』(ミネルヴァ書房)他。
川名雄一郎(かわな ゆういちろう)[第12章,序章翻訳]
京都大学白眉センター特定助教
『社会体の生理学』(京都大学学術出版会)他。
小田川大典(おだがわ だいすけ)[第13章]
岡山大学社会文化科学研究科教授
「J・S・ミルと共和主義」(田中秀夫・山脇直司編『共和主義の思想空間』名古屋大学出版会),「アーノルドと教養―ヴィクトリア期における「啓蒙」」(富永茂樹編『啓蒙の運命』名古屋大学出版会)他。
太子堂正称(たいしどう まさのり)[第14章]
東洋大学経済学部准教授
「ハイエクの「法の支配」―自然法論と共和主義的性格」(桂木隆夫編『ハイエクを読む』ナカニシヤ出版),「ハイエクの福祉国家批判と理想的制度論」(小峯敦編『経済思想の中の貧困・福祉』ミネルヴァ書房)他。
村井明彦(むらい あきひこ)[第15章]
関西大学非常勤講師
「グリーンスパンのアイン・ランド・コネクション3―〈根拠なき熱狂〉講演の根拠」(『同志社商学』第65巻),「大平準と〈グリーンスパン問題〉の生成」(『同志社商学』第65巻)他。
穂刈 亨(ほかり とおる)[第16章]
慶應義塾大学経済学部教授
‘Consistency implies equal treatment in TU-games’ (Games and Economic Behavior, vol. 51),‘On properties of division rules lifted by bilateral consistency’ (with W. Thomson), (Journal of Mathematical Economics, vol. 44) 他。
翻訳者
佐藤一進(さとう たかみち)[序章翻訳]
京都精華大学芸術学部専任講師
『保守のアポリアを超えて』(NTT出版)他。
坂本達哉(さかもと たつや)
慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。日本学術振興会海外特別研究員,慶應義塾大学経済学部助手・助教授を経て,1996年より慶應義塾大学経済学部教授。
主著に,『ヒュームの文明社会』(創文社),『ヒューム 希望の懐疑主義』(慶應義塾大学出版会),『社会思想の歴史』(名古屋大学出版会)。
長尾伸一(ながお しんいち)
京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。滋賀大学経済学部助手・講師・助教授,広島大学経済学部助教授,名古屋大学経済学部助教授を経て,2003年より名古屋大学大学院経済学研究科教授。
主著に,『ニュートン主義とスコットランド啓蒙』(名古屋大学出版会),『トマス・リード』(名古屋大学出版会),『複数世界の思想史』(名古屋大学出版会)。
[特別寄稿者]
J・G・A・ポーコック(John Greville Agard Pocock)[序章]
ジョンズ・ホプキンス大学名誉教授
The Ancient Constitution and the Feudal Law (Cambridge University Press), The Machiavellian Moment (Princeton University Press), The Discovery of Islands (Cambridge University Press), Political Thought and History (Cambridge University Press), Barbarism and Religion (6vols, Cambridge University Press) 他多数。
田中秀夫(たなか ひでお)[終章]
愛知学院大学経済学部教授・京都大学名誉教授
『スコットランド啓蒙思想史研究』(名古屋大学出版会),『共和主義と啓蒙』(ミネルヴァ書房),『アメリカ啓蒙の群像』(名古屋大学出版会),『近代社会とは何か』(京都大学学術出版会),『スコットランド啓蒙とは何か』(ミネルヴァ書房)他多数。
[執筆者]
伊藤誠一郎(いとう せいいちろう)[第1章]
大月短期大学教授
