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地域研究のフロンティア 5

21世紀ラテンアメリカの挑戦

ネオリベラリズムによる亀裂を超えて

村上 勇介 編

菊上製・188頁

ISBN: 9784876989003

発行年月: 2015/03

  • 本体: 2,800円(税込 3,080円
  • 在庫あり
 
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内容

米国の強い主導の下,超インフレ経済を権威主義的政治と新自由主義を導入して乗り切った南米の国々。しかしマクロ経済レベルの安定と発展は可能と なったものの,格差拡大と社会の不安定化に悩む国も多い。しかし,奇跡の政治的安定を達したブラジルのような国もある。20世紀の政治経済史に遡って,今日の複雑な南米事情を説明する。

書評

『図書新聞』2015.7.18号「2015年上半期読書アンケート」崎山政毅氏選
『ラテンアメリカ・レポート』2015 Vol.32 No.2、評者:菊池啓一氏
『ラテン・アメリカ論集』2015 No.49、評者:山岡加奈子氏

プロフィール

【編者】
村上勇介(むらかみ ゆうすけ) 序章,第3章,および第4章担当
1964年生まれ 京都大学地域研究統合情報センター准教授
ラテンアメリカ地域研究,政治学専攻
最近の業績は,Perú en la era del Chino: la política no institucionalizada y el pueblo en busca de un salvador (2a. edición), (Instituto de Estudios Peruanos, 2012), América Latina en la era posneoliberal: democracia, conflictos sociales y desigualdad (editor), (Instituto de Estudios Peruanos, 2013) 他。

【執筆者】
新木秀和(あらき ひでかず) 第1章担当
1963年生まれ 神奈川大学外国語学部准教授
ラテンアメリカ地域研究・現代史専攻
最近の業績は『先住民運動と多民族国家―エクアドルの事例研究を中心に』(御茶の水書房,2014年),『エクアドルを知るための60章[第2版]』(編著,明石書店,2012年)他。

千代勇一(せんだい ゆういち) 第2章担当
1969年生まれ 上智大学イベロアメリカ研究所準所員
開発人類学,ラテンアメリカ地域研究専攻
最近の業績は「違法作物に翻弄される人々―コロンビアにおけるコカ栽培の実践とその政治性」池谷和信編『生き物文化の地理学』(海青社,2013年),「プラン・コロンビア再考―コロンビアにおける麻薬対策の軍事化とその意味」『海外事情』59巻5号(2011年)他。

住田育法(すみだ いくのり) 第4章担当
1949年生まれ 京都外国語大学外国語学部教授
ブラジル地域研究,歴史学専攻
最近の業績は,「軍政下ブラジルの記録映画に描かれたヴァルガスのカリスマ性」京都外国語大学京都ラテンアメリカ研究所『紀要』11号(2011年),『ブラジルの都市問題―貧困と格差を越えて』(監修・萩原八郎他と共編,春風社,2009年)他。

内田みどり(うちだ みどり) 第5章担当
1961年生まれ 和歌山大学教育学部教授
比較政治学,ラテンアメリカ政治専攻
最近の業績は,「2期目に入ったウルグアイ左派政権―2009年大統領・国政選挙の経緯」『ラテンアメリカ・レポート』27巻1号(2010年),「ウルグアイにおける歴史の政治的利用─軍政の責任をめぐって」『法政理論』(新潟大学)45号3号(2013年)他。

浦部浩之(うらべ ひろゆき) 第6章担当
1965年生まれ 獨協大学国際教養学部教授
ラテンアメリカ地域研究,政治学専攻
最近の業績は,「2013年チリ大統領・国会議員・州議会議員選挙―有権者自動登録・自由投票制の導入と中道左派政権への回帰」『マテシス・ウニウェルサリス』16巻1号(2014年),「ラテンアメリカの都市化と住宅問題―チリの事例を中心に」雨宮昭一・福永文夫・獨協大学地域総合研究所編『ポスト・ベッドタウンシステムの研究』(丸善プラネット,2013年)他。

目次

序 章 ネオリベラリズム後のラテンアメリカ  [村上勇介]
 Ⅰ ラテンアメリカの歴史的転換と今世紀のポストネオリベラリズム状況
 Ⅱ 急進左派と穏健左派の分岐点
 Ⅲ 本書の分析
 Ⅳ 社会の亀裂の克服に向けて―ラテンアメリカ政治の今後

第Ⅰ部 紛争や格差に向き合う民主主義

第1章 運動と統治のジレンマを乗り越える
    ―エクアドルのパチャクティック運動と祖国同盟の展開過程を手がかりに [新木秀和]
 はじめに
 Ⅰ 政党システムの崩壊と新興政党の出現―ネオリベラリズムによる政党政治の再編
 Ⅱ パチャクティック運動の躍進と衰退―先住民運動による脱ネオリベラリズムの提案
 Ⅲ 祖国同盟とコレア政権の展開―左派政権による脱ネオリベラリズムの実践
 Ⅳ コレア政権と先住民運動の関係―ポストネオリベラリズムの方向性と分岐点
 おわりに―運動と統治のジレンマを乗り越えるための争点政治の可能性

第2章 コロンビアにおける和平プロセスの政治性
    ―国内紛争の展開から見た新自由主義改革による政治の不安定化 [千代勇一]
 はじめに
 Ⅰ 二大政党制と新自由主義改革
 Ⅱ 非合法武装組織と二大政党制下の和平プロセス
 Ⅲ ポスト二大政党制期における政治の不安定化
 Ⅳ 政治の安定化の試み
 Ⅴ 国民の不満とその行方
 おわりに

第3章 ポストネオリベラリズム期ペルーの社会紛争と政治の小党分裂化 [村上勇介]
 はじめに―制度化しないペルー政治とそのゼロ年代
 Ⅰ 所得再分配を伴わない経済成長
 Ⅱ 大統領の不人気と社会紛争の増加
 Ⅲ 実効的な政策に関する合意ないし了解の欠如
 Ⅳ 2011年選挙過程
 おわりに―有力な左派政党の不在と政治の制度化の課題

第Ⅱ部 政党政治の安定化と課題

第4章 ブラジルにおける争点政治による政党政治の安定化と非エリート層の台頭
    [住田育法・村上勇介]
 はじめに
 Ⅰ 1985年の民政移管まで
 Ⅱ ネオリベラリズムの浸透―民政移管からコロルまで
 Ⅲ カルドーゾ政権から労働党政権へ
 おわりに

第5章 ネオリベラリズムと周辺国型社民主義─ウルグアイのケース  [内田みどり]
 はじめに
 Ⅰ ウルグアイとネオリベラリズム
 Ⅱ 民政移管後のネオリベラリズム的政策
 Ⅲ ネオリベラリズム政策の有効性と正統性への疑問
 おわりに―周辺国型社民主義の今後

第6章 チリにおける政党システムの硬直化と政治不信
    ―「二名制」選挙制度がもたらす「駆け引き政治」の落とし穴  [浦部浩之]
 はじめに―堅調なチリの政治経済と政治的無関心の増大
 Ⅰ 「二名制」と「コンセンサス政治」の定着
 Ⅱ 「二名制」の弊害
 Ⅲ コンセルタシオンの不和と2009/10年選挙における敗北
 Ⅳ 政治の市民からの乖離
 おわりに―政治家を選ぶのはだれか

参考文献
索引
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