‘The Making of Institutional Credit in England, 1600―1688’ (European Journal of the History of Economic Thought, vol. 18),‘Registration and credit in seventeenth-century England’(Financial History Review, vol. 20)他。
林 直樹(はやし なおき)[第2章]
尾道市立大学講師
『デフォーとイングランド啓蒙』(京都大学学術出版会)他。
生越利昭(おごせ としあき)[第3章]
兵庫県立大学名誉教授
『ジョン・ロックの経済思想』(晃洋書房)他。
門亜樹子(かど あきこ)[第4章]
京都大学経済学研究科経済資料センタージュニアリサーチャー
「ジャン・バルベラック『娯楽論』研究序説―福音道徳と理性」(『調査と研究』(京都大学)第38号),「ジョン・ロックにおけるプロパティ論の形成」(『思想』第972号)他。
米田昇平(よねだ しょうへい)[第5章]
下関市立大学経済学部教授
『欲求と秩序』(昭和堂)他。
犬塚 元(いぬづか はじめ)[第6章]
東北大学法学研究科教授
『デイヴィッド・ヒュームの政治学』(東京大学出版会)他。
篠原 久(しのはら ひさし)[第7章]
関西学院大学名誉教授
『アダム・スミスと常識哲学』(有斐閣)他。
渡辺恵一(わたなべ けいいち)[第8章]
京都学園大学経済学部教授
「アダム・スミスの文明社会論」(田中秀夫編『野蛮と啓蒙』京都大学学術出版会),「『道徳感情論』における徳の政治学」(佐々木武・田中秀夫編著『啓蒙と社会』京都大学学術出版会)他。
野原慎司(のはら しんじ)[第9章]
東京大学経済学研究科講師
『アダム・スミスの近代性の根源』(京都大学学術出版会)他。
森岡邦泰(もりおか くにやす)[第10章]
大阪商業大学経済学部准教授
『深層のフランス啓蒙思想』(晃洋書房)他。
中澤信彦(なかざわ のぶひこ)[第11章]
関西大学経済学部教授
『イギリス保守主義の政治経済学』(ミネルヴァ書房)他。
川名雄一郎(かわな ゆういちろう)[第12章,序章翻訳]
京都大学白眉センター特定助教
『社会体の生理学』(京都大学学術出版会)他。
小田川大典(おだがわ だいすけ)[第13章]
岡山大学社会文化科学研究科教授
「J・S・ミルと共和主義」(田中秀夫・山脇直司編『共和主義の思想空間』名古屋大学出版会),「アーノルドと教養―ヴィクトリア期における「啓蒙」」(富永茂樹編『啓蒙の運命』名古屋大学出版会)他。
太子堂正称(たいしどう まさのり)[第14章]
東洋大学経済学部准教授
「ハイエクの「法の支配」―自然法論と共和主義的性格」(桂木隆夫編『ハイエクを読む』ナカニシヤ出版),「ハイエクの福祉国家批判と理想的制度論」(小峯敦編『経済思想の中の貧困・福祉』ミネルヴァ書房)他。
村井明彦(むらい あきひこ)[第15章]
関西大学非常勤講師
「グリーンスパンのアイン・ランド・コネクション3―〈根拠なき熱狂〉講演の根拠」(『同志社商学』第65巻),「大平準と〈グリーンスパン問題〉の生成」(『同志社商学』第65巻)他。
穂刈 亨(ほかり とおる)[第16章]
慶應義塾大学経済学部教授
‘Consistency implies equal treatment in TU-games’ (Games and Economic Behavior, vol. 51),‘On properties of division rules lifted by bilateral consistency’ (with W. Thomson), (Journal of Mathematical Economics, vol. 44) 他。
翻訳者
佐藤一進(さとう たかみち)[序章翻訳]
京都精華大学芸術学部専任講師
『保守のアポリアを超えて』(NTT出版)他。
はじめに 文脈主義(コンテクスチュアリズム)とその彼方 長尾伸一
1 近代社会思想史の転換
2 古代,中世,文明社会
3 モダニティ理解と文脈主義
序章(特別寄稿) 政治思想としての歴史叙述 ―ある研究計画の形成についての報告 J・G・A・ポーコック
原題:J. G. A. Pocock, ‘Historiography as Political Thought: A Report on the Formation of a Project.’
第Ⅰ部
第1章 17世紀イングランドにおける信用と基金 伊藤誠一郎
1 質屋
2 抵当銀行と基金
3 土地登記と信用
4 利子論争
おわりに
第2章 ミシシッピ・バブル後のブリテン ―ジョン・ロー来訪をめぐる信用論争 林 直樹
1 はじめに
2 ロー氏への手紙
(1)『手紙』の著者について (2)『手紙』を読む
3 正しく語られたロー氏問題
(1)1720年前後のデフォー (2)『手紙』への応答 (3)デフォーの将来像
4 結語
第3章 ジョン・ロックと啓蒙の始まり 生越利昭
1 はじめに
2 理性による世界の合理的認識
3 蓋然性
4 神の存在の理性的証明
5 自由と自律
6 政治的自由と権利の確立
7 所有と富裕化
8 宗教的寛容
9 教育・訓練による啓蒙
10 むすび
第4章 ジャン・バルベラックの「啓発された自己愛」 門亜樹子
1 はじめに
2 プーフェンドルフの自然状態論
(1)ホッブズへの反論 (2)スピノザへの反論 (3)自然状態における「正しい理性」
3 「正しい理性」と「啓発された自己愛」
(1)自然法と「正しい理性」 (2)社交性と「啓発された自己愛」
4 おわりに―「自己への義務」と「啓発された自己愛」
第5章 アベ・ド・サン=ピエールの商業社会論 ―啓蒙の功利主義 米田昇平
1 はじめに
2 人間本性 ―快楽と苦痛
3 道徳論 ―私欲と公共的利益との一致
4 商業
5 むすび
第Ⅱ部
第6章 「文明化された君主政」論の王党派的起源
―フィリップ・ウォリック,エドワード・ハイドと,ヒューム 犬塚 元
1 問題の所在
2 キャロライン君主政の歴史解釈における王党派とヒューム
3 「絶対的だが,しかし制限された」君主政
4 「ヨーロッパ的な,文明化された」君主政
5 結論といくつかの示唆
第7章 アダム・スミスにおける学問と思想 ―個と普遍をめぐって 篠原 久
1 アダム・スミスにおける知識人の役割
2 アダム・スミスの学問論
3 普遍からの脱却
第8章 文明社会史論としてのスミス経済学 渡辺恵一
1 はじめに
2 社会発展の四段階論とスミスの文明社会論
3 スミスの古代文明論―近代文明との比較史的考察
(1)古代エジプトとアジアの文明 (2)ヨーロッパ古代文明―ギリシャ共和国と古代ローマの盛衰
4 近代文明社会と世界市場
(1)近代文明社会の起源 ―「富裕の逆行的順序」と重商主義体系の成立
(2)大航海時代の幕開けとヨーロッパ近代社会の発展
5 むすび
第9章 啓蒙の世界観 ―ポープとスミスの「見えざる手」 野原慎司
1 はじめに
2 ポープと「見えない」神
3 ポープにおける人間社会
4 スミスの「見えざる手」
5 おわりに
第10章 ルソーとプーフェンドルフ 森岡邦泰
1 はじめに
2 ルソーのプーフェンドルフへの言及
3 道徳的存在と物理的存在
4 ルソーの場合
5 おわりに
第11章 反革命思想と経済学 ―マルサス『食糧高価論』に関する一考察 中澤信彦
1 はじめに―もうひとつの「二人のマルサス」問題
2 マルサスとフランス革命
(1)イギリスにおけるフランス革命 (2)『人口論』初版とフランス革命
(3)『人口論』の増補改訂とフランス革命
3 『食糧高価論』の分析
(1)『食糧高価論』の執筆背景 (2)『食糧高価論』の価格理論と反革命思想
4 なぜケインズは『食糧高価論』を高く評価したのか?
5 おわりに
第Ⅲ部
第12章 ベンサム,アメリカ,共和政 川名雄一郎
1 はじめに
2 ベンサムとアメリカをめぐる研究史
(1)ベンサムとアメリカ (2)アメリカ政治思想史研究における修正主義的解釈
3 第二期のアメリカ論
(1)アメリカの民主主義 (2)マディソンとベンサム (3)上院の位置づけ
(4)悪政に対する安全 (5)世論の役割
4 ベンサムのアメリカ大統領宛書簡 ―結びにかえて
第13章 コールリッジをめぐる理論家と歴史家の対話 ―アレン=モロウ論争再訪 小田川大典
1 問題の所在 ―コールリッジ政治思想研究の現状と課題
2 グラムシ的公職知識人論の先駆 ―アレンの非歴史的解釈
3 シヴィック・ヒューマニズムの批判的継承者 ―モロウの歴史的解釈
4 むすびにかえて 317
第14章 ハイエクと現代共和主義論 太子堂正称
1 はじめに
2 ハイエクの「法の支配」論
(1)法の「上位の法」への従属と階層的構造 (2)ハイエクの議会改革案と共和主義的特徴
3 「法の支配論」の系譜
(1)「法の支配」としてのイソノミア (2)アメリカ独立革命への着目
4 現代の共和主義論とハイエク
(1)ペティットの規範的共和主義論とハイエク (2)ロールズにおける共和主義的契機とハイエク
5 おわりに
第15章 アイン・ランド ―経済学のマキアヴェッリ 村井明彦
1 はじめに
2 ランドの生涯と『アトラス』
3 ランドの権利論
4 哲学の崩壊と資本主義の未成立
5 おわりに
第16章 ゲーム理論とスミス『道徳感情論』 穂刈 亨
1 はじめに
2 Bénabou-Tirole(2011)のモデル
(1)モデルの設定 (2)AU/SEゲームにおける均衡 (3)SCゲームにおける均衡 (4)比較静学
3 おわりに 376
終章(特別寄稿) 「徳,商業,文明社会」の諸問題 田中秀夫
あとがき 坂本達哉
執筆・翻訳者紹介
索引(人名・事項)
1 近代社会思想史の転換
2 古代,中世,文明社会
3 モダニティ理解と文脈主義
序章(特別寄稿) 政治思想としての歴史叙述 ―ある研究計画の形成についての報告 J・G・A・ポーコック
原題:J. G. A. Pocock, ‘Historiography as Political Thought: A Report on the Formation of a Project.’
第Ⅰ部
第1章 17世紀イングランドにおける信用と基金 伊藤誠一郎
1 質屋
2 抵当銀行と基金
3 土地登記と信用
4 利子論争
おわりに
第2章 ミシシッピ・バブル後のブリテン ―ジョン・ロー来訪をめぐる信用論争 林 直樹
1 はじめに
2 ロー氏への手紙
(1)『手紙』の著者について (2)『手紙』を読む
3 正しく語られたロー氏問題
(1)1720年前後のデフォー (2)『手紙』への応答 (3)デフォーの将来像
4 結語
第3章 ジョン・ロックと啓蒙の始まり 生越利昭
1 はじめに
2 理性による世界の合理的認識
3 蓋然性
4 神の存在の理性的証明
5 自由と自律
6 政治的自由と権利の確立
7 所有と富裕化
8 宗教的寛容
9 教育・訓練による啓蒙
10 むすび
第4章 ジャン・バルベラックの「啓発された自己愛」 門亜樹子
1 はじめに
2 プーフェンドルフの自然状態論
(1)ホッブズへの反論 (2)スピノザへの反論 (3)自然状態における「正しい理性」
3 「正しい理性」と「啓発された自己愛」
(1)自然法と「正しい理性」 (2)社交性と「啓発された自己愛」
4 おわりに―「自己への義務」と「啓発された自己愛」
第5章 アベ・ド・サン=ピエールの商業社会論 ―啓蒙の功利主義 米田昇平
1 はじめに
2 人間本性 ―快楽と苦痛
3 道徳論 ―私欲と公共的利益との一致
4 商業
5 むすび
第Ⅱ部
第6章 「文明化された君主政」論の王党派的起源
―フィリップ・ウォリック,エドワード・ハイドと,ヒューム 犬塚 元
1 問題の所在
2 キャロライン君主政の歴史解釈における王党派とヒューム
3 「絶対的だが,しかし制限された」君主政
4 「ヨーロッパ的な,文明化された」君主政
5 結論といくつかの示唆
第7章 アダム・スミスにおける学問と思想 ―個と普遍をめぐって 篠原 久
1 アダム・スミスにおける知識人の役割
2 アダム・スミスの学問論
3 普遍からの脱却
第8章 文明社会史論としてのスミス経済学 渡辺恵一
1 はじめに
2 社会発展の四段階論とスミスの文明社会論
3 スミスの古代文明論―近代文明との比較史的考察
(1)古代エジプトとアジアの文明 (2)ヨーロッパ古代文明―ギリシャ共和国と古代ローマの盛衰
4 近代文明社会と世界市場
(1)近代文明社会の起源 ―「富裕の逆行的順序」と重商主義体系の成立
(2)大航海時代の幕開けとヨーロッパ近代社会の発展
5 むすび
第9章 啓蒙の世界観 ―ポープとスミスの「見えざる手」 野原慎司
1 はじめに
2 ポープと「見えない」神
3 ポープにおける人間社会
4 スミスの「見えざる手」
5 おわりに
第10章 ルソーとプーフェンドルフ 森岡邦泰
1 はじめに
2 ルソーのプーフェンドルフへの言及
3 道徳的存在と物理的存在
4 ルソーの場合
5 おわりに
第11章 反革命思想と経済学 ―マルサス『食糧高価論』に関する一考察 中澤信彦
1 はじめに―もうひとつの「二人のマルサス」問題
2 マルサスとフランス革命
(1)イギリスにおけるフランス革命 (2)『人口論』初版とフランス革命
(3)『人口論』の増補改訂とフランス革命
3 『食糧高価論』の分析
(1)『食糧高価論』の執筆背景 (2)『食糧高価論』の価格理論と反革命思想
4 なぜケインズは『食糧高価論』を高く評価したのか?
5 おわりに
第Ⅲ部
第12章 ベンサム,アメリカ,共和政 川名雄一郎
1 はじめに
2 ベンサムとアメリカをめぐる研究史
(1)ベンサムとアメリカ (2)アメリカ政治思想史研究における修正主義的解釈
3 第二期のアメリカ論
(1)アメリカの民主主義 (2)マディソンとベンサム (3)上院の位置づけ
(4)悪政に対する安全 (5)世論の役割
4 ベンサムのアメリカ大統領宛書簡 ―結びにかえて
第13章 コールリッジをめぐる理論家と歴史家の対話 ―アレン=モロウ論争再訪 小田川大典
1 問題の所在 ―コールリッジ政治思想研究の現状と課題
2 グラムシ的公職知識人論の先駆 ―アレンの非歴史的解釈
3 シヴィック・ヒューマニズムの批判的継承者 ―モロウの歴史的解釈
4 むすびにかえて 317
第14章 ハイエクと現代共和主義論 太子堂正称
1 はじめに
2 ハイエクの「法の支配」論
(1)法の「上位の法」への従属と階層的構造 (2)ハイエクの議会改革案と共和主義的特徴
3 「法の支配論」の系譜
(1)「法の支配」としてのイソノミア (2)アメリカ独立革命への着目
4 現代の共和主義論とハイエク
(1)ペティットの規範的共和主義論とハイエク (2)ロールズにおける共和主義的契機とハイエク
5 おわりに
第15章 アイン・ランド ―経済学のマキアヴェッリ 村井明彦
1 はじめに
2 ランドの生涯と『アトラス』
3 ランドの権利論
4 哲学の崩壊と資本主義の未成立
5 おわりに
第16章 ゲーム理論とスミス『道徳感情論』 穂刈 亨
1 はじめに
2 Bénabou-Tirole(2011)のモデル
(1)モデルの設定 (2)AU/SEゲームにおける均衡 (3)SCゲームにおける均衡 (4)比較静学
3 おわりに 376
終章(特別寄稿) 「徳,商業,文明社会」の諸問題 田中秀夫
あとがき 坂本達哉
執筆・翻訳者紹介
索引(人名・事項)